出典: Gigazine
今回は 「あえてセオリーとは逆のマーケティングをやってみよう」 という内容です。
おもしろいと思った炭酸飲料の 「ウィルキンソン」 を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- ウィルキンソンが新しい顧客を開拓
- セオリーとは逆のアプローチ
- なぜ逆をやって成功したのか?
- セオリーよりもお客さんを起点に組み立てよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ウィルキンソンの新しい取り組み
炭酸水の 「ウィルキンソン」 が新しい購入層を広げているとのことです。
アサヒ飲料の老舗炭酸水ブランド 「ウィルキンソン」 が新たな顧客層を開拓している。
あえてお酒を飲まないライフスタイル 「ソバーキュリアス」 を訴求する新商品 「ウィルキンソン タンサン #sober (タグソバー) スパイシーレモンジンジャ」 を3月に発売。これまで手薄だった20 ~ 30代の人気が高まり、8月末までにシリーズで年間計画の7割にあたる70万ケースを販売した。
出典: 楽天市場
入口となる商品に
開発の背景は、炭酸飲料がこれまでは 「20 ~ 30代の購入・飲用者は40代以上の人よりも少なかったこと」 です。
「Z 世代の飲用経験率がまだ低い。若者にも良質な炭酸水を提供したい」 。開発を手掛けた内田晴久マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループリーダーの狙いは若年層だ。
炭酸水というと若者の飲み物というイメージを抱きがちだが、実は飲用者のうち20代はわずか 9% 。30代でも 17% にとどまる。一方で40代が 29% 、50代が 27% と合わせて5割超を占めた。
若年層は有糖の果汁飲料や炭酸飲料の味に親しみが強く 「強炭酸」 が売りのウィルキンソンに慣れるには時間がかかる。無糖炭酸でも飲みやすい、入り口となる商品の開発が課題だった。
あえてわかりにくく
興味深いのは、商品の名前やパッケージデザインなどで特徴をあえてわかりにくくしたことです。
定番品であるウィルキンソンとの差異化も狙った。
ウィルキンソンといえば全体的に丸みを帯びたペットボトルの形状と、赤を基調にしたロゴマークの印象が強い。タグソバーはアルコールを想起させるように、あえて飲み口を細めたボトルを採用。黒や黄色を基調にした配色に変更した。
ソバーキュリアスがまだ消費者に浸透しておらず、社内には 「どんな商品か分からない。消費者に理解されない」 という声もあったという。それこそが内田氏の狙いでもあった。「炭酸水市場を広げて認知度を高めてもらうため、あえてセオリーに反したわかりにくい商品にした。『タグソバーって何?』と思わせたい」 という。
学べること
ではウィルキンソンの 「#sobar スパイシーレモンジンジャ」 から、学べることを掘り下げていきましょう。
セオリーとは逆のアプローチ
マーケティングの観点でおもしろいは #sobar がやったことはセオリーとは逆だったことです。
一般的には商品名は見たり聞いた時にわかりやすくし、特徴の打ち出し方も見込み客からすぐに理解してもらえるようにします。
しかし #sobar は違いました。ソバーキュリアスというまだ言葉そのものに馴染みがないものから、「ウィルキンソン タンサン #sober スパイシーレモンジンジャ」 と記号のようにして商品名の中に入れました。
パッケージも従来のウィルキンソンからは一線を画し、見た目は炭酸飲料というよりもアルコール飲料に近いデザインにしています。いずれも消費者からすると 「?」 がつくようなアプローチです。
逆でも成功した理由
セオリーとは逆をやってフタを開けてみれば、#sobar は発売から半年で年間計画の7割を達成しました。
逆をやって成功した要因を考えると、ターゲットとなる若年層の中でも新しいもの好きの人にうまくフィットしたからです。
#sobar の商品名やパッケージデザインの新しさが、アーリーアダプターと呼ばれる新しいもの・変わったことへのアンテナ感度の高い人に響いたという見立てです。
もしアーリーアダプターではなく、マジョリティと言われるような流行したことに後から乗り遅れまいと動く人がターゲットであれば、違った結果だったかもしれません。
セオリーよりもお客さん起点から
マーケティングでのセオリーかどうかはお客さんにとってはどうでもいいことです。セオリーに沿っての打ち手とは売り手の都合でしかありません。
重要なのはセオリー云々ではなく、ターゲットとなるお客さんが求めているかどうかです。潜在ニーズのレベルも含めてお客さんを理解し、顧客起点でマーケティングの戦略と施策をやっていくことが大事なのです。
まとめ
今回はウィルキンソンの事例から、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 顧客視点での戦略と打ち手
- マーケティングでのセオリーかどうかは、お客さんにとってはどうでもいいこと
- 大事なのは、ターゲットとなるお客さんが求めているかどうか
- お客さんの心理と行動を理解し、顧客起点でのマーケティングの戦略と施策をやっていこう
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