お客さんの声にどれだけ耳を傾けていますか?あなたの会社ではお客さんの声を全社的に活かせているでしょうか?
これらの問いに自信を持って 「はい」 と答えられる企業は決して多くはありません。
今回は、エスビー食品の先進的な顧客情報の活用事例から、どのようにしてお客さんの声を全社に浸透させ、商品開発に反映できるのかの秘訣を探ります。
エスビー食品の顧客情報の活用
ご紹介したいのはエスビー食品の事例です。
お客さんの声を活かした商品改善
以下は ITmedia の記事からの引用です。
エスビー食品では相談窓口におけるデータ活用に力を入れている。消費者や取引先からの問い合わせや指摘を "全て" データとして貯蓄。重要度の高い内容は毎朝全社員に配信し、社員の 「お客さま視点」 の醸成に励んでいる。
(中略)
「お客さまの声を社内の各部署へ伝え、商品やサービスの改良・改善を実施しています。要望や指摘を実際に商品に反映することで、エスビー食品のファンを増やすことが重要な業務になっています」 (お客様相談センター ユニットマネジャーの木下香江子さん)
全社的な仕組み
お客さんからの情報は広く集め社内で一元管理され、全部署に発信されています。
顧客からの問い合わせは全て情報管理システム 「Compass System」 に記録し、管理している。2018年10月から導入しており、お客様相談センターに加えて、工場や原料・資材メーカーへの調査、営業部門を通じた指摘連絡や商品情報に関する取引先からの問い合わせも一元管理。顧客満足向上に向けて、より一層の全社活動の強化につなげているという。
システムの名称について、木下さんは 「『お客さまの声を、エスビー食品の進むべき方向を示すコンパスとして、お客さまに満足いただける商品づくりに生かしていく』という思いを込め、Compass System と名付けています」 と話す。
Compass System 内に貯蓄したデータは、「VOC (Voice Of Customer) 配信」 と呼ばれるシステムで1日1回社内に配信している。全部署が対象で、毎朝社員が PC を起動すると、「お客さまの声のピックアップ」 の画面が立ち上がる。
「社員のお客さま視点の醸成と、お客さまの声をもとに、より良い商品やサービス向上を目指すために毎日配信をしています。内容は社員のモチベーションが上がるうれしいお声から、商品に対する厳しいご意見まで幅広く掲載するようにしています」 (木下さん)
エスビー食品がお客さんの情報を共有している仕組みを整理してみると、
✓ エスビー食品の顧客情報共有の仕組み
- 情報管理システム 「Compass System」 で一元管理
- 消費者だけではなく取引先からの指摘連絡や商品情報に関する問い合わせも含む
- 毎朝社員がパソコンを起動すると 「お客さまの声のピックアップ」 の画面が立ち上がる
消費者の声からの商品改善の例
エスビー食品では実際にどのような商品改善をしているのかを見てみましょう。
出典: ITmedia
赤缶カレー粉の事例です。
同社はこれまでに消費者の声をもとに商品の改良を行っている。
ロングセラー商品である 「赤缶カレー粉」 には 「火を通さなくてもそのまま使えますか?」 という質問が年間80件寄せられた。社内の 「改良改善会議」 で提案し、パッケージ変更時にあわせて 「加熱しなくても召し上がれます」 との表記を追加した。
学べること
ではエスビー食品の話から学べることを掘り下げていきましょう。
お客さんを見る外向き姿勢
エスビー食品では消費者や取引先からの問い合わせ・指摘情報を全社で共有しています。それだけ顧客情報を重視し、全社的にお客さんの方を向いた 「外向き姿勢」 になっているわけです。
上からのスローガンで 「お客さん目線になろう」 と言うだけでは現場には浸透しません。システムが構築され、たとえば毎朝パソコンを立ち上げて仕事を始める時に自然と目に入るようにするなど、お客さんに向くことが定着する仕組みになっています。
活用すべきお客さんの声とは
もう1つ注目したいのは、お客さんからの声が商品改善にまで活かされていることです。
もちろん全ての要望が改善につながってるわけではありませんが、商品を実際に食べたり使った人の体験に基づいた顧客情報を大切にしています。
エスビー食品からの学びを一般化すると、お客さんの商品体験 (行動とその時の気持ち) からの 「事実ベースのお客さんの声」 は商品開発やマーケティングのヒントになります。
特に作り手・売り手には見えていなく気づいていなかった不明点や不便なところには、商品やマーケティングをより良くできるビジネスチャンスがあります。
まとめ
今回はエスビー食品のお客さんの声を活かした商品改善の仕組みや事例を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ お客さんの声を活かす方法
- お客さんの商品体験 (行動と心理) からの 「事実ベースのお客さんの声」 は貴重な情報
- 売り手には見えていなかった顧客情報は商品開発やマーケティングのヒントになる
- お客さんを見る外向き姿勢になろう
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