出典: SHIMANAMI JAPAN
今回のキーワードは 「価値イメージ」 です。
広島県と愛媛県を結ぶ 「しまなみ海道」 を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げてます。
✓ この記事でわかること
- 瀬戸内のしまなみ海道が 「サイクリングの聖地」 になった話
- しまなみ海道に学ぶマーケティング
- ターゲット顧客と価値イメージの再定義
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
サイクリングの聖地 「しまなみ海道」
出典: 国土交通省
こちらの記事を読みました。
まるで海の上を走っているみたい… しまなみ海道に世界中からサイクリストが集まるようになったワケ|PRESIDENT Online
愛媛県知事が世界一の自転車メーカーを呼び込んだところから始まり、瀬戸内のしまなみ海道が 「世界最高のサイクリングの聖地」 と言われるようになった話です。
しまなみ海道とは、広島県尾道 (おのみち) 市と愛媛県今治市を結ぶ、全長約 60km の自動車専用の道路です。
「にぎわいから入るのは間違っているよ」
記事では、愛媛県の中村知事が世界最大の自転車メーカーである、台湾のジャイアント・マニュファクチャリング本社を訪ねたところから書かれています。
中村は切り出した。「自転車を使ってしまなみ海道ににぎわいをつくろうと考えています。会長のご意見をお伺いしたいのですが……」
ちょうど1年前の愛媛県知事選では 「しまなみ海道を世界へ情報発信する」 を公約に掲げて初当選。「世界一の自転車メーカーと組むのが手っ取り早いのではないか」 とひらめき、自らトップセールスに臨んだのだ。
(中略)
日本語がぺらぺらの劉 (引用者注: 創業者の劉金標氏 (別名キング・リュー (英語の愛称) ) ) はやんわりと異を唱えた。
「にぎわいから入るのは間違っているよ。自転車は人々に健康をプレゼントする、生きがいをプレゼントする、友情をプレゼントする。ここに切り口はある。にぎわいは後から付いてくる」
会談中にジャイアント会長が使ったキーワードは 「新文化」 だった。彼の考えでは、自転車は単なる移動手段ではなく、環境にも配慮したライフスタイルと一体化したツールなのである。
描いたストーリーの違い
愛媛県の中村知事とジャイアントの劉氏は、描いていたストーリーが異なりました。
中村知事は 「にぎわいをつくりたい」 から入り、最初に 「にぎわいを起こすこと」 があり、そうなればしまなみ海道のことを世界へ情報発信できると考えていました。
一方の劉氏は違いました。にぎわいは後からで、「来る理由をつくる → そこでしかできない体験・ライフスタイル → にぎわう」 という、にぎわうのはあくまで人々が集まった結果として捉えていました。
学べること
では、しまなみ海道の話からマーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。
パーセプションチェンジの成功事例
しまなみ海道の成功要因は、商品やサービスの中身を大きく変えず、すでにある商品へのお客さんからの価値イメージを変えたことにあります。
これをマーケティングの言葉で表現すれば、「パーセプションチェンジ」 の事例です。
パーセプションとは、日本語で言えば 「知覚」 や 「認識」 です。商品・サービスへの認識や価値への解釈のことで、パーセプションチェンジとは商品に抱くイメージが変わることです。
しまなみ海道の再定義
しまなみ海道の瀬戸内海や山に囲まれた自然の豊かさは、すでに存在していました。
この魅力を最大限に活かし、瀬戸内地域を活性化するために、ターゲットとなるお客さんを国内外のサイクリスト、ロード自転車が好きな人に定めたわけです。
サイクリストの人たちがこちらから頼まなくても、自ら走りに来てくれるように、しまなみ海道をロードレース自転車の道路と位置づけました。それも日本のみならず、世界を見渡してもここにしかない自然の中で走れる場であると、しまなみ海道を再定義したのです。
価値イメージを新たにつくる
ここまで見てきたように、しまなみ海道は中身を変えずに人々 (お客さん) からの価値イメージを変えました。これはまさにマーケティングです。
しまなみ海道からの学びを一般化すると、価値イメージが独自なもので、本当にその通りに、または実際はイメージ以上にお客さんが価値だと実感できれば、「強み」 や 「選ばれる理由」 になります。
誰に向けて、どんな価値を、どうやってつくるか。マーケティングの本質に迫る問いかけです。
まとめ
今回は瀬戸内にある 「しまなみ海道」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
学びの部分をもう一度まとめておきます。
✓ 価値イメージと、選ばれる理由
- 商品やサービスへの価値イメージが独自なもので、実際にお客さんが価値だと体感できれば、商品・サービスの 「強み」 やお客さんから 「選ばれる理由」 になる
- 誰に向けて、どんな価値を、どうやってつくるかを徹底的に掘り下げよう
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