お客さんの心理状態を汲み取ったマーケティングは、どのように進めていけばいいのでしょうか?
今回は 「モード」 をキーワードにイオンモールの事例を通じて、お客さんの心を理解し、効果的な価値提案を行う方法を掘り下げます。ぜひ一緒に学んでいきましょう。
イオンモールの新しいアミューズメント施設
イオンモールがおもしろい取り組みをしています。
千葉県柏市のイオンモール柏に、学童保育や小児科、テレワークができるラウンジを併設した子ども向けアミューズメント施設 「モーリーファンタジー」 を新しくスタートしました。
まず、4月1日に学童保育が開業する。学童保育運営会社と提携し、定員は約80人。対象は小学生で、宿題をサポートしたり書道やピアノを教えたりする。おやつや食事も提供し、最長午後9時まで預かる。学校から施設、施設から自宅まで車で送り迎えをするサービスもある。利用料金は非公表。
イオンファンタジーが運営する、0歳児から小学校低学年の児童までが対象の遊戯施設 「スキッズガーデン」 も新たに入る。
保護者向けのスペースも設ける。子どもが学童や遊戯施設で過ごしている間に休憩できる場所として、無料で利用できるラウンジを開設する。飲み物を提供するほか、半個室を設置してテレワークもできるようにする。
小児科は子どもの予防接種や健康診断などができるクリニックの誘致を想定し、夏ごろの開業を目指す。
イオンファンタジーの狙いは、週末に集中していた利用を平日にも広げることです。新たなスペースを併設することで、売上高を従来の1.5倍に引き上げることを計画しています。
今後は開業後の利用状況を見て、学童などを併設させたアミューズメント施設を拡大していくかを検討する予定とのことです。
学べること
では今回の事例から学べることを掘り下げていきましょう。
顧客の 「モード」 を理解する
イオンモールの事例からは、お客さんの心理を汲み取ったマーケティングとは何かを学ぶことができます。
休日と平日では、生活者の 「モード」 が異なります。ここでいう 「モード」 とは、例えば休日は遊びに行きたい気持ちになりますが、平日はそうはならないという心理状態のことです。平日のモードになっているお客さんに、休日のモードに響くことを無理に誘っても乗ってはこないでしょう。
ここでのポイントは、同じ人でもシチュエーションによってモードが異なるということです。
そこで、相手のモードを理解した上で、心に響く魅力を見出し、相手の文脈に沿った価値として提案することが大事なのです。
相手のモードに合わせた価値提案を
イオンモールは、週末に集中していた利用を平日にも広げるため、学童保育や小児科、テレワークができるラウンジを用意しています。
これによりお客さん (子どもと親) が得られる価値は、
- 子どもは友だちと遊べる
- 遊びだけでなく学びの場もある
- 子どもを預けられる安心感
- 子どもを預けている間は親はやりたいことができる
などです。
マーケティングへの教訓
マーケティングにおいては、お客さんがどのような状況にあるのか、その時の心理状態まで理解し、それに適した価値提案を行うことが大事です。
マーケティングへの学びとして一般化すると、お客さんの 「モード (姿勢や心理状態) 」 や用途に合わせて価値イメージを提案する重要性です。
起点になるスターティングポイントは、お客さんは誰か、そして、そのお客さんはどんなモードの時を狙うのかです。ターゲット顧客だけではなく、「ターゲットモード」 まで明確にすると良いでしょう。
モードというお客さんの文脈に沿って、商品やサービスが魅力的に見えるよう意味づけをし、お客さんへの価値として提案することで、効果的なマーケティングにつながります。
まとめ
今回はイオンモールの新しいアミューズメント施設の事例を取り上げ、学べることを掘り下げました。
最後に学びのポイントをまとめておきましょう。
- 例えば休日と平日で顧客の心理状態 (モード) は異なるため、お客さんのモードを理解しモードに合った提案することが重要
- お客さんのモードにおける目的や課題感に合わせた価値提案をするために、ターゲット顧客だけでなく 「ターゲットモード」 まで明確にしよう
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