出典: 宣伝会議
マーケティングにおいて、視覚以外の五感をどのように活用すればいいのでしょうか?
オロナミン C の CM を題材に、「五感ブランディング」 の奥深さを掘り下げていきます。五感を活用するマーケティング手法を一緒に学び、ブランド構築に役立てるアイデアを見つけにいきましょう!
✓ わかること
- 開栓音 「shupon!」 でつなぐオロナミン C の CM
- shupon! に込められた意味
- ブランドの本質、ブランドのつく方
- 五感ブランディングとは
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
オロナミン C の CM
ご紹介したいのは大塚製薬のオロナミン C の CM 「出てこい元気」 篇です。
開栓音でつなぐ
CM の特徴はオロナミン C のフタを開けた時の 「シュポン」 という開栓音にフォーカスを当てていることです。
CM で描かれるシーンは、畑、海、山、野球場、スケートパーク、学校帰りの駅、家。働いた後や遊んだ後、おしゃべりをした後にみんなで開けるオロナミン C と、キャップを引き上げる時の音が繰り返し出てきます。
shupon! に込めた意味
なるほどと思ったのはシュポン (shupon) という音に込められた意味でした。オロナミン C が背中を押す存在になりたいという想いです。
「オロナミン C の特徴の一つである開栓音の shupon! を並べかえると、背中を押すと言う意味の push on! になります。キャップを引き上げる時、気持ちも上がって欲しい。オロナミン C を開ける手元。ただそれだけ。
そんな何の変哲もない尊い日常を出来るだけありのままに、そしてオロナミン C でしか描けない事を深く映し出したいと思い、撮影と監督をお願いした上田義彦さんと丁寧に積み上けました」
オロナミン C の開栓時の shupon には音を言語化しただけではなく、背中を押すと言う意味の push on! からキャップを引き上げる時に気持ちも上がって欲しいという想いがあったんです。
学べること
ではオロナミン C の CM から学べることを掘り下げていきましょう。
音で 「らしさ」 を訴求
CM でオロナミン C のフタを開ける時の音を聞くと、オロナミン C らしさ、オロナミン C にしかないユニークさが音で伝わってきます。音で商品の 「らしさ」 を訴求しているわけです。
シュポンという音を映像とともに聞くことでオロナミン C をまた飲みたくなる、フタを開けてまさにこれから飲もうとする体験を擬似的にできる感覚を得られます。
ここに今回のポイントがあり、オロナミン C の CM から学べるのは 「五感ブランディング」 です。
順番に説明していきますね。
ブランドの本質
そもそもブランドとは何かですが、ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス」 です。
好ましい感情とは例えば、好き、共感、満足、誇り、憧れ、応援したい気持ちです。好ましい感情が深いほど強いブランドです。ブランドは数式の足し算で表現ができ、「ブランド = 商品 + 感情」 になります。
ブランドでもう1つ大事なことは、ブランドとはあくまでお客さんの頭の中にある価値イメージや信頼です。この意味で売り手は直接ブランドをコントロールすることはできず、間接的に働きかけをするしかありません。
ブランドのつくり方
ブランドがどのようにつくられるかも見ておきましょう。
ブランドに ing がつく表現がブランディングです。ブランディングとは商品やサービスに好ましい感情を持ってもらうための 「お客さんへの働きかけ」 です。
働きかけの流れ、ブランドができるプロセスは 「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成 → ブランド化」 です。
体験は五感で感じるものです。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚によってです。
商品へのユーザー体験がベースになります。体験時や後に好ましい感情が生まれ、商品やサービスの価値イメージとも結びつき、1つ1つの体験の蓄積の結果としてブランドができあがるのです。
五感ブランディング
オロナミン C に話を戻すと、オロナミン C は飲料なので味や香り、ボトルの見た目や触り心地から商品を体験するものです。
実は音でもキャップを開ける時に 「シュポン」 というオロナミン C の独特の音によって他にはない体験をしていたわけです。
ご紹介した CM では繰り返しシュポンという音を飲むシーンと併せて伝えることで、オロナミン C を飲んだ時の体験が音からも蘇る効果があります。オロナミン C の 「シュポン」 という音を打ち出した CM は五感でのブランディングのお手本になります。
商品やサービスの体験をいかに豊かにするかはブランド構築に直接つながります。見た目の視覚的な訴求だけではなく、五感の他の要素である例えば音でも商品・サービスの 「らしさ」 を伝えられないかを考えてみると、マーケティングコミュニケーションのヒントになります。
まとめ
今回はオロナミン C の CM を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 五感ブランディング
- ブランドとはお客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス
- 商品へのユーザー体験時に好ましい感情が生まれ、商品の価値イメージが形成される。1つ1つの体験の蓄積の結果としてブランドができる
- 五感での訴求で商品・サービスの体験を豊かにし他にはないブランドを目指そう
マーケティングレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!