今回は、東京・虎ノ門で再開発が進むエリアで、高額な高層マンションを販売している森ビルの営業担当者の営業術をご紹介します。
どのようにお客さんと信頼関係を築き、物件の価値を伝えることで成功を収めているのでしょうか?
森ビルの事例から学べる販売やマーケティングの秘訣を解説します。ビジネスやお仕事でのヒントになればうれしいです。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
この街に住む価値を伝える
ご紹介したいのは高級マンションの営業パーソンの方の接客術です。
かつて 「ヒルズ族」 という流行語も生んだ森ビルの高層マンション。分譲営業部営業2グループで働く池田憲弘さん (34) は 「虎ノ門ヒルズ」 の高額物件を中心に販売を担当している。価格は高くても住むことで得られる 「価値」 を丁寧に説明し、顧客の悩みや課題解決に寄り添って信頼関係を深めていく。
ではどのような接客アプローチかを詳しく見てみましょう。
「この街に住むことで得られる価値が他社との違いです」 。キーワードに据えるのは 「街」 だ。
他社も好立地で魅力的な物件を造っているが、森ビルは住宅だけでなく、オフィスや商業施設、ホテル、教育機関なども整備する。街全体を自社管理しているため、住民から意見があった際、街づくりに反映しやすい。祭りや自治会の運営など住民同士のつながりも大切にする。「安心で愛着を持てる」 と迷っている購入検討者の背中を押すこともあった。
顧客とのふとした会話から、困りごとを聞くことも多い。「親族で集まる会食場所を探している」 「店舗の出店場所を探している」 といった課題に対し、運営するホテルの宴会場やビル内のイベントスペースを紹介し出店先候補も提案する。全ての問題を解決できるわけではないが、ご用聞きのような地道な努力が信頼関係につながっていく。
前半のまとめ
一度ここまでの内容を整理しておきますね。
- 森ビルの高額な高層マンション販売担当の方は高額物件の価値をお客さんに丁寧に伝え、お客さんの困りごとや問題解決に寄り添うことで、信頼関係を築く地道な努力を重ねている
- 森ビルは住宅だけでなく、オフィスや商業施設、ホテル、教育機関も整備している。街全体を自社管理しているため、住民の意見を街づくりに反映しやすい
- 住民同士のつながりも大切にし、「安心で愛着を持てる」 と迷っている購入検討者の背中を後押ししている
学べること
では森ビルの営業パーソンの事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
森ビルの成功の秘訣を 「商品の部分化」 と捉えることで、マーケティングの観点で学びがあります。
商品の部分化
商品の部分化とは、自社商品を中心に置きつつも見る領域を周辺まで広げ、トータルでの意味付けや価値を捉えようとすることです。
住宅販売に当てはめると、住宅はお客さんにとって買う対象ですが、住む場所として考えると周辺環境の魅力も重要な要素です。マンションは街の中にある1つであり、まわりの生活環境を含めたトータルな価値を伝えることで、お客さんにとって魅力的な商品になります。
広い範囲で伝え、トータルでの価値に気づいてもらう
全体を広く捉え、提供する商品を大きな範囲の中で意味づけて、価値をお客さんに伝えることが大事です。
自社商品をあえて部分にすることで (商品の部分化) 、お客さんに商品を買った後や周辺領域にも目を向けてもらい、トータルでの価値に気づいてもらうわけです。これにより、商品の価値をさらに高め購入の決定を後押しすることができます。
独自資産を活用しての強みの発揮
今回ご紹介した森ビルの営業パーソンの方が 「商品の部分化」 を実践できるのは、森ビルという会社が住宅以外も事業で広く手掛けているからです。独自資産を有効活用していることで競争優位を生み出しているのです。
あなたのビジネスにおいて、独自資産は何でしょうか?資産が強みを生み出している源泉になり、仕組みができていますか?
持続的な競争優位をつくるために、自社の商品やサービスの位置づけやお客さんにとっての意味合いを見直し、お客さんに価値を伝え提供することが重要です。
まとめ
今回は森ビルの営業パーソンの方の営業術をご紹介し、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ お客さん目線での価値提案
- 自社商品を中心に置きつつ見る領域を広げ (商品の部分化) 、トータルで捉えてお客さんにとっての意味づけをする
- 見出した意味合いをお客さんへの価値として提案する。お客さんに本質的な価値をわかってもらえれば、商品はより魅力的になる
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