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投稿日 2015/06/24

書評: 生命科学研究に成功するための統計法ノート (小林茂夫 / 杉山麿人)




今回のエントリーでは、生命科学研究に成功するための統計法ノート という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の特徴
  • わかりやすい仮説検定の説明
  • 統計はサブとし、生命科学研究をメインに扱う
投稿日 2015/05/17

花粉症緩和米に見る遺伝子組み換え作物への期待と実態




もうダマされないための経済学講義 という本で紹介されていた、遺伝子組み換え食品の開発の話が興味深かったので、今回のエントリーで取り上げます。


多様化する遺伝子組換え作物


以下は本書からの引用です。

遺伝子組換え作物自体も、これからは多様化してきます。

(中略)

ゴールデンライスという、ビタミン A の前駆体がたくさん含まれているお米も研究されています。開発途上国では、ビタミン A 欠乏による失明などが起きていますので、その解決につながると期待されています。

日本で開発中の花粉症緩和米などもインパクトがあるかもしれません。これは、コメに花粉症の原因となる物質を作らせて、それを毎日食べることで体を少しずつその物質に慣れさせ、花粉が飛んで来ても発症しないようにするというもので、非常に大胆で独創的な研究です。
投稿日 2015/04/04

Google の特許から考える 「自分自身をロボットにダウンロードするとどうなる?」




グーグルが取得した特許が話題になっています。出願は2012年4月で、2015年3月31日に登録されたとのことです。

参考:有名人や故人の人格をロボットにダウンロードする時代が来る?Google が特許取得|ITmedia ニュース (2015年4月2日)


以下は上記記事からの引用です。

人格データをクラウドからダウンロードしてロボットに吹き込む ── 米 Google がこんなシステムの米国特許を取得したことが分かった。有名人や故人の人格をロボットに演じさせるといった使い方も想定しているようだ。
特許は2012年4月に出願され、今年3月31日に登録された。人のさまざまな特徴に基づく人格データを蓄積するデータベースやデータを配信するクラウドベースのシステムで、ネットを介してロボットやモバイルデバイスが人格データを受信し、人格を再現する。
投稿日 2015/01/18

書評: 快感回路 - なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (デイヴィッド・J・リンデン)




あなたにとって気持ちのいいことは、どんなものでしょうか。なぜそれに対して気持ちいいと感じるのでしょうか。

快感回路 - なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか という本には、様々な刺激による快感のメカニズムが書かれています。



具体的には、高カロリーな食べ物、アルコール、ドラッグや薬物、恋愛、セックス、ゲーム、ギャンブルなどです。他には、運動をしたり、瞑想行為、人は情報を得た時にも快感になることなどです。

人が快感を求める一方、自分や他人にもマイナスな影響を及ぼすほどにのめり込んでいく依存症も考察されています。
投稿日 2014/08/10

ウェアラブル端末での運動計測は目的ではなく、あくまで手段




ウェアラブル端末として使っているのが Withings Pulse です。4cm x 2cm 程度の端末です。




ウェアラブル端末 Withings Pulse


実際の利用イメージは、以下のプロモーション動画がわかりやすいです。
投稿日 2014/07/13

ウェアラブル端末 (Withings Pulse) の睡眠計測が期待はずれでした




ウェアラブル端末を購入


少し前に買ったのが Withings Pulse です。写真のようなウェアラブルデバイスで、4cm x 2cm の小さい端末です。
投稿日 2014/03/30

書評: 生命科学研究に成功するための統計法ノート (小林茂夫 / 杉山麿人)




以前、仕事の関連で統計のことをもう一度学んでおきたい、と思ったことがありました。

ネットや統計関連の本をいくつか目を通しましたが、その当時に感じた印象は 「わかったようでなんとなく腑に落ちない」 という歯切れの悪いものでした。仕事上は支障はない程度には頭には入ったのですが、なんとなく理解がスッキリしない感じでした。

そんな時に出会った1冊が 生命科学研究に成功するための統計法ノート という本でした。



生命科学が 「主」 、統計法が 「従」


本書の特徴は、生命科学において、仮説検定という統計をどう使うかが紹介されていることです。つまり、生命科学が 「主」 、統計法が 「従」 という主従関係です。

この本を読み終わった後に、腹に落ちた感じを持ったのを今でも覚えています。
投稿日 2013/12/07

自分の仕事をコンピュータに奪われると悲観するか、新たに価値を出すために前向きに捉えるか

仕事をしていてふと考えることがあるのが、自分がやっていることは他の人にもできるのだろうか、ということです。「他の人」というのは、人間だけではなくコンピュータなどの自動化も含めてです。

自分がやっていることがすぐに機械に置き換わるわけではないですが、やろうと思えばできそうなこと、近い将来には取って代わるだろうなと思うと、なんとなく自分の中で危機感を覚えます。

私の今の仕事内容の1つをすごく簡単に言うと、①データ分析をするための課題/仮説を設定、②その目的に応じたデータ分析をする、③分析結果からインサイト/結論を出してマーケティングや営業等のビジネスに貢献する、となります。

この3つのうち、機械化が最も適用できそうなのは②の部分です。すでに今でも集計の大部分は機械(コンピューターの中)でされていて、結果が数表やグラフとして出てきます。人間の役割は、どういうグラフを作るとデータ分析目的を達成できるか、そのためにどう集計するかを考えることです。それを実際に作るのはパソコンだったり、外部ベンダーの方に集計をしてもらう。

で、考えるのが、②の全部もそのうちに人間ではなく機械がやれてしまう状況が来るのではないかなということです。例えば、「こういう分析をしてほしい」とざっくりとでも機械に命令すれば、あとはコンピュータが勝手にやってくれる世界です。

これは2つの見方ができて、1つはコンピュータがやってくれる分、自分は別のことができます。②を任せられるので、自分(人間)は①や③に注力できる。

もう1つの見方は、自分の仕事が機械に奪われるということ。仮に自分の役割が①〜③ではなく②だけで、ここが機械が全部やるようになると、極端なことを言えば自分がいなくてもいいわけです。

これが、①〜③の全てをコンピュータがやれるようになるとどうでしょうか?自分の今のメインの仕事が全部、機械がやってくれるので、何か他で自分の価値を出さないと存在意義が問われます。

自分自身の感覚として、①データ分析をするための課題/仮説を設定と、③分析結果からインサイト/結論を出してマーケティングや営業等のビジネスに貢献する、の部分はしばらく(数年〜10年くらい)は、人間がまだ優位な領域だとは思っています。しかし、将来はテクノロジーの進化が①③までもコンピュータのほうが優れた成果を上げることも普通に有り得そうです。その時までに自分のどの部分を他の人だけではなく機械に対しても強みと言えるのか、そうなるために何をしておくのかは、これからも折を見て考えていきたいと思っています。

自分の仕事をコンピュータに奪われると悲観するか、新たに価値を出すために前向きに捉えるか。

投稿日 2013/11/03

人生の分かれ道で迷ったときに 「直感」 に従うのは理にかなった方法っぽい




恋人である女性から 「この2つの服、どっちがいい?」 と聞かれた時に男性はどう答えたらいいでしょうか。

雑誌かテレビで紹介されていたのは、直接答えるよりも 「自分がいいと思う方を選んだらいいよ」 と言ってあげるといいようです。なぜなら、彼女の中ではもう決まっていて、その選択の後押しが欲しいからだそうです。


無意識ではすでに決めている


脳には妙なクセがある という本に、関連したある研究結果が紹介されていました。
投稿日 2013/11/02

身体行動が先で、脳でそれに見合った感情が形成されるという 「脳の妙なクセ」 がおもしろい


脳には妙なクセがある という本をご紹介します。著者は脳研究者である池谷裕二氏です。脳の最先端の研究結果がわかりやすく書かれています。


投稿日 2013/10/12

世界の経営学のホットトピック 「両利きの経営」 がおもしろい




読み始めたら一気に読んでしまった本が 世界の経営学者はいま何を考えているのか - 知られざるビジネスの知のフロンティア でした。



エントリー内容です。

  • 本書の特徴
  • イノベーション研究で注目されている 「両利きの経営」
  • 知の探索は怠りやすい

投稿日 2013/07/28

ネットがもたらした 「注意力散漫な脳」 は進化?退化?




カジケンブログにある以下のエントリーを、興味深く読みました。

参考:テレビドラマって、もう一話15分で良いんじゃないの?|カジケンブログ


テレビドラマは15分くらいが最適?


エントリーの内容は、自分の SNS 上で話題になっていた NHK の連続テレビ小説 「あまちゃん」 についてでした。オンデマンドで見始めたを機に、テレビドラマは15分くらいが最適なコンテンツ時間なのではと考えるようになった、という内容です。

以下は該当箇所の引用です。

まず最初の取っ掛かりとして、15分だったらとりあえず一話ぐらいは観てみようかなという気になりました。YouTube も一つの動画の長さが最大10分なのでその感覚に近いかも。

逆に言うと、45分や1時間とかだったら観ていなかったと思います。実際今までのテレビドラマを観なかったのは、それが原因。

あと、一話の単位が15分だとちょっとしたスキマ時間で観れます。15分だからこそ 「あ、今ちょっと時間あるから次の回を観てみよう」 となる。それこそ友達に薦められた YouTube の動画をさらっと観るみたいな感じで。

これが45分とかだったら、例えば会社の昼休みをほとんど使っちゃうわけでかなりの決断になるし、この違いは大きい。
投稿日 2013/06/23

因果関係よりも相関関係:ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフト




ビッグデータの正体 - 情報の産業革命が世界のすべてを変える という本をご紹介します。



ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフト


本書で興味深かったのは、ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフトです。

  • 限りなく全てのデータを扱う。N = 全数
  • 量さえあれば精度は重要ではない
  • 因果関係ではなく相関関係が重要になる
投稿日 2013/06/22

書評: 2100年の科学ライフ (ミチオ・カク)




2100年の科学ライフ という本をご紹介します。



エントリーの内容です。

  • 本書の内容と特徴
  • 2100年の未来とは
  • 未来は不確実だからこそおもしろい
投稿日 2013/06/16

眼鏡型コンピュータの次はインターネットコンタクトレンズ




今回は、ウェアラブルコンピューターについてです。眼鏡型コンピューターや、期待しているインターネットコンタクトレンズについて書いています。

エントリー内容です。

  • ウェアラブルコンピューターへの期待
  • インターネットコンタクトレンズとは
  • レンズを媒体に脳とネットが直接つながる?

投稿日 2013/06/09

自動車 × インターネットという有望フロンティア




今回は、自動車の将来的な有望性を考えます。

携帯電話もパソコンも便利になったのは、インターネットにつながったからです。

ネットというオープンなネットワーク系に高速・常時・低コストでアクセスできるようになったことは画期的だったと思っています。

ネットアクセスを期待したいもので残っているのは、テレビや家電、そして自動車です。
投稿日 2013/01/26

ファブラボ4.0:人工物が生物のようになる未来世界




ロングテールやフリーミアムの概念を提唱したのはクリス・アンダーソンです。クリス・アンダーソンが次に注目しているのが 「ものづくり革命」 です。

ものづくり革命を紹介する本


Web の世界で起こった革命がモノづくりでも起こる、と言います。

関連する以前のエントリーはこちらです。

 「MAKERS」 書評:Web世界で起こった革命がモノづくりでも起こる未来は明るいのか?

クリス・アンダーソンの著書 MAKERS - 21世紀の産業革命が始まる は概念の説明が主でしたが、FabLife - デジタルファブリケーションから生まれる 「つくりかたの未来」 という本は、事例が中心です。MIT メディアラボの人気授業 「 (ほぼ) なんでもつくる方法」 体験記、世界各地のファブラボの活動など、ムーブメントの最前線が紹介されています。



ファブラボの4つの進化構想


Fablife という本が興味深いのは、未来のものづくりの進化構想について書かれているからでした。

本書のキーワードは 「ファブラボ」 です。ファブラボとは、デジタル工作機械をシェアし実際に顔をあわせてつくるための知識・スキルの交換・共有を行なう工房のことです。

このファブラボの進化構想の段階として、1.0 から 4.0 までの四段階があります。
投稿日 2012/12/30

「MAKERS」書評:Web世界で起こった革命がモノづくりでも起こる未来は明るいのか?

Web で起こったことがモノの世界でも起きる。それが21世紀の産業革命である。

こう主張するのは、かつてロングテールやフリーミアムの概念を提唱したクリス・アンダーソン氏です。「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」という本の主題です。

■ Web の本質

そもそも、Web の世界で起こったこととは何だったのでしょうか。最近のエントリーでも触れたように、ウェブの本質は「個の情報発信」「双方向性(ネットワーク)」です。

重宝しているGunosyから考えるネットの本質と課題|思考の整理日記



ウェブ以前、あるいは普及前は情報発信をすること自体が今ほど手軽ではありませんでした。

それが、クラウドによるサーバーコスト低下、通信速度の向上、コンピューターやスマホ等の高性能かつ(一般ユーザーでも手に入る)安価なデバイスの普及で、ウェブが当たり前になり、個人レベルでの情報発信も容易になりました。これが1つ目の個の情報発信の背景です。

もう1つ、ウェブの世界で起こったことで大きかったのが、双方向性が実現したことです。つまりネットワークの構築です。

情報発信と合わせて捉えると、情報を発信して終わりではなく、双方向で情報のやり取りが可能になり、情報やアイデアはシェアされ、またたく間に拡散していきます。結果、ウェブ以降の世界は、情報量が爆発的に増えたのです。

■ Web で起こったことがモノの世界でも起きる

本書「MAKERS」の主題は、ウェブで起こったことがモノの世界でも起きることです。ここまで見た2点から考えると、モノの世界でも

  • 個人によるモノづくり
  • アイデア/設計/プロダクトの双方向性

が当てはまることになります。

個人によるモノづくり:本書では 3D プリンタ・3D スキャナ・レーザーカッター等のツールが紹介されています。従来は企業などの特定のプレイヤーでしか使われていなかったのが、今後はコストダウンやサイズのコンパクト化により個人レベルでも普及していきます。生産手段を個人が所有するようになる。プリンタで紙を印刷するようにモノをつくる、欲しいものは自分でつくってしまう、という状況です。

アイデア / 設計 / プロダクトの双方向性:ウェブの世界で情報がシェア・拡散していくように、モノの世界でもそれは起こります。すでにあるウェブに、モノの情報(アイデアや設計情報など)が載って双方向にやりとりされます。ウェブではソフトウェアのオープンソースの文化があるように、モノの設計情報やモノ自体がオープンソースとなって公開、シェアされます。

■ モノのロングテール、Web をベースにしたモノづくりのマネタイズ

個人によるモノづくりが普及していくと、ウェブの世界でも見られたロングテールがモノの世界でも起こるようになるとクリス・アンダーソンは言います。本書「MAKERS」から引用すると、
新しい時代とは大ヒット作がなくなる時代ではなく、大ヒット作による独占が終わる時代なのだ。

(中略)

ただ、「より多く」なるというだけなのだ。より多くの人が、より多くの場所で、より多くの小さなニッチに注目し、より多くのイノベーションを起こす。そんな新製品-目の肥えた消費者のための数千個単位で作られるニッチな商品-は、集合として工業経済を根本から変える。

(中略)

もの作りの世界を再形成することになるはずだ。

一方、著者の見方で興味深かったのが、新しいメーカーズ(もの作りプレイヤー)は、ウェブのフリーの恩恵をベースにモノでは収益を上げているという事例でした。

ウェブがなければ、新しいモノの発想やアイデアがあっても、それをつくって実現化させるのにハードルがありました。もしくは作ったとしても作っただけという「発明家」で終わっていました。しかし、今はウェブを活用すれば「起業家」になれると言います。

ウェブのフリーミアムを活用し、モノではマネタイズができるのでしょうか?

MAKERS を読んだ今の意見としては、モノの世界でもウェブ同様にマネタイズできて個人がモノ作りで食っていけるのは一握りではないかと思います。

■ モノづくり世界の「セミプロ vs プロ」

もう1つ思ったのが、モノの世界でもセミプロが増えっていった時に、セミプロ対プロはどんな競争の構図になるのかでした。

最近読んだ、こちらのエントリーで言われていることがモノの世界でも同じなのでは、という論点です。

[IT一般] セミプロに駆逐されるプロという構図|Nothing ventured, nothing gained.

この記事で書かれている内容は、

  • ネットの普及などにより、多くの人が情報発信するようになった。その中には今までは埋もれていた人(セミプロ)の知識や経験が発信され、支持されるようになる
  • しかし、アマチュアやセミプロの市場への参入というのは必ずしも良いことばかりでは無い気がする
  • なぜなら、その市場で今まで食べていたプロからするとコンテンツ流通価格の低下が進み、良質なコンテンツを提供するプロがいなくなるという事態に発展することも考えられるから

という懸念です。

もちろん、フェアな競争でプロとはいえセミプロに駆逐され、結果として市場が良質なものになるのであればよいと思います。しかし、プロが質の高いものを提供するモチベーションを阻害するような状況であれば、果たして大量のセミプロが存在する環境が本当に良いのでしょうか。考えさせられる問いです。

モノの世界でも、ウェブで起こったことが起こるとすると、セミプロ対プロの構図はできあがるはずです。もの作りのプロである企業が提案するプロダクトよりも、セミプロが自分でつくってしまうモノのほうが特定のニーズを持つ人には刺さることも十分考えられます。「そうそう、こんなのが欲しかった」と。

部分的には作り手と受け手のニーズが一致しウィンウィンですが、長期的に見れば大量のセミプロの市場参入によりプロが駆逐されるのでしょうか?それは本当に社会全体で見ると良いことなのでしょうか?まさにさきほどのウェブでの指摘と同じ構図です。

実際のところどうなるかはわからないし、そもそもまだ「モノの世界で大量のセミプロがマネタイズできていて市場参入している」というのも起こっていません。

★  ★  ★

「MAKERS」という本は読み応えのある内容でした。

クリスアンダーソンが主張する「モノの世界でもウェブで起こったことが起こる」は、そうだろうなと思います。その先の、本エントリーで考えたようなその先のロングテール現象、マネタイズ、セミプロ対プロ、など、色々な論点があり興味深い内容でした。


※参考情報
重宝しているGunosyから考えるネットの本質と課題|思考の整理日記
[IT一般] セミプロに駆逐されるプロという構図|Nothing ventured, nothing gained.
【レポート】「ブログやメルマガで食える人は本当に増えるのか?」、もしドラ作家・岩崎氏とブロガー小飼弾氏が一触即発の舌戦 (1) 川上氏「日本で唯一成功しているワールドワイドなプラットフォームは任天堂」|マイナビニュース


MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
クリス・アンダーソン
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投稿日 2012/12/22

重宝しているGunosyから考えるネットの本質と課題

情報収集のツールは色々とありますが、その中でこれはオススメというのがGunosy(グノシー)です。ネット上のニュースやブログ記事を対象としたキュレーションツールで、気づけばほぼ毎日使ってます。

■Gunosyとは

Gunosyの特徴は以下の3つと思っています。
  • シンプルな仕組み:アカウントをつくるとユーザーそれぞれに最適化されたニュース記事を配信してくれます。アカウント登録はTwitter、Facebook、はてなブックマークのどれかでログイン。ピックアップしてくれるニュース記事等の閲覧方法は、GunosyのWebページを開くか、1日1回のメール配信の設定の2通り。Webページとメールには記事タイトルと本文見出しがリンク付で表示され、毎日更新されます。
  • 毎日のメール配信:メール配信というプッシュ型の通知が意外に便利だったりします。いつの間にかGunosyからのメールチェックが毎日の日課になりました。大抵のメール配信は来ること自体が面倒に感じるんですが、Gunosyはそれが全然ないんですよね。メール配信の設定は2つあって、何時に送ってもらうかの配信時刻と1回あたり何個記事を表示させるかの記事数を決めることができます。今のところは、朝5時配信で、10個記事と設定しています。欲を言えば朝のメール配信は3時とか4時も可能にしてほしいところ。
  • とにかく精度が高い:キュレーションツールの肝はどれだけユーザーごとに最適化できるか。Gunosyの精度は良いです。メールで10個の記事が送られてきますが、ほぼ1つ以上は気になる記事がありクリックしています。だいたい10個中、1~3個くらい。RSSに比べると打率はかなり高いし、良好な精度だからこそ毎日のメール配信も嫌じゃない。

■なぜGunosyの精度は高いのか

Gunosyを使っていての感触として、最適記事を抽出するのに活用されているのは、
  • 人気記事や話題性のあるもの:はてブ、ツイート、いいね!がたくさん付いているものなど、よくクリックされている記事がピックアップされる傾向がある
  • Twitterなどのログインツール内情報の利用:ツイッターであればユーザーのツイート内容などユーザー情報を参考に最適記事を選んでいる
  • Gunosyでの行動履歴:どの記事をユーザーがクリックしたかの情報が蓄積される。ユーザーがGunosyを使えば使うほどユーザーに最適化された記事が配信される仕組み
で、特に2点目と3点目のバランスが良く、結果的に高い精度が実現できていると感じます。

Gunosyを開発・立ち上げた東大大学院生3人へのインタビュー記事を見ると、「他のキュレーションサービスのほとんどは自分のSNSタイムライン上で『つながりのある人の間で話題になっている情報』を配信するものが多いのに対し、Gunosyはユーザーのソーシャルグラフではなく、あくまで自分自身の過去のポストやソーシャル上のアクティビティを分析対象として記事を選ぶ仕組み」というようなことが書かれています。(参考:「精度高すぎ」と話題のニュースキュレーション『Gunosy』は、どんな設計思想で作られているのか?|エンジニアtype

自分のアクティビティが分析対象とは、Gunosy配信の中から気になる記事をクリックするほど精度が高くなっていくのがまさにそれです。クリックする=その話題に興味があると判断され、次回以降のニュース記事ピックアップに活かされる。使えば使うほどユーザーに最適化された仕組みになっていく。

以前のエントリーでキュレーションアプリのZiteについて取り上げましたが、Ziteも同じような感じです。こっちは配信記事が英語のサイトなので、英語の勉強にもなります。(参考:重宝してるアプリziteをヒントに4層で考えるTVのパーソナライズ化|思考の整理日記

■フィルターバブルと転職サービスへの挑戦

上のインタビュー記事の中にあったことで注目したのが、Gunosyでは「フィルターバブル」についても考慮、課題設定としている点です。

フィルターバブルというのは、情報の偏りすぎることでユーザーに不利益をもたらすのではという懸念です。過度にキュレーションすることで、ユーザーの興味や嗜好に合致しない情報は全部排除されてしまいかねません。

でも、実は除かれた情報の中にはユーザーにとって有益な内容もあり得るわけで、あまりに選定しすぎるのは良くないのではという問題意識。イメージはユーザーが自分の興味関心だけの泡の中に閉じこもり、未知の外の世界を知る機会がなくなる感じでしょうか。(参考:情報社会の未来:私たちはネットの世界に知らない間に閉じこもってしまうのか|思考の整理日記

だから時々そのバブルの外にも注目すべきと思うのですが、Gunosyではこの問題にどう対処するかはこれからの課題。要はキュレーションするのをどこまで絞るといいかのバランスで、ここは個人的にも注目しておきたい取り組みです。

もう1つ、Gunosyのサービスはニュース記事配信以外にもGunosy Careerという転職サービスもあります(正確には13年春のローンチを目標)。ニュース記事抽出/配信のデータマイニングやレコメンド技術を転職サービスに応用しようというもの。Gunosyの特徴である登録・設定・使い勝手のシンプルさや、高いマッチング精度を転職市場でも実現できるか。期待したいです。

■ネットの本質から考える今の「ネット上のバランスの悪さ」

何かと何かをマッチングさせる領域は、まだまだこれから発展するのではと思っています。マッチングとは単純化すればAとBの異なる要素をつなげることです。Gunosyでは、A:ネット上の情報、B:ユーザーをマッチングさせる仕組みだし、転職サービスのGunosy CareerはA:企業とB:人をマッチングさせようというもの。人と人をつなげるサービスはFacebookやLinkedinとかLineがあったり、情報と人を結ぶのはGoogleの検索サービスもそうですよね。

これらのマッチングの仕組みで共通しているのはネット上でつながっていること。インターネットが当たり前のように普及したことでネット上の情報量が爆発的に増えたけど、一方で増加する情報に追い付けていないのはマッチングだと思っています。必要な情報や人を探したり、つながるための仕組み。確かに何か知りたい時はグーグルの検索があるし、フェイスブックやラインで気軽に人とコミュニケーションが取れますが、まだ十分ではないように思います。

何が言いたいかと言うと、ネットは人やモノの情報が文字通り網の目のように入り組んだ世界ですが、ネットを構成する一つ一つのつながりが少ないor最適化されていなく、増える情報量に対してマッチングが不十分ということです。インターネットの本質って、人やモノという「個の情報発信」と「双方向性」なのではと思います。前者の情報発信はネットで実現できているけど、後者の双方向性、つまりマッチングとかつながりはこれからの領域。今はまだ情報量とマッチングのバランスが悪い状態です。だからこそ、Gunosyのようなテクノロジーでこれを解決するプレイヤーには期待したいです。

人や企業にはいろんなニーズがあり、中身は千差万別です。それらをどうつなげるか。ネットが進化してもう1つ上のレベルになるための課題と思っています。


※参考情報

Gunosy(グノシー)
「精度高すぎ」と話題のニュースキュレーション『Gunosy』は、どんな設計思想で作られているのか?|エンジニアtype
Gunosyが会社になりました。|Gunosy blog
あなたに最適化したニュースを届ける「Gunosy」が会社化|Itmediaニュース
重宝してるアプリziteをヒントに4層で考えるTVのパーソナライズ化|思考の整理日記
情報社会の未来:私たちはネットの世界に知らない間に閉じこもってしまうのか|思考の整理日記
Gunosy Career


投稿日 2012/11/10

Suica が実現した 「未来の当たり前」 というイノベーション




イノベーションとは何でしょうか?


イノベーションは未来の当たり前をつくること


現在はない 「未来の当たり前」 をつくることです。現時点やその時にはないものでも、イノベーションを起こす人には見えている 「未来」 や 「あるべき姿」 で、かつ人々はまだ気づいていないことを実現することです。

2012年現在、過去10年程度で人々の当たり前になった1つは、IC 乗車カードのスイカがあります。首都圏の朝の通勤時間帯では、ほぼ 100% に近い人が IC カードのスイカもしくはパスモを使って改札機を通っています。

ピッ、ピッ、と通勤客が滞りなく改札機を通過する当たり前になった通勤ラッシュの風景です。しかし、10~15年前は磁気式の定期券を、改札機に入れることが普通でした。


Suica はどのように開発されたのか


15年前にはなかったスイカは、その後に未来の当たり前になりました。

スイカはどのように開発されたのでしょうか。今回のエントリーでは、Suica が世界を変える - JR 東日本が起こす生活革命 という本から、スイカの開発秘話をご紹介します。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。