出典: @Press
今回のテーマは、価値のつくり方です。
おもしろいと思った文房具を取り上げ、商品開発やマーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- 16km も書き続けられる金属鉛筆 「メタシル」 とは
- 金属鉛筆の 「弱みの解消」 と 「強みの強化」
- メタシルに学ぶ価値のつくり方
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
金属鉛筆 メタシル
ご紹介したいのは、「メタシル」 という金属鉛筆です。
出典: JCAST トレンド
削らずに 16km も書ける
一般的に鉛筆の芯は 「黒鉛」 と 「粘土」 を混ぜて作られますが、金属鉛筆のメタシルは芯は合金素材でできています。
メタシルは芯を削らずに 16km も書き続けられることから、SNS で話題になり人気とのことです。
サンスター文具 (東京・台東) が6月に発売した金属鉛筆 「metacil (メタシル) 」 が人気を集めている。
芯の部分が黒鉛などを混ぜた合金素材でできており、鉛筆のように削らなくても書き続けられる。SNS (交流サイト) などで話題になり、現在までに12万本以上を出荷している。
金属鉛筆のデメリットの解消
今までは、金属鉛筆には使いにくさがありました。デメリットです。
金属鉛筆は摩擦によって線を描くので、書いたものを消しゴムで消せなかったり、筆跡が薄くなります。こうした鉛筆やペンに比べてのデメリットから、金属鉛筆は市場にはあまり出回っていなかったようです。
サンスター文具は、金属鉛筆のデメリット、別の表現をすれば 「選ばれにくい要因」 を解消し、メタシルをつくりました。
サンスター文具は金属鉛筆のデメリットを、黒鉛を混ぜた特殊合金を芯に用いることで解決した。
通常の鉛筆に使われている黒鉛を使っているため、通常の金属鉛筆と比べて濃い線を書けるようになった。紙の種類によって変わるが、通常の鉛筆の 2H 相当の濃さで書けるようにした。また書いた文字は消しゴムで消すことができる。
メリットの強化
鉛筆やペンに対する金属鉛筆の弱みをなくしたことで、メタシルはもともとあった金属鉛筆の強みが活きるようになりました。
具体的には2つです。
✓ メタシルの特徴
- 芯を削る必要がなく、ペンのようにインクの交換や補充はいらない
- 書いた後にマーカーや絵の具などで上からなぞってもにじまない
2つのそれぞれを補足すると、金属鉛筆は芯が金属でできた筆記具です。筆記の際の摩擦によって絵や文字を描けるので、芯はほとんど減りません。鉛筆のように芯が丸くなって削る必要はなく、ボールペンのようにインクの交換や補充も不要です。
ちなみに HB の鉛筆1本の筆記距離は約500メートル、ボールペンが1 ~ 2 km とのことです。メタシルは芯を削らずに 16km も書き続けられます。
2つ目のにじまないという特徴は、メタシルで描いた線は水分によって変化することがないので、書いた文字をマーカーでハイライトしてもにじんで汚れません。また、絵画の下書き用としての需要もあるとのことです。
学べること
では、メタシルから学べることを掘り下げていきましょう。
価値のつくり方
一言で結論から言うと、「価値のつくり方」 に学びがあります。
ポイントは3つです。
✓ 価値のつくり方
- 現状把握
- 弱みの解消
- 強みの強化
現状把握
順番にご説明すると、何はともあれまずは現状認識からです。
強みや弱みは比べる相手によって変わるので、この意味で相対的なものです。比較対象を定めて、客観的に現状の何が強みで、何が弱みかを見極めることが最初のステップです。
弱みの解消、強みの強化
現状把握をした後に、弱みをどうなくすかです。商品開発ができればいいですが、商品そのものは所与であって変えられなくても、マーケターがやることはあります。
物事を違う側面を見て解釈をし直すことで、例えば、手間がかかることを 「愛着を生めること」 と別の側面を見出せば、弱みではなくなります。
また、強みを強化できないかの視点も大事です。自分たちの比較優位をさらに有利にできないかです。
以上のように、弱みというマイナスをゼロにもっていき 「選ばれにくい理由をなくす」 、強み (プラス) を伸ばして 「選ばれる理由をつくる」 。この2つを愚直にやっていくことで、お客さんへの価値提供につながります。
まとめ
今回は金属鉛筆のメタシルを取り上げ、商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのところのまとめです。
✓ 価値のつくり方
- 現状把握。強みや弱みは比較相手で変わる。客観的に今の弱みと強みを見極める
- 弱みの解消。物事の違う側面を見て解釈をし直すことで弱みではなくなる
- 強みの強化。自分たちの比較優位をさらに伸ばす
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