#マーケティング #スモールビジネス #本
今回のテーマは 「スモールビジネス」 です。
「スモールビジネス起業の教科書 Web サービス事業編 - 卓越した開発スキルなしでも Web 事業を立ち上げるための成功法則 (プロコン) 」 という本は、華やかなスタートアップの話ではなく、着実に収益を上げるスモールビジネスへの堅実なアプローチを教えてくれます。
本書から学べるのはスモールビジネスだけではなく、ビジネスパーソンに汎用的な知識やスキルです。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
本書の概要
この本は、Web サービス事業の立ち上げに焦点を当てた実践的なガイドブックです。
海外の実際の成功事例をもとに、スモールビジネス起業の具体的なステップやノウハウを伝えてくれる内容です。
スモールビジネスで成功しても、必ずしも派手で華々しいものではないかもしれません。しかし、確実に収益を上げ、自分のペースで事業をつくっていけるのがスモールビジネスの特徴です。
本書は堅実なアプローチを求める人に、具体的な戦略と実践的なアドバイスを提供します。
5つの学び
ここからは、この本からの学びを5つ共有します。
- チャンスに気づく
- 顧客が真に求めているものを理解する
- 大きな問題の分解と再解釈
- 小さくはじめる
- 虎の威を借る狐になる
では順番に見ていきましょう。
チャンスに気づく
この本で紹介されているスモールビジネスの各事例に共通するのは、日常生活の中に潜むちょっとしたチャンスを見つけ出していることです。
成功したスモールビジネスの起業家は 「日常にはチャンスが溢れている」 という確信を持っています。日々のことへの観察力を研ぎ澄ませ、常に周囲の環境や出来事から学び、アイデアや機会を貪欲に求める姿勢です。
顧客が真に求めているものを理解する
どんなビジネスでも、お客さんが本当に求めているものは何かを深く理解することが大事です。
詳しく調べたり人に聞くなどの調査が欠かせませんが、表面的なデータ収集にとどまらず、奥にあるお客さんの日常や悩み、困りごとに寄り添うことが重要です。
深い洞察は、スモールビジネスを成功させるための土台となります。
大きな問題の分解と再解釈
直面する問題を解決ができる形に分解し、再解釈することもまた重要です。
問題をより小さく切り分け、それぞれに対する問題の原因究明、具体的な解決策を考えていきます。一見すると複雑な問題で手も足も出ないように思えても、分解と再解釈を繰り返すことで、解決可能な問題にできます。
逆に言えば、解決できると思える問題設定にできるまでは、安易に解決策 (と早合点して勘違いした解決策らしきもの) に飛びついて実行することは避けるべきです。そもそも解決できる問題ではないことに取り組んでも、リソースを無駄に使ってしまうだけです。
小さくはじめる
スモールビジネスでは、使えるリソースは限られています。
そこで最小限のリソースでも事業をはじめられる方法を知っておくことが大切です。具体的には、MVP (Minimum Viable Product) という実用最小限の製品を早くつくり、市場や顧客ニーズを検証するというアプローチをとるといいでしょう。
リソースを浪費することなく、効率的なスモールビジネスの立ち上げができます。小さく始めてマーケットやお客さんの反応を見ながら次第に拡大することで、リスクを最小限に抑えつつ、スモールビジネスとして持続可能な成長を目指すことが可能です。
虎の威を借る狐になる
日本語のことわざに 「虎の威を借る狐」 という言葉があります。
このことわざでは狐はネガティブなイメージで捉えられますが、スモールビジネスでは積極的に虎の威を借る狐になることが有効な手です。すなわち、大きなプラットフォームやコミュニティの力を借りるという戦略です。
寄らば大樹の陰、大きな樹の下で成長するように、たとえば既存のプラットフォームやネットワークを活用することで、スモールビジネスは安定的な立ち上げと成長を狙います。
ビジネスでの表現に 「車輪の再発明はするな」 というものがあります。すでに世の中にある車輪を、その存在に気づかずに自分たちも一から車輪を発明してしまうことは、有効なリソースの使い方でありません。
とくにスモールビジネスでは、すでにあるものは積極的に活用する姿勢が大事です。
社内プロジェクトへの応用
それでは最後のパートでは、ここまで見てきた5つの学びの応用例を考えてみます。
- チャンスに気づく
- 顧客が真に求めているものを理解する
- 大きな問題の分解と再解釈
- 小さくはじめる
- 虎の威を借る狐になる
会社に所属するビジネスパーソンがプロジェクトを進めるケースに応用して当てはめてみましょう。
チャンスに気づく
プロジェクトを進めるにあたって、プロジェクトの可能性やチャンスに気づくために、社内外の情報収集を積極的に行うといいでしょう。
具体的には、社内の議論やイントラネットでの情報収集だけでなく、会社の外に出て現場を訪れることで、実際の問題や顧客ニーズを直接観察し、現場のリアルな声を聞きます。また、プロジェクトチームのメンバーはプライベートでの気づきを共有し合うことで、日常生活の中に隠れたビジネスチャンスを見逃さないようにするのも有効です。
プロジェクトに直接関わっている時間以外からも、新たなアイデアや改善点を発見しやすくなります。
顧客に立ち返る
プロジェクトに限らず、ビジネスの成功には 「自分たちのお客さんは誰か」 という問いに常に立ち返ることが重要です。
社内のプロジェクトであっても社内のステークホルダーを "お客さん" とみなし、期待やニーズを正確に把握することに努めるといいでしょう。たとえば、プロジェクトの成果が社内外のお客さんにどのような価値を提供するのかを明確にし、プロジェクトの存在意義をしっかりと伝えます。
これによりプロジェクトチームは目的意識を持て、ステークホルダーからの支持を得やすくなります。
問題の分解と再解釈
当初、プロジェクトは解決すべき問題を大きく捉えすぎていました。その結果、「やるべきことが複雑すぎる…」 と圧倒されそうになったこともありました。
しかし、問題を解決可能なサイズに分解し、それぞれを再解釈することで、具体的なステップに分けて取り組み、突破口が見えてきました。全体のプロジェクトを小さなタスクに分解し、それぞれのタスクで発生している事象と問題点、そして具体的な解決策を洗い出したからです。
プロジェクトチーム全体で問題を構造化して捉え、解決に向けて効率的に動き出すことができます。
小さくはじめる
プロジェクトは人数も限られている状況だったことから、最小限のリソースで効果的に進める方法として、MVP (Minimum Viable Product) を活用しました。
想定するお客さんは実在するのかの 「顧客仮説」 、自分たちが設定した問題は本当にお客さんの困りごとなのかの 「問題仮説」 、そして、提供する解決策への 「価値仮説」 を検証するために、MVP をつくってすばやく検証を行いました。
試作品やプロトタイプを簡易的に作成し、お客さんからのフィードバックを受けながら改善を繰り返しました。これにより、市場やお客さんのニーズを早い段階で検証し、プロジェクトの方向性を柔軟に調整することができます。
虎の威を借る狐になる
プロジェクトの進行においては、あえて 「虎の威を借る狐」 になりました。
具体的には、社内の他部門が持っている技術やネットワークを積極的に利用しました。例えば、技術部門が開発したツールやシステムを活用することで、開発コストや時間を削減しました。
また、業界内外のパートナーシップや協力を募り、新たなアイデアや解決策を得ることができました。例えば、業界の先進企業との協力により、最新のトレンドや技術をプロジェクトに取り入れるという具合です。プロジェクトはより迅速かつ効果的に進められました。
以上のこうした観点から、リソースが限られる状況でも効率的にプロジェクトを進めることができます。
まとめ
今回は、書籍 「スモールビジネス起業の教科書 Web サービス事業編 - 卓越した開発スキルなしでも Web 事業を立ち上げるための成功法則 (プロコン) 」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- チャンスに気づく: 日常生活の中に潜むビジネスチャンスを見つけ出す。そのために観察力を養う
- 顧客が真に求めているものを理解する: 表面的なデータや情報の収集と分析にとどまらず、お客さんの日常や悩み・困りごとに寄り添い、深い洞察を得る
- 大きな問題の分解と再解釈: 複雑な問題でも分解と再解釈を繰り返すことで、解決可能な問題に落とし込める
- 小さくはじめる: 最小限のリソースでも事業を始められる方法を知っておく。MVP (Minimum Viable Product 実用最小限の製品) を活用、市場性や顧客ニーズの検証を行う
- 虎の威を借る狐になる: 既存のプラットフォームやネットワーク、すでにあるサービスを積極的に活用し、効率的にビジネスを展開する
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