#マーケティング #日報 #振り返り
日報や週報は、上司やチームメンバーに業務内容や成果を共有するための重要なツールです。
しかし、書き方によっては、読み手にとってわかりにくく、情報として役立たないものになってしまいます。
そこで今回は、"イケてない日報" と "良い日報" の違いを比較し、日報を最大限に効果的に活用するためのポイントについて解説します。
イケてない日報、イケてる日報
日報や週報を上司に提出することで、上司はメンバーの業務や成果を知ることができます。
日報などのレポートは各項目が会社や組織内で決まっていたとしても、書く人によって記載される内容の広さと深さ、つまり解像度は異なります。
イケてない日報
読み手である上司にとって、あまり良くない日報の特徴には共通点があります。
- 抽象的な内容
- 自分がやった仕事内容のみの記述
- 過去の出来事だけの報告しかない
たとえば、こんな日報です。
-
本日の業務報告
- 顧客対応を行いました
- 資料作成に取り組みました
- データ入力作業を実施しました
- 今月の売上目標状況は前月より改善し、まもなく達成見込みです
以上です。
イケてる日報
それに対して、良い日報には次のような特徴が見られます。
- 抽象論で終わらず、具体的な内容まで落とし込まれている
- やった仕事だけではなく、達成した成果が書かれている
- 過去と現在だけにとどまらず、今後の対応まで踏み込んでいる
良い日報の例は、次のように解像度が高いです。
- 担当者と30分の商談を実施 ※ 具体的
- 当社のサービス Z の導入に関心を示す。具体的な導入コストの見積もりを依頼された ※ 成果
- [Next] 明日中に見積書を作成し、提出予定 ※ 今後の対応
- 競合他社との比較表を完成 (全15項目)
- 自社製品の強みを3点に絞り込み、資料化
- 現在の完成率 80% (残りは導入事例の追加)
- [Next] 週明け火曜日の部内レビューまでに完成させる
- 過去3ヶ月分の未入力データ (約200件) を全て入力完了
- データ分析の結果、リピート率が前年同期比 5% 向上していることが判明
- [Next] 来週の営業戦略会議で報告予定
- 今月の売上目標達成率は 95% (前月比+10%)
- 新規問い合わせ数は15件 (目標20件)
- [Next] 問い合わせ数増加に向けて、広告投入の計画を立案し来週中に提出する
- A社 向け見積書作成と提出
- 新製品プレゼン資料の完成
- 広告計画の立案
■ 本日の業務報告
■ 明日の主要タスク
以上です。
良い日報の例では、各業務について具体的な内容、達成した成果、そして今後の対応まで記載されています。読み手である上司や同僚が状況を把握しやすく、次のアクションへの助言や連携するサポートにも動きやすい情報が含まれています。
読み手の上司からすると、次のことが一度読んだだけでスッと入ってきます。
- どういう背景や状況、目的のもとで
- その人が何をやり
- 何が成果としてうまくいき、何がうまくいかなかったのか (問題は何か)
- 次のアクションは何か、(問題があれば) 事象と原因を踏まえ、問題解決に向けどのように困難を乗り越えようとしているか
- それによって、次にどんなことを期待できるか、成果を出そうとしているか (期日を入れる)
これらが手に取るようにわかるので、上司は必要に応じてフィードバックもしやすくなるでしょう。また、書いている本人にとっても、言語化し頭の中が整理されることで、振り返りや内省の機会になります。
日報の効果を最大化させるために
日報や週報が単に活動 (やったこと) の羅列にとどまっているケースは少なくありません。
活動だけにとどまらない日報
日報をより効果的な存在にするためには、次のようなことが追加されるといいです。
- 活動の背景と目的を明確にする
それぞれの活動を行った背景や目的を明記する。なぜその活動が必要だったかまで共有されることで、その活動の意義や重要性が伝わりやすくなる - 成果と課題を具体的に記載する
活動の結果、何がうまくいったのか、逆に何が課題として残ったのかを具体的に記載する。数値データを入れるなど、可能なら定量的に成果と課題を示す - 問題解決に向けた取り組みを説明する
抽出された課題に対して、どのように対処しようとしているのかを説明する。たとえ難しい状況においても、どのように乗り越えようとしているのかを示す - ネクストステップや期待される成果を示す
問題解決と課題対処に向け、次にどのようなアクションを想定しているか、どんな成果が期待できるのかを書いておく。今後の見通しが明確になり、関係者の理解と協力が得やすくなる
空雨傘で言語化する
ロジカルシンキングのフレームワークに 「空雨傘」 というものがあります。
✓ 空雨傘
- 空を見上げて空模様を観察する [空が曇っている → 事実]
- 今の空模様から、この後は雨が降りそうだと解釈する [雨が降るかも → 解釈]
- 外出には傘を持っていくと決める [傘を持って出かけよう → 行動]
空雨傘のフレームを日報に当てはめれば、イマイチな日報や週報などのレポートというのは、空に該当する 「やったことの活動の概要」 しか書かれていません。
ここから一歩も二歩も踏み込み、雨にあたる 「成果や問題設定」 などの解釈、そして傘となる 「具体的な対策 (アクション) と期待される成果」 についても言及するといいです。
これをチームでの共通の型にし、徹底して言語化を促すことで、チーム内の情報共有、サポートや連携、個々人の振り返りからの成長にも貢献する取り組みになります。
まとめ
今回は、日報について取り上げました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 抽象的な内容
- 自分がやった仕事内容のみの記述
- 過去の出来事だけの報告しかない
✓ わかりやすい日報の特徴
- 抽象論で終わらず、具体的な内容まで落とし込まれている
- やった仕事による達成した成果が書かれている
- 過去と現在だけではなく、今後の対応まで踏み込んでいる
✓ よい日報を書くポイント
- 活動の背景と目的を明確にする
- 成果と課題を具体的に記載する
- (問題があれば) 事象と原因、問題解決に向けた取り組みを説明する
- ネクストステップや期待される成果を示す
- 空雨傘フレームを活用する。空: 事象、雨: 解釈、傘: 取るべきアクション
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