投稿日 2024/11/15

漫画 「左ききのエレン」 。天才と凡人の物語が教えてくれること

#マーケティング #広告 #本

今回は漫画をご紹介します。


こちらの 「左ききのエレン」 は、物語をおもしろく読めるだけではなく、ビジネスやキャリアにも示唆に富む作品です。

 「左ききのエレン」 の魅力と、マーケティングの視点から得られる学びをお届けします。

ストーリー概要



 「左ききのエレン」 の物語は、広告代理店でクリエイティブディレクターとして働く朝倉光一と、天才的な才能を持つ左ききの画家の山岸エレンを中心に展開されます。

2人は高校時代に出会い、お互いの存在に影響を受けながら成長していきます。大学卒業後は光一は広告代理店でクリエイティブディレクターとして奮闘し、エレンはニューヨークで活動するアーティストとしてそれぞれの道を歩んでいきます。

光一は、自らの凡庸さに苦しみながらも、広告業界で成功を目指して努力を続けます。一方、エレンはその天才的な才能を活かし、ニューヨークで活躍しますが、天才ゆえの苦しみや孤独に苛まれます。

物語は、朝倉光一と山岸エレン、2人をとりまく登場人物たちのそれぞれの道で直面する困難や葛藤、そして成長を描いています。

物語の描かれ方


 「左ききのエレン」 をおもしろく読めたポイントをいくつかご紹介します。

天才と凡人の対比

 「左ききのエレン」 のキャッチコピーは、「天才になれなかったすべての人へ」 というものです。

物語では、天才アーティストである山岸エレンと、凡人として描かれる朝倉光一のストーリーが交互にわたってショートストーリーが展開されます。構図として天才と凡人という対比がおもしろかったです。

光一は自らを凡人と自覚しながらも、広告業界での成功を目指して努力を続けます。一方のエレンはその天才的な才能を活かし、ニューヨークで活躍を見せるものの、天才ゆえの葛藤や孤独とも戦います。

天才と凡人の対比によって、読者は人それぞれの才能の価値を問いかけられます。エレンのような天才的な才能を持つ人もいれば、光一のように努力で道を切り開く人もいます。「左ききのエレン」 は、どちらにも価値があり、重要であることを教えてくれます。

努力と挑戦の生き様を描く物語

 「左ききのエレン」 は感情的にも読者を揺さぶるシーンが多く、特にクリエイターとしての葛藤や挫折、成功への道のりがリアルに描かれています。多くの読者が共感し、感情移入しやすい作品となっています。

たとえば、光一が新しい広告キャンペーンを成功させるために奮闘するシーンや、エレンが自身のアートに対する評価に悩むシーンなど、読者の感情に訴えかける場面が多々あります。

 「左ききのエレン」 は、アートや広告などのクリエイティブな仕事に携わる人々だけでなく、自分の生きる道を模索するすべての人に向けた物語です。努力し続けることの大切さ、挫折からの学び、そして自分らしさを見つける旅は、多くの読者の心に響くものです。

主人公たちは、失敗や挫折を経験し、時には自信を失います。しかし、彼らはあきらめることなく、自分の道を切り開いていきます。

ちなみに作者のかっぴーさんご自身も、一時は漫画家になることを諦めて広告代理店に就職した経験を持ちますが、30歳で Web サイトに漫画を投稿し、デビューを果たしました。この経験が作品に反映されており、読者に諦めない姿勢の大切さを伝えています。天才でなくとも、努力と挑戦を続けることで得られるものがあるのです。

天才になれなくても、自分が進む道を見つけ、そこで輝くことができるというメッセージは、現代社会を生きる私たちにとって、励みとなるでしょう。人生の様々な局面で悩み、苦しむ人々に、希望と勇気を与えてくれます。

点と点がつながるストーリー展開

 「左ききのエレン」 のストーリー展開の特徴は、時間が進む時系列と視点が複雑に入り組んだ構成にあります。

物語は、過去、現在、未来の出来事が巧みに織り交ぜられ、読者を飽きさせない工夫がされています。

たとえば、朝倉光一と山岸エレンの高校時代のエピソードが、現在の2人の行動や考え方にどのように影響を与えているのかが描かれます。また、2人の周囲のキャラクターたちの視点からも物語が展開され、各キャラクターの過去や背景、その時々での葛藤が明らかにされます。

物語の深みと多様性が増し、読者はより一層物語に引き込まれるのです。

一見ランダムに見える話の展開ですが、実は緻密に設計されており、最後まで読み終えると全ての点がつながって完結します。複数のキャラクターの立場から物語が展開されるため、読者は多角的な視点からストーリーを楽しむことができます。

広告業界の内側

 「左ききのエレン」 は、広告業界を舞台にしており、ディレクター、アーティスト、デザイナーやクリエイターなど、広告代理店と広告主の世界を学ぶことができます。作者のかっぴーさんが広告会社出身であることから、業界の内側が非常にリアルに描かれています。

作中では、クリエイターの葛藤や、広告制作の裏側、クライアントとの関係性など、普段なかなか実際に目にすることのない広告業界の実態が描かれます。これにより読者はクリエイティブ業界への理解を深められます。朝倉光一や山岸エレンの視点を通じて、広告業界の厳しさや魅力を感じることができるのです。

光一が広告代理店で直面するプレッシャーや、エレンがアーティストとしての評価を得るために活動する姿は、クリエイティブな仕事における現実を鮮明に描いています。たとえば、光一がクライアントの要望に応えるために徹夜で仕事をするシーンや、エレンが自分の作品に対する批判に悩むシーンなど、クリエイティブ業界の裏側が描かれています。

まとめ


今回は、漫画 「左ききのエレン」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

✓ 天才と凡人の対比
  • 「左ききのエレン」 は "天才になれなかったすべての人へ" をキャッチコピーに持つ漫画作品
  • 物語では天才アーティストの山岸エレンと凡人の朝倉光一のストーリーが交互に展開され、天才と凡人の対比が見所。エレンは天才ゆえの葛藤や孤独と戦い、光一は凡人としての自覚を持ちつつ広告業界で成功を目指す
  • どちらの生き方も価値があることを読者に示し、人それぞれの才能の価値を問いかける

✓ 努力と挑戦の生き様を描く物語
  • アーティストやクリエイターとしての葛藤や挫折、成功への道のりが描かれている
  • 主人公たちは失敗や困難に直面しながらも、あきらめずに挑戦し続ける。その姿は勇気を与えてくれ、挑戦への背中を押してくれる

✓ 点と点がつながるストーリー展開
  • ストーリーの特徴は、時系列や視点が複雑に入り組んだ構成にある
  • 過去、現在、未来の出来事が巧みに織り交ぜられ、一見ランダムに見えるストーリー展開が最後には全てつながる
  • 複数のキャラクターの視点から物語が展開され深みと多様性が増す。キャラクターそれぞれの背景や葛藤が描かれ、読者は多角的な視点から物語を楽しむことができる


 「左ききのエレン」 は、クリエイティブな仕事に興味を持つ人にとって、参考になる作品です。

クリエイティブな仕事には多くの困難が伴いますが、それを乗り越えていく姿勢や努力の重要性が描かれており、読者に多くの気づきを与えてくれます。山岸エレンと朝倉光一の成長を追いながら、自分自身の挑戦や夢についても考えるきっかけになります。


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。