投稿日 2022/12/16

タニタ体組成計が自宅の床に。お客さんの行動を変えず、使ってもらえる仕組みをつくろう

出典: タニタ

今回のテーマは、「お客さんに自社商品を使ってもらう機会をどうやってつくるか」 です。

おもしろいと思った体組成計を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • 自宅の床に埋め込む体組成計
  • お客さんの行動を変える難しさ
  • 自社商品を 「共生」 させ、自然と使ってもらえる仕組みをつくろう

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

床に埋め込む体組成計


ご紹介したいのは、タニタと城東テクノが共同で開発した体組成計です。

出典: タニタ

以下は、日経新聞の記事からの引用です。

体組成計大手のタニタ (東京・板橋) は、自社の体組成計のアルゴリズム (計算手法) の普及を進めている。住宅建材メーカーの城東テクノ (大阪市) と共同で住宅の床に埋め込むタイプの体組成計を開発した。

 (中略) 

タニタのアルゴリズムは体組成計技術の根幹を担う。

体組成計が計測する体重や電気抵抗値を、体重や性別、年齢などの情報と組み合わせて筋肉量や基礎代謝量を導く。国内外から1万5000件以上の生体データを収集して開発した。

城東テクノと手がけたのは、体組成計を住宅の床下点検口の蓋に組み込む製品 「NORNE (ノルネ) 」 。

洗面所など日常的に立ち止まる動線上に体組成計を配置することで、計測のきっかけを作りやすくして習慣化を促す。計測のたびに取り出して収納する手間も省けるようにする。

学べること


では今回の事例から、学べることを掘り下げていきましょう。

学びを一般化して表現をすれば、「見込み客の今の行動を変えずに、自社商品やサービスが入り込むチャンスを見出そう」 です。

タニタと城東テクノの体組成計からの示唆は、消費者向けビジネスなら生活者の日常の動線に入るアプローチで、ここにマーケティングや商品開発のヒントがあります。

生活の動線に入る


体組成計や体重計に毎日や毎週などで定期的に乗るためには、できるだけさっと乗れることがポイントです。わざわざ出してきたり収納するという手間がないほうが良いですよね。

ちょっとしたことかもしれませんが、毎回計るたびに面倒さが生じると次第に使われなくなり、気づけば1年くらいは体重計に乗っていないという状況になります。

タニタと城東テクノの体組成計が良いと思うのは、床に埋め込まれていることです。

洗面所などの床に始めから設置されていることで、普段の生活の中で自然と存在しています。日常生活での動線上に入り込むことで、日々の習慣を大きく変えることなく使ってもらえるわけです。

人の行動を変える難しさ


毎日の習慣のようになっている人の行動をガラッと変えるのは難しいです。

自社の商品をお客さんに新しく使ってもらうということは、大小の程度はあれ、お客さんの行動を変えるということです。ここに加えて、関連する他の行動や習慣までをも変えてもらうとなると、実現のハードルが高くなります。

自社商品を共生させよう


そこで、タニタと城東テクノが体組成計を床に埋め込んだように、お客さんの普段の生活習慣をなるべく変えず、それでいて商品を自然と使える仕組みをつくると良いです。

いわば自社商品を 「共生」 させるように入り込むアプローチです。

共生は 「共に生きる」 と書きますが、お客さんがすでにやっている行動や動線の中に入り一緒に生き残っていく商品にできないかを考えてみると、マーケティングや商品開発への着想が得られます。


まとめ


今回はタニタと城東テクノの体組成計をご紹介し、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ 使ってもらえる仕組みをつくろう
  • 日々の習慣のような人の行動を大きく変えるのは難しい
  • そこで、自社商品を 「共生」 させるように入り込むアプローチを考えてみるといい
  • お客さんの普段の生活習慣をなるべく変えず、それでいて商品を自然と使える仕組みをつくろう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。