投稿日 2022/12/17

廃棄される未利用魚を活かすサブスク 「フィシュル」 。Will Can Must がそろった起業

フィシュルのおまかせ便 (出典: 日経クロストレンド

今回のテーマは、「やりがいをどう見出すか」 です。

おもしろいと思った魚料理のサブスクサービスを取り上げ、学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • 廃棄されるはずだった未利用魚の刺身・鮮魚サブスク 「フィシュル 」 
  • 創業者の決意と行動
  • やりがいを見つける方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

フィシュル


こちらの記事を読みました。

福岡発・魚のサブスクがヒット - 廃棄前提の 「未利用魚」 を重宝?|日経クロストレンド

未利用魚の旬の魚をミールパックにし、毎月届けるサブスクリプションサービスの 「フィシュル」 を紹介した記事です (公式サイトはこちら) 。

30日ごとに届くフィシュルのおまかせ便 (出典: 日経クロストレンド

 「煮切り醤油漬け」 のミールパックを活用した丼もの (出典: 日経クロストレンド

未利用魚の刺身・鮮魚サブスク


フィシュルの特徴は、市場にあまり出回らず、大半が廃棄されてしまうという 「未利用魚」 を活用していることです。

未利用魚とは、サイズが規格外だったり、一般に知られていないことで買われなかったりという理由から、市場にあまり出回らず、大半は廃棄されてしまう魚です。

創業者の決意と覚悟


フィシュルのサービスや起業の背景が興味深かったです。

未利用魚の存在に着目したのが、27歳のベンナーズ代表・井口剛志氏だった。

福岡県出身で祖父が水産加工業、父が魚の卸売業を営み、「幼い頃から魚が身近だった」 という同氏が、水産加工業界での起業を志したのは、留学先の米ボストン大学3年生の時。

 「留学前から社会貢献できる分野で起業したいと考えていたが、分野を絞り切れずにいた。起業学の授業で、『レガシーマーケットは生産性も成長性も低いと見なされがちだが、新しいアイデアやテクノロジーを導入して変革すれば、競合相手が少ない分、成功確率が高まる』と学び、課題だらけながら、自分にとって身近な水産加工業界で起業しようと決意が固まった」 (同) 

決意とともに帰国し、早速行動に移しました。

18年、卒業と同時に帰国し、地元の漁業関係者にヒアリングを実施。

 「未利用魚の割合は、日本の総水揚げ量の3 ~ 4割。もったいないだけでなく、平均200万円とされる漁師の年収の底上げを阻む障壁にもなっている。この社会課題の解決を会社のミッションに据えようと決めた」 (同) 

学べること


今回の話から学べるのは、「やりがい」 をどうやって見出すのか、つくっていくのかです。

そこで補助線としてご紹介したいのは、「Will, Can, Must」 です。

Will, Can, Must


次の図のような3つの領域が重なると、やりがいが見つかります。

出典: 飛企画

✓ Will, Can, Must
  • Will: 自分 (たち) がやりたいこと
  • Can: できる / できそうなこと, 将来的にできるようになりたいこと
  • Must: 相手から求められていること

フィシュルの場合


Will, Can, Must をフィシュルに当てはめてみます。

✓ Will, Can, Must とフィシュル
  • Will: レガシーマーケットでも可能性あるとわかり、社会貢献につながりやりたいと決意
  • Can: 魚業界は創業者には幼いころから馴染みがあり土地勘がある
  • Must: 未利用魚が廃棄されている社会課題。廃棄量の多さ、漁師の収入増の足かせの問題解決

3つがそろっているか


Will, Can, Must はベンチャーの会社の起業だけではなく、個人のレベルにも当てはまります。

会社での仕事で行っていること、プライベートも含めて、3つがそろっているかを自分に問いかけてみると、示唆があります。

  • 相手が望んでいたり求めていること
  • 自分が得意とするまたはこれからできるようになりたいこと
  • 何よりも、自分が 「やりたい」 と思うこと

Will, Can, Must の3つが重なるスイートスポットにやりがいの芽があります。


まとめ


今回は、未利用魚を活用した刺身や鮮魚のサブスク 「フィシュル」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ Will, Can, Must とやりがい
  • Will: 自分がやりたいこと
  • Can: できる / できそうなこと, 将来的にできるようになりたいこと
  • Must: 相手から求められていること
  • 3つが重なる領域にやりがいがある


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。