投稿日 2013/07/06

2013年上期に読んでおもしろかった本(前編)

2013年も半分が終わりました(あとまだ半分も残っていると思うようにしています)。今年も本を読めていて、数えてみるとだいたい200冊くらいです。

全部を詳細で読んでいるわけではないのですが、その中からおもしろかった本をピックアップしてご紹介します。今回は前編で4冊です。

■働かないアリに意義がある

1冊目は「働かないアリに意義がある」

そもそも、なぜ働かないアリが存在するのか?「反応閾値」と呼ばれるメカニズムで、行動を起こすのに必要な刺激量の限界値のこと。反応閾値というラインを超えた刺激が与えられると行動に移せるけど、下回れば反応しないという仕組みです。反応閾値が低いとフットワークが軽く、高いと腰が重い、みたいなイメージです。

おもしろいのは、アリごとに反応閾値が異なるので、同じ仕事に対して反応閾値の低いアリAは反応し行動するけど、別のアリBは反応閾値が高いので同じ仕事なのに働かない(反応しない)。つまり、反応閾値の高くて腰が重いアリが「働かないアリ」。

働かないアリの意義は、バッファーです。常に一定の働かないアリという余力を持っておくため。働きアリの中にも反応閾値の違いという個性があり、働かないアリも「余力」として存在意義がある。多様性を持っておくことでアリの社会はうまくまわしているのです。

働かないアリの考え方は個人のあり方にも参考になります。働かないアリの話からの示唆をあらためて整理すると、
  • 働かないという余力/バッファーを持っておく、
  • 個性とか多様性が大事
  • 短期的には非効率でも長期では合理的

この3つを個人レベルに当てはめてみると、

働かないという余力/バッファーを持っておく:常に目いっぱいの状態よりも、ギアを1つ落としておく。余力を持っておくことで急なことにも対応できる。フルスピードにするのは本当に必要な時。仕事でもプライベートでも。見方を変えれば、自分で自分の限界をつくらないこと。いつでも1つ余裕を持っておく意識。

個性とか多様性が大事:自分は人と違っていてよい、という考え方。個性があることで組織全体に多様性ができてメリットになるのだから。

短期的には非効率でも長期では合理的:今やっていることがこの先に何の役に立つのかわからなくても、後からその経験が活かせることってよくあります。つまらない仕事でも、それをやっていたから今があるというか。同じ経験でも活かせるかどうかは、表面的な知識・スキルではなく、仕組みやメカニズムの理解だったりします。本質理解が重要。幹ができているのでいろんな花が咲かすことができる。

書評エントリーはこちら:ちゃんと役に立っている「働かないアリ」が教えてくれた3つのこと|思考の整理日記




■ビッグデータの正体

「ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える」。本書でおもしろかったのは、ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフトでした。

1. 限りなく全てのデータを扱う。n=全数:母集団と標本の話で、ビッグデータの世界では全部のデータが手に入るのだから、標本なんて作らなくてもいいよね、という。さっきの30歳男性の例に当てはめると、1000人からわざわざ全員を推定していたのはビッグデータ時代前の話で、ビッグデータの時代では80万人とかの全員のデータが簡単に手に入るから全員のデータを使うというイメージ。

2. 量さえあれば精度は重要ではない:いかに1000人を偏りなく選ぶための精度云々よりも、どれだけ数多くの人数のデータを集められるか、という話です。とにかく80万人に近いデータを入手できるか。

3. 因果関係ではなく相関関係が重要になる:この論点は本書で最もインパクトがありました。分析において、因果関係を考えるのは基本的なことであり、そのために分析をすると言ってもいいです。ちなみに「相関関係がある」というのは、AとBという2つが同時に起こることで、「因果関係がある」というのは、Aが原因でBが起こることです。

最も大きなパラダイムシフトは3つ目の「因果関係<相関関係」でした。本書で主張されているのは、ビッグデータにおいては因果関係よりも、何と何に相関関係があるかさえわかればよく、その組み合わせを見つけることが重要であるという考え方。これまではAとBというわかりやすい相関しかわからなかったのが、大量のデータをとにかくまわすことで、AとTという一見何の関係もない2つに相関があることを発見できるかどうか。極端に言うと、なぜAとTにどういう因果関係があるかは気にしないというもの。

個人的には、どれだけ示唆に富む相関関係を発見できるかを重視し、因果関係は考えないというのは慣れない話です。因果についてWhyを考え、それを1つ1つ定量的に見ていくのが分析のおもしろさだと思っています。

これがビッグデータというあらゆるものについて大量に、全数でデータが安価/迅速に手に入るようになると、Whyではなく相関というWhatに軸足が移るようになっていくのか。分析という考え方自体も変わっていくのかもしれません。

書評エントリーはこちら:因果関係よりも相関関係:ビッグデータがもたらすパラダイムシフト|思考の整理日記




■大便通

便は自分の健康状態を知らせる体からの「便り」である。そう言うのは「大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌」の著者である辯野善巳氏。

この本を読むとウンチは自分の食べたもの・腸内の通信簿のようなものだと、あらためて考えることができました。

体からの「便り」としてチェックすべきポイントは、色・臭い・量の3つ。
  • 色は、黄色がかった褐色が良い。これは腸内にビフィズス菌が多い証拠。注意が必要なのは黒色の大便
  • オナラや大便が臭いのは腸内環境が悪くなっていることを伝えるサイン。ビフィズス菌を多く含んだ大便は顔をしかめるような悪臭はしなくて、やや酸っぱい感じの発酵臭がする。悪玉菌の多い大便は腐敗臭を発する
  • 大便は毎日300gくらいが理想的。20センチのバナナ状の大便3本分くらいの量
その他の指摘としては、毎日出すこと。食事をして便として出てくるまでの体内滞在時間は12〜48時間で、3日以上出ないと便秘ということ。がんばって息むことなく出せることも良い大便の条件。

良い便を出すために何ができるのか。ポイントは腸内環境を良くすること。そのためには2つで、善玉菌を増やすことと食物繊維です。
  • 色や臭いをよくするには善玉菌を増やすとよい。ヨーグルトは乳酸菌やビフィズス菌をそのまま摂取できるので効率よく腸内環境を改善できる
  • 量を増やすには食物繊維が効果的。食物繊維は人間の消化酵素では消化されないため、摂ることで便の量が増える。量が増えると腸を刺激し、排泄するための腸のぜん動運動が引き起こされる。食物繊維には保水性があり、便の形を整えて柔らかくしてくれる働きもある。また、乳酸菌やビフィズス菌の餌となる
毎日のトイレのためにヨーグルトばかりや食物繊維の多いものをひたすら食べ、その他の食事を軽視するという本末転倒です。自分が食べた物が体内でどう使われるかが大事。その上で排出される物、便がつくられる環境(腸内環境)にも関心を持ってみるといいと思います。

書評エントリーはこちら:ウンチと健康について真面目に書いてみる|思考の整理日記




■究極の身体

「究極の身体」。身体構造や運動のメカニズムについて独自理論が展開され、わかりやすく書かれています。

究極の身体の定義は「人体の中で眠っている四足動物、あるいは魚類の構造までをも見事に利用しきることで生まれる身体」。

背 景にある考え方は、人間の進化は魚類⇒爬虫類⇒哺乳類⇒人間と経てきており、人間の身体には魚類や四足動物(爬虫類・哺乳類)の構造を受け継いでいる。① 魚類運動=脊椎を使った動作、②四足動物の運動=脊椎の体幹主導動作+4本足主導の動作、の両方を使えるのが本来の人間の身体構造で、それを実現できてい るのが究極の身体。

著者・高岡氏の問題意識は、究極の身体を持っているにもかかわらず、現在の人類の多くはその身体資源を使いきれていないこと。究極の身体を実現するためにどうすればよいかの詳細は本書に譲りますが、印象的だったのは、
  • 重心とセンター(軸)。センターとは、身体の重力線とほぼ一致するところを通る身体意識。センター意識が構築されると潜在的に、常時重力線の意識が存在することになる
  • 究極の身体に不可欠なのは重心を意識すること。そのために脱力が必要。脱力を立つという動作例でいうと、立つためのギリギリの筋出力で立つこと
  • 究極の立ち方は吊り人形のように頭部の糸を持って吊り上げ、そこからゆっくり下ろして足を接地させたような立ち方(緩重垂立)。体重を支えるギリギリのところまで力を抜いたプラプラの状態

身体動作とか身体のメカニズム・構造に興味のある方は、おもしろいオススメの本です。

書評エントリーはこちら:書籍「究極の身体」がおもしろい|思考の整理日記




投稿日 2013/06/30

書評「粗食のすすめ」

「粗食のすすめ 新版」が考えさせられる本だったのでご紹介。

本書での主張を簡単に書くと、「FOODは風土から。肉食中心のおかずをたくさんとる欧米型辺中の食生活よりも、日本人の体質に合うのはお米を中心とした食生活である」。

お米を中心にした食事とは、(できれば)玄米や胚芽米などの精製されていないお米とみそ汁を中心に、季節の副菜を1品、あとは漬物です。
投稿日 2013/06/29

奥さんの妊娠と転職の共通点から考える2013年の後半戦




明日で6月が終わるので、2013年もちょうど半分の折り返しです。

今年は自分にとって大きな変化が2つあった年でした。1つは子どもを授かったこと (9月に生まれる予定です)、もう1つは転職です。

10年後に振り返って見ても、2013年は人生の分岐点の1つになった年になるだろうなと思っています。

■ 奥さんの妊娠と転職の共通点

奥さんの妊娠と転職には共通点があります。自分一人ではコントロールできない領域が相対的に大きいということです。

子どもの話では、妊娠しているのは奥さんなので、例えばお腹の赤ちゃんの成長に対して自分ができるのは間接的な貢献になります。性別の役割なのでどうしようもないのですが、妊娠期間中の育児での自分の役割は、あくまで妊婦である奥さんのフォローです。

転職については、新しい環境になり、はじめはわからないことだらけでした。

2ヶ月くらいたった今でもまだまだ見えていないこともあり、自分でコントロールできない領域も前職の時と比べると多いと実感しています。日々試行錯誤で、たくさんのハードルを超え続けている感じです。

制約の中で自分にできることは何か、自分が活かせる場所はどこか (比較優位の視点) 。今まで以上に考えるようになりました。

自分がコントロールできるかどうかで大事なのが、どこまでがコントロールできる or できないかを認識することです。そして、どうすればコントロールできる領域を増やしていけるかです。その一方でできない領域については、できないのを前提に自分ができることに集中することです。

この考え方は、「7つの習慣」にでてくる第1の習慣「主体性を発揮する」です。

生き方として、自分がコントロールできることとできないこととを区別し、自分のコントロールできること (本書では「影響の輪」と表現しています) に集中するという習慣です。主体性を持つとは、人間として自分の人生に対する責任をとること、自分の行動に対する責任です。

「主体性を発揮する」は、7つある習慣の中で一番影響を受けている考え方です。

■ 刺激と反応の間には選択の自由がある

第一の習慣に出てくる話で印象的だったのが、「刺激と反応の間には選択の自由がある」でした。

何かが自分に起こったという刺激に対して、自分の感情反応は1つではない、つまり、刺激 → 選択 → 反応と、刺激と反応の間には「選択の自由」を持っている、という考え方です。

例として、発車間際の電車に乗ろうとして目の前でドアが閉まり乗り損ねたとします。

1つの選択は、「今日はついてないな」とマイナスの反応で考えてしまうことです。乗り遅れた → 運が悪い、という気持ちになるかもしれません。

別の選択は、「次の電車はすぐ来るし、発車間際の電車より空いているかもしれない、待ち時間も有効に使おう、乗り遅れても数分の差で大したことない」と起こったことに前向きに考えてみることです。

電車に乗り遅れたという出来事 (刺激) に対して、自分がどういう気持ちを持つか (反応) には選択肢があるのです。

どうせ選ぶなら意識してポジティブな反応をします。1つ1つは小さなことでも、積み重なると大きいです。自分の身に何が起こるかではなく、それにどう反応するかです。

自分がコントロールできない刺激に対して、自分の反応は選べる (コントロールできる) 、選択の自由があるのです。

■ 人生はスーパーマリオ

今はできないことでも、1つ1つクリアしていく。クリアする度にまた新しいチャレンジが始まる。この話をうまく表現しているのが、ソフトバンク・孫さんの「人生はスーパーマリオ」です。

弟である孫泰蔵氏は、かつて起業したばかりの頃、資金繰りや社内の人間関係に苦しみ人生のどん底にあったと言います。そんな時に兄である孫正義氏から以下の話を聞いたそうです。

泰蔵、辛いやろ。苦しかろう。ばってん、お前は今いい経験をしよるとぞ。その苦労や経験は必ず実となって今後お前の人生に絶対に役に立つ。

人生はスーパーマリオみたいなものだ。

最初に1面を始めたときを考えてみい。ザコキャラのノコノコにすぐやられるし、雲に乗ることもできん。だんだん習熟してくるとボスキャラのクッパにたどり着けるようになる。だけど、本当にクッパを倒せるまでに何度も死ぬことになる。そこで挫折しそうになるのをこらえて挑戦を続けて、やっとクッパをやっつけてピーチ姫を助けることができる。次の2面はまた一段と難しくなっとる。そこで何度も何度も失敗するけど、努力と訓練でスキルを上げてクリアしてゆく。

いまのお前は1面で苦労している段階や。それでいかにも俺に助けてもらいたそうな顔をしているけど、プライドがあって言い出せんのだろう。最初に言っとくけど、俺は助けてやらん。お前の今の困難はおれも経験したし、助けてやるのは簡単やぞ。だけど、ここで助けてたらお前のためにならん。

『そこの土管から3面にワープできるぞ』と教えるのは簡単やけど、いまのお前の実力では3面にいったら瞬殺やぞ。だから、1面、2面で『必ず経験しておくべき失敗をして』、そのうえでクリアしていって、やっと3面のボスキャラに対抗できる実力が身に付く。ここで俺がお前を助けて3面に行かせてやったら、そこで致命的な失敗をする。だから、ここは逃げちゃいかん。お前の勝負どころやぞ。

書籍「僕たちがスタートアップした理由」より引用

自分自身の考え方の1つに、これまでの「今」の積み重ねが今の自分をつくっている、いかに毎日きちんと生活するか、を大切にしたいというものがあります。過去の積み重ねが今で、今を重ねていくことで未来になる、全ての「今」を積み重ねたのが自分の人生であり、常に「今」というこの瞬間をいかに生きるかが大事、という考え方です。

マリオは様々な制約の中で、敵と戦ったり時には逃げながらもピーチ姫救出というゴールに向かっていきます。自分にできることは何か。2013年の後半も、チャレンジし勝負していきたいと思っています。


※ 関連エントリー

リスクテイク→変化→成長という方程式
刺激と反応の間には「選択の自由」がある
人生はスーパーマリオ
インテージを退職しました
転職して1ヶ月を振り返る
父親になるということ


投稿日 2013/06/23

因果関係よりも相関関係:ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフト




ビッグデータの正体 - 情報の産業革命が世界のすべてを変える という本をご紹介します。



ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフト


本書で興味深かったのは、ビッグデータがもたらす3つのパラダイムシフトです。

  • 限りなく全てのデータを扱う。N = 全数
  • 量さえあれば精度は重要ではない
  • 因果関係ではなく相関関係が重要になる
投稿日 2013/06/23

ウンチと健康について真面目に書いてみる

健康のために食べるものに気を使う方は多いと思います。バランスの良い食事を心がけたり、カロリーや栄養素を考慮した食べ方、などなど。

その一方で、食べた物がどう出てくるかにはあまり注意が向けられていません。ウンチってむしろ目を背けたくなる存在ですよね。関心があるのは出てくる頻度が少なくなる便秘くらいかもしれません。

便は自分の健康状態を知らせる体からの「便り」である。

そう言うのは「大便通 知っているようで知らない大腸・便・腸内細菌」の著者である辯野善巳氏。この本を読むとうんちは自分の食べたもの・腸内の「通信簿」のようなものだと、あらためて考えることができました。
投稿日 2013/06/22

書評: 2100年の科学ライフ (ミチオ・カク)




2100年の科学ライフ という本をご紹介します。



エントリーの内容です。

  • 本書の内容と特徴
  • 2100年の未来とは
  • 未来は不確実だからこそおもしろい
投稿日 2013/06/16

眼鏡型コンピュータの次はインターネットコンタクトレンズ




今回は、ウェアラブルコンピューターについてです。眼鏡型コンピューターや、期待しているインターネットコンタクトレンズについて書いています。

エントリー内容です。

  • ウェアラブルコンピューターへの期待
  • インターネットコンタクトレンズとは
  • レンズを媒体に脳とネットが直接つながる?

投稿日 2013/06/15

書評「続ける」技術

「続ける」技術という本がおもしろかったのでご紹介。

タイトルの通り、何かの行動を続けるためにはどうすればよいかが書かれています。内容はシンプルで、論理的でわかりやすい内容でした。実際に自分が続けたいこと・習慣にしたいことに使ってみて、応用もしやすいです。

■ターゲット行動とライバル行動

本書では「続けたい行動」をターゲット行動と呼び、2つに分けます。やりたいことなのか、やめたいことなのか。やりたいことの例は、英語の勉強をする、ランニングなどの運動をする、など自分にとってプラスになるであろうこと。後者のやめたいことの例は、ついついTVを見てしまうのをやめる、ダイエットのために甘いものを食べない、禁煙をする、などなど。
投稿日 2013/06/09

自動車 × インターネットという有望フロンティア




今回は、自動車の将来的な有望性を考えます。

携帯電話もパソコンも便利になったのは、インターネットにつながったからです。

ネットというオープンなネットワーク系に高速・常時・低コストでアクセスできるようになったことは画期的だったと思っています。

ネットアクセスを期待したいもので残っているのは、テレビや家電、そして自動車です。
投稿日 2013/06/08

データ分析だけだとまだ五合目くらい

Facebookの広告配信サービスは関心があります。例えば、
  • Facebook Exchage:ユーザーのサイト閲覧履歴に基づいて広告を掲載するリターゲティング広告
  • Facebook Custom Audiences:広告主が事前に用意した顧客リストに基づき、自社のFacebook広告を顧客に配信する。購入頻度に応じて広告を配信したりできる
  • Facebook Lookalike Audiences:ターゲットにしたい顧客と似ているユーザーに広告を配信する
どれも、FB内のユーザーデータを活用するものです。ユーザーの関心や趣味/嗜好などをもとに、より適切なメッセージを適切な人に広告を出すことが期待できます。

■自社データ+外部データの統合

上記3つのうち、特に興味深いのが2つ目のFacebook Custom Audiencesです。広告主側で持っている自社データ(顧客リスト等)と、広告主から見た外部データ(FBデータ)をつなぎ合わせる。自社+外部データの両方を使うことで、よりユーザーのことがわかり広告配信に活用していくというもの。

自社で保有する顧客リスト・購買データ・自社サイト閲覧行動などのデータをマーケティングに活用するのがこれまで主流であったものが、そこに外部データも紐付けていくのが今後の方向性だと思っています。

外部データというのは、例えば自社以外のサイトでの閲覧履歴、リアル店舗での購買情報などです。自社以外でのオンライン情報だけではなく、オフラインでの顧客情報を集約し紐付け、一元管理する。1つに統合したデータベースをマーケティングに活用する。もちろんマーケティングにとどまらず企業のあらゆる活動にも生かせます。

■データ分析の先

自社+外部データを統合してデータを見ていくというのがビッグデータ時代の潮流になると思っています。

データの活用の仕組みをつくるために気をつけたいと思っているのが、手段と目的を混合しないこと。自社+外部データの活用で言うと、データを統合して一元化するというのは手段です。統合されたデータを使って何をするのかという目的が大事。

本来データを使ってマーケなどに活かすというのは、始めに目的があり、そのためにどんなデータが必要なのか、そのデータはどうやって集めてくるか/保存するか、どう使えばよいのか(集計ツールなど)、という順番です。

それがビッグデータと言われるようなユーザーのアクセスログだったり、デバイスの利用ログが自然発生的に大量に集まってくると、データ使用目的を明確にする前に、すでに目の前にはデータが存在することになります。集まったデータの山を見て「何をしようか」と考える。

料理で例えると、膨大な食材が用意されているけど、それを使ってどんな料理/メニューをつくるかを考えるのはこれから、という状況。もっと言うと、大量データの中には使えないデータも多くあったりするので、食材の中には石・砂・葉っぱのような食べられないものも実は混ざっている、という感じ。

これからのビッグデータの時代で求められるのは、あらゆる食材をどう使うかを考えること、考えるだけではなく実際に料理をつくってみる、つくった料理を他のメニューとどう合わせるか、何よりその料理を実際に売れるものにすることです。食材を集めて終わりではなく、どう活用するかが問われる。

データの利用に話を戻すと、データを集計し分析だけで終わるのではなく、むしろ大事なのはその先。分析結果のSo whatは何なのか、それをどう活用するのか、そして、実際に施策として次の行動を起こす。ここまでやって初めてデータを分析する価値があるし、ここが難しくもありデータを扱う醍醐味でもあると思います。


※参考情報
FacebookのAPAC責任者が語るマーケ論~実名IDがもたらす古き良きバー体験 -INTERNET Watch


投稿日 2013/06/02

Web広告の「反応者ターゲティング」というパラダイムシフト

ブラウザでウェブを閲覧をする仕組みは「往復はがき」で考えると理解しやすいと思っています。仕組みとしては、
  • 往信はがきを送付:PCから、ウェブページのコンテンツ情報があるサーバーに閲覧したいというリクエストを送る
  • 返信はがきの住所を確認:サーバーはユーザー情報(IPアドレス/ドメイン/ブラウザ種類等)を確認する
  • 返信はがきが届く:ユーザーのブラウザにコンテンツ情報が表示される

■Web広告とTVCMの違い

ウェブページの多くには広告が表示されていますが、ウェブ広告が画期的だったのはコンテンツサーバーと広告サーバーが別々になったことでした。往復はがきの例えで言うと、ユーザーははがきを2通用意し、コンテンツ情報が入っているサーバー宛と広告情報が入っているサーバー宛にそれぞれ送っています。

なぜこれが画期的かの理由は、コンテンツは同じ情報なのに広告はユーザーごとに適切なものに変えられるからです。例えばこのブログエントリーを見ているユーザーに表示されるコンテンツ(ブログ記事)は同じですが、広告内容はPCだと上部/スマホは下部に表示される内容はユーザーごとに違うのです。

これができるのは、コンテンツサーバーとアドサーバーが別々で運用されているから。この仕組はアドネットワークサーバーでも第三者配信サーバーでも基本的には変わらないものです。

一方のTVでは、番組とCMの放送配信局は同じなので、同じ番組を見ている視聴者には誰もが同じCMを見ることになります(例:サッカー日本代表の試合で、ハーフタイム中に流れるCMはみんなが同じものを見る)。

もしTVもWebと同じ仕組になれば、番組は同じものを見るけれど、車が趣味のAさんの家のTV1には車のCMが、来年小学生になる子どもを持つBさんの家のTV2にはランドセルのCMが、みたいなことができるようになるわけです。同じ世帯でもリビングのテレビと寝室のテレビでも違うCMを流すこともできます。

Webの世界では、(発展途上であるものの)広告配信のユーザーごとの最適化ができています。Web広告配信の最適化には様々な手法があって、
  • 行動ターゲティング:ユーザーにクッキーファイルを配り(正確には利用ブラウザに配る)、クッキー内に記録されるブラウザ情報・閲覧履歴や検索ワード・ユーザーIDなどを参照し広告を配信する
  • リターゲティング:特定のサイトに訪問したユーザーに、別のサイトで関連する広告を出す。例えば、商品サイトを訪れたユーザーに、別のニュースサイトに訪れた時にもその商品の広告を出す
  • リターゲティング拡張:↑の応用みたいなもので、リターゲティングの対象となったユーザーと似た人を選び出し、広告を出す。商品サイトに訪れたユーザーとウェブ行動が似ているユーザーは、「(まだ商品サイトには訪問していないけど)恐らく同じような関心を持っているよね」というロジック。商品サイト未訪問者なので見込み新規ユーザーに広告が出せる
  • オーディエンスターゲティング:サードパーティクッキーなどの広告主の持つ情報以外の外部データも活用し、より精緻にターゲティングを行い広告を配信する

■反応者ターゲットという考え方

「ビッグデータ時代の新マーケティング思考」という本で強調されていたのは、ターゲティングの考え方が変わる、ということでした。

従来のターゲットの考え方は、年齢や性別のデモグラ・価値観などのサイコグラフィック・行動特性などのユーザー情報からターゲットを「事前に想定する」ことでした。こういうユーザー層がターゲットになりそうと事前にしっかりと絞り込むイメージです。ターゲットを絞り、そこに向けて広告を配信する。

一方で本書で強調されていたのが「反応した人がターゲット」という考え方。ざっくりとターゲットは想定はするものの、広告をまずは配信してみて、それに反応した人たちをターゲットにするという従来とは逆の考え方、パラダイムシフトです。

反応者をターゲットにする考え方で重要になってくるのが、反応者をどう捉えるかになります。

反応者をどうグループ分けをするか。デモグラ、ジオグラ(エリア)、サイコ(心理的属性)、ビヘイビア(行動)、などに加え、ニーズで分けられるかもポイントだと思います。反応者はなぜ反応したのか、その裏にはそれぞれのニーズがあり、ニーズごとにグルーピングができるかどうか。

従来のターゲティングはターゲットを事前に想定することにウェイトを置いていたことに対して、反応者ターゲティングでは実際に反応した人をターゲットとして、その後に反応者をどれだけ分析できるかにウェイトが置かれます。PDCAで言うと、従来型はPに比重が、反応者ターゲットではまずDをやってCとAに比重があるイメージ。

■反応者ターゲットで問われる「データ活用」

反応者ターゲットの考え方はおもしろいものだと思いました。従来のターゲットの考え方は狙うことに集中しているので、撃った後のことはあまり重視されていませんでした。というかそもそも撃った後にどうなったかが知る術がなかったのです。例えばTVCMをやっても、誰が見て、その人たちにどれくらいのCM効果があったのか、つまり事前想定ターゲットが正しかったのかの検証ができなかった。CM出稿と配信後の売上という、最初と最後しかわからなかったのです。

反応者ターゲットでは、広告は誰が反応したのか、AとBの広告のどちらのクリエイティブに反応が良かったのか、反応した人の行動特性までわかります(クッキーが削除されないことという前提がありますが)。そうすると、まずはやってみて、反応者がわかり、その人達に対してどういう対応をして、という感じで次のアクションにどんどん進む、つなげていくことが可能になります。

データ分析の醍醐味は単に分析して終わりではなく、分析結果から次への示唆、ネクストステップにどう活かすかです。反応者ターゲットの考え方では、反応者した人というターゲットの発見から始まり、反応者をどう括るか、グルーピングした各反応者群にどんなアクションを取るのか、など、一歩踏み込んだデータ活用が期待できます。そうしなければ進化はないのではと思っています。





投稿日 2013/06/01

Do を重視する PDCA サイクル。自分の気持ちを信じてさっと行動するために


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前々回のエントリーでは、転職して1ヶ月後の状況を振り返ってみました。思ったポイントは3つあって、

  • とにかく自分から行動
  • 比較優位を意識する
  • 自分のやりたいことは何か

参考:転職して1ヶ月を振り返る


今回のエントリーでは1つ目の「とにかく自分から行動」について、もう少し考えてみます。

投稿日 2013/05/26

ネット広告の今後の課題:広告本来の目的を実現するために




インターネット広告の何が画期的だったかを知るには、従来のマス広告と比べてみるとよくわかります。


マス広告と比べたネット広告の特徴


ネット広告では広告媒体がネット上であるため、広告スペース (在庫) はマス広告よりも多いと言えます。従来のマス広告ではテレビ・新聞・雑誌内の時間やスペースなど限られています。

ネット広告は、広告測定にも特徴があります。どれくらい広告が表示されたのかのインプレッションや、クリック数、コンバージョンを測れるようになりました。

広告の課金体系も実際にクリックに応じてが主流です。一方、マス広告は広告を出稿した分の課金でした。
投稿日 2013/05/25

転職して1ヶ月を振り返る


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転職をして1ヶ月がたちました。振り返って見るとあっという間にすぎて、実感としては3ヶ月や半年前に転職をした感覚です。中身の濃い1ヶ月でした。

転職後に会った友人や知人からは、転職後の近況を聞かれます。今回のエントリーでは転職して1ヶ月後の状況をご紹介します。具体的には次の3つです。

  • とにかく自分から行動
  • 比較優位を意識する
  • 自分のやりたいことは何か
投稿日 2013/05/19

書評「リスティング広告 プロの思考回路」

「リスティング広告 プロの思考回路」という本をご紹介します。ネット広告の1つであるリスティング広告(ユーザーの検索結果に連動して広告が表示される)の基本的な考え方と、実践的な内容もバランスよく書かれています。

■リスティング広告のプロが持つ2つの視点

リスティング広告で大事な3つ視点は、
  • 自社(広告主)を知る:ランディングベージ(LP)に訪問者に本当に伝えたいことが書いていない
  • 競合を知る:そのキーワードで出稿しても、(同じキーワードで出稿している)他社に勝てない
  • お客を知る:その広告文で本当にクリックされるのか
まさに3Cのフレームそのものです。

リスティング広告のプロたちが実践している2つがあって、
  • 「お客さまは必ず自社(広告主)と競合他社を比較している」ことを念頭に置く
  • 「比較されたときに勝てる武器は何か」を理解している
検索結果に連動されるリスティング広告は、ユーザーが自分のニーズを検索キーワードという形で表現し検索した時に初めて広告が表示されます。ほとんどの場合、競合他社の広告も出ます。これはリスティング広告の特徴。

つまり、比較されることになるので、他社と比べられても自社が選ばれる「武器」がなければ、自社広告が上位に表示されても他社に取られるか、自社広告をクリックされるだけで終わってしまいます。よって、「比較された時に勝てる武器は何か」を理解することが非常に重要。

■リスティング広告の3つの要素

リスティング広告は、①キーワード、②広告文、③ランディングページ(Webサイト)の3つが一体となって初めて大きな成果が出るもの。リスティング効果が高い時は3つのバランスがいいし、効果が出ていない時はバランスが崩れている。

3つの要素それぞれに対して、比較された時に勝てるかという視点が大事だと理解しています。

広告出稿前にキーワードを深掘りする際には、候補となるキーワードについてどんな広告主が入札しているか調査してみます(例:Googleで検索)。その時に広告表示される数(広告主)が多いほど、そのキーワード市場の競争が激しいことがわかる。見方を変えるとその市場はお客ニーズも多いとも言えます。

リスティング広告として表示される広告文も「比較されている」視点は大切です。本来、広告文には自社商品/サービスの特徴が端的に書かれてものであるべき。巧みな広告文で集客できても(クリックされても)、サービス内容と広告文が乖離しれていればコンバージョンされません。いくら広告文で競合と差別化されていても、最終的には正しい情報(ユーザーのニーズにあったもの)につながらないと意味がないのです。

ランディングページでも、ユーザーやお客の立場で考えることが大事。ランディングページの目的は、サービスの特徴を一目でわかりやすく伝えること。そのためには、ランディングページでは自社の強みをまず訴求し、その強みがお客様の役にも立つ・メリットがあることを伝える。お客さまに安心感を与えて納得してもらいコンバージョンにつなげる。大切なのは、ターゲットの具体的な想定と、お客にとって「買わない理由が見つからないページ」にすることです。結局のところは、このランディングページは、お客のニーズに本当に答えているか。

★  ★  ★

本書がおもしろかったのは、小手先の技術やテクニックではなく、リスティング広告運用でどういう考え方をすればよいかまで踏み込んで書かれている点です。単にクリック率や広告スコアを上げるにはどうすればいいかではなく。

一通り読むことでリスティング広告の理解も進むし、ケース例とともに説明されているので、具体的なイメージも持てます。タイトルにあるように「リスティング広告のプロの思考回路」が学べます。




投稿日 2013/05/18

「男の子の子育ては楽しい」と思えるようになるためのしつけ方

「言うこと聞かない!落ち着きない! 男の子のしつけに悩んだら読む本」という本のターゲット読者は母親でした。

お母さんから見て男の子の行動は理解できない、言うことは聞かないし、落ち着きがない。本書はそんな「男の子って大変」をお母さんの考え方ひとつで「男の子って楽しい」に変えられますよ、というメッセージが趣旨です。

■しつけとは教えること

印象的だったのは、「しつけ」についての考え方。子どものしつけのイメージは、叱ったり強く言い聞かせたりと半強制的に子どもを変えていくと思いがちです。

本書で書かれていたのは「しつけとは教えること」。これはこうするもの、とメッセージを伝えることであり、言ったその場で子どもの行動が変わるかどうかは関係がない。教えるという伝えた時点で「しつけ」はできている。この考え方は、いいなと思いました。

男の子の子育てでは、厳しい対応をしてすぐに子どもの態度/行動を変えようとするのは逆効果。そうではなく、気長に教える、伝え続けることが大事だそうです。そもそも、これが本来のしつけである、と。

「しつけ」を「教えること」と捉えると、本書で書かれていた躾のポイントもすんなりと自分の中に入ってきました。
  • 気長に繰り返し教える:2回や3回は言い続けたことにはならない。10回でも100回でも教えるくらいの気持ちで
  • 正しくないことを叱るより、正しいことを褒める:例えば、靴を脱ぎっぱなしにしたこと(正しくないこと)を叱るのではなく、靴を揃えて脱いだ時(正しいこと)を褒めてあげる。きちんとやった行為こそ、認めて褒めてあげるべき。一般的には逆のパターンが多く、子どもが良くないことや親が困ることをすると怒るケースが多い。正しくないことを叱る場合でも、「それはダメ、◯◯しようね」と軽く教えるくらいにする
  • させないこと/してほしいことは具体的な言葉で伝える:疑問文の叱り方ではなく、具体的な行為を伝える。例としては、NG:いつまで起きてるの→OK:もう寝なさい、NG:どうしてそんなことをするの→それはしてはダメ。単語だけの叱り方も子どもには伝わりにくい。例えば、「ひじ!」ではなく「食事中にひじをついてはダメだよ」と子どもが理解できるよう具体的に表現する
  • 北風ではなく太陽方式で:おもちゃを片づけないとお菓子抜き、のような脅しや罰を与える北風方式ではなく、片付けたらおやつを食べようね、と子どもが自ら進んでやろうという気持ちにさせる

■子どものしつけは「ありのままを受け入れる」ところから

親の心得としてあらためて大事だなと思うのが、子どものありのままを受け入れること。子どもと向き合って、認めてあげることです。

お母さんにとって男の子の子育てが大変なのは、男の子は異性だから。これが本書のキーメッセージの1つ。自分の子供でも1歳にもなればもう男性なので、理解できない言動が出てきます。それに対して「どうして◯◯なの?」ではなく、「男の子だから仕方ないか」と受け入れてあげる。

できなくて当たり前と認めてあげて、じゃあどうすればできるようになるかを前向きに、子どもと一緒に考えていくようなしつけです。

子どものありのままを認める時に大事だなと思ったのは、まずは子どもの気持ちや行動を受けとめる言葉をかけること。自分が男だからわかるのですが、男の子は親には何でも認めてほしい傾向があります。自分の中ですごいと思ったことをやって「えっへん」という気持ち。

だから、子どもへのしつけも「Yes, but...」でやりたいもの。まずはYesと認めてあげる、その後で正しいこと・やってはいけないことを教える。本書のエピソードを引用します。
お母さんが体育館でママさんバレーの練習をしているときに、3歳くらいの男の子が2階席から「おかーさーん!」と行って、突然手を振ったのです。

お母さんは、「ちょっと、もうっ!どこに上がってるの!降りなさい!」。男の子はしょんぼりし、しぶしぶ降りてきました。お母さんのその言葉は、子どもの行動を認めていないからこそ出た言葉です。

では、どうすればよかったのかというと、こうです。子どもの気持ちとしては、お母さんに気づいてほしかったから呼んだのです。お母さんにも手を振ってほしかったから手を振ったのです。

だから、子どもに呼ばれたのだから、愛想返事でもいいので「はーい」と言って、手を振ってから「そこへ行ったらダメよ。降りなさい」と言えばよかったのです。自分の行動と気持ちが少しは認められたことで、子どもはうれしく、喜んで降りてきます。

引用:書籍「言うこと聞かない!落ち着きない! 男の子のしつけに悩んだら読む本」

秋に生まれる子どもは男の子なのか女の子なのかまだわかりませんが、「Yes, but」の伝え方は忘れないようにしたいなと思っています。




投稿日 2013/05/12

YouTube 有料チャンネルを開始した Google の狙いを、ビジネスモデルから考えてみる




YouTube が有料チャンネルを開始


YouTube が、月額課金制でチャンネルを開設できる新サービスを開始しました (米国時間 2013年5月9日) 。


まずはパイロットプログラムとしてのスタートのようです。チャンネルに登録 (サブスクリプション) したユーザーから課金できるもので、最低料金は月額99セントからです。

全てのチャンネルに14日間の無料トライアル期間がつけられ、年間契約でディスカウントもされるとのことです。

今回の YouTube 有料チャンネルが、Google のビジネスモデルにどう影響するかを考えてみます。
投稿日 2013/05/11

鏡に映った自分とどう向き合うか

「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」という本では、「良い企業(good company)」と「偉大な企業(great company)」の違いを6年に渡り調査し、得られた知見から偉大な企業の法則をがまとめられています。趣旨は、どうすれば良い企業は偉大な企業になれるのか。6つの法則が提示され、1つ目が「第五水準のリーダーシップ」です。

■第五水準のリーダーシップと謙虚さ

第五水準というのは調査の過程で明らかになった経営者の能力の5つの段階のうち、最も高い段階。5つというのは下から順に、
  1. 有能な個人:才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする
  2. 組織に寄与する個人:組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力する
  3. 有能な管理者:人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追求する
  4. 有能な経営者:明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える
  5. 第五水準の経営者:個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる
4つ目の段階までは意外感はありませんでしたが、第五水準は独特のものだと感じました。とりわけ謙虚さを挙げているのが印象的です。

謙虚さについて本書で強調していたのが「窓と鏡」という考え方。成功した時と失敗した時の捉え方/考え方で、
  • 窓:成功を収めた時は窓の外を見て、成功をもたらした要因を見つける。まわりのメンバー、外部要因、幸運など
  • 鏡:結果が悪かった時は自分に責任があると考える。他人や外部要因、運の悪さのためだとは考えない
最近思っていることが、謙虚さって大事だなということ。自分には何が足りないかを常に意識していたり、良い仕組みや他人の優れた考え方/やり方を積極的に自分に取り入れる。常に学ぶ姿勢。「窓と鏡」の考え方にあるように、成功した時ほど驕るのではなく勝って兜の緒を締める。失敗した時は自分のことを振り返ってみる。

■鏡を見た後にどうするかが大切

鏡を見ることについてもう少し考えてみます。

自分のミスや至らなさを認識することも大切ですが、もう1つ大事なのはその状況から逃げないことだと思います。「自分は全然だめだ」と考えてしまうかもしれませんが、そんな自分を肯定しそこから一歩踏み出せるかどうか。自分のことをあきらめずにもう一回立ち上がってみるという決意です。鏡を見て、目の前にいる自分を客観的に捉えるだけではなく、受け入れ、じゃあどうするかを考え、ネクストアクションを取る。

良いところも悪いところも含めて今の自分を認めるという自己肯定感は、ここ最近、よく考えることです。大変な状況でも最後には「大丈夫」と思えるか、自分自身や自分のいる環境を受け入れられるか。色々と考えた後に、最終的には自分を肯定して、そこから前向きに考え、行動を1つでも起こす。そんなふうにありたいと思っています。

一度くらい跳び越えられなくても、もう一度跳んでみようと思えるかどうか、それを自分の意思で決められるか。この積み重ねが大事だなと。

米Yahoo!の現CEOであるマリッサ・メイヤーはある対談で次のように言っていました(対談当時はGoogle社員)。
I always worked with the smartest people I could find. You surround yourself with the smartest people. They just challenge you and elevate the way you think and make you think harder and deeper about things.
それはサイコーに頭の良い人たちに囲まれて仕事するような職場だったということ。彼らは自分に挑戦状を叩きつけてきた。それが自分の思考レベルの水準UPにつながるのだ。いままでよりもっと一生懸命考え、ずっと深く考えなければついていけないような環境だ。

And I always did something that I was a little bit not ready to do.
もうひとつの共通点はそれらが「背伸び」しなくてはいけない、ワンランク上の仕事だったということだ。

(引用:サイコーに頭の良い人たちに囲まれて仕事するような職場を選ぶこと そして「背伸び」しなくてはいけないワンランク上の仕事を引き受けろ マリッサ・メイヤー|Market Hack)
この考え方は同意です。あえて厳しい環境に身を置くチャレンジをしてみる。受け身ではなく主体的にそういう場へ飛び込んでみる。

思うのが、自分には大変な状況になった時に、そこから「背伸び」ができるかどうかが分かれ目になるのではということ。まわりの自分より頭の良い人たちに最初は圧倒されますが、その環境や自分の足りない部分を受け入れて、そこからジャンプしようと前向きに捉えられるかが大切だと思っています。

鏡の自分に正面から向き合えるか。映った自分を受け入れられるか。そして、そこから前に一歩踏み出せるか。このあたりがここ最近の自分のテーマです。




投稿日 2013/05/06

資産運用を30年続けるためのMyルール

資産運用を続ける上で大切にしたいと考えているルールは次の通りです。
  • 自分が何に投資をしているかを理解する(投資リターンの源泉を把握する)
  • PDCAをまわし続ける
  • 普段のニュース/情報収集・投資のための勉強は怠らない
  • 時間をかけ過ぎない
今回のエントリーでは、あらためて自分の資産運用/投資を続けるために心がけたい内容を整理しています。

■自分が何に投資をしているのかを理解する

考え方として、「分からないものには投資をしない」は大事にしたいです。投資する自分のお金の行き先をちゃんと知っておくこと。

大切な自分のお金だからこそ、投資したお金が何に使われているのかを知りたいんですよね。投資信託であっても、どんな企業にどれくらい投資しているのか。その企業はどういうビジョン/理念のもとで、何をしていて、どんな価値を世の中に提供しているのか。投資対象の利益を出す本質的な源泉はどこにあるかを自分が把握していること。

鎌倉投信の鎌田社長がセミナーで言っていた言葉で印象的だったのが、「投資の最大のリスクは自分が何に投資しているかがわからないこと」でした。

■PDCAをまわし続ける

資産運用を取り組むにあたって、PDCAをまわすこと。そのためのポイントとしては、
  • 現状把握と目標設定:今持っている全ての資産状況を見える化(ただし家電などのモノの資産は除く)。資産形成の目標は人生設計から「60歳で1億円」と設定
  • 資産運用の戦略:運用するにあたって、リスク・期待リターンの設定、目標資産配分(アセットアロケーション)を持っておく
  • 戦略の実行へ:将来資産のシュミレーション、投資する金融商品の選定。設定期待リターンと実際のリターンのズレを確認。目標資産配分が保たれているかを調整していく
戦略的な資産運用を続けていきたいと思っています。戦略とは、「あるべき姿」と「現状」の2つを結ぶもの。現状⇒あるべき姿(ゴール)にどうやってたどり着くかを考える。

資産に当てはめると、「現状資産」と「目標資産」のギャップを埋めるのが資産運用だと考えています。人生設計から見た時に「いつまでに・どれだけの資産」というゴールを設定する。

戦略は実行して初めて価値があるもの。考えた戦略は仮説にすぎないので、実行する中で仮説検証をしていくイメージです。資産運用で言うと、運用という実行を通じて、設定した期待リターン通りになるか、現在の資産配分を目標とする資産配分に維持できるか。

■ニュースの自分事化する。投資の勉強を怠らないように

資産運用に取り組むからには、やるべきことは怠らないようにしたいと思っています。普段からニュースや世の中の動きに関心を持っておくこと。アンテナを張って、ニュースが自分にどう関係するのかも考えるようにしたい。

ニュースの背景や影響、それが自分の投資にどうつながるのか、自分にとってどういう意味があるのか、などを考えてみる。世界も含めた世の中の出来事に対して、自分事にできるよう意識してみる。

資産運用のための勉強も怠らないようしたいです。直近の話題で言うと日本版ISA(アイサ。先日、名称がNISA(ニーサ)と決まったようです)。少額投資非課税制度で、投資金額100万円分までの株式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金(分配金)が非課税となるもの(13年現在は10.147%で、14年からは通常20.315%の税金がかかる)。まだ細かいところまで理解しきれていないので、このへんの情報アップデートもしていきたいところ。

■資産運用自体に時間をかけすぎない

本業である自分の仕事に集中すること。休日は家族や知人との時間、もしくは一人での時間を大切にすること。投資のための勉強をすると上で書きましたが、優先順位は自分の仕事に関しての勉強。本末転倒にならないように。

そのためには、資産運用のプロセスの自動化をしておきたいです。毎月の自動積立や、毎月・3ヶ月毎・1年毎の資産確認で何をするのか/やらないのか。目標は30年、無理なく続けられる仕組みとしてつくりたいです。資産運用は目的ではなく、あくまで手段と位置づける。

★  ★  ★

以前のエントリーで、ものごとを大局的に見るために意識したいことを書いています。参考:大局観を磨くための3つの視点|思考の整理日記

キーワードは「多・長・根」で、
  • 多:複眼で捉える
  • 長:短期ではなく長期スケールで見る
  • 根:物事の本質を問う
この3つは、資産運用においても大切にしたいと思っています。


※関連記事

今年こそ資産運用:本気で取り組みたいので戦略的に考えてみた
今年こそ資産運用(実行編):運用方針とか投資商品をご紹介

コモンズ投信の「はじめてのコモンズ」セミナーに参加してきました
ひふみ投信の「ひよこ塾」セミナーに参加してきました
鎌倉投信の「結い 2101」セミナーに参加してきました


投稿日 2013/05/05

仕事ができると思う人の5つの条件




転職してすぐにやったことは、仕事で自分に関係すると思う人に話を聞きに行くことでした。

30分くらい時間をもらって1対1でミーティングを設定し、その人のチームや組織の話、他の組織との連携、その人の主な業務と問題意識をどこに持っているかなどを共有してもらいます。

様々な人の話を直接聞け理解が進み、自分のことも知ってもらう機会にします。今後も範囲を広げて続けていきたいことです。

色々な人と話をしていると、気づいたことがあります。この人は「仕事ができるな」と思う人に共通する条件です。

具体的には、次の5つです。

  • 前向きな心や向上心を持っている
  • 異なる視点で物事を見て、判断している
  • アイデア出し、具体的な行動をしている
  • リスクをとって挑戦している
  • 成果を意識している

以下、それぞれについてご説明します。
投稿日 2013/05/04

外資系企業への転職を決めた5つの質問。背中を押してくれた本もご紹介




2013年4月から新しい会社に転職し、2週間が経ちました。

今回のエントリーでは、転職を決断するにあたって参考になった本を5冊と、併せて本から学んだ考え方をご紹介します。具体的には以下です。

  • やりたいか、やりたくないか
  • 自分の本当の気持ちに向き合う
  • 「リスクをとる」 と 「変化をつくる」
  • 自分は何のプロフェッショナルを目指すのか
  • より困難な道をあえて選ぶ
投稿日 2013/05/03

親子で楽しむ 「子どもの才能をグングン引き出す脳の鍛え方と育て方」




今年2013年の秋に子どもが生まれます。

自分も父親になる自覚が出てからは、出産や育児への興味が出てきました。関連する本を読んでみたり、育児関係のニュースや話題にも関心が高まっています。

最近読んだ本が、5歳までに決まる!才能をグングン引き出す脳の鍛え方・育て方 でした。



5歳までの子育てで目指すゴールイメージ


本書に書かれていた子育てで目指すゴールイメージは、次のような子どもです。

  • 自己肯定感があり、前向きな子
  • 自分の頭で考え、自分言葉で表現できる子
  • 自立し主体的に行動できる子
投稿日 2013/04/29

リスクテイク → 変化 → 成長という方程式




プロゲーマーである梅原大吾氏の著書 勝ち続ける意志力 の冒頭プロローグには、次のように書かれています。

「結果を出す」ことと、「結果を出し続ける」ことは根本的に性質が異なる。勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない。

(引用:書籍「勝ち続ける意志力」

この部分を初めて読んだ時、いきなり先制パンチを食らった感じでした。なぜなら結果を出すことを1つずつ積み重ねると、結果を出し続けられる、と思っていたからです。しかし、梅原氏によれば2つは根本的に異なるのです。


「勝ち続ける意志力」とは


梅原氏が考える「勝ち続ける意志力」とは何でしょうか。
投稿日 2013/04/28

転職活動で学んだ採用面接でよく聞かれる5つの質問




2013年4月から新しい会社に転職しました。

転職活動中は、他の会社に面接を受けていました。数は多くはなかったですが、マーケティングやマーケティングリサーチの会社、IT / ネット系、外資の戦略コンサルなどです。


どの面接でもよく聞かれる質問


転職活動を通じて思うのは、どの面接でも聞かれる内容は共通点があることです。私の今回の転職では、業界を問わず、面接官からよく聞かれた質問は5つでした。
投稿日 2013/04/27

大局観を磨くための3つの視点


今回は、大局観の磨き方です。

この記事でわかること


  • 広い視点でものごとを見られるようになりたい
  • 大局観を磨く方法

ある本に書かれていた大局観を磨く3つの視点を解説します。

仕事でなど、高い視座から、より広い視野でものごとを見たり考えるヒントになると思います。ぜひ、最後まで読んでみてください。

投稿日 2013/04/21

投資したい会社とイチローの共通点から考える 「当たり前」 と 「習慣と仕組み化」




前回のエントリーでは、鎌倉投信の投資信託 「結い 2101」 セミナーのレビューをアップしました。

前回エントリー:鎌倉投信の 「結い 2101」 セミナーに参加してきました


セミナーで、鎌倉投信の社長である鎌田さんが、次のことを言っていました。投資したい会社を見分ける視点として聞きました。

いい会社ほど 「自分たちがいい会社」 と思っていないそうです。ただ当たり前のことをやっている認識です。実はそこがすごいのだが、自分たちはそうは思っていないとのことでした。


いい会社とイチローの共通点


この話を聞いた時、イチローが語っていた努力を思い出しました。

参考:イチロー、40歳にして惑わず ヤンキースでの決意|日本経済新聞(2013/2/13)


以下はイチローへのインタビュー記事からの引用です。
投稿日 2013/04/20

鎌倉投信の 「結い 2101」 セミナーに参加してきました


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鎌倉投信の 「結い 2101」 の説明会に行ってきました (2013年4月) 。

会場は原宿のとあるカフェの2階でした。説明会は鎌倉投信の鎌田社長がお一人で対応されていました。出向かえ・はじめの挨拶、説明を一人でです。

鎌倉投信は広告や宣伝はやっておらず、顧客とのコミュニケーションは今回のようなセミナーが中心とのことです。

セミナー参加者は15-16人程度で、時間は2時間ほどでした。

前半1時間が鎌田社長からの鎌倉投信や 「結い 2101」 の説明で、後半1時間は質疑応答でした。前半の説明では、結い 2101 はどういう方針で運営をしているか、投資している会社、これまでの実績についてでした。
投稿日 2013/04/19

インテージを退職しました


出社最終日にもらった花束


本日、2013年4月19日付で株式会社インテージを退職しました。インテージはマーケティングリサーチの会社です。

最終出社は一昨日の4月17日でした。その時はまだ気持ちの整理が着いていなかったのですが、2日経ち、思うところを書いてみます。


新規開発プロジェクト


インテージでは様々な仕事・経験ができました。全てはとても書ききれないので、1つだけ取り上げます。この2年間で関わった新規開発プロジェクトです。

このプロジェクトは会社の歴史を考えると、悲願とも言うべきものでした。
投稿日 2013/04/18

問題解決を一歩前に進めるための 「魔法の質問」


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だいぶ前の話になりますが、参加していたプロジェクトである問題が発生した時のことです。それまではプロジェクトは順調に進んでいましたが、問題が表面化したことでプロジェクト全体のスケジュールに影響を及ぼしかねない状況になりました。

そのプロジェクトでは海外のベンダー企業と一緒にやっていました。問題発生後、急きょ担当者に来日してもらい対応策を考えることになったのです。


「What can I do for you?」 という問いかけ


ベンダー会社の現地メンバーも入り緊急の電話会議をすぐに開きました。来日した担当者が向こうのメンバーに発生状況を伝え、問題の原因究明から着手へ。こちらの期待とは裏腹になかなか打開策が出ない状態でした。そんな状況での電話会議で、来日担当者がある言葉を現地メンバーに投げかけていることに気付きました。
投稿日 2013/04/14

新人の時に毎日のように怒られながら学んだ 「当たり前のことをやり続ける」 ことの大切さ


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今回は、私の社会人1年目の話です。

内容は以下です。

  • 毎日のように怒られていた
  • メンターからの学び
  • 今の振る舞いが自分を形成する
投稿日 2013/04/13

新人研修で学んだ 「事前準備」 の大切さ


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最近、自分の会社の新入社員からインタビューを受けました。


業務を理解するためのインタビュー研修


社内インタビューは、新人研修のプログラムの1つです。目的は、各部署の先輩社員にインタビューをして業務をより具体的に理解することです。

社内組織・お客さんとの関係・仕事内容をチームごとにインタビューをします。研修内で互いに発表し、会社の全体像を把握することを目指します。去年もインタビューを受けたので、今年は2回目でした。

この企画は毎年やっていて、自分が新人の頃からありました。

当時、ある幹部の方にインタビューをさせてもらいました。インタビューをまとめた発表資料をその方にも共有した後、1通のメールを返信いただきました。メールに書いてあったことは、その後の自分の仕事をする上でずっと大切にしていくことになる言葉でした。

「よいインタビューを行うためには、事前準備が肝要です。」
投稿日 2013/04/07

刺激と反応の間には 「選択の自由」 がある




7つの習慣 という自己啓発の定番と言える本で、印象に残っている考え方が 「刺激に対して自分の反応は選択できる」 です。

何かが自分に起こったという刺激に対して、自分の感情反応は1つではない。刺激 → 選択 → 反応とあって、刺激と反応の間には 「選択の自由」 を持っている、という考え方です。
投稿日 2013/04/06

ひふみ投信の 「ひよこ塾」 セミナーに参加してきました


レオス・キャピタルワークスのロゴ


ひふみ投信の 「ひよこ塾」 というセミナーに行ってきました。


参加した 「ひよこ塾」


主催は、ひふみ投信を直販で運営しているレオス・キャピタルワークスです。

「ひよこ塾」 というセミナー名から連想できるように、対象者は 「これからひふみ投信に投資してみようかな」 という人です。セミナーでは、レオスについて、ひふみ投信の仕組みや特徴、運用の方法、などを説明してもらえました。

説明を担当いただいたのは二人でした。取締役・マーケティング部長の方と運用部のシニアアナリストの方です。

運用チームの方がアサインされたのは、なんと私がしたセミナーの事前に、参加申し込み時にした質問を見てとのことでした。申し込みの際に 「投資する自分のお金がどのように使われているか (運用をどうしているのか) 知りたい」 と書いていました。
投稿日 2013/04/03

羽生善治の勝負哲学から考える 「自分を強くするリスクの取り方」




サッカーの岡田武史と将棋の羽生善治の組み合わせを見て思わず手にとった本が 勝負哲学 でした。この本は2人の対談本です。



本書の内容


興味深く読めました。対談の1つ1つのテーマについての会話のやりとりが深かったです。

サッカーと将棋、それぞれの戦いで培った、勝負勘の研ぎ澄ませ方、勝負どころでの集中力の高め方、そしてメンタルの鍛え方、などです。

厳しい勝負の世界に生きる2人が自分の哲学をおもいっきりぶつけ合った対談でした。読んでいて考えさせられることが多い対談本でした。
投稿日 2013/03/31

会議を充実させるために大切にしている3つのこだわり

プロジェクトマネジメントをやっていて、こだわりたいと思っているのが「会議」です。

会議は、プロジェクトを前に進めるために欠かせないものであり、プロジェクトの成否のカギを握ると言っても言い過ぎではないです。

会議というのは、関係者で集まり何か特定の話題について話し合う場です。直接に顔を合わせることでメールや電話ではできないようなコミュニケーションが可能になります。

情報の共有、議論・アイデア出し、何かを決める、など、会議をうまく使うことができればプロジェクトはスムーズに進みます。しかし、有効に活用できなければ、会議の時間をムダにしただけではなく、プロジェクトの進捗自体にも影響しかねません。

今回のエントリーでは、会議について大切だと思っていることを書いておきます。

■ その会議はコストをかける価値を生み出しているか?

会議を考えるにあたり、前提として持っておきたい認識が2つあります。
投稿日 2013/03/30

「はじめてのコモンズ」セミナー:参加目的と学び

前回のエントリーでは、コモンズ投信が主催する「はじめてのコモンズ」参加し、セミナー概要について書きました。

今回のエントリーはその続きで、セミナーに参加し考えたことを中心に書いています。前回は客観的なセミナー内容、今回は主観が主です。

■「はじめてのコモンズ」セミナー参加の目的

そもそもの今回の参加目的から。以前のエントリーでも書いたように、資産運用をするにあたり配分(アセットアロケーション)は次のように設定しています。
参考:今年こそ資産運用:本気で取り組みたいので戦略的に考えてみた|思考の整理日記
  • 現金/預金:15%
  • 日本株式:30%
  • 外国株式:30%
  • 外国債券:25%
コモンズ投信の投資信託商品である「コモンズ30」は国内30銘柄で構成されるので、コモンズ30に期待するのは、日本株30%の中に組み込むこと。なので、今回の参加目的は話を直接聞いて、組み込み判断をするためです。他の目的として資産運用・投資の勉強もありました。

投資信託という商品の中身は目論見書を読めば一見わかったような気になりますが、実は具体的な中身はよくわからないように思っています。投資方針や考え方、リスク等の説明はありますが、実際にどこにどうやって投資しているかの情報は、開示資料だけだとあまり見えてこない印象です。わかった気がするけど、どうもモヤモヤする感じ。

これって、「投資する自分のお金の行き先がよくわからない」ということ。結局のところ、自分は何に投資しているのかが把握できていない。大切な自分のお金だからこそ、投資したお金が何に使われているのかを知りたいんですよね。もう少し言うと、投資したお金に期待するリターンの源泉は何なのかということ。このあたりが、投資信託についての表面理解ではなく中身もちゃんと知りたい理由です。

なので、セミナーに参加し、コモンズ投信のトップである伊井社長から直接聞いてみたかったわけです。投資に対する考え方やファンド哲学、銘柄選定プロセス、選定された銘柄に何を期待しているのか、など。

このあたりは、やはり実際に話を聞いてみた意味はあったと思っています。

■アクティブ投資信託という選択

日本株への投資はTOPIXや日経平均に連動するインデックスではなく、アクティブ運用がいいと考えています。これはセミナーで伊井社長も話していたように、日本はすでに低成長時代に入っているため、TOPIXなどの市場インデックスはパフォーマンスは高くないと理解しています。市場全体に投資し、利益を得るのが難しくなっている。

なので、個別の優良企業を選ぶことになりますが、自分でどの銘柄が良いかを判断するのはとても難しいと思っています。自分はそういうプロではないし、そもそもそんな時間はない。代替案として、プロに任せることだと思っていて、それがアクティブ投資信託。投資する銘柄選択をアウトソースするイメージです。

重要になるのが、自分の投資先を選ぶことを託していいかを自分の頭で判断すること。そのためにさっき書いたようにセミナーに参加したわけです。

投資信託のメリットは、少額から積立てられる点。自分の資産運用の考え方は30年くらい継続できる仕組みにしたく、自動積立で手間(つまり時間)がかからないのが魅力です。

積立で投資をすることで、投資タイミングを分散させる「時間分散」もできます。時間分散は伊井社長も強調していました。というのも、世界的な金融緩和により株価などの振幅が以前よりも大きくなっていて(しかも世界中で動きが連動している)、国/地域の分散以上に時間分散でリスクを抑える考え方が大事になるからです。購入手数料が無い投信であれば、何回にも分けて買ってもコストを少なくして買えます。

■「日本株の投資≠日本経済への投資」という考え方

セミナーでの収穫の1つがこの考え方です:日本株の投資は、必ずしも日本経済への投資にあたらない。

グローバル化が進むことで、海外に進出する企業は世界中で収益を上げています。日本企業も例外ではなく、海外売上高が国内を上回ったり、大半を国外で稼いでいる企業も存在します。見方を変えると、それらの企業への投資は、海外の成長(と外国でのその企業の成長)によるリターンが投資期待になります。つまり、投資先は国内企業であっても、実質は海外に投資をしているという構図。

セミナーでの伊井社長のコメントとして「日本株、中国株というくくりはあまり意味がなくなってきているのではないか」、と。納得感のある説明として、新興国の成長から利益を得る場合には2つあって、
  • 新興国の企業に投資する
  • 新興国に進出している先進国企業(外資)に投資
前者の新興国の企業自体も成長はしているが、投資先として成熟していないケースもあり、であれば後者への投資で成長を取り込むのが有効ではないか、とのこと。

「日本株の投資≠日本経済への投資」という考え方の意味するところで、海外売上比率の高い企業への投資は世界に投資していると考えることもできるのです。

この考え方は目から鱗というか、あらためて気付かされた視点でした。

日本企業への投資=日本経済への投資と表面だけを捉えるのではなく、結局自分は何に投資しているのかを考えること。その企業の本業は何で、どこで稼いでいているのか。結果、投資リターンの本質的な源泉はどこにあるのか。

そう考える重要性を教えてもらったと理解しました。

とすると、上記の資産配分である、日本株:30%・外国株:30%の区分けも、形式的なものにすぎなくなるので、今後は少し変えることになるかも。


※参考情報
コモンズ投信の「はじめてのコモンズ」セミナーに参加してきました|思考の整理日記
今年こそ資産運用:本気で取り組みたいので戦略的に考えてみた|思考の整理日記


投稿日 2013/03/29

コモンズ投信の「はじめてのコモンズ」セミナーに参加してきました

コモンズ投信が主催する「はじめてのコモンズ」に行ってきました。

コモンズ投信の伊井社長が直接、会社概要や「コモンズ30」ファンドについて解説をしてくれるセミナーです。説明は他にも、資産運用のポイントや投資信託の選び方、保険や貯蓄についてなどかなり幅広く、投資全般について多岐に渡りました。

「はじめてのコモンズ」という名前からわかるように、セミナー対象者はコモンズに関心があったり、資産運用自体これから、という人たち。私自身も、コモンズには興味があるものの、まだ口座開設や投資はしていない状況です。

参加人数は6人で(定員10名)、会場はコモンズ投信の会議室。2時間の予定が、質疑応答も十分に取っていただき、終わってみると1時間程度の延長。伊井社長曰く「つい話しすぎてしまう」らしく、時間が延びるのは毎回のようです。

今回のエントリーでは、備忘録も兼ねてセミナーの概要をまとめておきます。客観的なセミナー内容が中心で、参加して考えたことなどの主観の部分は別のエントリーで書いています。なお、以下で書いている順番はセミナーの流れとは一部変えています。

■セミナー開始

はじめに伊井社長から出席者に簡単な質問から。質問は3つで、
  • コモンズをどこで知ったか
  • 資産運用経験
  • 今日聞きたいこと
各自の自己紹介やブリーフィングも兼ねている感じでした。

■コモンズ30について

「30銘柄(企業)を厳選し30年かけて長期投資する」スタンス。銘柄選定の考え方は、長期的に企業価値を上げている会社。30社への投資額はほぼ均等とのことでした。コモンズ30の詳細はこちら

銘柄選定プロセス:
  • 公開企業の3,600社のうち、リサーチや定量/定性分析から150社に絞る
  • 150銘柄をさらに絞込み30社を選定。イメージは150人から30人のベストなチームをつくる(全て4番バッターで構成されたかつての巨人のようにはしない)
30銘柄のうち、年間で3社程度は入れ替えをしているそうです。理由は、①自分たちが選定を見誤ったと判断した時、②社長交代などで選定基準から外れた時。

(結果的に)選定された銘柄の特徴は、海外売上高比率の高い国内大手企業が中心。世界(特にアジア)の成長を取り込める企業が選ばれている。コマツ、日産、ホンダ、日東電工、ユニ・チャームなど。コモンズ30の投資銘柄はこちら

金融業界関係者が買いたい商品がない問題意識を持っている。コモンズでは自分たちが買いたい商品をつくった。現在のコモンズ30の顧客数は3,000名で、そのうち積立比率は70%と業界最高水準。

■投資について

伊井社長からのアドバイスとして、「金融商品は旬のものは買わないほうがよい」。正確に言うと、人気のあるものを人気のある時に買わないこと(例:W杯や五輪で注目されたブラジル)。理由は、旬なものはその時点ですでに高値になっているケースが多いから。

世の中には旬な情報が溢れ目につきやすい。例えば、マネー雑誌、ネット、大手金融機関の情報はその時の旬なものを取り上げる傾向がある。短期的な雑誌売上やアクセス数を目的としているため。情報は鵜呑みにしない姿勢で、自分の頭で考えることが大切。

投資には2つのハードルがある:
  • 良い商品をどう選ぶか(投資対象)
  • 投資タイミング
投資タイミングのほうが圧倒的に難しいとのこと。投資のプロでもタイミングだけの勝負だけで勝ち続けるのは厳しく、ましてや一般人には困難。よって、時間分散の考え方・実践がポイントに。

投資の3つの原則は、①長期投資、②複利運用、③分散投資。特に個人投資家にはこの3つは大事であると考えているとのお話でした。

哲学として、「分からないものには投資をしない」。ただし、分からないことを理解した上での投資は可。大事なのは、利益を出す本質的な源泉はどこにあるかを把握すること。投資のリスクは価格変動よりも不透明性にある。

資産を増やすためには3つしかない:
  • 所得を増やす。自分への投資が必要
  • 支出を減らす。保険やローンの見直しがポイント。「保険はブラックボックス満載の商品」
  • お金にも働いてもらう
3点目のお金に働いてもらうは、ストックとフローの資産の両方を回すことが大切で、
  • ストック:預金などすでに余っている資産も時間分散を行う
  • フロー:毎月の余裕分も積立等で投資へ

■分散投資の考え方

世界的な金融緩和により株価などの振幅が以前よりも大きくなっている。それも、世界中で動きが連動している。よって、国/地域の分散以上に、「時間分散」の考え方が大事に。投資の方法としては、一定額を積立していくドルコスト法が有効。

ドルコスト法では、安い時にたくさん買え、高い時に少し買うことになり、結果的にうまく買える。毎月一定を積み立てるドルコスト法はプロにはなかなかできず、個人投資家の強み。時間を味方につけられる。

ただし、ドルコスト法は買うという「入口戦略」としては良いが、売り時の「出口戦略」は自分で考える必要がある。例えば、老後資金のために積立てている場合、65歳で換金することが決まっていれば、2-3年前から少しずつ解約していくとよい。一度に全て現金化するのはリスク。

積立のメリットは、(買うタイミングを決めるなどの)時間をかけずに続けられること。続けることが大事。上級者は、相場が悪い時は積立額を増やし、良い相場では減らすという調整はあり。

■日本株の投資≠日本経済への投資

グローバル化で、企業への投資が必ずしもその国の経済への投資ではなくなっている。伊井社長のコメントとして「日本株、中国株というくくりはあまり意味がなくなってきているのではないか」。海外売上高が大きい企業への投資は、海外への投資とも言える。

例えばダウ30銘柄のうち、16社は海外で儲けている企業。この間、ダウが史上最高値を更新したが、アメリカ国内の景気がいいというよりも、海外の成長を取り込んでいる企業の株価上昇と見ることもできる。

新興国の成長から利益を得る場合、以下の2つがある。
  • 新興国の企業に投資する
  • 新興国に進出している先進国企業(外資)に投資
後者で成長を取り込むのが有効ではないか。

■先進国への投資

先進国は低成長時代に入っている。TOPIXなどの市場インデックスはパフォーマンスは高くない。市場全体に投資し、利益を得るのが難しくなっている。よって、個別の優良企業を選ぶことが必要。

日本も同じ状況で(むしろこの傾向強い)、アジアなど世界の成長を取り込める一部の企業をどう選び投資するかがカギ。日本株は長期集中投資がキーワードではないか。

■今の金融業界の話

個人金融資産は約1,500兆円。大部分がシニアに偏っているのが現状(60歳以上で60%、50歳以上で80%)。一方の20-40代の現役世代は「歴史的にお金がない」状態。現役世代の1/4世帯で貯蓄なし。以前は数%程度だった。

結果、大手銀行や証券会社の金融機関はシニア層相手のビジネスをしている。シニア向けに資産運用のアドバイス。定期から投資信託商品を売っている。

■資産運用と資産形成

すでに資産を多く持っているシニア世代は「資産運用」、資産が少ない現役世代はこれから「資産形成」。資産運用は短期、形成は長期と時間軸の違いがある。

大手金融機関が資産運用向けのサービスを展開しているのに対して、直販やネット証券、ネットバンクの商品は資産形成に適している。アドバイスとしては、選ぶ金融機関を間違えないこと。

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以上は、セミナー内容の客観的な概要です。参加して考えたことなどの主観のエントリーはこちらです。(「はじめてのコモンズ」セミナー:参加目的と学び|思考の整理日記


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。