投稿日 2023/11/21

Indeed のリブランディング。価値イメージを変え、選ばれる理由をつくる

#マーケティング #リブランディング #パーセプションチェンジ

自社の商品やサービスは、お客さんにしっかりとその価値が伝わっていますか?

サービスの認知や品質は良いのに、お客さんが持つサービスイメージが高まらない。期待するほどユーザーに使ってもらえない。このような悩みを抱える企業は少なくないでしょう。

今回は、Indeed のリブランディング事例から、パーセプションチェンジとマーケティングの役割を紐解きます。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

Indeed の課題


求人サービス Indeed のリブランディングの事例がおもしろかったです (参考記事) 。

全面リニューアルをした背景は、Indeed はサービスの認知は獲得できている一方で、ベネフィット (利用者にとっての便益) が十分に浸透していませんでした。

また Indeed は正社員の求職情報が掲載されているにもかかわらず、「アルバイトやパート向けの求人サービス」 というイメージが強かったことも、解決しなければいけない問題でした。

マーケティングのファネルで考えた場合、本来はフルファネルで認知から興味喚起、会員登録、サービス利用と流れるべきです。しかし、認知獲得のトップファネルだけが発達し、一方のサービス理解を促しユーザーに自分ごと化してもらうミドルファネル以降が手薄になっていました。

Indeed のリニューアル前の課題感を整理すると、

  • サービス認知はあるが利用価値が伝わっていない
  • バイト・パート探しのサイトと認識され、正社員の求職や転職のイメージが薄い
  • 認知の先の興味喚起や利用意向につながらずサービス利用が増えない


リブランディング


Indeed はこのような課題に対処するため、約6年ぶりにブランドコンセプトを一新しました。

高次元からのコンセプト立案


中心に据えたメッセージは 「いい未来は探せる」 です。

リブランディングで目指したのは、Indeed を単なる求人サイトから 「人生や働き方を見つける場」 としての価値にまで高めることです。

正社員、アルバイトやパートの求職にとどめず、より高い次元からの価値提案を行ったわけです。単に仕事が見つかるだけでなく、それが 「良い未来」 につながるという訴求です。

Indeed とは魅力的な働き方を探せる場所であり、良い人生や未来につながるという新たな価値イメージをお客さんに持ってもらうようなブランド戦略をとりました。

Indeed の 「いい未来は探せる」 を訴求する CM はこちらです。


パーセプションチェンジ


Indeed のリブランディングは、パーセプションチェンジの成功例です。

パーセプションとは、ある対象への知覚や認識のことです。マーケティングの文脈では、お客さんが持っている商品やサービス、あるいはカテゴリーへの認識を意味します。「こういうものが良い商品である」 というお客さんの持っている価値へのイメージのことです。

Indeed は、利用者からの 「Indeed は自分の良い未来を探せる場所」 という価値を持ってもらうことを狙い、リブランディングの方針としたわけです。

選ばれる理由をつくる


パーセプションチェンジを別の捉え方をすれば、「自分たちが選ばれる理由」 を新しい切り口でつくり出そうとすることです。

商品やサービス名を知られているだけでは、それだけでお客さんから選んでもらうのは簡単ではありません。存在を知っているという認知だけではなく、商品やサービスへの興味、商品が自分にどう役に立つのか、もたらされる価値は何かまでの理解があって、はじめて現実的な選択肢に入るわけです。

お客さんに実際に買う選択肢に入れてもらうためには、パーセプション、つまり価値イメージに新しい要素を追加して提案する必要があります。伝え方で大事なのは、お客さんの心の琴線に触れる言葉に言い換えて訴求することです。

マーケティングの役割は、価値イメージをしっかりとお客さんに理解してもらうことで、お客さんから選ばれる状況をつくり出していくことです。


まとめ


今回は求人サイト Indeed のリブランディング事例から、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • マーケティングではパーセプションチェンジを起こし、お客さんが商品やサービスに持つ 「価値イメージ」 をより良くできるかがが成功のカギを握る

  • マーケティングの役割は自社商品の魅力を見出し、お客さんの心の琴線に触れるような価値として提案することで、商品が選ばれる理由をつくること


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。