投稿日 2013/03/24

どれだけタフな交渉でも大切にしたい5つの原則

今の仕事は、あるプロジェクトのマネジメントをしています。この役割になった当初、痛感したのがもっと交渉力をつけないと、ということでした。

プロジェクトを管理するにあたり、社内外の関係者との調整はプロジェクト全体の進捗にも関係します。うまく合意できればスケジュール通りに進み、予算も想定通りでいけます。調整ができないと、スケジュールにひびくだけではなく、プロジェクトそのものにも影響することもあります。

そのために大事だとあらためて感じたのが交渉でした。こちらが考えていることをどう伝えるか、相手の言い分を理解しどこまで組み込むか。

表面的な交渉スキルではなく、そもそもの交渉とは何かから本格的に学ぼうと思ったのをきっかけに、交渉に関する本を何冊か読んでみました。ハーバード流交渉術などの古典的なものから、弁護士等の交渉のプロが書いた本まで、それなりに網羅的に読めたと思っています。今回のエントリーでは、交渉において原則としたい考え方を整理しています。

自分の中で、交渉の原則として大切にしたいポイントは次の5つです。
  • 交渉で大切なのは良い人間関係を築けるか。どれだけ相手とWin-Win・相互満足を目指せるか
  • 交渉相手を尊重し、相手の立場で考える
  • 人と問題を分ける。フォーカスするのは問題点とお互いの利害
  • 自分の感情をコントロールすること
  • 交渉は準備が8割

1.交渉で大切なのは良い人間関係を築けるか。どれだけ相手とWin-Win・相互満足を目指せるか

交渉は相手があってのものです。

複数の交渉に関連する本や実際の仕事を通じて思うのは、交渉相手との協力が不可欠であるということ。「交渉相手=敵」と位置づけるのではなく、あくまで「問題解決のパートナー」とみなす。お互いの立場は正反対でも、交渉を通じてどれだけ良い人間関係が築けるか、信頼し合えるか。この意識がまずは重要だと思います。

交渉では相手がいるということは、目指すべきはどれだけWin-Winが満たせるか。相互満足をいかに高めるかです。

こちらだけの要求が満たされ、相手の要望は叶わないような交渉および結果は、自分サイドだけを見れば成功かもしれませんが、相手と自分の両方で考えると交渉成功とは言えない。あくまでお互いの満足をいかに最大化できるかを目指す。

そのためのベースになるのが信頼に基づく交渉相手との人間関係だと思っています。交渉の本質は人間関係と言ってもいいくらい、交渉プロセスを通じて信頼関係を築いていく。

2.交渉相手を尊重し、相手の立場で考える

交渉でいかに信頼関係を築くか、相手との良い人間関係をつくれるか。そのために大切だと思っているのが交渉相手を尊重することです。お互いに異なる立場、利害を持っているので、交渉では時に相手への不満や納得できないケースも起こります。それでも相手をリスペクトする気持ちだけは忘れないようにする。

尊重するためには、相手の立場でどれだけ考えられるかがポイントになります。どういう立場で交渉に臨んでいるのか、利害は何か。相手の動機。なるべく向こうの立場を具体的に想像すること。

そのためにも相手の言い分や要求はしっかりと聴く姿勢が重要です。スタンスとして、こちらが話すよりも傾聴する・質問をするほうにウェイトを置いたほうがいい。経験からもそう思います。場合によっては向こうの要求は合理的でないと思っても、まずは聴く。とにかく聞く。そして言い分や相手のことを理解しようとする。納得する必要は必ずしもないですが、相手に理解していることを示すことが大事。

聴く姿勢から入ることで、相手の情報を引き出す効果もあります。要求の背景や理由も見えてくるし、話を聞くこと自体で相手に満足してもらうことにもつながると思っています。

リスペクトする気持ちを忘れず、相手の立場で考える、話を聴いて質問を投げかける。コミュニケーションを通じて信頼関係を少しずつ築いていく。一見遠回りかもしれませんが、こうした人間関係が交渉を通じてつくれるかが、結局は満足のいく交渉結果につながると思っています。

3.人と問題を分ける。フォーカスするのは問題点とお互いの利害

交渉において解決しなければいけないのは「問題」です。ついやってしまいがちなのが、問題ではなく相手を攻めてしまうこと。そうではなく、交渉相手と一緒に問題にフォーカスし、解決すべきお互いの共通の問題と位置づけるようにします。問題に対しては厳しい姿勢を取るのに対し、交渉相手には礼儀も含めて丁寧に対応する。

問題について、相手と共通点は何か・相違点はどこにあるのか。問題や利害への相違点については相手と話し、お互いの認識を確認すること。その際に相手の言い分にも耳を傾け、真摯に受け止める、理解を示すことの重要性はさっき書いた通りです。

問題について厳しい姿勢を取るということは、こちらも主張すべきことはきっちりと言うべきです。意見や考えは言わないと伝わらないし、どんなに気まずい雰囲気だろうが伝えるべきことはしっかりと言う。あくまで問題を解決するため、解決できるという前向きな姿勢で臨むことが大切です。

4.自分の感情をコントロールすること

言うが易し行うが難しなのが、交渉中の自分のコントロール。いかに感情や態度を自分で管理できるかです。

交渉とは信頼・良い人間関係を築くこと、相手を尊重する、話を聞いて理解する。これはわかっていても、実際の交渉の場では頭に血が登ることもあるし、利害や意見の隔たりが大きい時は、投げ出したくなることさえあります。その時に、立ち止まって、もしくは一歩下がって、冷静な自分を取り戻せるかどうか。一時の感情に流されずに理性を保てるか。こうした人間力も問われるのが交渉だと思っています。

自分の感情コントロールのためにどうすればよいか。まずは交渉目的に立ち返ることだと思います。交渉で何を決めようとしているのか、どんな結果が望ましいのか。

ハーバード流交渉術の本では「バルコニーに上がる」と表現されていますが、気持ちをその場から離し、あたかもバルコニーから庭を見ているように、交渉から距離を取り客観視してみるのも有効です。イメージとしては、自分が交渉している部屋や状況を、部屋全体が映るカメラで状況を眺めている感じ。その絵を自分の頭の中で思い描いていると、結構冷静になれたりします。

感情をコントロールするために、感情的な意見からは良い結果が生まれないと言い聞かせるのも大切。あとは、休憩を取ってその場から実際に離れることも有効です。トイレに行くだけでも、ちょっとコーヒーを飲むだけでも。

5.交渉は準備が8割

交渉の良し悪しは準備で決まると言ってもいいくらいです。交渉が困難であるほど準備に時間をかけるべき。交渉準備のポイントとしては、
  • 交渉の目的を明確にする
  • 獲得目標を設定する:①理想的なケース、②これ以上は譲歩できない最低ラインの設定、③理想と最低ラインの間の落とし所。落とし所は可能なら複数用意しておくとよい。何が譲れないのか、妥協点は何かを明確にすること。譲れない場合については、最悪、交渉決裂も視野に入れておく
  • 自分と相手の状況を整理:強みと弱みは何か。相手の立場、交渉で求めてくると考えられる主張・要望、相手の利害は何か
  • 代替案や他の選択肢はあるか。代替案はどのタイミングで出すか。すぐに出してもよい案、なるべく出さずに取っておくのか。多くの選択肢を用意して交渉できるとベター
  • 交渉に使える時間を確認する。いつまでに交渉を終え合意する必要があるのか。

★  ★  ★

今回のエントリーでは交渉について、これからも大切にした自分の中での原則を書いています。交渉は相手があってのことだし、当然ながらこの通りにうまくいかないケースもあります。むしろ経験上、すんなりと交渉プロセスが進むほうが少ないです。

交渉って、上司への提案・メンバーへの仕事の依頼・クライアントとの折衝など、いろんなパターンがあると思っています。いずれにも共通していることとして、交渉とは結局のところ自分の人間としての器が試されているということ。あらためて、大切にしたいと思っている交渉の原則は、
  • 交渉で大切なのは良い人間関係を築けるか。どれだけ相手とWin-Win・相互満足を目指せるか
  • 交渉相手を尊重し、相手の立場で考える
  • 人と問題を分ける。フォーカスするのは問題点とお互いの利害
  • 自分の感情をコントロールすること
  • 交渉は準備が8割
このうち、1~4までをできるようにすることは、自分の生き方や価値観が問われるし、人としての成長につながるのではと思っています。交渉については、テクニック的な話からそもそも論まで幅広いですが、これからも5つは大切にしたい考え方です。


最後に、当時、交渉を勉強するために参考にしていた本をいくつかご紹介しておきます。あまり載せすぎてもくどいので5冊ほど。












投稿日 2013/03/23

父親になるということ

タイトルの通りですが、子どもが生まれることになりました(予定は9月なので「これから」です)。

子どもはずっと欲しいと思っていたので待望の第一子です。本当の父親としてのスタートは実際に生まれてからかもしれませんが、今の時点で思うことを少し書いてみます。

■親の立場になって初めて気づいた「親への思い」

「自分の子どもができた」と知った瞬間は忘れられません。その時から自分が親になるということを意識し始めました。

親の立場で見られるようになってあらためて思ったのは、自分自身の親に対する感謝でした。もちろんこれまでも、自分を産んでくれたこと、育ててくれたことへの感謝の気持ちは持っていたのですが、生まれる前のことはあまり考えていませんでした。自分の子どもができたとわかってから、まだ生まれていないその子どものことをすでに色々と考えるんですよね。どんなふうに育ってほしいとか、何を伝えたい、名前、どんなふうに考えてほしいとか、こんな生き方をしてほしい、などなど。

で、思ったのが自分の両親も自分に対しては同じように思っていたんだろうな、ということ。例えば、母親が自分を妊娠中に気をつけていたことや意識して食べていたもの・取るようにしていた栄養の話とか、父親が一所懸命に考えてつけてくれたであろう「翼」という名前、生まれる前から自分のことを色々と考えてくれた。ありがたいな、と。そんなことは今まで考えたことはなかったのですが、自分の子供ができるとわかってからは、生まれる前の段階も含めて自然に親への感謝の気持ちをあらためて持つようになりました。

親の立場を実感するようになって、「自分の親の自分に対する気持ち」を少しリアルに感じることができた。そこから生まれた感謝の思い。この気持ちはどこかで親に伝えたいです。ちょっと今さらなので恥ずかしいとも思うのですが、せっかくの機会だし、今度実家に帰った時にでもそれとなく伝えてみようかなと思っています。

■子どもが今の自分を見てかっこいいと思ってくれるか

親の自覚を持つようになって、生まれてくる子どもに対して何を伝えたいかを考えるようになりました。自分の考え方や生き方を子どもにもちゃんと知ってほしいなと思っています。そのためには自分自身のことをもう少し整理しておく必要があるんですよね。伝えたいことを明確にしておきたい。本当に伝えたいことは何か。

伝え方も2つあると思っていて、直接話すことと間接的に伝えるやり方。間接的というのは、親の背中を見て子どもはどう感じて何を受け取るのかというイメージです。話したことについて親が実際にその通りにやっているのがわかれば、正面から語ったことと背中で語ったことがリンクする。その分だけ伝わって、子供もそこから考えてくれる。そんな親子関係になれればなと。

背中で語るということは、ある意味で自分の生き方を直接の言葉以上に子どもに見せるようなもの。子どもの目って鋭く、大人のウソを簡単に見抜く力を持っていると思います。特に親を見る子どもの視線はなおさら。言っていることと実際にやっていることが違えばすぐに気づくはず。

だからこそ問われるのは、自分がやっていることを自分の子どもに嘘偽りなく見せられるか。自分の選択や行動を誇れるか。自分の子どもが今の自分を見てかっこいいと思ってくれるか。

これまで自分の中で大切にしたいと思っていたのが、自分の気持ちにウソはつかないことでした。自分の感情や気持ちを誤魔化さないようにすること。今年になって自分が父親になる意識が生まれてからは、子どもに「自分で自分にうそをついていない」とはっきり言えるかどうかも考えるようになりました。

★  ★  ★

子どもができると、自分の中で守りの気持ちが大きく出てきてしまうかもしれません。もちろん守りの意識も大切ですが、これまで以上にチャレンジする気持ちを持つようにしたいです。

生まれてくる子どもに、いつか、自分が選択したチャレンジを伝え、こういう生き方もある、リスクを取って挑戦することの大切さを伝えたいと思っています。チャレンジすることを子どもに強要することはしたくはないですが、少なくともそういう生き方があることを知ってほしいんですよね。単なる上辺だけの言葉ではなく、自分の体験談としてリアリティのある話、伝え方を子どもにしたい。

そのためにも、リスクを取って挑戦する気持ちは忘れないようにしたいと思っています。そして実際にそういう選択・行動を取る。


投稿日 2013/03/20

Google のビジネスモデルとイノベーティブであり続ける魅力




ビジネスモデルを見極めるポイント


ビジネスモデルを考える上で大切な要素は 「誰が顧客なのか?」 を把握することです。そのビジネスモデルで誰にどんな価値を提供するのかです。

もう1つはお金の流れです。基本は顧客に提供する価値への対価としてお金を支払ってもらうことですが、全ての顧客からお金をもらわなくてもビジネスモデルは成り立ちます。どの顧客からお金をもらって、どの顧客からはお金をもらわないのかです。

誰が顧客なのか、どんな価値を提供するのか、お金の流れはどうなっているのか。この3つを考えつつ、以下の2つが成り立っているかどうかがうまいビジネスモデルを見極めるポイントです。
投稿日 2013/03/17

これからは仕事で役立つことを「仕事以外」から学ぶ時代に。で、どうすれば?




ライフネット生命の出口社長が 日経ビジネスのインタービュー記事 で語っていたことが示唆に富む内容でした。


仕事で役立つことを「仕事以外」から学ぶ


記事では、出口社長は「仕事以外のところから、仕事に役立つことを学ぶしかない」と語っています。ちょっと長めですが、記事 からの引用です。
投稿日 2013/03/16

スティーブ・ジョブズのメッセージ 「点と点をつなげる」 ために大切にしている3つのこと


今回は、スティーブ・ジョブズのメッセージ 「点と点をつなげる」 についてです。

✓ この記事でわかること
  • スティーブ・ジョブズの伝説のスピーチとは?
  • ジョブズからの3つのメッセージとは
  • 点と点をつながるために、どうすればいいのか?

スティーブ・ジョブズの伝説のスピーチの内容をご紹介しています (スピーチの動画は最後につけています) 。

この記事でわかるのは、スピーチでのジョブズからの3つのメッセージと、そのうちの1つである 「点と点をつなげる」 ためにどうすればよいかです。

ぜひ、最後まで読んでみてください。

投稿日 2013/03/10

今年こそ資産運用 (実行編):運用方針とか投資商品をご紹介




前々回のエントリーでは資産運用について書きました。

参考:今年こそ資産運用:本気で取り組みたいので戦略的に考えてみた


資産運用の戦略


エントリー内容はタイトルにもあるように、資産運用を取り組むにあたっての自分なりに考えた戦略についてでした。ポイントは次の通りです。
投稿日 2013/03/09

シニアシフトの衝撃。有望な市場とビジネスモデルを考える着眼点




シニアシフトの衝撃 という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 飽和しているのは市場ではなく、私たちの頭の中
  • コト消費とモノ消費を連動させるビジネスモデル
  • シニアビジネスの垂直展開と水平展開

投稿日 2013/03/03

今年こそ資産運用:本気で取り組みたいので戦略的に考えてみた

今年こそ本気で取り組もうと思っているのが資産運用です。

これまでも運用はしてはいたのですが、自分の中であまり考えてやってるとは言えず、「ちゃんと考えて運用しないと」とずっと思っていました。ここ最近は売買もなく保有しっぱなしの状態。

今回のエントリーでは、資産運用を再開するにあたり、自分の考え方や取り組み方を整理しています。

■資産運用と戦略

戦略とは、「あるべき姿」と「現状」の2つを結ぶものだと思っています。現状⇒あるべき姿(ゴール)にどうやってたどり着くかを考えるのが戦略。

資産についても同じ考え方で、「現状資産」と「目標資産」のギャップを埋めるのが資産運用だと考えています。人生設計から見た時に「いつまでに・どれだけの資産」というゴールを設定する。現状資産から見て足りない分を、資産運用でゴールにたどり着くイメージです。

戦略も戦略策定と戦略の実行の2つがあるように、もう少し細かく考えると資産についても、「資産設計」と「実際の資産運用」に分けることができます。
  • 現状の資産を把握する
  • あるべき姿を描く
  • 資産運用の戦略を考え、実行する

■現状の資産を把握する

まず取り組んだのは、自分が今持っているお金を知るところから。現金、銀行口座の預金、保有している金融商品、など全てのお金を見える化する作業です。なお、ここで言う資産には家電とかの持ち物は無視しています。売ればお金になるものなので資産と言えばそうですが、家にあるモノ(家電・家具・本・服・等々)を金額で見積もるのは現実的ではないと判断しました。

保有資産を、①現金/貯金、②日本株式、③外国株式、④外国債券の4カテゴリーに分け、使っている銀行口座や証券口座を確認し、全てをExcelシートで表にしました。

表のイメージはバランスシート(賃借対照表)の左側だけつくる感じで、自分の資産をBSのように流動資産と固定資産に分けています。流動か固定かの違いは、流動資産は生活用のお金としました。万が一で収入がゼロになっても1~2年は生活できる金額を流動資産として確保しています。

自分のBS(ただしモノは除く)をつくってみると、あらためて自分が今持っている資産とその配分が確認できます。これだけでもやってみた価値はありました。数字で全てを視覚化すると、すごくよくわかるんですよね。

■あるべき姿を設定する

次が、戦略のゴールとなる、あるべき姿を考えます。資産運用では「いつまでに」「どれくらいの資産にする」の2つで、人生設計から設定します。人生設計はざっくりとでもいいので、それぞれ何歳くらいでどんな人生になっているか、そのためにこれくらいのお金が必要かも、というのを色々と考えてみました。

人生設計の詳細はここでは触れませんが、今回、資産運用のゴールを「30年後に」「1億円」と設定しました。1億については、ゼロから1億をつくるのではなく、あくまで現在自分が持っている資産をスタートとしてのゴール設定です。

「30年」「1億」という目標は絶対的なものとは考えず、あくまで現時点でのゴールイメージです。未来はある程度の不確実性があるので、柔軟にしたいと思っています。仕事、生活環境、家族構成、政治、経済、などの変化に応じて適宜見直すことになるはず。

■戦略

「現状」と「あるべき姿」が明確になったので、ここからは戦略を考えるフェーズです。やったことは3つです。
  1. 許容できるリスクの確認
  2. 期待リターンの把握
  3. 目標とする資産配分(アセットアロケーション)の設定
やってみて実感したのは、これら3つは連動するので色々と数字を変えながら、ある程度の試行錯誤が必要ということ。目標資産配分によって、リスクや期待リターンが変わり、その逆も起こる。各数値を変えると、数字で遊んでいるような感覚でした。以下は、今回考えた上記3つの設定結果です。

1.目標の資産配分

現金/預金、日本株式、外国株式、外国債券の4カテゴリーで次のような資産配分としました。なお、外国債券は外貨建てMMFやFXを想定しています。
  • 現金/預金:15%
  • 日本株式:30%
  • 外国株式:30%
  • 外国債券:25%
資産配分は結構色々とつくってみましたが、現時点ではこれに落ち着きました。コモディティとかREITも興味がないわけではないのですが、まずはこれだけでの運用を考えています。配分としては、もう少し日本株式を多くしてもいいかなと思ってもいるのですが。

2.許容できるリスク

資産運用で重要だと思っているのが、上記の資産配分とリスクです。リスクとは不確実性の尺度で、要はこれくらいは損失が出ますよ、というあらかじめの把握です。覚悟とも言えます。

リスクの算出はさっき決めた資産配分とそれぞれのリスク値を使って加重平均で計算しました。リスク値には過去実績からの標準偏差を使って、標準偏差×2(2σ:確率95.4%)を使っています。

リスク加重平均の計算は資産配分×各リスクで、具体的には次のように「配分×(標準偏差×2)÷100」を計算しました。標準偏差は年間の数字です。
  • 現金/預金:15×7.2÷100=1.08
  • 日本株式:30×47.6÷100=14.28
  • 外国株式:30×37.8÷100=11.34
  • 外国債券:25×25.0÷100=6.25
なお、各資産の標準偏差×2の値は書籍「【新版】内藤忍の資産設計塾─あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法」にあった過去実績データ(p.177)を利用しています(最新のデータが見つかれば随時更新したい)。

4つを合計すると32.95になります(加重平均値)。つまり、標準偏差×2で考えたリスクは±33%。意味としては「1年で最大でもマイナス33%分の損失が発生。それ以上はまず出ないだろう」となります。仮に1,000万円とすると、最大で330万ほどの損失が出るというリスクイメージです(+330万円もありえる)。

3.期待リターン

リスク同様に年率の期待リターンも資産配分と各リターンから加重平均で求めます。資産配分×各期待リターン。詳細の計算は省きますが、期待リターンは年率5.90%になりました。固めに考えリターン5%で設定することにしました。これは次の資産シュミレーションの前提となるものです。

■資産推移シュミレーション

資産配分と期待リターンから今後の資産がどう推移するのかシュミレーションをします。考え方は、目標とした30年を期待リターン5%の前提で、「現在の保有資産」と「これから積み立てる資産」の2つに分けてそれぞれどれだけ増えるかを計算します。これからの積み立てとは、例えば毎月5万積立とし、それを30年続けた場合のシュミレーションです。

ここから得られる結果が最初に決めた目標と乖離していないかを確認します。目標とシュミレーションに大きなズレがなければ、期待リターンの設定が期待としては妥当であるということにもなります(実際に期待リターン通りに運用し続けられるかは別ですが)。

以上、ここまでが現時点でやったことです。

■Next Step

この先にやることとして考えているのは、

各資産内で投資する金融商品の決定:運用方針はインデックス運用を考えています。日本株式なら個別株ではなくインデックス投資信託やETFに投資します。その投資先(商品)をどこにするかの選定が次のステップ。外国株式も同じ運用方針です。個別株は興味ありますが、インデックス中心の運用にする理由は、自分が金融のプロではないのと資産運用でそこまで時間がかけられなそうだから。外国債券は外貨建てMMFかFXを考えていて、どの通貨にどれだけ配分するかを決めることになります。

現在資産配分と目標資産配分のズレを直していく:現状では乖離があるので目標配分になるべく近づくように投資をします。投資先は↑で決めた各商品。おそらく1年くらいかけて投資時期を分散しつつ配分を目標値に合わせることになりそうです。

毎月の運用:月末or月初にその月の収入と支出をざっくりとでもいいので把握しようと思っています。特に支出がどれくらいあるのかをちゃんと数字で理解しておきたく、収入-支出から毎月の積立金額の妥当性もチェックしたい。

3ヶ月ごとの運用:2つあって、資産配分の確認と、目標資産配分と現実配分の調整(リバランス)。資産配分はほっておくと目標値からずれていくと思うので3ヶ月に1回くらいは是正しておきたいと思っています(いずれは年1回でもいいかも)。リバランスはその場で売買するよりも、積立金額を変えることを考えています。

1年ごとの運用:運用実績が資産シュミレーションの通りかを確認します。KPIとしては、実績リターンと期待リターン。この2つでかい離があるか、ある場合はその要因も理解する。そもそもの期待リターン設定が現実的ではないのか、マーケットの動きも含め、なぜそうなったかを考える。

★  ★  ★

運用は、なるべく無理なく継続できる仕組みにしたいと思っています。時間をかけすぎず・放置しすぎないように。かつ、資産運用のプロセス自体も楽しめればいいかなと。運用をすることで日本だけではなく世界のニュースにもアンテナが張れるだろうし、視野が広がればなお良しです。

最後に、今回のまとめです。
  • 現状把握:今持っている全ての資産を洗い出す(現状の資産配分を知る)
  • あるべき姿を描く:人生設計から「いつまでに・どのくらいの資産をつくる」の目標設定をする
  • 資産運用の戦略を考える:リスクの確認、期待リターンの設定、目標資産配分を決める。運用方針を考える
  • 戦略の実行:将来資産のシュミレーション、投資する金融商品の選定、目標資産配分が保たれているかを確認しながら、無理なく継続できる運用に




お金の教室―二十歳の君に贈る「マネー運用論」
山崎 元
NHK出版
売り上げランキング: 151,338


ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド (朝日新書)
山崎 元 水瀬ケンイチ
朝日新聞出版
売り上げランキング: 14,318


投稿日 2013/03/02

想定外に対処せよ:プロジェクトマネジメントで大切にしている2つのアプローチ




前回のエントリーでは、プロジェクトマネジメントをする上で大切にしてることを取り上げました。

参考:若々しい脳を取り戻す 「プロジェクトマネジメント思考」 のススメ


好評だったので、今回はその続編として 「プロジェクトマネジメントと想定外」 について書いてみます。

プロジェクトでは予想外のことが起こります。思いもよらないことが次々に発生します。問題が出てきて解決したと思ったら、別の問題が表面化します。解決しても、新たな問題が発生することの繰り返しです。問題がほんと次から次に出てきて、もぐらたたきのような状況です。


そもそも想定外とは何か


想定外への対処の前に、そもそも想定とか想定外とは何かを考えてみます。
投稿日 2013/02/24

若々しい脳を取り戻す「プロジェクトマネジメント思考」のススメ

「脳が冴える15の習慣」という本の帯には次のように書かれています。

「ぼんやり頭をスッキリ晴らす!仕事ができる脳、若々しい脳を取り戻す生活改善マニュアル」

この本は集中力・思考力・記憶力を高めるために、日常生活でちょっとした意識を変えることを提案してくれる内容です。

15の習慣とあり、どれも肩に力の入っていないのが特徴です。例えば、まずは生活のリズムを整える、朝はいつも一定の時間に起きる、などの生活の原点をつくる生活改善です。


プロジェクトマネジメントで大切にしていること


本書のあとがきに、印象的だった言葉があります。
投稿日 2013/02/23

良い文章を書くために心がけたい「自分視点」と「相手視点」の両立


Free Image on Pixabay


最近、読んだ本が エッセイ脳 - 800字から始まる文章読本レポートの組み立て方 でした。




それぞれ、エッセイとレポートをどう書けばよいかについて書かれた本です。文章そのものをどう書けばよいかのヒントがたくさんあり、エッセーやレポート以外にも応用ができる示唆に富む2冊でした。

「レポートの組み立て方」は書かれたのが1990年です。20年以上経った今でも通用する内容で、考え方や文章の工夫の仕方など、得るものも多かったです。
投稿日 2013/02/22

「経験値を積む」 と 「レベルアップ」 は別もので考える


子どもの頃によく遊んでいたのが、ロールプレイングゲーム (RPG) でした。

投稿日 2013/02/17

習慣にするための仕組み化の3つのコツ。あらためて考える習慣と人生




前回のエントリーはイチロー選手が語った努力について書きました。

参考:イチローが目指す努力から考える 「努力と習慣化」


イチローが目指す努力


イチローが目指すのは、習慣化され本人にとっては努力している認識はないが、まわり (第三者) から見るとそれは努力に見える状態です。努力を続け習慣になるかどうか、習慣化できるくらいになって初めて 「努力」 と言えるという考え方です。

今回のエントリーでは、あらためて習慣について考えてみます。
投稿日 2013/02/16

イチローが目指す努力から考える 「努力と習慣化」




努力は大事。誰もがそう思う、共通の認識だと思います。

では、どういう努力がよいのでしょうか。努力の中身や仕方の捉え方は、人によって考え方が違います。あらためてそう思ったのは、イチローがインタビュー記事で以下のように語っていたからです。

参考: イチロー、40歳にして惑わず ヤンキースでの決意|日本経済新聞 (2013年2月13日)

以下は記事からの引用です。

努力をすれば報われると本人が思っているとしたら残念だ。それは自分以外の第三者が思うこと。もっと言うなら本人が努力だと認識しているような努力ではなく、第三者が見ていると努力に見えるが本人にとっては全くそうでない、という状態になくてはならないのではないか。
投稿日 2013/02/11

TED でのジェームス・キャメロンから学んだ3つのこと




映画タイタニックやアバターの映画監督を務めたのがジェームス・キャメロンでした。

ジェームス・キャメロンの TED のプレゼンは色々と考えさせられました。TED の動画はこちらです。
投稿日 2013/02/10

書籍 「究極の身体」 がおもしろい




究極の身体 という本をご紹介します。



本書の内容


本書の内容紹介からの引用です。

「ゆる体操」 の創始者であり、武道と現代スポーツの双方に通じ、日本古来の身体の動かし方の神秘を実践と体験を通じて研究してきた著者の身体論、待望の文庫化。

豊富な図解で、真の人体のすばらしさ、可能性がわかる。上下左右に動く魚類の脊椎、獲物を狙う猛獣の四肢を取り戻す。読むそばから身体の動きが変わってくる。自分の身体への希望が湧いてくる本。

身体構造や運動のメカニズムについて独自理論が展開され、わかりやすく書かれていました。
投稿日 2013/02/09

「自分のやりたいこと」 を考えるための2つの逆転の発想


Free Image on Pixabay


前回のエントリーで 「翼を持たずに生まれてきたのなら、翼を生やすためにどんな障害も乗り越えなさい」 という言葉 (もとはココ・シャネルの言葉) をご紹介しました。

前回エントリー:TEDxTokyo yz 3.0 ~de-mosaic-ing~:自分にとって忘れられない翼の話


この言葉の意味は、「たとえ今は持っていなくても、それを望む強い気持ちがあればどんなハードルも越えていくことができる」 です。

大事なのは翼を生やして何をしたいのかです。翼はあくまで大空を羽ばたくための手段だからです。翼を手に入れ、どこへ飛ぶのか、どんなふうに飛びたいのか、自分は何をしたいのかが大切です。

今回のエントリーは、自分のやりたいことを考えるための2つの逆転の発想をご紹介します。


「やりたいことは変わるもの」 と考える


最近の自分が思っていることは、自分のやりたいことは変わってもいい、というものです。むしろ、やりたいことは必ず変わります。

今まで持っていた考え方は、やりたいこととは何か一生をかけて実現したいというものでした。自分の進む道としてこれがベストだというやりたいことが見つかり、その道を生涯歩いていくという考え方です。

しかし、何才になっても模索し続けるものと考え方が変わりました。常にベストの選択をしようとするが、様々な経験をすると他の道も見えてくるという考え方です。

もちろん、やりたいことが変わると言っても、1つのことにすぐに飽きてしまって次々に変えるのではありません。1つのことをやり遂げて、次の新しい世界が開けるというのが望ましいでしょう。

試行錯誤を続けて歩いているとようやくゴールが見えだしてきたと思ったら、目の前には違う別の扉が現れるようにです。扉を開けて新しい世界に入りしばらく進むとまた次への扉があります。

人は変わり続けるものです。これは生きている限りは常に起こることです。肉体的な変化もあり、価値観や考え方も変わります。


「より困難な道をあえて選ぶ」 という考え方


目の前の2つ選択肢があるとして、2つから1つを決断することは、自分のこれまでを考えると悩ましいことも少なからずありました。

3つ以上の選択肢があると最も違うものを消去法的に外していけますが、最後の2つが残った時にどっちを選ぶかです。

選ぶ基準の1つが、どちらがより困難かという考え方です。自分にとってより厳しい道を選ぶというものです。

この考え方は高校生の時に、ある雑誌で偶然知りました。

読者が投稿して北方謙三氏に人生相談をするというコーナーでした。進路に悩んでいるという読者の質問に、北方氏はこう答えていました。「より難しい道を選択してみろよ」 。

それを読んだ時は興味深く思ったことを覚えています。なぜわざわざ苦労するほうを選ぶのかと思いました。

その後の大学の進路、就職、その他いろいろな場面で判断が迫られた時に、不思議とその考え方が自分自身の決断に入っていました。困難なほうを選んだことは、決して間違っていませんでした。

その時悩んだことは何年後かに思い返してみると、実はそんなに大したことはなかったということです。ポジティブに捉えればそれだけ自分が成長したことなのかもしれません。

より困難な道をあえて選んでみる。逆境とか試練の中で人は磨かれ、高いハードルを選んでも苦労しつつも進んではいけるものだと思っています。ケセラセラ、人生なんとかなるのです。

Que sera sera は、英語では Whatever Will Be, Will Be. と表現します。

投稿日 2013/02/03

TEDxTokyo yz 3.0 ~de-mosaic-ing~:自分にとって忘れられない翼の話

昨日は、TEDxTokyo yz 3.0 ~de-mosaic-ing~ に参加してきました(@表参道の青山学院スタジオ)。

TED のコンセプトを受け継いだ団体である TEDxTokyo が、「TEDxTokyo yz」として開催したのが今回のコミュニティイベント。yz というのは Y 世代・Z 世代のことで、10代-30代に焦点を当てているものます(TEDxTokyo yz についての詳細はこちら)。

友人が今回の TEDxTokyo yz 3.0 の運営リーダーをやっていたこともあり、招待してもらい参加することができました。あらためて感謝です。

TEDxTokyo yz に参加し、刺激をもらったり色々と考えさせられたりしました。Ideas worth spreading というコンセプトで開催される TED の動画プレゼンはよく見ていたりしますが、参加してライブを体験すると、全く違います。

書きたいことはいくつかあるのですが、今回のエントリーではそのうち最も考えさせられたことを取り上げようと思います。

■ 若き実業家・大関綾さんのプレゼン

今回のスピーカーは総勢10名で、第一セッションの最後に登壇されたのが、大関綾さん(株式会社ノーブル・エイペックス代表取締役社長)でした。以下は TEDxTokyo yz で紹介されている大関さんのプロフィールの引用です。

14歳でビジネスコンクールに出場して最年少記録樹立、二冠を達成。

クールビズ運動が始まった頃、ノーネクタイ・ワイシャツ姿のビジネスマンに対し「だらしない、かっこ悪い」と感じたのがきっかけとなり、クールビズ対応・新感覚ネックウェア”ノーブルタイ”の研究開発を始め、2010年高校在学中(当時17歳)に起業。ブランドコンセプトは「卓越したデザイン、優れた機能性、他に類を見ない新規性を持つ商品の提案」。

そのデザイン性・機能性・新規性が認められ、国内メディアをはじめ海外メディアからも注目を集め、2012年春に自社ブランド ”Aya Ohzeki” を立ち上げる。全国百貨店・小売店・ECサイトでの販売の他、新たに香港でも販売を開始。

2013年よりアメリカ進出が決定。「平成のココ・シャネル」になることを目標に、Aya Ohzeki ブランドを世界に広げるため活動中。

大関さんのプレゼンは彼女の座右の銘から始まりました。尊敬する Chanel 創業者であるココ・シャネル(1883-1971)の言葉だそうです。()内はフランス語でプレゼン内には出てきませんでしたがせっかくなので付けています。

翼を持たずに生まれてきたのなら、翼を生やすためにどんな障害も乗り越えなさい。(Si vous êtes née sans ailes, ne faites rien pour les empêcher de pousser.)

この言葉を知った時、大関さんは考えたそうです。自分にとっての翼とは何か?そして行き着いたのが「発想力」でした。なぜなら、中学生くらいの時からなりたいと思っていた実業家にとって大切な要素だからです。

大関さんが次に考えたことは、起業するためには社会のことを知る必要がある、ということでした。

あらためて身の回りをその視点で見てみると、大きな資本力・組織力を持つ大企業が社会を支配している現実に気づいたそうです。また、グローバル化により安いものがたくさん入ってくる。彼女の結論は、大企業やデフレに影響されないビジネスにしたいというものでした。

そのために何をすればいいのか。その後に大関さんは知的財産という存在を知ります。色々と知的財産について調べていくうちに、知的財産は新しい発想から生まれていることに気づく。だから発想力を磨きたい。

では、発想力をつけるためにはどうすればよいのか。彼女の答えは「とにかく24時間考え続けること。常に考えること」でした。

例えば、買いものとかで外を歩く時は発想力を鍛える絶好の機会だそうです。不便なものはないか、改善してより良くできるものはないかを常に考えることです。

こうした積み重ねで発想力が磨かれていきます。1つ1つのアイデアは小さなことでも、発想力トレーニングは商品開発や改良に役立つとのことでした。

アイデアについての大関さんの考えは、「アイデアは天から降ってくるわけではない、アイデアは考え抜いた末に生まれる」。

発想力はアイデアを生むツールであり、彼女にとっては夢を実現する「翼」。大関さんはプレゼンの最後をこう締めくくりました。

どんなことでもする覚悟を持ち、それを実行すれば、翼は手に入れることができる。

■ 自分にとっての翼は何か?

大関さんのプレゼンで「私にとっての翼は何か?」という言葉が発せされた時、自分にも問いかけられているように思いました。「自分にとっての翼は何か?」には根源的な問いであるように感じました。

ココ・シャネルの言葉の翼とは、今は持っていない能力/スキルのことだと理解しています。たとえ今は持っていなくても、それを望む強い気持ちがあればどんなハードルも越えていくことができる、と。

では自分にとっての翼は何か?私の場合は「考え続ける力」です。少なくとも日中の活動している間は、何かを考え続けていたいと思っています。

仕事のこと、読んでいる本のこと、ネットの情報を見ている時、ニュースについて、他には家族だったり将来のこと、それこそあらゆるものについてです。ちょっと考えて終わりではなく、ずっと考える・思考体力をもっと鍛えたいと思っています。こうしてブログを書いているのも、目的の1つはそのためです。

■ 翼を生やすことよりも重要なこと

「翼を持たずに生まれてきたのなら、翼を生やすためにどんな障害も乗り越えなさい。」

この言葉で忘れてはいけないと思うのは、翼を生やすことがゴールではないということ。翼はあくまで大空を羽ばたくためのツールです。何のために翼を生やしたいのかが重要です。

大関さんの場合は明確です。実業家になりたい、そのために必要なのは発想力です。これが翼です。自分の夢の実現というゴールから逆算して翼が位置づけられています。

では自分にとって、何のために翼を生やしたいのか。これが大関さんのプレゼンから問われた宿題でした。

考えてみると、私の場合は明確な目的がまだ定められていないことに気づきました。

正しい順序は、思い描くゴールがあって、そのために必要な能力を磨くことです。シャネルは「翼を生やすためにどんな障害も乗り越えなさい」と言っていますが、逆に言うと、どんな逆境でも手に入れたいという覚悟がないと、それは翼ではないと思います。

翼を手に入れ、どこへ飛ぶのか、どんなふうに飛びたいのか。2013年の新しい年も1ヵ月が終わりました。今年のまだ早い時期に、考えさせられる自分への問いに出会えてよかったです。

★  ★  ★

TEDx のようなイベントに参加したのは今回が初めてでした。イベントの最後の最後まで運営スタッフさんが真剣で、何より自分たちが楽しむスタンスがこちらにも伝わってきたのが印象的でした。あらためて、ありがとうございました。


※参考情報

TEDxTokyo yz
About|TEDxTokyo yz
Aya Ohzeki Official Site


投稿日 2013/02/02

ローマ法王に米を食べさせたスーパー公務員の 「心揺さぶる3つの言葉」


ローマ法王に米を食べさせた高野誠鮮氏


ローマ法王に米を食べさせた男 - 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか? という本をご紹介します。読んでいるうちに元気がもらえる本でした。



本書の内容


以下は本書の内容紹介からの引用です。

石川県羽咋市の市役所職員・高野誠鮮氏は2005年、過疎高齢化で 「限界集落」 に陥った農村を含む神子原 (みこはら) 地区の再生プロジェクトに取り組み、それが大成功を収めるまでの紆余曲折とアイデア満載、感動的実行力のプロセスを克明に記す。

高野氏は数々のユニークなアイデアを次々と繰り出し、そのアイデアを驚くべき行動力で実行していく。その結果、多くの若者を誘致し、農家の高収入化を達成!

非常識と一般では思われてしまうかも知れないことを恐れることなくアイデアを自由に発想し、そして、それを躊躇なく、しかし確実に実行する、高野氏の仕事の流儀に大いに学ぶための、多くのヒントがちりばめられている一冊。
投稿日 2013/02/01

朝日新聞はなぜ「録画再生率が視聴率上回る例」を一面で報じたのか?




朝日新聞が、テレビの録画再生を含めた視聴率の実態を報じました(2013年1月31日付)。昨日の新聞の1面と、3面の解説記事で取り扱われています。

「ドラマは録画」くっきり 再生率が視聴率上回る例も|朝日新聞

記事の出だしから引用です。

テレビの録画再生を含めた視聴率の実態が、朝日新聞が入手した調査結果で初めて分かった。視聴率は放送時間中に見られた数値しか公表されていないが、視聴実態をより反映した録画を含めた数値をみると、人気ドラマの中には録画再生が放送中を上回る例もあった。

テレビ放送が始まって2月1日で60年、視聴率調査が始まってから半世紀以上がたつが、公表数値が視聴実態と離れつつあることが浮き彫りになった。

いくつかの録画再生率は下図の通りです。

確かにドラマ「ラッキーセブンスペシャル」の1/3放送分については、放送中に見たリアルタイムでの視聴率:12.6%、録画再生率:13.5%と、録画での視聴率が放送中のそれを上回ったようです。なお、今回の録画視聴率の定義は「録画した番組を放送の7日後までに再生した人の割合」とのことです。


出所:Yahoo!ニュース

■ 驚いたのは朝日新聞の1面に掲載されたこと

この記事を見た時にまず驚いたのは、視聴率のデータ自体よりも、今回のニュースがそもそも報じられたことでした。なぜ朝日はこのニュースを配信したのでしょうか?その意図や裏が非常に気になりました。

その前に少し前置きを書いておきます。

「録画での視聴率を含めない放送中のリアルタイム視聴率だけでは不十分」というのは、業界では昔からある不満です。自分の TV の視聴を考えてみても、録画して後から見るというタイムシフト視聴は当たり前のようにやっています。これが正確に反映されていない今の視聴率では実態が捉えられていないわけです。

背景には、ビデオリサーチが公表している600世帯での視聴率が絶対的な意味を持っていることがあります。

600世帯での視聴率はTV番組の人気のバロメーターに使われ、TVCM の広告費を出すためにも使用されています。テレビ視聴の指標として唯一無二の存在です。「通貨」とも呼ばれるほどです。

しかし、通貨である視聴率には録画再生率が含まれないために、録画視聴率はわかりません。つまり通貨として広く使われているが、価値が正しく付いていない(実態を捉えきれていない)のです。

なお、朝日記事の視聴率は通常の視聴率とは異なるものを使っています。「通常の」というのはビデオリサーチの関東600世帯からなるピープルメーター(PM)という機械を使った調査結果から出る数字です。

朝日の記事で「公表数値が視聴実態と離れつつあることが浮き彫りに」とある公表数値というのが通貨として使われているこの視聴率のことです。一方、同記事にある録画再生率はそれとは全く別の200世帯での調査結果です。両者は単純には比較できないです。

ここまでが前置きです。

今回の朝日の記事について、なぜ驚いたかの理由は、

  • 朝日新聞は朝刊の1面と3面に掲載した。国会も始まり、国内外でのニュースも色々ある中、かなりの力の入れようである
  • これまで表に出てこなかった「録画再生率」を公然と出してきた
  • その録画再生率は「通貨である視聴率」にはなかった指標。記事では単純に比べられないとしているが、通貨視聴率の絶対性を崩しかねない。視聴率が複数あるダブルスタンダードは、業界的にかなりタブーのはず(通貨は1つ)
  • データソースはビデオリサーチと書かれているが、そもそもビデオリサーチやバックにいる電通はこのニュース内容を事前認知はしていたのか。記事掲載は許容されていたのか

ビデオリサーチや電通はこのニュース配信にGOを出したとは思えません。朝日のニュース配信には何か強い意図を感じます。

■ なぜ朝日は録画再生率ニュースを流したのか?

なぜ朝日はこのニュースを配信したのでしょうか?その裏にはどんな意図があるのかをいくつか考えられることを書いておきます。

1.TV 番組の人気度を正しく認知してもらうため:人気度とは正確には視聴世帯率の高さ。通常の視聴率では放送中に視聴するリアルタイム視聴だけだが、録画をして後からの視聴も含めるとこんなに高い、というメッセージ。

2.TV 全体で言われる視聴率低下の原因を伝えるため:リアルタイム視聴だけ見ると低下傾向にあるが、録画も含めるとそんなことはない、という反論。

3.現在の「通貨である視聴率」への不満を表している:上記のように、通貨とも呼ばれるにもかかわらず正しく視聴実態を捉えているとは言えない視聴率。別データを具体的に提示することで、事実を反映していない不満を伝えたかった

4.視聴率を新しくするべきとの主張:3の不満への先として、より正しい視聴率を出してほしい意思表示。記事の最後のほうに書かれているのが「米国ではすでに録画も含む視聴率が公表されている。(中略) 実態を正確に測ろうとの試みもあるほどだ」。さらにリサーチ評論家の藤平芳紀氏のコメントが続く。以下は記事から引用。

技術の発展で視聴形態は劇的に変化し、自宅以外のあらゆる場所でテレビは見られている。メディアのあり方に大きな影響を与える基礎データなのだから、録画も含めて実態を正しく反映させた調査結果が世に出されるべきだ

■「通貨」視聴率のそもそもの問題点

民放では、番組の途中や番組と番組の間に CM が放送されます。現状では、A という番組の視聴率をもってして、番組 A の中で流れたCMの視聴率を出しています。

しかし、本来は番組視聴率と CM 視聴率は分けるべきなのです。もっと言うと、CM は数本が連続して流れるのでそれぞれの CM に対して視聴率を出すのが望ましいです。

ここで問題になるのが、番組の視聴率 = CMの視聴率なのか?という点です。多くの人は CM に入れば他のチャンネルに切り替えたり、席を外したりします(中座)。この状況では番組ほど CM は見られません。

録画での再生になると、CM スキップはもっと起こるはずです。リモコン1つで CM を飛ばせ、早送りをすれば CM は見られません。リアルタイム視聴での視聴率以上に録画視聴率においては CM の視聴率を正しく測れていないことになります。

以上から、個人的に思う視聴率の問題は以下です。

  • 「TV 番組視聴率 = CM 視聴率」が成り立たないのが実情。よって、TV 番組視聴率と CM 視聴率は本来は分けるべきだが、現状は1つの視聴率が使われている。これでは CM 視聴率が正しく測られていない
  • 民放のビジネスは CM から得られる広告費で成り立っている。にもかかわらず、その広告費を出すための CM 視聴率が正しくないという構造。広告費算出に使われている GRP には CM 視聴率を用いるべき
  • 視聴率に録画再生率を含めたとしても、依然として CM 視聴率が実態を正しく捉えていない現状は変わらない


視聴率の正しい使い方 (朝日新書 42)
藤平 芳紀
朝日新聞社
売り上げランキング: 404,817

Kindle版はこちら


投稿日 2013/01/27

ちゃんと役に立っている 「働かないアリ」 が教えてくれた3つのこと




アリと言えば働き者というイメージがあります。地面に目を向けて見れば自分より大きな虫を運んでいたり、律儀に列をつくっていたり。真面目というか愚直というか。イソップ童話のアリとキリギリスでも、アリはそういう象徴です。

ところが、様々な研究からわかってきたのは、働きアリの中には全く働いていないアリが存在しているということです。

ある瞬間だけを見ると、なんと巣の中の7割くらいの働きアリは何もしていないそうです。さらに、ずっと1つの巣を継続観察すると、全く働かないアリも1割くらいいるとか。「働きアリじゃないだろ」 と思わずツッコミを入れたくなります。

そんなことが書かれているのが 働かないアリに意義がある という本でした。蟻の生態系の他にも蜂だったりと、昆虫社会の意外な特徴がわかりやすく紹介されています。時に私たち人間社会との共通点や違いも説明があり、身につまされる。虫たちも生きていくために集団をつくって、彼らは彼らの社会を形成している。奥が深いなと。


「働かないアリ」 はなぜ働かないのか?


この本を読もうと思ったのは 「なぜ働かないアリがいるのか?」 を知りたかったからです。
投稿日 2013/01/26

ファブラボ4.0:人工物が生物のようになる未来世界




ロングテールやフリーミアムの概念を提唱したのはクリス・アンダーソンです。クリス・アンダーソンが次に注目しているのが 「ものづくり革命」 です。

ものづくり革命を紹介する本


Web の世界で起こった革命がモノづくりでも起こる、と言います。

関連する以前のエントリーはこちらです。

 「MAKERS」 書評:Web世界で起こった革命がモノづくりでも起こる未来は明るいのか?

クリス・アンダーソンの著書 MAKERS - 21世紀の産業革命が始まる は概念の説明が主でしたが、FabLife - デジタルファブリケーションから生まれる 「つくりかたの未来」 という本は、事例が中心です。MIT メディアラボの人気授業 「 (ほぼ) なんでもつくる方法」 体験記、世界各地のファブラボの活動など、ムーブメントの最前線が紹介されています。



ファブラボの4つの進化構想


Fablife という本が興味深いのは、未来のものづくりの進化構想について書かれているからでした。

本書のキーワードは 「ファブラボ」 です。ファブラボとは、デジタル工作機械をシェアし実際に顔をあわせてつくるための知識・スキルの交換・共有を行なう工房のことです。

このファブラボの進化構想の段階として、1.0 から 4.0 までの四段階があります。
投稿日 2013/01/20

やりたいか、やりたくないか:財政破綻をした夕張市長を目指すという決断




火中の栗をひろう。このことわざは、他人の利益のために危険をおかすことの例えとして用いられます。


四面楚歌での決断


当時、東京都職員を自ら退職し、人生においてある決断をした1人の若者はまさにこんな覚悟だっだと思います。

その決断とは、事実上の財政破綻をし財政再生団体となった夕張市の市長を目指すというものでした。都職員の退職金はゼロ、仮に市長に当選したとしても年収は安定していた東京都職員の時よりも200万も下がる見込みでした。

夕張市長にそもそも当選するかどうかもわからない状況でした。選挙に勝つのに必要と言われる三バン、① 地盤:地元有力者とのつながり、② 看板:知名度、③ 鞄 (お金) を持ち合わせていませんでした。選挙に落ちれば無職です。
投稿日 2013/01/19

シェール革命から考える人類とエネルギー

変化の激しい世の中です。画期的な技術や仕組みで○○革命と呼ばれることも多いですよね。いろんな革命と表現される中で、個人的に注目しているのが「シェール革命」です。

■シェール革命とは

まずは、そもそものシェール革命とは何かについて。エネルギーの世界の話で、シェールにはシェールガスとシェールオイルの2つがあります。地下深くにあるシェール(頁岩)の隙間に存在する天然ガスがシェールガス、石油がシェールオイルのことです。

何が画期的なのかと言うと、シェール層の岩盤を破砕しガスや石油を取り出す技術がアメリカで開発されたことで、採掘不可能とされた大量の天然ガスや石油が現実的なコストで新たに採掘できるようになったことです。

世界の約4割のシェールガスはアメリカにあるとされており、アメリカはシェールガスの取り出しについて独占的な知財権で固め、発掘から精製までの全ての工法を確立しています。現在はアメリカは石油も天然ガスも輸入国ですが、石油は2030年代に、天然ガスは10年代後半~20年代には輸出国になると言われています。

■シェール革命の影響

シェール革命に注目している理由は、一言で言えば世界のパワーバランスを変える可能性を持っているからです。

最も大きな変化はアメリカの中東産油国依存が下がること。これにより、アメリカの世界戦略に変化が起こります。歴史的にアメリカは中東には多大なコストをかけて安定化を図ってきました。例えばサウジアラビアが典型で、現在のサウジはアメリカの支援を受けたサウード(サウド)家が建国した絶対王政国家です。支援する理由は石油というアメリカの自国の利益を確保するため。

ところが、シェール革命により自国で天然ガスや石油エネルギーがまかなえるとなると、中東に依存する必要はなくなります。これまでアメリカは「世界の警察官」として指導的な役割を担ってきました。その背景の1つにあったのがエネルギー戦略。米国の中東の戦略的な位置づけが変わる影響は大きいと思います。

産油国である中東諸国にしてみると、最大の顧客であったアメリカが離れていってしまうことになります。結果、原油の輸出先は中国などにシフトします。そうなると、中東諸国への中国の影響が大きくなり、原油を運ぶコースであるシーレーンの防衛にも中国は力をより入れるようになっていく。

シェール革命の影響はロシアにも及びます。ロシアは今までは豊富な天然ガスを輸出することで経済を支えていましたが、アメリカのシェールガスによりロシアの優位性はなくなってしまう。豊富な資源を経済成長の原動力にしてきたロシアは危機感を募らせているのです。

■現代社会とエネルギー

今回のシェール革命の話であらためて思うのが、エネルギーの重要性だったり影響の大きさです。エネルギーって、普段の私たちにとっては空気のようなあって当たり前の存在です。スイッチを入れれば電気はつくし、元栓をひねればガスが出てくる。ガソリンで動く自動車が走り、電気で走る電車で移動も簡単にできます。

現代人の生活はあらゆるモノに囲まれています。食品、衣服、家・建築物、紙、ガラス、化学・薬品、道路・鉄道、車・船舶などのありとあらゆるもの。これらの生産や輸送のために膨大なエネルギーが使われています。日本の場合、モノの生産に全エネルギー消費の約半分が、輸送や配送も含めると全エネルギー消費の3分の2だそうです。参考:書籍「エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う」(石井彰 NHK出版新書)

現代文明の特徴として、①都市部への人口集中と、②それを支える高度に組織化された社会システムです。都市部に人口が集中するので、人々に必要な食料を都市部だけでつくりまかなうことはほぼ不可能です。そこで、都市の外部で食料が生産され日々運ばれてくる。生活に必要な資源供給も同様です。上下水道や道路網など私たちが当たり前に使っている社会システムを維持するためにもエネルギーが使われます。

都市部への人口集中とそれを可能にするこうした高度な社会システムを支えているのがエネルギーです。私たちの生活は大量のエネルギーを消費することが前提で成り立っています。安くて安定した大量のエネルギー供給がなければ、私たちの暮らしは一日たりとも維持できないくらいエネルギーに依存しているのです。

■人類とエネルギー

人間も含め動物は、1つの個体が1個体分のエネルギーを獲得/維持することができて、初めてその動物は長期での生存が可能になります。「必要エネルギー=獲得エネルギー」と均等になっている状態。もし「必要エネルギー>獲得エネルギー」という不足が続けば個体数が減りやがては絶滅、「必要エネルギー<獲得エネルギー」の余裕があれば個体数は増加します。

人類の歴史を振り返ると、狩猟⇒定住農耕の変化によって、1人当たり食料エネルギー生産が向上しました。それまでの狩猟生活では1人あたり1人分の食料エネルギー獲得だったために長らく人口は定常状態にあったのが、農業が導入され安定的に食料が獲得でき、1人で1人分以上の食料が得られるようになったのです。

これは何を意味するかと言うと、全員が農業をやらなくても人類は生きていけるようになったということ。農業に従事しない余剰人口が生まれたのです。支配者はこの余った労働力を活かし、例えばピラミッドとかの建設に当てたり灌漑などの土木工事に活かすようになります。

その後の産業革命によりこの流れは加速しました。より効率のよい石炭というエネルギーが大量に使えるようになり、余剰人口がますます増え、それが新たな財やサービスを生むという好循環。これが世界規模で起こった結果、現代の高度な文明に発展したのです。土台となっているのが、エネルギーの大量消費化と効率利用の追及です。

人類の発展は、エネルギーの大量消費化と効率利用の追及の歴史でもあります。

エネルギーの大量消費化について。人類史において、文明化の段階は大きくは農業開始、産業革命、現在の情報革命です(このあたりの話は「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」という本がおもしろかったです)。エネルギー消費で見ると、農業社会に比べ産業革命により3~4倍に増加、さらに産業革命開始時と現在では、エネルギー消費は40倍に増えているのだそうです。(もちろん、この間に人口も増えているので当然社会全体でのエネルギー消費は増えるわけですが、一人当たりエネルギー消費で見ても4倍と増加している)

エネルギーの高効率化について。産業革命前はエネルギー源の主流は薪炭でした。産業革命で石炭が使われるようになり、その後はより効率のよい石油にエネルギー源に移り変わります。エネルギーの効率さを比較するために使われる「エネルギー算出/投入比率」という指標(1単位のエネルギーを取り出すのに何単位のエネルギーが必要になるかという比率)。産業革命以前の主流エネルギー源だった薪炭ではこの比率が2~3倍だったものが、石炭で40~50倍まで効率がよくなりました。石油では中東などの巨大油田ではなんと100~200倍ともなるようです。

参考:書籍「エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う」(石井彰 NHK出版新書)



人類はエネルギーをうまく利用することで、多様な食料の安定確保、衛生状態の劇的な改善、衣料や暖房による生活レベルの向上、医療技術/制度の発展、等々で、乳幼児の死亡比率低下、長寿化が実現され、産業革命以降で人口は爆発的に増えました。


 出典:国連人口基金東京事務所・改
 図引用:DIPROニュース

★  ★  ★

シェール革命は、100年や200年に1回あるかないかの革命とも言われています。あれだけグリーンニューディールを叫んでいたオバマ大統領。ここ最近あまり聞かなくなったのはシェールガス/オイルが背景にあります。

シェール革命はアメリカ発の出来事ですが、エネルギーの話は世界中でつながっているのでグローバルで影響します。中東、中国/ロシアなどの新興国、アフリカ諸国、ヨーロッパ、もちろん、エネルギーの大半を輸入に頼っている日本も例外ではありません。

日本では「エネルギー問題=原発をどうするか」にフォーカスされがちです。本来は、エネルギー源の組み合わせの見直し、供給源の安定確保、二酸化炭素削減の環境問題としての側面、発送電のネットワークをどうするか、などの視点に加え、世界ではどんなエネルギー潮流が起こっているかも注目しておきたいと思っています。


※参考情報

シェールガス|Wikipedia
2013年、シェールガス革命で世界は激変する|東洋経済オンライン
エネルギー大変革 ~岐路に立つ日本の資源戦略~|NHKクローズアップ現代
シェール革命とはいうけれど|Newsweek斜め読み(池上彰)
米政府、天然ガス純輸出国となる予想時期を前倒しへ=EIA高官|ロイター




情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ
公文 俊平
エヌティティ出版
売り上げランキング: 181,121


投稿日 2013/01/13

注目しているGoogle Nowから考えるGoogleの描く未来

グーグルが提供するサービスで注目しているのがGoogle Nowです。

■Google Nowの特徴

Google Now(グーグルナウ)とはパーソナルアシスタント機能で、スマホなどの端末内のユーザー情報をもとに、そのユーザーが今必要であろう情報を提示してくれます。端末内のカレンダー情報、天気や交通状況、ユーザーのウェブ履歴などの複数のデータを連携/統合することで実現しています。

イメージとしては、カレンダーに目的地も含めて予定を登録しておくと、現在地と目的地への所要時間が提示され、駅や空港に着くと、現在時刻から次の便の出発時刻などを知らせてくれます。ユーザー自らが検索するのではなく、グーグルナウがユーザーにその時に必要な情報を提示するのが特徴です。

Introducing Google Now|YouTube


ちなみに、Google Nowの紹介ページには「Google Nowは必要な情報を必要なときに提供します」(Google Now gets you just the right information at just the right time.)と書かれています。なお、Google Nowが使えるのはAndroid 4.1以降の端末です。

冒頭で「Google Nowに注目している」と書きましたが、その理由はGoogle Nowはこれまでのグーグル提要サービスに比べて、一歩踏み込んだものだと思うからです。

比較として検索サービスとGoogle Nowを考えると、検索サービスは受け身なスタンスであるのに対し、Google Nowは能動的な性格を持っています。ユーザーがグーグルで何かを検索する際には、まず始めに検索キーワードを入れて、その後にグーグルが検索結果を返します。一方、Google Nowの特徴はユーザーがこれから必要であろう情報をGoogle Nowが判断し、ユーザーが聞かずとも知らせてくれるということ。

検索は欲しい答え(知りたい情報)をユーザーがすでに想定しているのに対し、Google Nowはユーザーが欲しいであろう情報を先回りして提示するのです。例えるならば、
  • 検索は、ユーザーが「こんな色でこれくらいの大きさの花を見つけてきて」と頼み、それに一番近い花を森の中から探し出す
  • Google Nowは、頼まれる前にユーザーの好みに応じて、「あなたが今欲しい花はこれだよね」という感じでGoogle Now自らの判断で森の中から探してきてくれる
というイメージ。

■Googleとユーザーの関係

この例えにもあるように、ポイントは「ユーザーの好みに応じて」の部分。Google Nowは、ユーザーのことをカレンダー情報、現在地や目的地、天気予報などのデバイスにあるいろんなから判断しています。

グーグルの強みはユーザーデータを広範囲に大量に集めていて、それを活用していることにあると思っています。イメージはこんな感じ↓


  • グーグル提供サービスを、ユーザーが利用すればするほど便利になる
  • グーグルも集まってくるユーザー利用情報を、①提供サービスのさらなる改善、②収益の柱である広告に活用する
ことで、ユーザーとグーグルの間で良い循環ができているのです。ここはグーグルの本質的な部分だと思っています。

で、これまではユーザー情報の収集は、どんな検索をしたか、どのウェブページを閲覧したか、Gmail、等々で、オンラインを中心にした情報でした。それに対してGogole Nowはスマホやタブレットに付いている機能なので、ユーザー情報取得範囲はオフラインにも広がります。モバイルの利用データを使える意味は大きいんですよね。

■Googleのさらなる挑戦

「そうそう、今欲しいのはこの情報なんだよね」。必要な情報をユーザーが検索しなくても、スマホがその時その時で欲しい情報を提供してくれる。

Androidを持っていないのでGoogle Nowを日常で体験したことはありませんが、自分の欲しい情報を言わなくても見せてくれるようになれば便利な機能だと思います。Google Nowというパーソナルアシスト機能が、自分にとってなくてはならないものになるかもしれません。

グーグルの狙いはまさにここで、ユーザーがどれだけグーグル提供サービスに「依存」してくれるか。依存すればするほど、それだけユーザーはグーグルを使うことになり、ユーザーデータも集まってきます。それをグーグルは広告という収益に変えることができる。グーグルの強固なビジネスモデルです。

PCをベースにしたオンラインの世界で、このモデルを築けたからこそ今のグーグルがあるわけですが、今後はこのモデルをスマホなどのモバイルや、ネットの外側のオフラインの領域でも構築できるのか。グーグルの未来を構成するカギの1つがGoogle Now。それと、グーグルが開発中のウェアラブルコンピューターの1つであるGoogle Glassです。

Google Glassも個人的にかなり注目しているプロダクトで、グーグルが描く未来の1つのカタチだと思っています。以下のYouTubeにあるイメージが実現される日もそう遠くないかもしれないですね。

Project Glass: One day...|YouTube



※参考情報

Google Now
Introducing Google Now|YouTube
Google Now - Boarding pass card|YouTube
Google、Android のGoogle Now をChromeブラウザに組み込みへ|engadget 日本版
Project Glass: One day...|YouTube


投稿日 2013/01/12

あったらいいな:電子書籍で期待したいこんなサービス

Kindle Paperwhiteで電子書籍を読むことにもだいぶ慣れてきました。コンテンツがまだ十分ではない、速読には紙の本のほうがしやすい、などの電子書籍のデメリットもある一方で、メリットも感じています。例えば、
  • ストアから買ったその場でダウンロードされすぐに手に入る。紙の、購入⇒郵送⇒到着と比べて入手スピード感が違う
  • 本の気になった箇所を気軽にハイライトで残したり、ハイライトはWeb上のKindleページで一覧になっている
  • 混んでる電車ではiPod touchで読み、自宅ではKindle本体で続きを読める。デバイス間でつながる
など、電子書籍ならではの便利さがあります。

とはいえ、本が紙という物理的なモノから電子書籍というデジタル形式に変わったことの利便性はもっと出せるのではと思います。デジタルの特徴をまだまだ活用しきれていない。今回のエントリーでは電子書籍でこんなサービスがあったらいいのに、というのをいくつか書いてみます。



■紙で買った本は電子書籍でも提供される

現時点で一番期待したいのがこれのBook版です。Amazonがアメリカで開始したAutoRip。
アマゾン、CD購入でMP3も無料入手できる「AutoRip」を提供開始|CNET Japan

仕組みは単純だけどかなり魅力的で、AutoRip対応のCDを購入したユーザーにはMP3版が無償提供されるというもの。CDをアマゾンで注文すればその場で同じ曲がダウンロードでき、CDはその後に届きます。過去に購入したCDでも、AutoRip対象CDであればこのサービスが適用されるとのこと(ただし1998年以降に購入したものに限る)。

これは何を意味するかと言うと、アマゾンからその曲の「聞く権利」を買うことであり、「CDで買った曲はMP3でも同じように聞けますよ」ということ。ユーザーが買うのは曲そのものであり、本来はCDに入っていようがMP3だろうがメディアは関係ないはずなんですよね。CDなりデジタルのMP3なりはあくまで曲を届ける媒体でしかない。

で、アマゾンに期待したいのが同じ仕組みをぜひ本でもやってほしい。紙の本を買えば同じ本の電子書籍もダウンロードできるサービスです(電子書籍を買えば紙の本も無料で送ってもらえる、でもよいです)。もっと言うと、AutoRipでは過去にアマゾンでCDもMP3配布の対象で、これを電子書籍でもできるといいなと。これが実現されると、過去に買った紙の本がキンドルに入り、今持っている紙の本は大半は処分できる。本の中からちょっと何かを探す時でも検索が使えて便利になりそうなんですよね。

ただ、Mashableの記事によれば、CDで実現したAutoRipもBook版の適用は難しいのではとの指摘もあります。Why Amazon Won't Give You Free Digital Copies of Your Movies and Books|Mashable。主な理由は、
  • CDに比べて本の種類が多くその分対応が難しい
  • 出版社が受け入れない
  • 音楽ではアップルのiTunesなどのライバルがありAutoRipをやることで競争優位性を出せるが、本の分野では競争相手が少なく本でAutoRipをやるインセンティブが少ない

■電子書籍の読み放題プラン

携帯電話にはパケット利用の定額プランがありますが、同じ考え方が電子書籍でできるとおもしろいと思います。例えば月5,000円で電子書籍読み放題プラン。毎月5,000円を払えば何冊でも電子書籍がダウンロードできる仕組みです。読む本が少ない月は2000円で多い月は4000円、というようなダブル定額もあってもよさそうです。

他にも、例えば、毎月1000円で月に3冊まで、毎月3000円で月に10冊までのようなプランも。もし上限超えれば1冊ごとに課金するモデル。場合によっては広告を表示させる広告モデルも併用する。

これらの価格設定でペイできるかは運用形態がどうなって、コストがどれくらいとか、もっと精緻に詰めないといけないと思いますが、事業者側にとって毎月継続してお金が入ってくるビジネスモデルは、利用者規模とコスト削減から損益分岐を超えれば魅力があるように思います。もっとも出版社や著者との収益配分の問題など、全てのステークホルダーを満たすのにハードルがありそうですが。

■レンタルとか電子書籍図書館

電子書籍のレンタルサービスもできるかもしれません。期間限定で「読む権利」を買う。ダウンロードして一定期間後に自動削除される仕組みです。削除せずに残しておきたいニーズがあれば、追加料金を支払えば削除されずに端末内に保存しておくことができるor紙の本が買える、などの付帯サービスがあってもよさそう。

レンタルに関しては、究極は電子書籍図書館の実現だと思います。紙の本は図書館で無料で「貸出/返却」をしますが、同じ仕組みを電子書籍に適用すると、電子書籍を無料で「ダウンロード/削除」できることになります。

電子書籍はデジタル形式なので、物理的な保存場所も不要だし、そもそも紙で言う貸出は単にダウンロードに置き換わるので、貸出中という状態がなくなります。利用者だけのメリットを考えると、何冊でもダウンロードできるという夢みたいな環境です。さらには、手元の端末でダウンロードし、一定期間後に削除も自動でされるので、紙の本では貸出/返却のために図書館に足を運んでいるのが電子書籍図書館では不要になります。

ただ、レンタルや電子書籍図書館も実現にはハードルがあるとは思います。ユーザーにはメリットですが、本を提供する側である作家や出版社、あるいは町の書店だったりアマゾンなどにとっては受け入れられないでしょう。有料で売れていた電子書籍というコンテンツが公共の図書館では全部無料。提供側の各ステークホルダーは反対なはず。もし実現したとしても長期で見れば作家さんがお金を稼げなくなるのではれば書籍文化が衰退してしまうので、利用者にとっても最終的にはマイナスです。

よって、現実的には電子図書館といえどなんらかの制限が課されるはずで、例えば、
  • 電子書籍のコピーは図書館側ではできない(各図書館はファイル分の書籍購入が必要)
  • 図書館での保有分しかダウンロード/アクセス権付与(貸出)できない。例えば3ファイルなら貸し出しは3人までと、結局は本への「供給<需要」になり順番待ちが発生
  • 利用者のダウンロード/アクセス付与可能数は1日あたり○冊、月に○冊に制限
要するに、電子書籍でも紙の本の貸出/返却とかなり近い仕組みになるということです。

レンタル/貸出中のユーザー側でのコピー制限をどう付けるかも課題です。ファイル自体のコピーは防げるとしても、やろうと思えば端末で全てのページの画面キャプチャを取り、PDFでつなげば電子書籍が作れてしまいます。紙で同じことをやろうとすると全ページを印刷して本にするというコスト/紙資源が必要ですが、デジタルだと時間があり手間を惜しまなければ、紙ほどお金かからずにできてしまうんですよね。

■切り売り、まとめ買いディスカウント、福袋やキュレーション提供

電子書籍といデジタルならではの提供方法として、本の中から一部のみの切り売りもあってもいいかもです。本は全ての章を読む必要は必ずしもないので、欲しい3章だけその分値段を抑えて買う、というイメージ。

価格と手に入るコンテンツの調整は紙に比べてデジタルはやりやすいので、他にも、1~10巻までまとめて買うとディスカウント(1冊あたりの値段がお得に)、福袋のようなどんなタイトルの本が入っているかは開けてみるまでわからない売り方も考えられます。

福袋スタイルは、ビジネス、小説などのカテゴリーと、最近人気の本、定番のベストセラーなどを選べ、選択範囲で10冊とかまとめて買える仕組みです。ただし何が入っているかは買ってからのお楽しみ。福袋同様に中には読まない本も入っているかもしれませんが、トータルで見ればお得感が出るようにしておく。紙と違ってデジタルなので保存場所には困らないし、本当にいらなければ電子書籍を端末から消去してしまえばよいですし。

他には、作家や著名人が進める本が毎月一定数配信してもらえるキュレーションのサービスもよさそうです。月1,500円で○○さんが選んだおすすめ5冊が毎月送られてくる、みたいな。アパレルでは服のキュレーションサービスが出てきていているので、それの電子書籍版です。

★  ★  ★

今回のエントリーでは電子書籍でこんなサービスがあるとおもしろいのでは、というものを挙げてみました。すでにお気づきの方もいるかと思いますが、どれも他の分野では実際にある既存サービスを、電子書籍に当てはめてみたものばかりです。最初のアマゾンのAutoRipはCD、携帯電話のパケ放題やダブル定額プラン、ビデオレンタルや図書館の仕組み、精肉の量り売り/切り売り、福袋、キュレーションサービス、など。

アイデアについて書かれた名著に「アイデアのつくり方」という本があります。アイデア作成の基礎となる原理とは、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない、と書かれています。

電子書籍でも世の中の既存アイデアを応用して、いろんなサービスができ、よりよい読書体験ができることを期待しています。


※参考情報

アマゾン、CD購入でMP3も無料入手できる「AutoRip」を提供開始|CNET Japan
AmazonのAutoRipサービスを早速試してみた―音楽CDを買うと自動的にクラウド版が提供される(日本にも展開予定)|Tech Crucn Japan
Why Amazon Won't Give You Free Digital Copies of Your Movies and Books|Mashable
電子書籍図書館は成り立つのか?|思考の整理日記


アイデアのつくり方
アイデアのつくり方
posted with amazlet at 13.01.11
ジェームス W.ヤング
阪急コミュニケーションズ
売り上げランキング: 305


投稿日 2013/01/06

イチローが語った生き方に見る 「勝ち続ける意志力」




2012年の12月29日に放送された NHK のプロフェッショナル 仕事の流儀は 「イチロースペシャル 2012」 と題した特別編でした。

2012年シーズンのイチローは、前年からの不調が続いていました。7月にヤンキースに電撃移籍したものの、移籍後も以前のプレーは戻りませんでした。
投稿日 2013/01/03

Kindle Paperwhite を買って実感した電子書籍のメリットとデメリット、依存リスク




マーケティングでは 「ドリルを買いにきた顧客のニーズは、本当はドリルが欲しいのではなく、壁に穴が開けること」 という有名な例えがあります。

2012年の年末に Amazon の電子書籍端末 Kindle Paperwhie を買いました。この例えがそのまま当てはまると実感しています。電子書籍端末を買う顧客のニーズは、端末そのものが欲しいのではなく、「より良い読書体験」 をすることです。

読書体験が変わったのは単に電子書籍をキンドルで読むことだけではなく、以下の読書フロー全体で新しい体験になったことです。キンドル購入前の予想以上でした。

  • 本を入手する
  • 読む
  • 保存する / 再読する
投稿日 2013/01/01

マーケティング3.0から考える2013年も大切にしたい人生観

フィリップ・コトラーが提唱したマーケティング3.0。

マーケティングの発展を三段階に分け、製品中心だった時代を1.0、消費者志向(顧客中心)の時代を2.0、そして価値主導になる時代が3.0としています。

書籍「コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則」に詳しく書かれていて、マーケ3.0における企業のマーケティングガイドラインは、
  • 企業のミッション
  • ビジョン
  • 価値
の3つが必要といいます。それぞれ、ミッション:なぜ(Why)、ビジョン:何を(What)、価値:どのように(How)と捉えることができます。

この3つのフレームは企業だけではなく個人レベルでもそのまま当てはまり、今回のエントリーでは新年なので人生観なんかを書いてみようと思います。
  • ミッション(Why):なぜ生きるのか
  • ビジョン(What):何をしたいか/成し遂げたいか
  • 価値(How):どのように生きるか

■ミッション(Why):なぜ生きるのか

なぜ生きるのか?これに対してはやや逆説っぽいですが、「死ぬために生きる」と考えています。人も含め生命のある全てのものに等しく訪れるのが死であり、自分自身もいつかは死を迎えます。「死ぬために生きる」というのは、自分の死が訪れた時に少なくとも精神的な充実・満足をもって息を引き取りたいという考え方です。

そのために、「今」を大切にしたい、と思っています。この考え方は人生観に近いものがありますが、これまでの「今」の積み重ねが今の自分で、「今」が積み重ねの先に未来がある。だからいかに「今」を一所懸命に生きるか。全ての「今」の合計が人生であり、「死」でもある。だから死ぬために生きる、と捉えています。

■ビジョン(What):何をしたいか/成し遂げたいか

生きる上で何をしたいのか。少し抽象的な考え方で、自分がいる今の世界vsもし自分がいない別の世界を比較した時に、どれだけ自分が存在するこの世界で、ちょっとでも自分が役に立つか、存在意義を出せるか、だと思っています。数式で表現すると、
自分がいる今の世界-もし自分がいない別の世界>0
引き算をした時に0より大きいというプラスになっていることが大事で、自分がいることで何かしらのプラスにもっていきたい。

プラス幅が大きければよいのですが、とはいえ歴史に残る偉業を成し遂げたいとかっていうレベルではなく小さなことの蓄積で良いとも思っています。例えば親孝行だったりの家族を大切にすること、友人/知人と楽しく過ごす、仕事でがんばって成果を出す、とか。

■価値(How):どのように生きるか

自分の中で大切にしている価値観は次の3つです。

「大切な人」を大切にする:大切な人って、自分にとっては存在が当たり前になってきたりします。親とかが典型で、いて当然な存在であるが故に、時として大切に扱わなかったりする。だから、「大切な人」をその通りに大切にしたい。親孝行だったり家族との時間を大切にするイメージです。

かっこよく生きる:男として人としてもかっこよく生きたいし、人からそう言われるというよりも自分自身で納得のいく生き方をしたいです。基準として持っているのが、自分が小学生くらいの子どもだった時に今の自分を見てどう感じるか、というもの。小学生の自分が「かっこいい」と思ってくれるような行動や選択を現在の自分がしたいと思っています。

常に成長し続ける:極端な話、死ぬまで何かしらの成長をしたいという思いです。なんていうか、生きている間はレベルアップをしていって、レベル99で死を迎えるのが理想だったりします。

★  ★  ★

2013年の1年を見通すうえで、自分の①ミッション、②ビジョン、③価値、という3つがあり、その先に今年の抱負や目標・やりたいこと、あるいはやらないことを決める、があると思っています。

昨年2012年は充実したいい年でした。今年もおもしろい1年になりそうです。




※参考情報
マーケティング3.0ってなんだろう?|In the looop


コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
フィリップ・コトラー ヘルマワン・カルタジャヤ イワン・セティアワン
朝日新聞出版
売り上げランキング: 3,759


最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。