投稿日 2022/12/13

ファミマの PB 「ファミマル」 の人気理由。マーケティング 4P の使い方


今回のキーワードは 「マーケティング 4P」 です。

ファミリーマートのプライベートブランド (PB) である 「ファミマル」 を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • ファミマルの課題と成功要因
  • マーケティング 4P でひも解く人気の秘密
  • ファミマルに学ぶマーケティング 4P の使い方

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ファミマル


こちらの記事を読みました。

 「そろそろ、No.1 を入れ替えよう。」 ファミマが PB 「ファミマル」 でとにかく 「分かりやすさ」 にこだわる理由|ITmedia


分かりやすさを重視


以下は記事からの引用です。

ファミマルのネーミングとロゴは、(1) ファミマの PB 商品であることがすぐ分かること、(2) ファミマが自信を持って薦めるクオリティであると伝わること、(3) 老若男女あらゆる世代・性別の人が理解できること、この3つを意識しているという。

また、パッケージは 「F-universal」 というデザインコンセプトで設計。誰にとっても (FAMILY) 、楽しく (FUN) 、分かりやすい (UNIVERSAL) という点にこだわっている。

利用者が買い物をする際に "5秒で分かる" パッケージを目指すことを基本方針とし、直観的な商品名、キャッチコピーを採用。ファミマルブランドマネジャーの柘植 (つげうえ) 幹子さんは、「商品の推しポイントを簡潔に伝えていくことで、お客さまの目にとめてもらう機会が増え、支持につながった」 と分析する。

これまでの課題感


以前のファミリーマートの PB 商品の課題は、どうやって知ってもらうかでした。

伝え方に工夫を入れたとのことで、記事から再び見ていきましょう。

柘植さんはファミマル好調の要因を、「伝え方の工夫が功を奏した」 と話す。

 「今までは、食べていただければおいしさ・品質が伝わるはずなのに……。なぜ気付かないんだ、と思っていた節がありました。1年間ファミマルを販売し、商品の魅力を伝えることの重要性を改めて感じています。パッケージを変え、商品の推しポイントを伝えていくことで、お客さまにまずは知ってもらい、そこから支持につながる。その意義を再確認しました。商品開発の時点でも『おいしい◎うれしい◎あんしん◎』のポイントがどこにあるのかという視点を持つようになりました」 (柘植さん) 
出典: PR TIMES

どんなに良い商品だとしても、存在や魅力をお客さんに知られていなければ売れることはありません。

ここがファミリーマートの PB への課題感で、商品への認知、興味喚起、内容理解をどう高めるかでした。

三位一体でのマーケティング


ファミマルは伝え方の他にも、マーケティング活動で一貫性を持たせています。

CMO 兼マーケティング本部長の足立光さんは、「どんなにいい商品があってそれを一生懸命広報しても、店頭になければ買っていただけません。どんなにいい商品が店頭にあったとしても、それを知ってもらえなければお客さまに来てもらえません。商品がたくさんあって、その存在を知ってもらっても、その商品の品質が高くなければ売れません。どれかが欠けたら成り立たないのです」 と話した。

ファミマルは商品の品質を高め、店頭での展開、伝え方を工夫するコミュニケーションを連動しています。


学べること


ここまで見てきたファミマルの話は、マーケティング 4P がうまく機能している事例として参考になります。

ファミマルとマーケティング 4P


マーケティング 4P は、マーケティングで最も有名なフレームと言ってもいいくらいです。

マーケティング活動を4つの P で展開していくというマーケティングの理論です。

✓ マーケティング 4P
  • Product 商品やサービス
  • Place 販売チャネル
  • Price 価格
  • Promotion 広告や販促

以上の4つをファミマルに当てはめると、次のようになります。

✓ ファミマルとマーケティング 4P
  • 価格に対して品質の良い商品。5秒でわかるパッケージ [Product]
  • どの店にも置かれ、店内で目立たせる [Place]
  • 買いやすい手頃な値段 [Price]
  • わかりやすさを追求するコミュニケーション [Promotion]

以上のように、ファミマルは4つがうまく噛み合っているから、ヒット商品になったわけです。

お客さんを中心に


マーケティングで大事なのは、「誰向けの商品・サービスなのか」 をまず明確にすることです。

✓ お客さんを中心に考える
  • 自分たちがいる市場はどこか
  • お客さんは誰で、どこにいるのか
  • お客さんにどう商品を伝え、価値を届けるのか

お客さんが中心に来て、マーケティング活動の整合性を4つの要素で実現していくのがマーケティング 4P です。


マーケティング 4P の使い方


4P に一貫性がないと、これから言う次のようなチグハグな状況になってしまいます。

✓ 整合性のないマーケティング
  • 広告をたくさん流しているのに店頭にはない、または店頭で目立っていない
  • 価値 (得られる便益) と価格が見合っていない
  • 商品・サービスにまだ改善の余地がある中で、過剰なプロモーションをしてしまう

こうしたお客さん不在でマーケティング 4P がつながっていないと、例えば、広告や SNS でバズるような部分最適はできても全体最適にはなりません。

マーケティング 4P はお客さんを中心に置き、4つの整合性がストーリーになっているかのチェックポイントとして使うといいです


まとめ


今回はファミリーマートの PB 「ファミマル」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ マーケティング 4P の使い方
  • マーケティングでは 「誰向けの商品・サービスなのか」 をまず明確にすることが大事
  • お客さんを中心に据え、マーケティング 4P を 「4つで整合性があり、全体でストーリーになっているか」 のチェックポイントとして使おう


ニュースレターのご紹介


マーケティングのニュースレターを配信しています。


気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げて、マーケティングや戦略を学べるレターです。

マーケティングのことがおもしろいと思えて、今日から活かせる学びを毎週お届けします。

レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方には、レターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。

こちらから無料登録をしていただくと、マーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。