投稿日 2012/10/13

沈黙を破り、今すべてを語る:本田圭佑への独占インタビューがおもしろい


引用:SOCCER KING


サッカー日本代表 (2012年現在) の本田圭祐選手へのインタビュー記事をご紹介します。

『沈黙を破り、今すべてを語る』 本田圭佑 独占2万字インタビュー全公開|SOCCER KING (2012年10月11日)

2万字インタビューとあるように掲載量は多いのですが、読んでいて長いとは感じなく、読み応えのあるインタビュー記事でした。


「問い」 がインタビューをおもしろくする


インタビューは、本田選手の具体的なプレーの話から始まります。

テーマは、ボールをもらう前の動きの質です。ボールを持っていない時に、いかに相手選手のマークをかわしてフリーになるかです。本田選手のプレーの以前と現在との変化に迫ります。

本田選手がどう考え、何を目指しているかがよくわかる内容でした。インタビュアーの質問が非常によかったからです。
投稿日 2012/10/06

ぼんやり頭にさようなら。脳が冴える日常生活のちょっとした工夫


最近なんとなく頭がぼんやりする。集中力が続かない。記憶力が衰えたような気がする。そんなふうに感じることはないでしょうか?

今回は、日常生活でできる脳を活性化させる方法をご紹介します。

投稿日 2012/09/29

Google が 「自動運転車は5年以内に一般の人が利用できる」 との見通し (2012年9月) 。自動運転車は普及するのか?


グーグルの自動運転車


グーグルは2012年9月25日、研究を進めている自動運転車について 「5年以内に一般の人が利用できるようになる」 との見通しを示しました。


グーグルの見通し


以下は、日経産業新聞の記事からの引用です (2012年9月27日) 。

グーグルは2010年に自動走行車の開発に着手。これまでに30万マイル (約48万キロメートル) の走行試験を実施した。

この計画を担当するブリン氏は 「視覚障害者など自動車の恩恵に浴していない人の生活を改善できる」 と指摘。交通事故の減少や渋滞緩和にも効果があると説明した。

実用化に関連しては 「センサーの性能向上などが課題となる」 という。自社製造ではなく、自動車メーカーへの技術供与を検討している。
投稿日 2012/09/22

アイデアは組み合わせ:モノから情報への価値転換時代だからこそ覚えておきたい原理



社会構造を大きな視点で見ると、いくつかの変換点を経て今に至っています。梅棹忠夫は著書「情報の文明学」において、人類の産業の展開史は三段階を経たとしています。①農業の時代、②工業の時代、③精神産業の時代(以下、情報産業とします)。

梅棹の説明でおもしろいのは、農業・工業・情報産業を、生物学の比喩(メタファー)を使っている点にあります。受精卵が生まれ人間の身体が形成されるまでの、内胚葉、中胚葉、外胚葉の3つの段階です。ちなみに、内胚葉からは胃・腸などの消化器官、中胚葉からは骨・筋肉・血管、外胚葉からは脳神経や感覚器官がつくられます。社会構造変化の過程を、農業=内胚葉、工業=中胚葉、情報産業=外肺葉、となぞらえている。ここが梅棹の説明のユニークな点であり、おもしろいと思わせるアイデアの組み合わせなのです。

■S字波モデルから考える社会構造の変化

では、農業⇒工業⇒情報産業の移り変わりはどのように進んできた/進んでいるのか。これを考えるのに参考になるのが、書籍「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」に出てくるS字波モデル。本書では、近代化の過程を軍事社会⇒産業社会⇒情報社会の3つに分けていますが、興味深いのはそれぞれが重なり合いながら変化してきている点です。

引用:書籍「情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ」(公文俊平 NTT出版)

この図で太字で示されている近代化過程を分解すると、小さなS字波である軍事化・産業化・情報化になるのですが、現在図の縦の点線が示す通り、軍事化の定着、産業化の成熟、情報化の出現という3つの局面が同時に起こっています。注目しておきたいのは、特に産業化(工業化)がある程度発展しきって成熟に向かっていることと、情報産業化社会が今後急激に発展していくこと。

■モノから情報へ

工業化⇒情報化はどのような社会変化をもたらすのか。この点を詳しく書いているのが最近読んだ「モノから情報へ (-価値大転換社会の到来)」という本でした。本書の主張は「情報の価値がこれまでのモノに取って代わって、大きな役割を果たし始めている」というもの。

情報の価値の特徴に、モノの価値と比べて相対性が強いことを挙げています。情報の価値は受け手や、受け手自身の環境など、同じ情報でもTPOによりその価値が大きく変わります。例えば、ニュース記事もその問題/領域に関心がある人とそうでない人とでは、重要度が異なります。あるいは、リリース直後に読むのと、後から時間が経ってから知るのとでは情報の鮮度が違います。つまり同じ情報でも価値が異なる。もちろん、モノの価値も使い手によって変わりますが、より価値の相対性が強いのは情報のほうでしょう。

もう1つ、本書の指摘でおもしろかったのは、「情報の価値は組み合わせによって生まれる、組み合わせは相手を選ばない」、というもの。モノとモノの組み合わせパターンに比べて、情報や知識の組み合わせは多く、組み合わせから生まれる価値をいかにうまく活用するかという指摘です。その意味では、よく言われるクリエイティブ力とは、「それぞれの情報要素の関係を見極め、その関係性から新たな価値を生み出す/組み合わせる力」と言えます。

■アイデアは組み合わせである

情報の価値は組み合わせから生まれるというのは、名著「アイデアのつくり方」に書かれていることと同じです。本書では、アイデアをつくるための原理を、①アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない、②既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい、としています。要するに、アイデアは組み合わせであり、そのためには関連性を見分ける才能が重要ということ。

そして、アイデアを生み出し具体化する方法が以下のプロセス。
  1. 資料・データ集め
  2. 資料・データの咀嚼
  3. 問題を放棄し、心の外にほうり出してしまう
  4. アイデアの誕生
  5. アイデアを具体化し、展開させる
興味深いのは3⇒4の部分で、情報を頭で理解・咀嚼した後はいったん置いておくこと。その間にアイデアが組み合わさり、誕生するのを待つ。「アイデアのつくり方」の原著の初版は1940年に出ていて、今なお読み継がれることは考えさせられるものです。

アイデアは組み合わせであり、いかに組み合わせるかがアイデアの価値の肝になります。そこで自分自身が意識しているのが、異なるものの共通点や類似点を考えてみることだったりします。以前のエントリーでAmazonとサザエさんに出てくる三河屋のサブちゃんの共通点を書いたことがあります。(参考:「仕組みの問題」で考えるAmazonと三河屋のサブちゃんの共通点|思考の整理日記

アマゾンに限らずレコメンドはいかに各ユーザーのことを知ることが重要になります。まずは性別や年齢などの基本属性情報、何が好きかなどの趣味・嗜好の特徴、そしてどんな行動をする人なのかの行動履歴。これらの情報をいかに集め、そこから何をレコメンドするか。

この点をアナログでうまくやっているのがサブちゃん。サブちゃんの登場シーンで思い浮かぶのは、「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」と台所の勝手口に現れる。サザエさんも「ちょうど良かった。お醤油が切れかけてたの。 お味噌もいつものを持ってきてくれるかしら」と、追加で味噌も注文する。これはサブちゃんがサザエさん一家を知り尽くしているからこそなのです。

何も言わなくとも一回に頼む醤油の量も、どんな醤油が好みなのか、そろそろ醤油が切れかけていることも把握している。だから、頼まれなくても勝手口に現れて、「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」というタイミングの絶妙さです。購買情報やユーザーの嗜好を知り尽くすことでタイミングよくレコメンドし、+1の商品も買ってもらう。アマゾンと三河屋のサブちゃんの共通する仕組みです。

表面的な違いではなく、仕組みに着目してみる。構造が見えてきたら、他の分野で当てはまらないかを考えてみる。これこそが、アイデアの組み合わせ具体例の1つだと思っています。冒頭で書いた梅棹が、農業⇒工業⇒情報産業の構造と、内胚葉⇒中胚葉⇒外胚葉の受精卵の成長過程の仕組みを組み合わせたように。


※参考情報

複雑な社会変化をシンプルに見せるとっておきのS字波モデル|思考の整理日記
梅棹忠夫とドラッカーから考える情報革命のこれから|思考の整理日記
アイデアをつくるシンプルな原理と方法|思考の整理日記
「仕組みの問題」で考えるAmazonと三河屋のサブちゃんの共通点|思考の整理日記


情報の文明学 (中公文庫)
梅棹 忠夫
中央公論新社
売り上げランキング: 41398

情報社会のいま ―あたらしい智民たちへ
公文 俊平
エヌティティ出版
売り上げランキング: 315390

モノから情報へ (-価値大転換社会の到来)
佐藤 典司
経済産業調査会
売り上げランキング: 21193

アイデアのつくり方
アイデアのつくり方
posted with amazlet at 12.09.22
ジェームス W.ヤング
阪急コミュニケーションズ
売り上げランキング: 630


投稿日 2012/09/15

「仕組み」 から考える雑誌のビジネスモデルいろいろ




無料で送られてくるニッセンのカタログ


ニッセンという通販サービスがあります。定期的にカタログ雑誌が送られてきます。送付頻度は季節ごとなので、約3ヵ月に1度のペースです。

カタログは男性用 (メンズニッセン) 、女性用は細かくカテゴリーが分かれており、衣服以外にも便利グッズのカタログもあり充実した内容です。

カタログは無料です。カタログとともに例えば化粧品や健康食品の広告も入っています。一部には広告による収益も入っているかもしれませんが、ニッセン会員になれば秋号や冬号とカタログ雑誌が無料で手に入る仕組みです。
投稿日 2012/09/08

電子書籍図書館は成り立つのか?

区の公共図書館が家から歩いていけるくらいの場所にあるので、わりと頻度よく利用しています。最寄図書館はそれほど大きくないので自分が読みたい本はなかったりすることもありますが、区内の図書館で連携していて、他の図書館で欲しい本があれば最寄図書館に取り寄せてもらえる仕組みになっています。



図書館には予約システムがあり、ネットから本を検索しそのまま予約できる仕組みです。読みたい本のタイトルや著者名で検索し、図書館にあれば貸出状況などとともに結果が表示されます。本の検索対象は最寄図書館だけではなく区内にある図書館全体なので、読みたい本がマニアックなものでも結構ヒットするんですよね。予約すれば最寄図書館に送られ、貸出OKの連絡がメールで来る。あとは予約した本は最寄図書館に受け取りに行くだけなので、それなりに使いやすい仕組みがありがたいです。

■「図書館×電子書籍」というアイデア

ところで、この予約、読みたい本が貸し出し中の時やすでに他の人が予約している場合は順番待ちとなります。有名な本だと20人とかが既に予約していたりして、1人の人が借りて返すまでに1週間とすると、20週間待つことになります。次の借りる人のために他の図書館に移動する時間も考えると、なんだかんだで半年くらい先までは借りられない。なぜこのような順番待ちが発生するのかを考えると、本が「供給<需用」となっているから。人気の本や話題になっているものは不等号が大きくなり、半年待ちのような状況になります。

供給<需要について、もう少しWhyを続けてみます。

  • Why?⇒供給量が一定なのは図書館の保有冊数が限られているから
  • Why?⇒本の仕入れコスト/保有スペースが有限だから
  • Why?⇒本を買うのにはお金が必要/物理的管理スペースや管理コストが必要
  • Why?⇒本がお金かかり管理必要なのは「紙」だから

ここで思ったのが、もし紙ではなく電子書籍を扱う図書館ならどうなるか、という疑問です。仮に電子書籍はコピーして無制限に増やせる場合で考えると、電子書籍を増やすことはほぼコストなしで可能です。ファイルをコピー&ペーストするイメージ。保管スペースもサーバーになるので紙の本に比べて保管スペースは小さくなる。管理コストも紙の本のように人の手で元の本棚に返すようなコストは発生せず、運用コストも下がる。

紙ではなく電子書籍になった場合、上記の5回のWhyを後ろから逆に戻っていくと、本の供給≧需要が成立します。つまり、貸出中につき今は借りられないという状況は発生しない。

そもそもですが、電子書籍図書館では本を「貸す/返す」という概念自体がなくなるのではと思います。図書館が本を貸すのは、本の冊数が限られているので返してもらわないと次の人にまわらないから。だから無料で上げるのではなく無料で貸すという形をとっています。紙の本という限られた資源を利用者間でうまく回すために貸出と返却はセットになっていないといけないのです。

一方、電子書籍になると理論上はコピーしていくらでも増やせるので、返してもらう必要は必ずしもなくなります。借りるというよりも図書館から電子書籍を端末にダウンロードするという形式になるはず。もしくは中央のクラウドに電子書籍がありアクセス権が付与される構図。そうなると、今のように本を借りる/返すために図書館に行く必要もなくなり、ネット経由で端末にダウンロードする/アクセス権をもらうことが本を借りることになる。図書館からダウンロードできる本は、おそらく一定期間後(2週間後とか)には端末内から自動消去される、アクセス権付与の場合は閲覧権限がなくなる仕組みになるように思います。つまり、紙の本だと「貸す/返す」が、電子書籍だと「配布(ダウンロード/アクセス権)/削除」になる。

■現実的な電子書籍図書館モデル

ですが、果たしてこのようなモデルは本当に成り立つのでしょうか。利用者からすると、図書館からは電子書籍がタダでもらえる環境です。一定期間後に削除されてしまうとはいえ、やろうと思えば何冊でも読むことができる。読書が好きな人には夢のような状況ですが、本を提供する側である作家や出版社、あるいは町の本屋さんだったりアマゾンなどにとっては悪夢のような仕組みです。

有料で売れていた電子書籍というコンテンツが公共の図書館では全部無料。提供側の各ステークホルダーは絶対反対だろうし、もし実現したとしても長期で見れば作家さんがお金を稼げなくなるのではれば書籍文化が衰退してしまうので、利用者にとっても最終的にはマイナスです。よって、ここまで考えてきたような電子書籍図書館はモデルとして成立しないでしょう。現実的にはなんらかの制限が課されるはずです。例えば、

  • 電子書籍のコピーは図書館側ではできない(ファイル分の書籍購入が必要)
  • 図書館での保有分しかダウンロード/アクセス権付与(貸出)できない。例えば3ファイルなら貸し出しは3人までと、結局は「供給<需要」になり順番待ちが発生
  • 利用者のダウンロード/アクセス付与可能数は1日あたり○冊、月に○冊
  • ダウンロード後の一定期間後に端末内から自動削除、もしくは閲覧アクセス権がなくなる

要するに、電子書籍でも紙の本の貸出/返却と近い仕組みになるということ。

せっかくの電子書籍のメリットがあまり活かされない感じですが、それでも本を借りたり返すのに図書館へ行く必要がなくなる、借りた本をスマホやタブレット・電子書籍専用端末(キンドルとか)などのマルチ端末で読める、電子書籍が気軽に利用できるなど、魅力はあります。

■「電子書籍×パケ放題」というアイデア

電子書籍の図書館モデルを考えてみましたが、これを別の発想をすると、パケット定額サービスのような仕組みで成り立つのではないかと思いました。

スマホや携帯電話のパケ放題では毎月一定金額を支払うとネットやダウンロード・メールが使い放題になります。この仕組みを電子書籍に応用できないか、というアイデアです。例えばサービス形態として、

  • 無料登録で月に1冊まで読める
  • 毎月1000円で月に3冊まで
  • 毎月3000円で月に10冊まで
  • 毎月5000円で無制限で読める

読む本が少ない月は2000円で多い月は4000円、というようなダブル定額の仕組みも工夫できそうです。

月5000円会員以外は、上限超えれば1冊ごとに課金するモデル。場合によっては広告を表示させる広告モデルも併用。全会員に共通するのはダウンロードして一定期間後に自動削除される、削除が嫌な場合は追加料金を支払えば削除されずに端末内に残しておくことができるor紙の本が買える、など。

この価格設定でペイできるかは運用形態がどうなって、コストがどれくらいとか、もっと精緻に詰めないといけないと思いますが、事業者側にとって毎月継続してお金が入ってくるビジネスモデルは、利用者規模とコスト削減から損益分岐を超えれば魅力があるように思います。

ちなみに、冒頭で書いたように図書館を利用する前までは毎月の書籍代が数万円だったので、この電子書籍読み放題サービスは結構魅力です。スマホやタブレット、将来的にはもはや紙のように折り曲げたりできる薄い電子ペーパーも出てくるだろうし、これらの端末で連携された読書環境で、その他には(利用者にとって)変な制限などなければ、ぜひ使ってみたいですね。アマゾンあたり、ぜひやってくれないかな。


投稿日 2012/09/02

reCAPTCHA:認証の裏にある秀逸なアイデア




reCAPTCHA (リキャプチャ) というユーザー認証サービスがあります。このサービスの裏にあるアイデアが素晴らしいのでご紹介します。


reCAPTCHA の2つの役割


ウェブサービスへの登録時やブログにコメントする時に、以下のような認証画面が表示されます。reCAPTHA はスパムプログラムと人間を見分けるためのものです。

実際の認証画面は以下のイメージです。一度は使ったことがある方も多いでしょう。
投稿日 2012/09/01

書籍 「ワーク・シフト」 まとめ:孤独と貧困から自由になる主体的な生き方




WORK SHIFT (ワークシフト) - 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図 [2025] という本をご紹介します。



エントリー内容です。

  • 本書の内容。私たちの未来を変える5つの要素
  • 2025年のシナリオ (暗い未来・明るい未来)
  • 未来を変える3つのシフト。明るい未来のためには 「主体的に生きること」

投稿日 2012/08/25

Leap:優れたユーザーインターフェイスの1つの未来




今回のエントリーでは Leap (リープ) をご紹介します。

米 Leap Motion が開発した小型のモーションコントローラーです。百聞は一見なので、こちらの動画をご覧ください。


Introducing the Leap|YouTube


Leap の特徴と価格


Leap の特徴は、キーボードやマウスを一切使わずに、指先や手の動きでコンピュータを操作できることです。

空間上での操作がそのままディスプレイに反映されます。地図の拡大や縮小、画像の回転、指先やペンを使って細かい入力もできます。Leap Motion の About ページには、精度は既存のものより200倍、100分の1ミリの動きをも認識するとあります。 (2017年8月追記:リンク先が削除されていたので、こちらも削除しました)

技術的とともに驚いたのは Leap の価格でした。

Leap のサイトには70ドルとあります (2012年8月現在) 。今のドル円換算で5,500円程度です。

一般的に新しい技術が使われた端末は価格が高く、特に量産効果が期待できないリリース直後はなおさらです。しかし5,500円という価格設定は、イノベーターやアーリーアダプター層以外でも試してみたいと思わせる印象です。


資料作成と操作性


先ほどご紹介した Leap の紹介動画を見ると、可能性は色々と広がると思います。何かを操作する時に、どれだけ使いやすいかのユーザーインターフェイスは重要だからです。

例えば、プレゼン資料を作成する場合、最終的にはパワーポイントやキーノートを使います。

あらためて考えるとパワーポイントの操作性は非効率です。特に図解などのチャートを入れる時に、パワーポイント上で描くのと、紙やホワイトボードで描くのとでは効率が違います。

同じマトリクス図でもノートなら10秒でできるものも、パソコンでそれを作ろうとすると1分以上、細かい図の調整までやってしまうと5分や10分はすぐに経過します。

普段は当たり前のようにパワーポイントで作っていますが、このような無駄な時間は積みあがると結構な時間です。

なぜこのようなことが起こるかと言うと、ユーザーインターフェイスが悪いからです。パワーポイントの操作性やマウスとキーボードを使うという今のパソコンの主流である操作設計がそもそもよくないのです。資料作成のボトルネックです。

ちなみに、パワーポイントで企画書や報告書、プレゼン資料を作る時は、全体の構成を一度紙に書き、全体像のイメージを把握してからパワーポイントに入るようにしています。

いきなりパソコンに向かってパワーポイント作業から入ってしまうと、全体ストーリー構成よりも枝葉ばかりの作り込みに目が行ってしまいます。

もし、ノートに書くくらいの手軽さで、かつ手書きよりも洗練された図がパソコン上に作れ、調整してくれるような新しいインターフェイスがあればどうでしょうか。資料作成に使っていた 「作業」 時間が減り、その分を構成やストーリー・結論や提案を考えたりと 「思考」 時間にできるのです。


二次元操作のタッチパネル、三次元操作の Leap


モバイルの世界では、ボタンがたくさんあった従来型の携帯電話 (フィーチャーフォン) から、タッチパネル操作を前提とするスマートフォンが少しずつ主流になっています。2012年8月時点で、スマホの日本の普及率は5割程度です。

タッチパネルは直観的操作の代表的な例ですが、それでもまだ本当の直感的なレベルには達していません。タッチパネルという名前の通り、画面に触れて操作ができますが、画面は二次元なので操作も二次元の範囲を超えることはありません。

一部にシェイクしたり傾ける操作はありますが、タッチパネル操作は二次元です。それに比べて普段の私たちの動作は三次元なので、二次元と三次元の差の分だけタッチパネルの操作性は直感的ではありません。

今回ご紹介している Leap は、画面にタッチは必要なく空間上の動作をデバイスが高精度で認識します。つまり三次元の操作が反映されるのです。動画を見ただけで実際に Leap を使ったことはありませんが、より直感的な操作ができる印象です。

タッチパネルと違って、Leap は画面に触れる必要がないメリットはまだあります。画面を触れるということは、それだけ面上は不衛生になりがちです。空間上の動作だけでよいので、例えば医療現場では重宝されるのではないでしょうか。


優れたユーザーインターフェイスに見る 「おもてなしの心」


ユーザーインターフェイス (UI) というのは、人とデバイスをつなぐものです。

UI が使いやすいデザインになっているかどうかが、そのままボトルネックになります。何かを操作する時に、直感的な操作とはなるべくユーザーに使い方を考えさせないことです。重要なのは、UI の作り手側がユーザーへの 「おもてなしの心」 をいかに考え、提供できるかです。

Leap は手や指の動作からの入力、他にも音声認識があります。今後は表情認識からの入力もできるようになるかもしれません。

いかに人間の自然な動作がユーザーインターフェイスになるかです。今後のテクノロジー発展に期待しています。


※ 参考情報

Leap Motion
LEAP (About) (2017年8月追記:リンク先が削除されていたので、こちらも削除しました)
小型モーションコントローラー 「リープ」 、米ベンチャーが発表|日本経済新聞 (2012.5.22)
Introducing the Leap|YouTube
Controlling Computers With Hand Motion|WSJ Live

投稿日 2012/08/18

新入社員に伝えたい自分の頭で考えるための3つのこと




最近、自分の所属するチームに新入社員が入ってきました。


新人のメンターを務めることに


今の会社にはメンター制度があります。新人に先輩社員が一人つき、一緒に仕事を進めながら仕事に必要な考え方やスキルを学びます。OJT (On the Job Training) です。

新人のメンターを務めることになりました。あらためて新人にはどんなふうに育ってほしいかを考えるきっかけになりました。

まずはビジネスパーソンになってもらうこと、会社内だけではなくて外の世界でも市場価値のあるプロフェッショナルになってほしいです。

ビジネスパーソンなりプロフェッショナルにしても、大事なのは自分の頭で考えられることです。

今回のエントリーでは自分の頭で考えるために、新入社員に伝えたい3つのことをご紹介します。
投稿日 2012/08/14

スマートテレビは普及するのか?ビジネスモデルで考える理想の姿と現実




スマートテレビが、スマートと言えるための必要な要件は以下です。

  • ネットワーク接続され双方向性がある。テレビと、パソコン・スマホ・タブレット等の各種デバイスと連動する
  • テレビ上で各種アプリが使える。例えば、ソーシャルメディアと連携する
  • OS などのソフトウェアのアップデートでテレビが新しくなる (テレビを新しくする ≠ ハードの買い替え)
  • ユーザーインターフェイスが直感的な操作で使いやすい
  • 課金の仕組みができている
  • あらゆるコンテンツがいつでもどこでも自分の見たいタイミングで見られる
投稿日 2012/08/11

便利すぎるルンバ 780 を買って実感した 「ルンバの提供価値と新しい競争軸」


購入したルンバ 780 


先日、引越しをしました (2012年7月) 。


ルンバを購入


引越しを機に気になっていたルンバを買いました。

家庭用お掃除ロボットと言えばルンバという印象があります。先日の日経新聞記事にはルンバは国内で 70% 近いシェアとのことです (金額か個数かの何ベースかやデータソースは書いてませんでした) 。

参考:ロボット掃除機―アイロボット、シャープ (新製品バトル) |日本経済新聞 2012.8.9


買ったのはシリーズの最新で最高モデルのルンバ 780 でした (上記画像) 。公式サイトでは79,800円 (税込) ですが、ネットで調べてみたら45,000円くらいで売っていました。

翌日送られてきて早速使ってみました。まだ数回しかルンバで掃除していませんが、買ってよかったと実感できるほど便利です。
投稿日 2012/08/04

みんな大好き!コメダ珈琲店のビジネスモデル


先日放送されたカンブレア宮殿はコメダについてでした (2012年7月26日) 。放送内容はコメダのビジネスモデルが紹介されていました。

差別化されたコンセプト


まず印象的だったのはコメダのコンセプトである 「地域の人たちがゆったりできる場所を提供する」 ことでした。もともとはコメダ創業者である加藤太郎氏が 「お客がさっさと帰るような店は田舎では成り立たない」 と思い、事業を始めたのが原点だそうです。

コメダが一般の喫茶店とは差別化されていることがわかります。というのも喫茶店や飲食店では重要視している 「回転率」 をコメダでは追及していないのです。むしろお客さんには長居歓迎というスタンスです。
投稿日 2012/07/28

「仕組みの問題」 で考える Amazon と三河屋のサブちゃんの共通点




表面的な見た目の違いではなく、構造やメカニズムの違いに目を向けると新たな着眼点が見つかることがあります。起こった事象ではなく、背後にある 「仕組み」 に注目するのです。



Amazon のレコメンド機能


仕組みを考えると、A で成り立っている仕組みが B でも成り立たないか、という発想ができるようになります。

アマゾンと、サザエさんに登場する三河屋のサブちゃんで考えてみます。

アマゾンが力を入れている一つがレコメンド機能です。

レコメンド機能は、その人が買いたくなるであろう商品をおすすめしてくれます。レコメンドの元になっているのは、アマゾンでこれまで何を買ったか、欲しいものリストに何を入れているか、どんな商品を閲覧したかなどです。

確かに、レコメンドの精度はまだ不十分です。ある商品をクリックすると、おすすめ商品が関連するものばかりになってしまう時があります。もっと精度がよいレコメンド機能を期待しています。


三河屋のサブちゃん


アマゾンのレコメンドの仕組みは、購買情報や閲覧情報をアマゾンが持っているから実現できるものです。それだけ、ユーザーの一人ひとりを理解しているのです。

レコメンドをうまくやっているのが、サザエさんに登場する 「三河屋のサブちゃん」 です。

サブちゃんは、次のような一声とともに台所の勝手口に登場します。「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」 。

サザエさんも 「ちょうど良かった。お醤油が切れかけてたの。お味噌もいつものを持ってきてくれるかしら」 と、追加で味噌も注文します。

これができるのは、サブちゃんがサザエさん一家を知り尽くしているからこそです。

何も言わなくとも一回に頼む醤油の量も、どんな醤油が好みなのか、そろそろ醤油が切れかけていることも把握しています。頼まれなくても勝手口に現れて、「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」 という絶妙のタイミングです。


アマゾンとサブちゃんの共通点


サブちゃんは、磯野家の購買情報やサザエさんたちの嗜好を知り尽くしているのでタイミングよくレコメンドし、さらに追加で別の商品も買ってもらっています。

お客のことを深く理解し、そこから購買を促すというアマゾンと三河屋のサブちゃんに共通する仕組みです。


課題設定と問題解決も 「仕組み」 で考える


背後の仕組みに注目するのは、様々な場面で有効です。例えば、何か仕事上でミスが起こり問題が発生した場合です。問題を把握し、課題解決するために活用できます。

ミスや不備が起こった時、ミスをした当事者を責めてしまいがちです。

原因特定を担当者という個人レベルだけで、対応や改善策もそのレベルにとどまってしまうと、次もまた同じことが起こる可能性があります。容易な対策はミスを起こしてしまった担当者を変えることです。しかし、もし発生原因がそもそもの仕組みの問題だとすると、新しい担当者も同じミスしてしまうかもしれません。

問題が起こった時は個人ではなく、問題に焦点を当てるべきです。

原因究明では、なぜ起こったのかの仕組みの問題として捉えるのです。その上で、ミスが起こらないような仕組みとしての改善と、ミスが発生しても早期に発見できるチェックの仕組みを構築するという2つのアプローチで対応します。

仕組みやメカニズムに着目すると、他の業務プロセスが活用できるのではないかという視点が持てます。A で成り立っている仕組みが、別の B でも成り立たないかという発想です。一人の担当者や責任者を責めるより生産的です。

ミスを起こした側・起こされた側の双方にとって、今後はミスをなくすという win-win を目指したいです。


最後に


今回のエントリーで言いたかったのは冒頭で書いた、見た目の違いではなく、構造・メカニズムの違いに目を向けると、新たな着眼点が見つかることです。普段から 「メカニズムはどうなっているのか」 と考えるクセをつけておきたいです。

投稿日 2012/07/22

戦略の本質を考えるための3つのポイント


Free Image on Pixabay


戦略とは、あるべき姿と現状の差を埋めるために 「何をやるか」 です。目的を達成するためにやることとやらないことが明確にしたものが戦略です。

今回のエントリーでは、戦略を考えるためには何が大切かを考えます。

投稿日 2012/07/14

誰も幸せにしない 「自分がやった方が早い病」 を克服する仕事の任せ方


Free Image on Pixabay


対応しきれない仕事量を抱え、残業をしないと終わらない状況はビジネスパーソンであれば、誰しもが経験のあることです。

自分でやった方が早い病 という本は、全てを抱え込むことの原因として 「この仕事は自分でやった方が早い」 と思うことを問題と捉えます。



本書に書かれているのは、「自分でやった方が早い病」 の原因と治療法、そもそもなぜ克服しなければいけないのか、本当の仕事の任せ方や人の育て方です。
投稿日 2012/07/07

勝ち続ける意志力:目的は 「勝つこと」 ではなく 「成長し続けること」


Free Image on Pixabay


最近読んだ本でよかったのが 勝ち続ける意志力 - 世界一プロ・ゲーマーの 「仕事術」 でした。



サブタイトルに 「世界一プロ・ゲーマー」 とあるように、著者の梅原大悟氏はプロの格闘ゲーマーです。ギネスで 「最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」 と認定されています。梅原氏の得意とするゲームは、ストリートファイターのような対戦型格闘ゲームです。


「勝つこと」 と 「勝ち続けること」 は根本的に違う


本書のタイトルは 「勝ち続ける意志力」 です。勝ち続けることに重きを置いています。冒頭のプロローグで次のように書かれています。

「結果を出す」 ことと、「結果を出し続ける」 ことは根本的に性質が異なる。勝つことに執着している人間は、勝ち続けることができない。
投稿日 2012/06/26

わずか3問:NBA ファイナルで見た秀逸な質問力


マイアミヒートのレブロン・ジェームス。引用:LeBron James - 2012 - NBA Finals MVPs|SI.com (2017年8月追記:リンク先が削除されていたので、こちらも削除しました)


NBA は、世界最高峰のバスケットボールを魅せてくれます。


マイアミヒートが6年ぶり2度目の優勝


2011-12年の今シーズンは、マイアミヒートの6年ぶり2度目の優勝で幕を閉じました。

NBA は普段から見ています。今年のプレイオフはカンファレンスファイナル (東西リーグ優勝決定戦) とファイナルは全試合を見ました。

マイアミヒートは 「3 Kings」 と呼ばれる、レブロン・ジェームス、ウェイド、ボッシュという3人のスーパースターを擁す強豪チームです。

昨年はファイナルで惜しくも敗れました。今年のファイナルは初戦で西リーグチャンピオンのオクラホマシティサンダーに負けたものの、その後は破竹の4連勝でした。事前の予想に反して、対戦成績は4勝1敗の圧勝でした。


興味深かった MVP レブロンへのインタビュー


ヒートの優勝が決まった第5戦の試合終了後、大歓声を送る地元ファンの前で優勝セレモニーに移りました。チームに優勝トロフィーが授与され、その後にファイナルの最優秀選手 (MVP) を受賞したのは、3キングスの1人であるレブロンでした。
投稿日 2012/06/23

今一番欲しい SPIDER から考える 「テレビの次の50年」


Free Image on Pixabay


2012年現在の家電メーカーがつくるテレビの方向性は、高画質化と 3D 対応でしょう。

よりきれいな (高画質) 、よりリアルな (3D) 映像をユーザーに提供するかに注力しており、「テレビの画面は、まだきれいでなくリアルではない」 という問題を解決しようとするものです。


現在のテレビの方向性は課題設定がずれている


果たしてこの課題設定の立て方は正しいのでしょうか?

課題設定の前提は、ユーザーは現在のテレビ画面の美しさに不満を持っていることです。少なくとも私自身はさらにきれいになるテレビ画面に魅力を感じません。課題設定がずれていると思います。

例えば、テレビの画像のきれいさは、YouTube や TED などの動画と比べるとすでに高いです。勝負にならないくらいテレビの圧勝です。

それでも TED は見ていていておもしろいし、英語やプレゼンの勉強にもなります。YouTube のバスケットボールやサッカーのゴールシーンを集めたもの、音楽やプロモーションビデオ、海外の動画も見ていて楽しいです。

つまり、魅力なのは映像の中身であって、画質ではないのです。これからのテレビの課題設定は、「いかにおもしろい映像や番組に出会えるユーザー体験を提供するか」 ではないでしょうか。


SPIDER の魅力


このイシューに挑戦しているのが、ベンチャー企業である PTP が開発している SPIDER (スパイダー) です。スパイダーは一言で言えば全録ができるハードディスクレコーダーです。


法人向けの SPIDER PRO


スパイダーの特徴は、次の通りです。

  • 最新の1週間の番組を全て自動録画できる。放送後の見たかった番組も後から自由に見られる
  • 検索機能が充実。番組をシェアできるソーシャル性にも注力
  • 使い勝手のよいリモコンなど、ユーザーインターフェイスを重視

スパイダーは法人向けと個人向けの2つがあります (上の画像は法人向けの SPIDER PRO です) 。

地デジ対応版はまだ法人のみしか出していません (2012年6月現在) 。個人向けが発売されたら買いたいと思っていたのですが、待ちきれず結局は他社のレコーダーを買いました。

もし今後、個人向けのスパイダーが出たら、今のレコーダーから買い替えます。なぜなら、スパイダーには他のレコーダーにはなく、そもそものテレビ視聴体験を大きく変える可能性が期待できるからです。


SPIDER の本質


スパイダーを放送された番組を全て録画する 「全録レコーダー」 としか見ないと、スパイダーが持つ可能性を見誤ります。

スパイダーの本質は、番組や CM のインデックス化と、検索やソーシャル機能による新たな発見です。

前者は主に検索のための番組情報データ整理です。ネットの世界でグーグルがやっていることをスパイダーはテレビでもやろうとするものです。今回は後者について書くので割愛します。詳しくは以下の記事にあります。

参考:テレビが進化する可能性を追う!日本の閉鎖的な放送業界を揺り動かす 「SPIDER」 のさらなるチャレンジ (佐々木俊尚)| 現代ビジネス


全録でも結局は予約録画と同じ


スパイダーを開発している PTP 社長の有吉氏によれば、単に全録機能だけを提供しても結局見るのは普段視聴している番組しか見ないそうです。

これは同社が2年間に渡って一般家庭モニターで行なった実験結果データからです。放送された番組を全て保存しておく全録でも、結局は知っているものしか見ないのであれば予約録画と変わりません。

スパイダーが目指すのは使いやすい検索機能と、ソーシャルによる自分が知らなかった番組の提供です。根底にあるのは 「テレビがつまらない」 ではなく、「おもしろいテレビ番組 / CM に出会っていないだけ」 という考え方です。

全録は、大容量のハードディスクを積み、多数のチューナーを設置すれば、家電メーカーであればできてしまうコンセプトです。

有吉氏は、「全録」 に懸けているのは 5% くらいだそうです。残り 95% は、どうやったら番組や CM を楽しく見られるか、どうやって面白いものに出会えるか、どのように友達や著名人のおすすめ番組を見ることができるかの実現を重視していると言います。新しい発見や埋もれている番組や CM とどうマッチさせていくか、そこばかり考えているそうです。


テレビの次の50年をつくる


スパイダーの目標は 「テレビの次の50年をつくる」 とのことです。

テレビが世の中に出て、その後にユーザー体験を大きく変えた1つにビデオの登場があります。番組を録画し自分の見たいタイミングで自由に見られるようになりました。

テレビ番組や CM はテレビ局の都合で番組表が組まれ、その通りに流すという構図です。視聴者はその時間に合わせてテレビをつける必要があります。この仕組みは今も基本的には変わりません。

視聴者の都合ではなく、見たいならその時間にテレビつけてくださいという発想です。それが無理なら自分で録画してくださいという考え方です。

ビデオ登場後、DVD やブルーレイ、地デジによる高画質なデジタル映像、3D テレビの登場もありますが、どれも過去の延長線でしかありません。ビデオ以来のイノベーションを期待するとしたら、「いかにおもしろい映像/番組に出会えるユーザー体験を提供するか」 という課題設定なのです。


本当の意味での 「通信と放送の融合」 「テレビのネット化」 とは


ここまでスパイダーの魅力を書いてきました。スパイダーが現在やろうとしていることも、本来のあるべき姿から逆算すると、まだ違う点もあると私は思います。

スパイダーの仕組みは、1週間程度の全放送番組を自動で保存しておき (全録) 、それを使い勝手に優れた検索やリモコン、ソーシャルサービスで 「新たな番組との出会い」 を提供しようとするものです。

ただ、例えば10,000人がスパイダーを使うとすると、1週間の放送データが、10,000人分それぞれのスパイダー内に記録されます。全体で見ると無駄が発生しています。なぜなら、全員が各自で全録をすればデータの重複が生まれるからです。

もし、中央に1つの全データがあって、それを各自が読みに行くという仕組みであれば、もっとシンプルになります。

発想はクラウドコンピューティングと同じです。各端末のローカル内にデータを置いておくのではなく、中央のクラウドにつなげるというものです。これがテレビでもできれば理想ではないでしょうか。

そうすれば、1週間という限られた期間ではなく、過去全ての番組が用意されており、検索やソーシャルからフィルターされ、自分が見たい番組、知らなかった新しいコンテンツの発見につながるテレビ環境です。

テレビ番組放映開始から50年以上の全ての番組や CM が中央にあり、自由に見られることがあるべき姿です。

もちろん素人の発想なので、現実的にやろうとするといくつもの技術的・コスト・政治的なハードルがあるのでしょう。

ただ、ネットの世界ではこのあるべき姿がすでに実現しています。100% 完璧ではないですが、それでもネットが便利なのはこの点にあります。

同じことがテレビの世界でもできる時、本当の意味での 「通信と放送の融合」 「テレビのネット化」 が実現します。


※ 参考情報

テレビが進化する可能性を追う!日本の閉鎖的な放送業界を揺り動かす 「SPIDER」 のさらなるチャレンジ|現代ビジネス
便利になるテレビへの想い- 「全録ブーム」 からの離脱宣言- 株式会社PTP 代表取締役 有吉昌康|株式会社PTP
2011年、SPIDER が変えるテレビの 「未来」 と 「可能性」 |現代ビジネス
「ソーシャル」 こそが再びテレビを甦らせる|現代ビジネス
投稿日 2012/06/17

Why からはじまるゴールデンサークル: シンプルかつ応用度の高い思考アイデア


Why からはじまる 「ゴールデンサークル」 を解説します。

✓ この記事でわかること
  • ゴールデンサークルとは何?
  • なぜ Why からはじまる?
  • ゴールデンサークルの応用例を知りたい ( → Apple の戦略、ビジネスシーンで解説)

ビジョンや目的などの 「Why からはじめるゴールデンサークル」 について、TED での動画内容からゴールデンサークルについて、Apple の戦略や仕事で応用する方法と併せて解説しています。

ゴールデンサークルは、ビジネスのみならず、プライベートでも役に立つシンプルなフレームワークです。ぜひ、この記事を参考に、お仕事で活かしてみてください。
投稿日 2012/06/16

テレビでターゲティング広告は実現できるのか:理想と現実のギャップ

ネット広告の世界では人によって見せる広告の内容を変えるターゲティング広告は当たり前のように使われています。具体的には、そのユーザーが過去にどのウェブページを見たか、何の広告が表示されたかや実際にクリックしたか、どんな検索をしたか等の、行動データから機械的にその人に最も適切であろう広告を表示させています。広告を見せる人を絞り、より広告の効果を高めるやり方。

つい最近見た記事でもフェイスブックのターゲティング広告の話題があり、このへんの話は日進月歩という感じです。このフェイスブックの広告システムはクッキーを使ってユーザーの行動履歴を取っているとのこと。
Facebook Tests Real-Time Ad Targeting Based on Web Browsing Activity|HubSpot Blog

■ターゲティングが弱いマスメディアの広告

一方、それに比べてテレビなどのマスメディアでは広告のターゲティングはできていないのが現状です。ネットでは同じウェブページを見ていても、見る人により表示させる広告が違いますが、テレビは見る人によってCMが異なることはありません。今、日テレで流れているCMは視聴者全員が同じものを見ているのです。

視聴者全員に同じものを見せるというのはメリット/デメリットがあって、メリットとしては一度に多くの人に広告を見せることができます。専門的にはリーチ率と言いますが、テレビでは一般的に視聴率1%で100万人が見ているとされているので、単純計算では視聴率10%の全国ネットの番組にCMを流せば1000万人にCMを見せることができる。(もちろん、CMは流れていても見ていない、トイレとかで離れていることもあったり、そもそも視聴率1%は普通は世帯ベースなので、100万人という人ベースに置き換える計算も正確ではないのですが)

デメリットは、全員に見せるということは、広告のターゲットができていないということなので興味のある人にもない人にも一様に見せるので、どうしても無駄が発生します。TVCMを放映するのに大きなお金をつぎ込みますが、無駄があるほど費用対効果が悪くなります。

■ターゲティング広告配信機能を持つインテルのTVセットトップボックス

Mashableの記事によればインテルがテレビCMのターゲティングを可能にするセットトップボックスを開発したとのことです。
Intel Set-Top Box Uses Face Recognition to Target Ads to You [VIDEO]|Mashable

機能としては、インテルのセットトップボックスに搭載された顔認識技術により、TVを見ている人の性別や大人/子どもを判定し、そこからより適切なテレビ広告を表示させるようです。記事によれば認識するのは性別とか大人か子供かくらいのレベルで、個人までは特定しないとあります。おそらく技術的には事前のユーザー登録と顔認識技術でもっと詳細に個人を特定できる気はします。例えばセットトップボックスに性別・年齢・趣味・興味のあるジャンル(美容/ダイエットとか)、などに加えて顔写真を登録するイメージ。が、あえてそこまでしないのでしょう。

インテルのセットトップボックスのメリットとして、広告主には広告のターゲティングができること、視聴者にはセットトップボックスを買って使ってもらうことで、テレビや番組視聴の料金が下がるようです(なお、アメリカでは日本と違いケーブルテレビが主なので有料でテレビを見るという感覚が強いです)。

記事の最後の方に少しだけ触れていたのが、このインテルのセットトップボックスはニールセンの視聴率調査とも何かしらの連携があるようで、アメリカではニールセンのテレビ視聴率調査は日本でいるビデオリサーチのような存在なので、個人的にはこちらも気になる動きです。

■テレビでターゲティング広告をするには

顔認識で広告を出しわけるセットトップボックスは色々と興味深いのですが、出しわけが性別と大人or子供というのは切り口としてはまだまだ不十分です。これだけだと2×2マトリクスの4象限しかないので、絞っていると言ってもターゲティングとしては粗い。どこまで効果的な広告を表示できるか。

方向性としては、テレビもネットの世界と同じように今後はターゲティング広告に進んでいくはずです。テレビでもターゲット広告を実現するにはどうすればよいか。ちょっと考えてみると、

1つはインテルの顔認識のようなテクノロジーで見ている人を識別すること。前述のようにもっと細かく「その人が誰か」を判別できるようになれば、その条件に合う広告表示も可能になってくるかもしれません。ただし、これ系の技術は高度なテクノロジーを使うほどコストもそれだけ上がるので費用対効果の制約が大きくなるように思います。研究やアカデミックには色々とできるのですが、ビジネスとしてやる場合はコスト感が全然合わないという状況です。

2つ目、ネットで行動履歴データから表示広告を出しわけることをテレビでも応用する。実際にこうした技術があるのかあまり詳しくないのですが、過去に見た番組からその人の嗜好性を判定し、より興味のありそうな広告を表示させることです。いずれテレビもパソコンなどと同じように将来的にはネットにつながるのが普通になると思うので、テレビの過去視聴情報だけではなく、ネットの過去履歴も色々と統合すると、ターゲティング精度はもっと上がるかもしれません。よく「つづきはWebで」というテレビ-ネットを連動させるクロスメディアで広告を出す例がありますが、実際にテレビとネットがつながることでシームレスな広告展開ができるようになるのかもです。

3つ目、テレビにフェイスブックやツイッター、その他SNSの情報を統合して、その人に刺さるような広告を表示する。これをやる場合は2つ目同様にプライバシー/個人データ利用とかでハードルは高そうですが、SNSからその人の興味関心を導き出したり、友人おすすめ商品を広告として表示させる。おそらく上記2つ目も同時に実現される気もするので、今よりもターゲティング精度は上がります。

これら以外にも、テレビと手元のスマホを連動させて、スマホサイドでターゲティング広告を出すというダブルスクリーンを活用することも考えられます。個人的にはこちらも興味があるのですが、ちょっと長くなりそうなので割愛。

■あらためて広告について少し

テレビCMについて色々と書いてきましたが、個人的な問題意識としてはTVCMに無駄が発生している点です。ムダというのは、興味のある人にもそうでない人にも一律に見せることでせっかく広告投資をしてもどうしても捨て金が発生すること。視聴者にとっても興味のない広告を見せられるほどつまらないものはないので、結果どうなるかというとCM中はチャンネルを変えたり、録画視聴であればCMスキップされてしまう。

広告をつくること、広告枠を買うこと、広告を流すこと、それぞれにお金がかかっていて、これらの広告コストはめぐりめぐって商品/サービス価格に反映されます。つまり、広告コストは結局は消費者が負担する構図。考えてみれば、普段の生活で朝のスマホから始まり出かける前のテレビ、移動中の電車内の広告、該当広告、PCで見るネット広告・・、とそれこそ1日中、私たちは広告に接触しています。それだけ見た広告の中で印象に残る広告はどれだけ少ないことかがよくわかります。これだけ広告があるのに、ほとんどがスルーされている状況は社会全体で見た場合にそれだけ無駄が発生しているのではないでしょうか。

TVコマーシャルでも、いくつかは見ていておもしろいCMがあると思っています。広告自体がおもしろいクリエイティブに優れたもの、思わず興味が湧くCM、買ってみてもよいかなと思わせるCM、店頭でそのCMを思い出して手に取ってみる、以前に買ったもののCMを見るともう1回買ってもいいかなと思ったり。

理想論の世界ですが、自分の見るCMが興味関心があるものばかりで、TV番組と同じくらい見ていておもしろい状況が本来あるべき姿なのかなと思っています。



※参考情報
Facebook Tests Real-Time Ad Targeting Based on Web Browsing Activity|HubSpot Blog
Intel Set-Top Box Uses Face Recognition to Target Ads to You [VIDEO]|Mashable
Insight: Intel's plans for virtual TV come into focus|Reuters
日テレ、TV番組の盛り上がり表示できるスマホアプリ-Twitter連携「wiz tv」。過去番組や他局対応も|AV Watch

投稿日 2012/06/09

行動科学マネジメント:夢をかなえるガネーシャの教えを実践するために


Free Image on Pixabay


本棚を整理してたら出てきた本が、夢をかなえるゾウ でした。読んだ方も多いかもしれません。2007年のベストセラーの1つです。



ガネーシャの教えは 「行動を起こし実行すること」


「夢をかなえるゾウ」 で言いたかったことは至ってシンプルです。自分を変えるには行動に移して実行すること、知るだけではなく自らで体験し継続させることです。

主人公に1日ずつガネーシャの課題が与えられます。課題は全部で29個あります。

投稿日 2012/06/02

「絶対赤字」 の非常識に挑んだクロネコヤマトの競争戦略


昨夜仕事から帰ると、マンションの宅配ボックスにアマゾンで注文した本が届いていました。

いつものようにクロネコヤマトの宅急便です。

今回は、クロネコヤマトの競争戦略についてです。
投稿日 2012/05/26

何のために働くか? 「働き方革命」 を自分ごと化する


Free Image on Pixabay


働き方革命 - あなたが今日から日本を変える方法 という本は、働くことについて、より広い視点で考えさせてくれる本です。



本書の内容


本書の内容紹介から引用です。

残業・休日出勤して、人生を会社に捧げる時代は過ぎ去った。長時間働いても、生産性が高くなければ意味がない。

誰よりも 「働きマン」 だった著者がどのように変わったか、そして仕事と共に家庭や社会にも貢献する新しいタイプの日本人像を示す。衰えゆく日本を変えるには、何よりも私たちの 「働き方」 を変えることが、最も早道だ。

なぜか?その答えは本書の中にある。


働きマンを変えたきっかけ


働きマンだった著者を変えたのは、2つのきっかけがありました。
投稿日 2012/05/19

Withings Body Scale:かっこいいクラウド体重計の3つの価値

ここ最近はあまりモノを買わなくなったのですが、久々に満足したのが先月(2012年4月)に買った新しい体重計です。


クラウド体重計を購入


Withings Body scale です。Wi-Fi 機能を内蔵しているクラウド型体重計です。




体重や体脂肪量が測れるだけではなく、体重計から Wi-Fi 経由で測定データが自動的にクラウドへアップロードされます。データはグラフ化され、iPhone などのスマホアプリやパソコンからウェブブラウザで見られます。



投稿日 2012/05/06

ケータイ⇒スマホの進化から「あるべきスマートTV」が見えてくる

モバイルについて、今から10年後とか20年後に歴史を振り返った時に、2007年がターニングポイントの1つだったと言われると思っています。

07年はiPhoneが登場した年。ターニングポイントとは、iPhoneがスマートフォンというそれまでの携帯電話にはなかった新しいモバイルを定義付けたということです。

■iPhoneと携帯電話のユーザーインターフェイス

iPhoneが変えたこと、それは画面に直接触れて操作するタッチパネル、ビジネスから遊びまで多種多様なコンテンツが揃うアプリ、インターネットやクラウドを活用したネットワークなど、それまでの携帯電話にはなかった利便性をもたらしてくれました。

初めてiPhoneを手にした時の感動は今でも覚えています。デモ映像とか店頭で使ったことはあったのでイメージは持っていましたが、それでもiPhoneの使い易さはついさっきまで使っていた携帯電話とは全くの別物。久々にワクワクする体験でした。iPhoneでいつでもどこでもネット閲覧/検索、アマゾンやネット通販での注文、アプリも有料版をダウンロードすることもいつの間にか普通になっていました。

ただよくよく考えてみると、こうしたiPhoneでできることの多くはそれまでの携帯電話でもできたことに気づきます。ネットもあったし、ケータイから買いものもできるようになっていた。アプリもiPhone用ほどではないにしろ提供されていた。それでも携帯では全くと言っていいほどこれらは利用していませんでした。

なぜか。当時の携帯電話とiPhoneを比べるとあらためて思うのが、携帯は使いにくかったということ。できることは知ってて一回くらいは試したけどあまり便利とは思いませんでした。ネットにつないでもクリックしたいところに行くには十字キーボタンの↓を何回も押さないといけないし、コンテンツやアプリも十分ではなく、スマホとPCがクラウド経由でシームレスにつながっているようなこともなく携帯だけで独立した存在だった。もちろんこれらの「使い勝手の悪さ」は、携帯しか持っていなかった頃はそこまで不満には思っておらず、iPhoneと比べたからこそわかることです。

■テレビとケータイの類似性

テレビについても、ここまで述べたケータイ⇒スマホへの進化と同じことが起こると思っています。去年くらいから「スマートTV」という表現がよく出てくるようになってきて、実際にGoogle TVなどがアメリカでは売られるようになっています。

でも今現在のスマートテレビは、モバイルで言うとiPhone登場前のブラックベリーあたりの段階なんだと思っています。で、現在主流の薄型テレビはケータイに当たります。ケータイとテレビを比較するととても似ている状況にあることがわかります。

例えばテレビのリモコン。下図はうちにあるテレビリモコンとほぼ同じですが、こんなに機能があるのかと思うほどの多くのボタンがついています。ここには載っていませんが、手元にあるリモコンはフタがパカっと開いて、その下にもさらにボタンがある。ボタンの多くは普段はほとんど使わないし、中には何のためかもよくわかっていないボタンもあったりします。


テレビ画面上に番組表(EPG)が表示され、予約録画は番組表から撮りたい番組を選ぶやり方は便利といえば便利ですが、目的の番組まで移動させるにはリモコンの十字キーボタンを押さないといけません。大抵の場合、何回も押すことに。

最近のデジタル対応のテレビには「アクトビラ」というネット接続サービスがほぼ標準で付いていると思います。アクトビラはソニーやパナソニック、シャープなどの主要メーカー間で統一されたテレビからのネット接続ポータルで、利用するためにはテレビにLANケーブルをつないで簡単な設定をするだけだったりします。つまり、今の多くのテレビにはすでにネットへの接続機能がついています。でも、アクトビラは使ったことがありません。アクトビラの認知率や利用率を正確に把握しているわけではありませんが、多くの人が同じ状況でしょう。なぜ使わないかというと、アクトビラで提供されるコンテンツが少ないのと、リモコン操作が前提の使いにくさがあると思います。スマホとかタブレットでの操作性に慣れてしまうと、リモコンでの操作は一世代前という感じです。

■あるべきスマートTVとは

こうした状況が、今のテレビの状況はiPhone登場前のケータイにそっくりだと思った理由です。この話をGWで会った家族にしてみましたが、リモコンや番組表操作などの使い勝手を「使いにくい」とは特に思っていなく、iPadのテレビ番組表を指でさくさく動かせるタッチパネル操作と比較して、初めて気づいていました。iPhoneでなくてもスマホの操作性と、テレビのリモコンやデータ画面の操作性を比較すると、大きく違うことがイメージできると思います。

だから期待したいのは、テレビにおける「iPhone」の登場です。大量に並んでほとんど使われないボタンばかりのリモコンではなくユーザーインターフェイスが優れ、見たい映像が「いつでも/どこでも」見られる環境、ネットやクラウドとも連携したテレビ。こうした圧倒的に使いやすいテレビです。これら全てが実現できて初めて、「スマート」という言葉が付くに相応しいテレビになると思います。iPhoneの登場後、多くのメーカーがiPhoneのような全く新しいモバイルをリリースし、スマートフォンという言葉が一般的となったような流れです。

真にスマートTVと呼べるプロダクトを出せる最有力候補は、やはりアップルだと思います。リモコンは今のApple TVのような超シンプルなものにしてくる、もしくはSiriを搭載した音声でテレビをコントロールする方式かもしれません。iTunesには様々なジャンルの映像が用意され、iPhoneやiPadとも連携する。iCloudが中心となったネットワーク。

アップルではなくてもいいのですが、本当にスマートテレビと呼べるテレビは今のテレビの延長上にはないことだけは確かだと思います。スマートフォンがケータイとは別物だったように。操作性、コンテンツ、ネットワーク、これらがスマートテレビのキーワードだと思っています。

思えば、日本でテレビのリモコンが本格的に登場したのが1970年代、VHSの録画が1980年代です。この2つはテレビのユーザー体験を大きく変えました。その後、確かに画面はデジタル放送に切り替わったことできれいにはなりましたが、リモコンや録画ほどのインパクトではないと思っています。テレビもそろそろ次のステージに移ってもいい頃ではないかと期待しています。




※参考情報
アクトビラ
Apple TV

投稿日 2012/05/04

絶対不可能を覆した 「奇跡のリンゴ」 というイノベーション


引用:木村興農社【木村秋則オフィシャルホームページ】


立ち寄ったブックオフで手にとったのが 奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録 という本でした。



この本は NHK のプロフェッショナル仕事の流儀で2006年に放送され大反響を呼んだ、りんご農家・木村秋則さんの話を書籍にしたものです。

サブタイトルに「絶対不可能を覆した」とあります。不可能と言われたリンゴの無農薬・無肥料での栽培を実現したストーリーが書かれています。

無農薬無肥料栽培という非常識を打ち破り、世の中に新しい価値を生んだというイノベーションの話で、おもしろく一気に読めました。


リンゴ栽培に農薬を使わないという「非常識」への挑戦

投稿日 2012/04/30

ドリルを売ろうとした Sony と、穴を開けるサポートをした Amazon

今日で4月が終わるので、2012年も3分の1が経過したことになります。時計で言うとちょうど20分のところに針がある状態です。

12年の今年は今のところコンスタントに本が読めていて、1ヶ月で20-25冊程度、4ヶ月ではほぼ100冊くらい読みました。このうちの8割以上はアマゾンから買った本です。感覚的には9割に近いくらいかもです。それくらい本はアマゾン経由で手に入れています。

本をアマゾンで買うのに何が魅力かって、中古も含めた豊富な品揃え、モバイルからでも手っ取り早く注文ができて、安定した配送の仕組みですぐ届く、送料無料、あたりかなと思っています。トータルでの提供サービスが素晴らしいです。


電子書籍を理解する3つのフレーム


次にアマゾンに期待したいのはキンドルです。電子書籍を読める環境のサービス提供です。

電子書籍は、電子書籍端末という 「デバイス」 、電子化された本という 「コンテンツ」 、電子書籍を手に入れるための 「プラットフォーム」 という3つの層で考えるといいと思っています。アマゾンへの期待はデバイス、コンテンツ、プラットフォームというトータルでの電子書籍サービスの提供です。
投稿日 2012/04/28

「象の足を見るな」:新入社員の時に教えられ、今もなお考えさせられる話

「象の足を見るな」 。この言葉は新社会人となって会社に入社してに、当時の副社長に言われたことです。

その心は、部分ではなく全体像を見ることの大切さです。


群盲象を評す


今でもよく思い出す教えです。当時も今も変わらず心がけています。象の足になるなという例えは、「群盲象を評す」 という寓話をもとにした話でした。以下は、Wikipedia からの引用です。

盲人達は、それぞれゾウの鼻や牙など別々の一部分だけを触り、その感想について語り合う。しかし触った部位により感想が異なり、それぞれが自分が正しいと主張して対立が深まる。しかし何らかの理由でそれが同じ物の別の部分であると気づき、対立が解消する、というもの。

盲人は6人いて、象に触れた時の各自の答えは全く違ったという話です。
投稿日 2012/04/21

書籍 「失敗の本質」 に見るガラパゴス化とイノベーション


Free Image on Pixabay


下記の表は、名著 失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究 で指摘された太平洋戦争 (大東亜戦争) 時の日本軍と米軍の戦略と組織特性の比較です。


引用:失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究


日本軍と米軍のそれぞれの特性を並べてみると、相互に関係していることがわかります。日本軍の特性をまとめると次のようになります。

  • 日本軍は戦略には明確なグランドデザインがなく目的があいまいで、短期決戦を好む傾向にあったこと
  • 短期決戦志向のために戦略オプションでは代替案 (戦況が変化した場合のプラン・対応計画) が乏しかった
  • 組織特性においても、人間関係を重視し成果よりも動機や敢闘精神を重視した集団主義

本書がおもしろいのは、6つの戦い (ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦) から上表のような日本軍と米軍の戦略・組織特性比較を明らかにするだけではありません。

さらに深掘りしなぜ日本軍は失敗したのか、そして現在にも活かせる失敗の教訓を残している点にあります。
投稿日 2012/04/14

リアルタイムウェブ中毒だった自分と今の自分




インターネットは、もはやこれ無しでは自分の生活が成り立たないほど、プライベートも仕事でも様々なシーンで使っています。

何かわからないことや調べる時はネットで検索、ニュースもテレビや新聞からではなくツイッターや RSS などの各種サービスから、友達とのコミュニケーションもソーシャルメディアを使います。ネットが当たり前になっています。

ネットは便利です。間違いなく人々の生活を変えました。しかし、2012年の今年になって私自身はネット利用時間を意図的に減らしています。
投稿日 2012/04/08

「勝ち続ける経営」 を続けるマクドナルドのすごさ




マクドナルドが昨年2011年期の既存店売上高は前年比プラス (1.0% 増) であったと発表しています (2012年1月5日) 。


業績は V 字回復


これで2004年から8年連続の対前年プラスです。驚異的とも言える成長を続けているマクドナルドですが、実は2003年までは7年連続のマイナスでした。2004年を堺に V 字回復をしているわけです。


引用:ダイヤモンド・オンライン


V 字成長を牽引しているのが、マクドナルド代表取締役会長兼社長兼 CEO の原田泳幸氏です。今回のエントリーではマクドナルドの経営について取り上げ、何がすごいのかを思ったところを書いてみます。

参考にした本は2冊です。

勝ち続ける経営 - 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論
マクドナルドの経済学
投稿日 2012/04/01

Google Consumer Surveys の価値:グーグルの新しいビジネスモデルはネットリサーチの破壊的イノベーションとなるのか


Free Image on Pixabay


グーグルが米国時間2012年3月29日に、新しいビジネスモデルを発表しました。

Google Consumer Surveys というマーケティング調査アンケートによるマネタイズを狙うものです。さすがグーグルと思ってしまう仕組みです。

今回のエントリーは、Google Consumer Surveys の仕組みと価値、要するに何を意味するのか (So what?) 、課題を書いています。

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。