投稿日 2024/11/22

マーケティングの本質は、その顧客文脈でお客さんから選ばれる理由をつくること

#マーケティング #顧客文脈 #選ばれる理由

 「マーケティング」 って何だろうと思ったことはありませんか?

実は、身近なところにたくさんのマーケティングが隠れているんです。

今回は、ビジネスで欠かせないマーケティングをテーマに、マーケティングの本質とは何かについてぜひ一緒に考えていきたいと思います。

マーケティングって結局なに?


まずは、マーケティングの定義から始めましょう。

ずばり、マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 です。シンプルすぎますか?

でもこの一言の中に、たくさんの意味が詰まっているんです。

どうやって選ばれるの?

では、どうすればお客さんに選んでもらえるのでしょうか?

それには、次の3つのポイントがあります。

  1. 顧客文脈に合っていること
  2. 最も価値があると期待されること
  3. 期待価値に対して妥当な価格であること


ちょっと難しそうに聞こえるかもしれませんが、具体例を交えて説明していきますね。

顧客文脈に合っていること

文脈と聞くと難しそうですが、要するに 「お客さんがどんな状況で、何を求めているか」 ということです。

例えば、暑い夏のある猛暑の日。あなたは喉が渇いて、すぐに何か飲みたいと思っています。この暑い日に喉の渇きを癒したいという状況が 「文脈」 です。

この状況で、あなたは何を選びますか?きっと、冷たい飲み物を選ぶはずです。温かいコーヒーよりも、冷たい水やアイスコーヒーのほうが 「あなたの今の文脈」 に合っているわけです。

最も価値があると期待されること

次に、「価値」 について考えてみましょう。同じ状況でも、人によって求める価値は違います。

先ほどの猛暑の日のケースでは、ある人は 「とにかく安くて冷たいもの」 を求めます。別の人は 「健康的で自然な飲み物」 を探すかもしれません。また、「見た目がおしゃれな飲み物」 を欲しいと思う人もいるでしょう。

つまり、同じ 「喉が渇いた」 という文脈でも、人それぞれが期待する 「価値」 が違うわけです。マーケティングでは、このような多様な価値観に応えることが大切です。

期待価値に対して妥当な価格であること

3つ目のポイントとして、価格の話です。いくら良い商品でも、値段が高すぎたら買ってもらえませんよね。かといって、安すぎると商品やサービスの品質を疑われるかもしれません。

例えば、高級レストランで飲むアルコール飲料と、コンビニで買うアルコール飲料は、中身はほぼ同じだとしても、価格は全然違いますよね。もし高級レストランでコンビニ並の値段でドリンクが提供されていれば、安すぎるあまりもっと高い値段のドリンクが注文されるかもしれません。お客さんが期待する価値と、その場面 (文脈) が違うからです。

実際のマーケティングはどうなっているの?


ここからがおもしろいところで、実際のマーケティングでは、もっと深いところまで捉えています。

特徴や属性が選ばれている

実は、お客さんが選んでいるのは 「商品そのもの」 ではなく、「その商品の特徴や属性」 なんです。ちょっと難しいですか?例を見てみましょう。

例えばスマートフォンを買うとき、あなたは何を基準に選びますか? 「カメラの性能が良い」 「バッテリーが長持ちする」 「デザインがおしゃれ」 など、色々あるはずです。これらが 「特徴や属性」 に当たります。つまり、「スマートフォン A 」 を買うのではなく、 「カメラ性能の良いスマートフォン」 を買うというわけです。

お客さんが本当に欲しいもの

でも、ちょっと待ってください。実は、お客さんが本当に欲しいのは、その特徴や属性さえも超えたものなんです。これ、何だと思いますか?

そうなんです。お客さんが本当に欲しいのは、「その商品を使ったり持っていることで、自分自身、まわりとの関係、あるいは生活や仕事がより良くなること」 なんです。つまり、商品そのものではなく、その商品がもたらす 「価値」 や 「体験」 を買っているのです。

例えば、

  • カメラ性能の良いスマートフォン: 実際に欲しいのは 「思い出を美しく残せること」 や 「SNS で映える写真が撮れること」
  • 高級腕時計: 時間を知るだけでなく、「自信や成功の象徴」 や 「洗練された印象を与えること」
  • オーガニック食品: 単に食事ではなく、「健康的なライフスタイル」 や 「環境への配慮」


つまり、お客さんは 「今の生活」 と 「その商品がある生活」 を比べて、「より良くなる」 と期待できれば、その商品を選ぶわけです。


 「期待」 の力

ここで重要なのが 「期待」 という言葉です。お客さんは、実際に商品を使う前から 「この商品があれば、自分の生活・仕事はこう良くなるはずだ」 というイメージを持っています。

例えば、ダイエット商品を買うとき、お客さんは 「これを使えば、きっと健康的な身体になれるはず」 という期待を持ちます。実際に効果があるかどうかは別として、その 「期待」 が購買の動機になるのです。

マーケティングの真の役割

ここで、マーケティングの役割が見えてきます。

  1. お客さんが 「より良くなりたい」 と思っている心理を理解する
  2. 自社の商品やサービスが、どのようにしてその 「より良い状態」 を実現できるかを明確にする
  3. その 「より良い未来」 への期待を、効果的に訴求する


つまり、ただ商品の特徴を並べるだけでなく、「この商品があなたの生活をこんなにすばらしくします」 というストーリーを伝えることが大切なんです。

具体例で考えてみよう

例えば、コーヒーメーカーを売るとしましょう。

  • 悪い例: この製品は最新のドリップ技術を使用しています
  • 良い例: この一杯で、あなたの朝が変わります。最高の一日のスタートを切りませんか?


後者の方が、お客さんの心に響きますよね。なぜなら、商品説明だけにとどまらず、商品がもたらす 「より良い生活」 のイメージを伝えているからです。

[まとめ] 選ばれる理由をつくるということ


マーケティングで 「選ばれる理由をつくる」 とは、

  1. お客さんの 「こうなりたい」 という望みを理解する
  2. 自社の商品やサービスが、その願望をどう叶えるかを明確にする (顧客価値の定義) 
  3. その 「願望が叶う」 というストーリーを、お客さんに伝える


お客さんは、商品という 「モノ」 を買っているのではありません。「より良い自分」 や 「より良い生活」 になれることを買っています。この視点を持つことで、マーケティングはより効果的になり、本当の意味で 「選ばれる理由」 をつくり出せるのです。

次に何か買い物をするとき、「自分は何を期待してこの商品を選んでいるんだろう?」 とぜひ考えてみてください。きっと、今回学んだマーケティングのことが見えてくるはずです。

マーケティングの世界は奥が深く、まだまだおもしろいトピックがたくさんあります。これからも一緒に、マーケティングの本質に迫っていきましょう!

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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。