帝国ホテルの冷凍食品 「エビのマカロニグラタン」 (出典: 帝国ホテル)
今回のテーマは、価値の見極め方です。
おもしろいと思った冷凍食品への消費者心理から、マーケティングで学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- 高級な冷凍食品で贅沢気分
- 「◯◯ に比べれば安い」 の意味
- 価値は相対的
- 「心の予算枠」 を見極めよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
高級な冷凍食品
日経新聞に、冷凍食品で贅沢気分を味わうという記事がありました。
新型コロナウイルスの感染拡大後、家庭で冷凍食品の消費が増えている。ちょっとした食事や軽食としてだけでなく、自宅でぜいたくな気分を味わいたいと、高価格帯の冷凍食品を買う動きが広がっている。
1食約1000円のオンライン販売専用の商品も登場。冷凍食品はお弁当の味方から、食卓を彩る主役へと立ち位置を変えつつある。
記事では高級な冷凍食品がいくつか取り上げられていて、その中の1つをご紹介しますね。
「大きなエビが入っていて、もちもちしたマカロニもおいしい。他の商品には代えられない」 。東京都に住む29歳の女性がこう絶賛するのは帝国ホテルの冷凍食品 「エビのマカロニグラタン」 だ。
オンラインでまとめ買いしており、仕事で帰宅が遅くなった日に食べるのが楽しみだ。1食あたり約800円と一般的な冷凍食品に比べれば高価だが、「外食に比べれば安い」 とリピートしている。
帝国ホテルの冷凍食品 「エビのマカロニグラタン」 (出典: 帝国ホテル)
ここから掘り下げたいのは、引用の最後にあったコメント 「外食に比べれば安い」 についてです。
価値は相対的
普通に考えれば、冷凍食品が800円や1000円以上もするのは高いです。もしスーパーの冷凍食品コーナーに並んでいれば、手を出しにくいはずです。
しかし、消費者にとっての冷凍食品を食べる文脈や意味合いが変われば、「外食に比べれば安い」 「他には代えられない」 と評価され、リピート購入につながるのです。
ここから言えるのは、価値は相対的であるということです。
もう少し掘り下げると、次のように分解できます。
✓ 価値の相対性
- 誰が (比べる主体者)
- どういう状況で
- 何と比べるか (比較する相手)
同じ商品やサービスでも、これら3つが変われば価値になることもあれば、ならないこともあります。
冷凍食品に当てはめれば、
- 東京都に住む29歳の女性が
- 仕事で帰宅が遅くなった日に
- 外食と比べた
こうした文脈だったことから、一般的な価格に比べて高い冷凍食品でも 「安い」 と認識されたわけです。
心の予算枠
着想を広げるためにご紹介したいのは、「心の予算枠」 という考え方です。
人は同じお金を払うのでも、頭や心の中での何予算なのかによって財布の開き方が変わります。
単なる食事であれば 「食費」 という予算になり、冷凍食品はスーパーやコンビニ、ドラッグストアで売られる1つ数百円くらいのものが選ばれます。
一方、家での食事を贅沢にしたい、仕事で遅くなり気分を変えたいという時は 「自分へのご褒美予算」 となるので、1000円近く、またはそれ以上の冷凍食品が選ばれます。それも1回だけのお試しではなく、「他には代えられない」 とリピートしてもらえるわけです。
このように価値は相対的であるがゆえに、どんなうれしさや価値なのかによってお財布事情、別の表現をすれば 「心の予算枠」 は変わるのです。
こうした人の心理は誰もが持つものですが、売り手に立場が変わると見落としがちになります。覚えておいて損はない消費者心理です。
まとめ
今回は高価格帯の冷凍食品の話を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 顧客視点での価値の捉え方
- 人はお金を払う時に、「心の予算枠」 によって財布の開き方が違ってくる
- 単なる食費なのか、それとも 「自分へのご褒美」 なのかで、支払える金額は異なる
- 価値は相対的。誰が、どういう状況で、何と比べるかによって変わる
ニュースレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスのヒット理由がわかり、マーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、今日から活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方には、レターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料登録をしていただくと、マーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!