投稿日 2023/05/28

アメリカのリテールメディアへの認識変化。マーケティング視点での解説

#マーケティング #価値提供 #メディア


アメリカでのリテールメディアの認識が大きく変わりつつあります。一体どんな変化が起こっているのでしょうか?

このトレンドから学ぶことで、お客さんにとって価値のある情報を提供する新たな方法が見つかるはずです。ぜひ一緒に見ていきましょう。

✓ わかること
  • アメリカでのリテールメディアへの認識の変化
  • マーケティング視点で見る認識変化
  • お客さん目線でのメディア利用と情報発信

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

アメリカでのリテールメディアの捉え方への変化


アメリカでリテールメディアの捉え方に変化しているとのことです。

アメリカでは、ここ数年、メーカー、リテール、業界に関係する方々を中心に、リテールメディアは強い関心を持って語られています。

21年までは 「リテールメディア = 広告スペースやデータをメーカーに提供」 として語られている感が強かったのですが、22年になって、その存在や目的の説明の仕方や語る “視点" がそれまでとは変わったなと感じています。 「リテールメディアは "メディア" である」 「見てくれるお客さまに価値あるメディアになるべき」 という大前提で語られるようになったという印象です。

19年から21年にかけて、リテールメディアは 「リテールの収益アップを助ける、新しい広告媒体」 という捉え方で語られていた感じがありました。22年中盤以降、リテールメディアが目指すべき姿として、「お客さまにとって魅力的な "メディア" になる」 という言い方がされはじめました。

 「リテールメディアは収益性のためにも役立つ。ただし、自社の大切なお客さまに愛してもらい、ロイヤリティを高めるのに活用し、結果、収益を上げる」 というように業界全体の発言の方向性が、静かに変化してきたと感じています。

学べること


ではアメリカでのリテールメディアの話から、学べることを掘り下げていきましょう。

マーケティング視点での認識変化の解釈


リテールメディアへの認識変化を整理すると、

  • 2021年までは 「リテールメディア = 広告スペースやデータをメーカーに提供するもの」 「小売の収益アップを助ける新しい広告媒体」 と語られていた
  • 2022年になり 「リテールメディアは "メディア" である」 「見てくれるお客さんに価値あるメディアになるべき」 が前提として語られるように

マーケティング視点で解釈をすれば送り手から受け手に、売り手目線から買い手目線になったということです。

2021年頃の広告スペースやデータをメーカーに提供しているというリテールメディアの捉え方には、消費者のことが直接的に触れられていません。一方の 「見てくれるお客さんに価値あるメディアになるべき」 にはお客さんが中心に置かれています。

お客さん目線でメディアを捉えるようになると、今まではただ商品を紹介したり宣伝するという送り手目線から受け手目線に変わります。情報が相手にとって役に立つ、見ていておもしろかったり時には驚きのあるくらいのインパクトがあるかなど、情報そのものに価値をつけることを目指すようになるわけです。

顧客目線での情報コンテンツの価値


リテールメディアに限った話ではありません。

例えば YouTube での動画広告も同じです。動画の前に入る5秒でスキップできる広告 (TrueView) がありますが、基本的にはユーザーは自分が見たい動画の前に不意に入る広告を嫌います。5秒はなんとか我慢し、スキップボタンが出た瞬間にタップして広告をスキップするというのが普通でしょう。

しかし、もし広告だとしても見たい動画を見るのを後回しにしても見たくなる広告だとどうでしょうか。広告だったとしても広告情報に価値があれば、見る人には役に立ち、見ていておもしろいと思い、時には自ら広告をシェアしたくなります。

学びを一般化すると受け手やお客さん目線で情報コンテンツ (例: 広告や販促情報) を捉え直す重要性です。

提供する情報コンテンツは、メディアを通してコミュニケーションする相手にどんな価値があるのかです。適切な人に、適切なタイミングで、適切な情報として届けられているかです。

発信情報コンテンツの広がり


自分たちが発信する情報の波及効果をお客さん目線で捉えるために、次のようなことを1つ1つ仮でもいいので答えを出していくといいです。

✓ 表示される状況
  • どこに掲載されるか (例: メディアの場所, メディア内で表示される位置) 
  • いつ表示されるか
  • 一緒に表示される他のコンテンツは何か

✓ 見る人
  • 誰が見るか
  • どういう状況や文脈、姿勢・気持ちで見るか

✓ 態度変容や行動変容
  • 見てどう思うか
  • 見た後にどんな行動を取るか

✓ 波及効果
  • 情報を見た人からどれくらい広がるか (例: 口コミ効果) 
  • 効果はどのくらい継続するか (情報の残存効果) 
  • 最終的にお客さんが買ってくれることにつながるのか
  • 情報提供の費用対効果

アメリカでのリテールメディアの捉え方は顧客視点に切り替わりつつあるとのことでした。お客さん目線で情報コンテンツやメディアを捉え、情報がどこまで広く普及し深く浸透するか。そしてどんな時間軸で起こるのか。お客さん目線で把握することが大事です。


まとめ


今回はアメリカでのリテールメディアの認識変化から学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ お客さん目線でのメディア利用と情報発信
  • 受け手の目線で情報コンテンツを捉えることが大事
  • 発信情報 (例: 広告や販促) はメディアを通してコミュニケーションする相手にどんな価値があるのか
  • 情報がどこまで広く普及し、深く浸透するか、どんな時間軸で起こるのか。お客さん目線で把握しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。