広告コピーのつくり方で、ご紹介したい本があります。
ここらで広告コピーの本当の話をします。(小霜和也) です。
この本の特徴はマーケティングの本質を掘り下げ、広告コピーについて解説しているところにあります。
広告コピーをつくるための上位概念であるマーケティングに立ち返って、お客さんの心を動かす広告コピーのつくり方をわかりやすく解説する本です。
広告コピー
広告コピーの役割
広告コピーとは、商品を変えずに 「商品の価値」 を上げる言葉です。
広告コピーライターに求められるのは、広告によって商品やサービスの価値をどれだけ上げられるかです。企業や商品の内容をただ伝えるのではなく、価値が上がるように伝えることが仕事なのです。
そもそもの広告の役割についても、なるほどという言語化がされています。広告の役割とは、モノ (商品やサービス) とヒトとの新しい関係を創ることです。だから広告制作のことを広告 「クリエイティブ」 と言うわけです。
言葉を使ってモノ (商品) とヒトとの新しい関係を創り、商品や企業の価値を上げるのが、広告コピーです。
広告コピーを書くときに大事なこと
では、広告コピーをつくるためには、どんな姿勢であればいいのでしょうか?
広告コピーをつくるときの 9 割は 「考えること」 に時間を割きます。
コピー作業の中で、机に向かってペンを走らせる (あるいはパソコンに向かってキーボードを叩く) 作業は全体の 1 割ぐらいだと著者の小霜さんは強調します。コピーを書く手前のマーケティング、つまり 「考えること」 が全体の 9 割を占めます。
✓ 広告コピーをつくる前にやること ※ 3C の要素が全てあります
- 競合の設定
- 自社商品・サービスの競合と比較しての優位性の見極め
- ターゲット顧客設定と理解
補足をすると、対象商品・サービスの競合を調べ、自分が預かっている商品の強みを知り、商品の USP (Unique Selling Point: 商品の独自価値) を見極め、ターゲットを決め、お客さんの欲求や不満、不安に思いをはせターゲットインサイトを発見します。
もし広告コピーをつくる締め切りまでに 1 週間あるのなら、こうした作業に 6 日を費やし、実際にコピーを文字として書くのは最後の 1 日でかまいません。
コピーライターに求められること
本書に書かれていたことで印象的だったのは、広告コピーを書く上で最も大事なのは 「担当商品のファンになること」 という指摘です。コピーをつくる対象商品やサービスは自分が使い、ファンになるくらいの熱量を1人のユーザーとして持つことの重要性です。
もう1つコピーライターに求められることを共有すると、コピーライターが最も養わないといけない能力は 「聴く能力」 です。「書く能力」 ではないのです。
聴くとは、オリエンテーション (広告主からの説明の場) や打合せに出て表面的な話だけのメモを取ることではありません。発注主やクリエイティブディレクター、商品のお客さんの置かれた環境、課題感、悩み、欲求、他にはブランド背景や課題、ゴール目標などの相手の真意を理解するということです。
担当する商品には、クライアントはそれこそ人生を賭けていると言っても過言ではありません。商品の話を上の空で聞いていたら、それでは失格です。
ブランドとは
では最後のパートはブランドについてです。
この本では、ブランドとは 「気持ちいい記憶」 のことだとします。商品やサービスのロゴやラベルは、お客さんの中で気持ちいい記憶を蘇らせるトリガーです。
この 「気持ちいい記憶」 は楽しいなどの生理的欲求だけでなく、「新しい自分になれる」 というような自己実現としての気持ちよさもあります。
ブランドは人の心にアプローチします。そのロゴを見たときに 「食べたい!」 「欲しい!」 「やりたい!」 というふうに心を動かす力を持つのがブランドです。
ブランドが強くなる条件も興味深かったです。以下の3つです。
✓ ブランドが強くなる条件
- ブランドロゴを目にする頻度
- その人がその時に感じている課題との関係の深さ
- 気持ちいい体験の蓄積度合い
まとめ
今回は書籍 ここらで広告コピーの本当の話をします。(小霜和也) をご紹介しました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 広告コピーは商品やサービスの 「価値」 を言葉で高める。言葉を使ってモノ (商品) とヒトとの新しい関係を創り、商品や企業の価値を上げる
- 広告コピーとは単なる 「書く」 作業ではない。広告コピー作成の 90% は事前の 「考えること」 に使う。競合設定、自社商品・サービスの競合と比較しての優位性の見極め、ターゲット顧客設定と理解が重要
- 広告コピーを書く上で最も大事なのは、担当商品のファンになること。コピーライターが最も養わないといけない能力は聴く能力
この本は、著者の小霜さんの独特の語り口から広告コピー、さらにはマーケティングやブランドについて勉強になる1冊です。
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