今回のテーマは、新しい着眼点をどうやって見出すかです。
おもしろいと思った 「りんごの搾りかす」 を再利用する事例を取り上げ、学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- りんごの搾りかすを有効活用した事例2つ
- 学べること
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
りんごの搾りかすの再利用
まずは2つの事例をご紹介していきます。
スキンケア商品
出典: 河北新報
以下は、日経新聞の記事からの引用です。
ドラッグストア大手の薬王堂ホールディングス (HD) は、岩手県の未利用資源を活用したスキンケア商品 「and OHU (アンオフ) 」 シリーズとして、新たにハンドクリームなど3種類の販売を始めた。
発酵技術を手掛ける東京のスタートアップと共同開発したもので、新たに岩手県矢巾 (やはば) 町産のリンゴをジュースに加工する際に出る搾りかすを活用した。
(中略)
リンゴの搾りかすはこれまで産業廃棄物として処理されてきたが、発酵させてエタノールを抽出。リンゴの香りがわずかに残るこのエタノールをハンドクリームとボディミルクに配合することで、使用感を向上させた。
搾りかすには糖分が残っていないため、通常は発酵しにくいが、独自の技術で発酵させることに成功したという。
りんごレザーのバッグ
出典: 日経クロストレンド
もう1つ、りんごの搾りかすを使った事例は、バッグへの再利用です。
ベンチャー企業の SORENA (ソレナ, 長野市) や長野県飯綱 (いいづな) 町、共和レザー (静岡県浜松市) の3者は、りんごジュースやシードル (りんご酒) づくりの過程で生じた、りんごの搾りかすを粉末にして原料にする合成皮革 「りんごレザー」 を開発。
(中略)
製造過程で生じるりんごの搾りかすは、主に堆肥や家畜飼料などに利用している。これをさらに有効活用すれば、新たな産業を創出するチャンスになると飯綱町は判断。りんごレザーに大きな期待を寄せている。
試算では 1200 キログラムのりんごをシードルにする過程で、約 300 キログラムの搾りかすが残り、トートバッグ100個分に相当するという。
学べること
では今回の2つの事例から、学べることを見ていきましょう。学びを一言で言えば、「残り物には福がある」 です。
残り物には福がある
自分たちには不要だと思うもの、使われずにホコリを被っていたり捨てているものの中には、ダイヤの原石があるかもしれません。
とはいえ、玉石混交の中で将来の宝になるものを選び取るのは簡単ではないですよね。ではどうすればいいかと言うと、ものの見方を変えることです。
自分たちとは異なる立場や状況の人に助けを借りるわけです。
ものの見方が異なるプレイヤー
りんごの搾りかすを再利用した2つの事例では、共通点は1社だけではなく複数の会社で共同開発をしていることです。
りんごを生産する農家や自治体だけではなく、全く異なる業界やフィールドにいるプレイヤーと協業し、りんごの搾りかすに光を当てたことで新しい製品が生まれました。
りんごの生産者からすると負担でしかなかった大量の廃棄物 (りんごの搾りかす) は、別の会社や人から見れば価値に変えられると見えたわけです。あるプレイヤーには負債、別のプレイヤーには資産という真逆の捉え方です。
弱いつながりと情報発信
今までは使っていなかったり捨てていたものに、いきなり価値を見出すのは簡単なことではありません。
そこで強制的にでも外部の目が入る状況をつくっておくといいです。企業間の提携のような強いつながりではなく、弱いつながりでの関係を維持しておくイメージです。ふとした偶然で組み合わさりアイデアが生まれやすい環境にしておくといいです。
そのためには布石として日頃からのちょっとした情報発信を積み重ねておくと、自分たちには気づけなかったダイヤの原石を発見できるかもしれません。
まとめ
今回は、りんごの搾りかすを有効活用した事例から、学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 「残り物には福がある」 を実現するために
- 今までは捨てていたものに、いきなり価値を見出すのは簡単なことではない
- そこで、ものの見方を変えるために、自分たちとは異なる立場や状況の人に助けを借りてみよう
- 弱いつながりをつくり、アイデアが生まれやすい状況にしておく。日頃からの情報発信を積み重ねておくといい
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