投稿日 2024/11/29

マーケティングリサーチを成功に導く!効果的な調査設計と企画の11のポイント

#マーケティング #マーケティングリサーチ #調査設計

今回は、ビジネスの成功に欠かせないマーケティングリサーチについて、その調査設計と企画のポイントをご紹介します。

 「うちの会社でも調査はやってるけど、いまいち効果が出ていない...」 。そうなふうに悩みはありませんか?それとも 「調査って何から始めればいいの?」 と思っている方もいるかもしれません。

このブログを読めば、そんな悩みも解決できるはずです。それでは、さっそく本題に入っていきましょう。

調査の目的を見失わないために


マーケティングリサーチでまず大切なのは、調査の本来の目的を忘れないことです。意外かもしれませんが、少なくない企業で 「調査をすること自体」 が目的になってしまっているんです。

でも、ちょっと待ってください。調査はあくまで手段であって、目的ではありませんよね?じゃあ、どうすれば調査の本来の目的を見失わずにすむのでしょうか?

課題を明確にする

最初にやることは、自分たちのビジネスやマーケティングの課題を明確にすることです。ぜひ 「うちの会社のビジネスや商品は、今どんな問題を抱えてるんだろう?」 と考えてみてください。

その課題に対処するために調査が必要だと判断できて、はじめてマーケティングリサーチの出番が来ます。マーケティングリサーチは、その前提となるビジネスやマーケティングでの課題が明確になってこそ、意味のあるものになります。

課題の明確化のための質問

では、調査の目的を明確にするには、具体的にどんなことを考えればいいのでしょうか?

自分自身やチームに投げかけてみるといい質問をいくつか紹介します。

  • 今、うちのビジネスやマーケティングの一番の悩みって何?
  • その悩みを解決するには、どんな情報が必要なんだろう?
  • 新しいお客さんを増やしたいのか?それとも、今のお客さんにもっと買ってもらいたいのか?
  • 調査をすることで、それを次の何に活かすのか


こんなふうに具体的に考えてみると、調査の目的が見えてきます。

調査結果の全社的な活用

さて、調査をしたら終わり...なんてことはありませんよね?せっかく集めたデータをどう使うかが重要なんです。

調査結果は活用してこそ意味があります。意思決定の判断材料とし、ネクストアクションとして決めたことを実行に移すことで、初めて調査はビジネスに貢献できます。調査結果を営業やお金を管理する部門など、他の部署とも共有してみてください。そうすることで、マーケティングリサーチは会社全体に貢献できます。

たとえば、商品の良さを卸売業者や小売にわかってもらうためにデータを使うと、営業活動がスムーズになったり、効果的な宣伝方法を考え出せたりすることができます。

マーケティングリサーチの企画と調査設計


それでは、ここからは具体的に調査をどう企画し、設計をすればいいのかについて解説していきします。

調査を始める前にしっかりと計画を立てることで、後々スムーズに進められます。

調査設計をつくる際に整理するといいポイントは次のとおりです。

  1. 調査の背景となるビジネスの置かれた状況
  2. ビジネスが対処すべき課題、解決すべき問題点
  3. マーケティングリサーチの目的
  4. マーケティングリサーチ課題
  5. 各課題に対する現時点での仮説
  6. 調査対象者や手法など
  7. 結果のアウトプットイメージ
  8. マーケティングリサーチ結果や活用イメージ
  9. 想定するネクストステップ
  10. リサーチ成功基準
  11. スケジュールや予算


では順番に補足しますね。

調査の背景となるビジネスの置かれた状況

まず、「今、自分たちのビジネスはどんな状況にあるんだろう?」 と現状把握をするところからです。

市場の動き、ライバルの競合他社の動向、景気の影響、お客さんの行動や気持ちの変化など、色々な要素があります。これらをしっかり把握することで、現状への認識を客観的に捉えます。

ビジネスが対処すべき課題、解決すべき問題点

次に、「ビジネスが今直面している問題って何だろう?」 と具体的に考え、掘り下げます。

たとえば売上が伸び悩んでいる、新しいお客さんが増えない、顧客理解の解像度が粗い、お客さんの満足度が低いなど、色々な事象があるかもしれません。これらの問題をはっきりさせることで、解決するための課題に焦点が定まります。

マーケティングリサーチの目的

では、ここからがリサーチ企画の詳細です。「この調査で何を明らかにしたいのか?」 、「調査をすることでビジネスやマーケティングにどう貢献するのか」 という調査目的 (調査の存在意義) を言語化します。

新しいお客さんのニーズを知りたいのか、今のお客さんにもっと愛着を持ってもらいたい、あるいは、新商品の評判を知りたいのか。そして、得られた結果や示唆を何に活かすのか。調査の意図がはっきりしているほど、ビジネスの課題に貢献する調査になります。

マーケティングリサーチ課題

マーケティングリサーチの目的を明確にしたら、「その目的を達成するために、具体的に何を調べればいいのか?」 というリサーチ課題 (Research questions) を整理します。

たとえば、ターゲットとなる市場の特徴、お客さんが商品を買う理由、競合他社の動向などです。これらのリサーチ課題は、できるだけ具体的で測定可能な形に言語化し、構造化するのがポイントです。

各課題に対する現時点での仮説

課題とは "問い" です。そして問いとセットで持っておきたいのが、「きっとこうなんじゃないか」 という予想を立てる、すなわち問いへの現時点での仮の答えである "仮説" をつくることです。

たとえば、「新商品の主なお客さんになるのは、20代の女性で、〇〇 な状況で △△ のニーズがあるだろう」 といった仮説です。仮説があることで、調査のフォーカスが定まり、調査データの分析でより一歩深めた考察につながります。

調査対象者や手法など

ここまでの調査背景 (ビジネス課題) 、調査目的、調査課題と仮説を受けて、調査の具体的な計画を立てます。

誰を対象に調査するのか?アンケート?インタビュー?それとも観察調査か?何人くらいに聞くか?どのくらいの期間で行うか?これらについて細かいところまで詰めていきます。

結果のアウトプットイメージ

調査結果をどんな形で報告するかまで、事前に想像しておくことといいです。

グラフやチャートを使った見やすい報告書か、それとも詳しいドキュメントでの分析レポートかなどです。アンケートやインタビューの調査を走らせる前に、調査結果の見せ方を考えておくことで、調査でどこまで目指すかが視覚的にイメージできます。

マーケティングリサーチ結果や活用イメージ

調査結果の活用イメージも事前にクリアにしておきます。調査結果を何に活用するかです。

たとえば、顧客グループの対応優先度の見直し、新商品の改良案、マーケティングコミュニケーションへの反映などです。マーケティングリサーチから得られた調査結果をどう実際のビジネスに活かすか、それはビジネス課題に貢献できるかを事前にクリアにしておくことが重要です。

想定するネクストステップ

活用イメージに加え、調査結果が出たら次に何をするかという具体的な行動計画も考えておきましょう。

新しいキャンペーンを始める、商品のパッケージやコンセンプトを決めるなどです。活用イメージからさらに 「次のアクション」 までを事前に明確にし、調査を始める前に関係者感で合意をとっておきます。

リサーチ成功基準

調査がうまくいったかどうかをどうやって判断するかという 「成功基準」 も、事前に決めておきましょう。

リサーチ成功基準があることで、調査の成果を客観的に評価できます。

スケジュールと予算

最後に、調査のスケジュールと予算を精査します。

いつまでに誰が何をするかのタイムラインを作り、予算内で効率よく調査を進める計画を立てましょう。スケジュールと予算をしっかりと管理することで、調査がスムーズに進みます。

* * *

いかがでしたか?これらのポイントを押さえてマーケティングリサーチを企画し、調査設計をつくることで、「調査のための調査」 にならず、実際のビジネスの課題に貢献できるリサーチができます。

まとめ


今回は、マーケティングリサーチの重要ポイントを見てきました。覚えておきたいのは次の3つです。

  • 調査の目的 (存在意義) をはっきりさせる
  • 具体的な調査課題と仮説を立てる
  • 結果の活用方法 (調査のその先) を事前に考える


大切なのは、まず一歩踏み出すこと。完璧を目指さずに、できることから始めてみましょう。

効果的なマーケティングリサーチは、ビジネスに新しい視点をもたらします。ぜひ実践してみませんか?

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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。