マーケティングにおいて、新しいお客さんを獲得するためにはどんなアプローチが効果的なのでしょうか?
今回は、快活 CLUB のユニークなフィットネスジムを取り上げます。初心者向けに成功した施策や、戦略立案のポイントなど、マーケティングに活かせるヒントをお届けします。
ぜひ一緒に学んでいきましょう!
快活 CLUB のゆるいフィットネス
出典: ITmedia
ご紹介したいのは、快活 CLUB が展開するユニークなジムです。
フィットネスジム業界に、異色の新顔が現れた。インターネットカフェ最大手の 「快活 CLUB」 が、店舗内にジムエリアの導入を進めている。
利用料金は30分290円の時間利用制と、月額3980円の定額制の2種類で、ネットカフェの利用前後にも使える気軽さが売りだ。現在は3店舗のみの運営だが、2023年度からの3年間で快活 CLUB の既存店100 ~ 150店舗への導入を目指すという。
(中略)
「頑張りすぎないジムを目指しています」 。そう話すのは、快活フロンティア常務取締役の中川和幸さんだ。
快活 CLUB 内のジムのターゲット層は毎日計画的にトレーニングをこなすような上級者層ではない。運動不足を解消したい、少しだけ体を動かしてみたいというライト層・初心者層だという。
快活 CLUB 内のジムのターゲット顧客は、トレーニングのライト層やジムに不慣れな初心者の人たちです。
そこで、「ジムに行くのはハードル高い」 という心理的な抵抗感を下げることに注力しています。
ジムエリアの企画にあたり、最も大切にしたのは 「初めてジムを利用する人や、ジム通いに挫折した経験のある人の心理的ハードルを下げるにはどうしたらいいか」 という考え方だという。その中でも、特筆すべきは30分290円の時間利用制があることだ。
ジムエリアの企画者で、自身も運動が苦手だという鈴木祐人さん (営業企画部 営業企画課 次長) は、次のように説明する。
「ほとんどのジム施設には入会金や体験手数料がありますが、そういったものは一切なくしました。退会の概念もないので『忙しいから数カ月来られない』『時間ができたから1回だけ利用する』といった自由があります。専門のジムに通うのはハードルが高い、という人でも、快活 CLUB ならそれ以外のこともついでにできるから行ってみよう、となるかもしれません」
(中略)
初心者への配慮は、利用システムのみにとどまらない。設置したマシンには、必ず分かりやすく利用方法を記した案内カードを設置し、使い方が分からず戸惑う可能性を減らしている。
白を基調とした明るい内装も、心理的負担を減らすためのデザインだ。広告や Web サイトのモデルにはあえて筋肉美が目立つタイプのモデルではなく、目標として親近感を持ちやすい体形のモデルを起用し、肌の露出の少ない気楽な服装でのトレーニングシーンを撮影した。
学べること
では、快活 CLUB のジムから学べることを掘り下げていきましょう。
初心者を取り込む施策
快活 CLUB はジム初心者の心理的ハードルを徹底的に下げています。
具体的には、
- 入会金は不要にし、30分290円から利用可能
- トレーニング器具の説明をわかりやすく表示
- モデルの写真は標準体型の人にすることで、高すぎない目標設定を促す
- 利用者には漫画が読める環境やソフトクリームも提供し、ストイックさを排除
こうした取り組みを通じて、快活 CLUB はジム初心者に沿った展開をしています。
お客さんに価値観に沿った施策
今回の事例からマーケティングにおける学びを一般化してみましょう。
新しいターゲット層、特にビギナーを獲得するためには、既存のお客さんに対して行ってきた内容とは異なるアプローチが必要です。というのも、今のお客さんはこれまでやってきたことの結果であり、同じことをやっても新しいお客さんは来てくれないからです。
快活 CLUB は、ビギナー層 (ジムにあまり通ったことがない人たち) をターゲットにしたマーケティングの良い例です。見込み客の心理的ハードルを下げることに焦点を当て、ジムに行きやすい、続けて通いやすい環境を用意しました。
マーケターにとっての教訓は、向き合うお客さんによってやるべきことを変える重要性です。
お客さんの求めるものや価値観によって、提案すべき価値やマーケティング施策も変わってくるわけです。お客さんが決まれば、顧客ニーズや課題感、価値観に沿った具体的なマーケティング施策が見えてきます。
戦略立案に顧客目線を
戦略の観点から考えてみましょう。
そもそも戦略とは、目的を達成するための 「やること」 と 「やらないこと」 の決めごとです。戦略で大事なのは後者の 「やらないこと」 です。やらないことを決めるために戦略をつくると言ってもいいくらいです。
顧客設定は戦略立案において重要です。大切にするお客さんと狙わない (ターゲットから外す) 顧客を明確にすることで、効果的なマーケティング戦略が立てられます。
ここで大切なのは、戦略に顧客目線を取り入れることです。お客さんの立場で考え、彼ら・彼女らが何を求めているのか、どのような価値観を持っているのかを時には想像も膨らませながら理解し、顧客理解に沿った戦略を立てるといいでしょう。
まとめ
今回は快活 CLUB のフィットネスジムを取り上げ、マーケティングや戦略に学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 初心者向けマーケティング
- 顧客設定は戦略立案において重要。大切にするお客さんと狙わない (ターゲットから外す) 顧客を明確にする
- お客さんによってマーケティングは変わる。新しいお客さんを獲得するためには、(既存のお客さんとは異なる) 新しいお客さんの価値観や求めるものに沿った価値提案をする
- 新規のお客さんは初心者であり、心理的ハードルを下げることに焦点を当てるといい。使うのを始めやすい、続けて使ってもらえるフォローをする
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