出典: PR TIMES
今回のキーワードは 「価値観 (バリュー) 」 です。
おもしろいと思ったコクヨのハサミの商品開発の事例から、学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- コクヨのハサミ HASA
- 生活者インタビューで見出した自分たちの価値観
- 「正直」 を商品開発のチェックリストに
- 価値観の言語化と活用
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
コクヨのハサミ HASA
こちらの記事を読みました。
"正直" に徹したら 「何かすごそう」 なハサミができた - コクヨの 「HASA」|ITmedia
コクヨの 「HASA」 の開発経緯を紹介する記事です。
出典: PR TIMES
HASA は価格が2420円から2750円と普通のハサミに比べると高価格帯で、コクヨの一般用ハサミのフラッグシップモデルの位置づけです。
見出した 「正直」 というキーワード
記事に書かれていて興味深かったのは、コクヨが HASA の開発を進める中で、生活者インタビューからの気づきを得たという話です。
「開発時に行った生活者へのインタビューの中で、『見せかけの機能でモノを選ばない』という意見が多くありました。店頭などで機能を伝えやすくするためにと考えた色彩や造形、素材選びなどが、必ずしも『長く使う』モノには適さない場合があることを感じ取っている方が多かったんです。そうした思いに応えるためにはどうしようと考えて『正直』というキーワードに辿り着きました」 と藤谷氏 (引用者注: HASA 開発担当者であるステーショナリー事業本部 文具本部 文具開発部の藤谷慎吾氏) 。
正直とはどういうことだろう。「表層的な特徴を付けるのは、何か違うと思ったんです。普及型のはさみは、手を抜いているという訳ではないのですが、手に取りやすい価格を実現するために、製造行程が簡素化されていたりもするんですね。丁寧さには多少欠けるところがあるんです。それでこの製品に関しては、そういう簡素化をやめて、はさみ作り本来の丁寧な加工をしてもらっています。細部まで人の手による精緻な調整をすることで、いろんな要素がすごく噛み合った時に、良い切れ味が生まれる、そういう製品を考えました」 。
コクヨはこの 「正直」 に作るというコンセプトをとにかく大事にしていて、現場では 「正直チェックリスト」 というものを作り、細部まで 「これが正直かどうか」 を確認していったという。
記事で紹介されていたのは、切れ味の良さ、長く使えるかどうか、愛着が持てる道具になっているかといった部分をチェックするに当たって、「正直」 という基準を設けたとのことです。
ちなみに、HASA の公式サイトでも、「正直なハサミとは何か」 を考え抜き、様々な取捨選択を繰り返すことで、HASA のデザインや設計、仕様は決められている、と書かれています。
価値観の言語化
インタビュー調査で生活者が言っていたのは、「見せかけの機能でモノは選ばない」 ということでした。
コクヨはここを掘り下げ、自分たちの解釈として、選ばれるためには 「正直」 というキーワードに行き着いたわけです。正直さとはおそらくメンバーそれぞれ、もっと言えばコクヨの会社全体で共通するカルチャー (社風) に通じるものだったのではないでしょうか。
見出した 「正直さ」 を自分たちが大切にする価値観 (バリュー) として言語化したのです。
商品開発の判断基準に
興味深いのは、正直かどうかを商品開発の細部までの判断基準にしたことです。チーム内で 「正直チェックリスト」 を作り、1つ1つの項目から 「これは正直なのか」 を見極めました。
生活者から聞けた話をきっかけに、自分たちが大切にする価値観を言語化し、商品コンセプトにする。さらにはチェックポイントにまで活用したわけです。
価値観の言語化と活用 (学べること)
ではコクヨのハサミ 「HASA」 から、 学べることを整理してみましょう。
一言で言えば、学びは 「メンバーで共通する価値観を意思決定に使おう」 です。
価値観とは、人が何に対して価値だと思うかの基準です。
自分たちが大切にする価値観 (バリュー) に沿った商品開発、マーケティングや営業活動ができれば 「自分たちらしさ」 で統一され、一貫性が生まれます。何よりも自分の心にウソはつかず、誠実な仕事やビジネスになります。
自分たちが大切にする価値観は何か、どうすれば価値観を実務で活用できるのかは、少し立ち止まってでも考える価値のある問いかけです。
まとめ
今回はコクヨのハサミ 「HASA」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 価値観の言語化と活用
- 組織のメンバーそれぞれには、なんとなくでも共通する価値観が存在する
- 自分たちが大切にする価値観は何か、価値観をすり合わせ言語化してみよう
- 価値観に沿った商品開発やマーケティングができれば 「自分たちらしさ」 で一貫性が生まれる。自分の心にウソはつかず、誠実な仕事やビジネスになる
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