今回のキーワードは 「お客さんの利用シーン」 です。
おもしろいと思った資生堂の取り組みをご紹介し、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- 資生堂の SDGs な取り組み
- 化粧品容器リサイクルのこれまでの不都合
- お客さんの利用後の 「不」 にヒントあり
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
化粧品容器のリサイクル
資生堂が化粧品容器について、新しい取り組みをやっていくとのことです。
資生堂は化粧品容器のリサイクルで新しい取り組みを始める。使い終わったプラスチック製の化粧品容器を集め、再び化粧品容器として活用するプロジェクトだ。
回収した容器は積水化学工業と住友化学の技術で再生する。リサイクルが難しかった化粧品容器を、消費者が分別しなくてよいのが特徴だ。
出典: 日経
これまでとの違い
化粧品容器はこれまではリサイクルが難しいものでした。化粧品を使い終わり、リサイクルに回すためには容器を分別する必要があります。ここは簡単ではなく、消費者には手間がかかっていました。
そこで、分別する手間をかけることなくリサイクルできる仕組みをつくるのが資生堂の狙いです。
具体的な仕組みを先ほどの記事から見てみましょう。
資生堂は今後、店頭などで消費者から使用済みの化粧品容器を回収する。
化粧品容器はさまざまな種類の樹脂が使われているうえ、化粧品は油分を含むので中身をきれいに洗い流すのは難しい。しかし、今回のリサイクルでは回収にあたって分別が必要なく、汚れを取りきらなくてもいいという。
資生堂のブランド価値開発研究所の大山志保里氏は 「環境のための取り組みに多くの方に参加してもらうためにも、消費者にとって負担の小さい仕組み作りが欠かせない」 と話す。面倒な分別がいらず消費者が続けやすい回収の仕組みについて、試験運用を始めながら固めていく。
利用後の 「不」 の解消
資生堂の取り組みを一般化して捉えると、お客さんの商品の利用後の 「不」 を解消することです。
ここで言う 「不」 とは、容器の廃棄においてです。
そのまま容器を捨てるのは、どこか環境に良くないことをしている後味の悪いユーザー体験です。かと言って、自分で容器の中を洗い、容器を分別するのは手間がかかります。こうした消費者にとっての不都合が、化粧品を全て使い終わった後に起こっていたわけです。
この状況を資生堂は問題と捉え、三社で共同で解決しにいくのが今回の話です。
学べること
では、資生堂の化粧品容器の回収リサイクルの取り組みから、学べることを整理してみましょう。
一言で表現をすれば、利用シーンをより広く見て、「お客さんの使い方、その中での “不” をビジネスチャンスに変えよう」 です。
お客さんが商品やサービスをどう使っているかには、マーケティングや商品開発のヒントがあります。
今回の話からの示唆は、利用シーンを使っている最中だけではなく時間軸を引き延ばし、使い終わった後も利用シーンに含めるとビジネスへの着想につながります。
まとめ
今回は資生堂の化粧品容器リサイクルの話を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 利用後の 「不」 にヒントあり
- お客さんが商品やサービスをどう使っているかには、マーケティングや商品開発のヒントがある
- 商品を使っている最中だけではなく、利用シーンをより広く見て利用後も含めて、お客さんの使い方と 「不」 をビジネスチャンスに変えよう
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