出典: 日本ヒーター機器
今回のテーマは、アイデアのつくり方です。
おもしろいと思った介護施設向けのサービスを取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- コンビニでシェア No.1 のの中華まん加温機 (ヒーター)
- 介護施設向けの横展開ビジネス
- 一石二鳥かそれ以上のキラーアイデア
- 学べること
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
シェア No.1 製品を横展開
どのコンビニにも、レジ付近には中華まんが売られています。温かい中華まんの入った 「加温機」 でシェア No.1 なのが日本ヒーター機器です。
出典: 日本ヒーター機器
配食サービスで成長
日本ヒーター機器の介護施設向けのビジネスが、日経新聞の記事で紹介されていました。
コンビニなどに設置されている中華まん加温器でシェア首位の日本ヒーター機器 (東京・大田) の配食サービスが成長している。
中華まんで培った熱の対流技術や温度管理ノウハウを応用し、専用の加温器を開発。冷凍弁当などを温めると食材がふっくらと仕上がるという。
サービス開始から3期目となる2022年7月期の売り上げは前の期比で2倍となり、今期も倍増を目指す。人手不足で食事を作るのが難しい介護施設などへ訴求する。
具体的にはどのようなサービスかと言うと、
サービスの名称は 「らくらくミール便」 。11社の弁当・総菜メーカーが作った冷凍の弁当などを、自社開発の専用加温器で温める仕組みだ。弁当と総菜はあわせて1151種類に上り、飽きさせないよう工夫している。
加温器は月3000円でレンタルし、最低受注額を設定しているが、総菜は1つ当たり160円から、弁当は240円から。
加温器は食材を解凍、加温、保温する機器だ。1時間ほどかけ、蒸気でじっくりと温める。電子レンジよりも時間はかかるものの、水分が飛びにくく、食材がふっくらとするという。
介護施設の人手不足を解消
日本ヒーター機器のサービス 「らくらくミール便」 は、介護施設を主なターゲット顧客にしています。
介護施設にとって価値があるのは、らくらくミール便が職員の調理時間の短縮になり、人手不足の解消に一役買っていることです。
同社によると、3 ~ 4割の介護施設で、職員が利用者向けの食事を調理しているという。らくらくミール便を導入すれば、職員が調理にかけている時間を1時間半 ~ 2時間相当を削減できると見込む。
学べること
ではここからの後半は、日本ヒーター機器の事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
一言で表現すれば、学びは 「アイデアを一石何鳥にもしよう」 です。
波及する提供価値
日本ヒーター機器のらくらくミール便は、従来のコンビニ向けの事業で培ったノウハウを介護施設向けに横展開したサービス事業です。
自社の技術や経験だけではなく、お弁当や惣菜メーカーとも組むことで、多くのメリットや価値を顧客にもたらしています。
✓ 色々な価値創出
- 介護施設の高齢者はできたての料理を食べられ、メニューが豊富で飽きない。施設での生活がより良くなる
- 介護施設の職員の調理時間が短くなる
- 介護施設の運営や管理会社にとっては施設の労働生産性が上がり、職員や入居者の満足度向上につながる
- 弁当や惣菜メーカーには新しい売り先ができる
- 自社の加温器の導入と活用機会の増加。コンビニ以外に顧客ができる
キラーアイデアにする意識
学びを一般化して残しておくと、そのアイデアはどれだけ多くの Win をもたらすかです。
今のアイデアでキラーアイデアと呼べるような様々な波及効果が起こり、全体を1つのストーリーとして描けないかを考えてみると、マーケティングや商品開発のヒントになります。
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