インターネット広告は、現代のマーケティングコミュニケーションに欠かせない存在です。しかし、効果的な広告をつくり、ターゲット顧客にちゃんと見てもらうのは容易ではありません。
今回は、ある調査結果をご紹介し、ユーザーの不快感を避けネット広告で成果を上げる方法を掘り下げます。どのような広告がユーザーの興味を引くのでしょうか?
ぜひ一緒に効果的な広告をつくる秘訣を学んでいきましょう!
ネット広告の調査結果
インターネット広告の調査結果をご紹介します。マイボイスコムが定期的に実施していて今回は5回目です。
✓ 調査概要
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】MyVoice のアンケートモニター
【調査時期】2023年3月1日 ~ 3月5日
【回答者数】9,797名
結果から気になったポイントをいくつか見てみましょう (調査結果の詳細はこちら) 。
ネット広告の内容を読む人は 36%
直近1年間にネット広告が表示された人の中で、広告の中身を読む人は 36% でした。
出典: MARKETIMES
内訳は 「だいたい読む」 が 2.1% 、「内容やタイミングなどによっては、読むこともある」 が 33.5% です。ここ5年でほとんど変わっていないですね。
表示の際にやったことは 「間違えてクリック」 が最多
同じく直近1年間にネット広告が表示された人に 「広告が表示された際にどのようなことを行いましたか?」 と質問した結果がこちらです。
出典: MARKETIMES
最も多かったのは 「ネット広告を間違えてクリックした」 でした。これが実態なんですよね。
ネット広告を不快に思う理由は?
インターネット広告でネガティブや不快に感じたことは何かについて、例えば以下のようなコメントが寄せられました。こちらはアンケート調査の自由回答です。
✓ ネット広告を不快に思う理由
- クリックさせるようにスクロールが遅くなる設定がされている時。(男性39歳)
- 一度消しても、次の機会になればまた出てくる広告。決して買うものかと思うきっかけになる。(男性59歳)
- スマートフォンで全くマンガを読んだこともないのに胸くそ悪い内容のマンガの広告が延々と流れるのはやめてほしいです。(女性31歳)
- 広告を消そうとしても x ボタンが小さかったり、消し方がわからないものがあると、不快に感じる。(女性41歳)
- 広告が多すぎる記事やブログにはげっそりする。内容を読むのに邪魔が多い気がするし、時間もかかるから。(女性61歳)
嫌われない広告にするポイント
では今回のネット広告調査結果から、マーケターが心に留めておくべき教訓を考えてみましょう。
✓ ターゲット顧客に適した広告内容
- ネット広告の内容を読む人は 36% と 3 分の 1 程度だったが、内容やタイミングによって読む人はいる
- 広告を届けたい相手 (ターゲット顧客) に合った内容を考慮することが重要
✓ 間違ったクリックやタップの回避
- 広告が間違えてクリックされることが最も多いという結果だった
- よって広告の配置やデザインを工夫し、誤クリック / タップを減らすことが求められる
✓ 広告の不快感を避ける
- ユーザーが広告を不快に感じる理由として、スクロールの遅さや繰り返し表示される広告、適切でない内容の広告、消しにくい広告、サイト内に広告が多すぎる場合が挙げられていた
- これらの点に配慮し、ユーザーにストレスを与えない広告設計を心掛けるべき
広告の本質
そもそも広告の役割は何でしょうか。最後に広告の本質を掘り下げてみます。
広告の役割
広告を俯瞰すると、広告は三者 (広告主・媒体・生活者) のそれぞれにおいて、以下のような役割や位置づけがあります。
✓ 広告主
- 生活者に自社のこと、商品やサービスを知ってもらう、買ってもらうためのコミュニケーション手段
- 広告費というお金を払って生活者にメッセージを届ける手段を買っている
✓ 媒体 (アプリや Web サイト)
- 自分たちのメディア内やコンテンツに広告を一緒に表示することによって、広告主からお金をもらっている
- メディアやアプリ運営やコンテンツ作成の資金を得るマネタイズの手段
- 媒体はお金を広告主から得ているので、メディア訪問者やアプリ利用者からお金を取らなくても運営ができる
✓ 生活者 (広告を見る人)
- 自分が見たいメディアやコンテンツ、アプリに広告が表示されることで媒体はマネタイズできているので、生活者は無料でのアクセスや利用が可能
- もし広告がなければ、サイトやアプリを楽しむための対価としてユーザーが使用料を払う必要がある
- 見る人にとって広告内容が役に立つこともある
このように広告とは、三者において持ちつ持たれつの関係で成り立っているものなのです。
広告は必要。ただし…
不適切な広告がなぜ問題なのかは、広告主・媒体・生活者の三者での好循環が機能しなくなる危険性があるからです。
具体的には、
- 広告主: 生活者に自分たちのメッセージを届ける手段として機能しなければ、広告にお金を投じる意味がなくなる
- サイトやアプリ: 広告費という収益源がなくなれば、自分たちの運営を続けていくことができなくなる
- 生活者: 無料でメディアやコンテンツアクセスができなくなる。自分たちに必要なメディアやアプリがなくなってしまう
広告に対する私の考え方は広告は世の中に必要というものです。先ほどの広告の役割に書いたように、広告があるからこそ、広告主・媒体・生活者のそれぞれがメリットを享受できるからです。
* * *
広告の成功にはユーザーのニーズや感情に配慮し、見てもらう人に適切な方法でアプローチすることが不可欠です。今回の教訓を活かして広告に取り組むことで、効果的な結果が得られます。
インターネット広告は常に進化しているので、マーケターは日々の変化に柔軟に対応する必要があります。これからもユーザーや生活者の声に耳を傾け、最新のトレンドや技術を取り入れながら、より効果的な広告を追求しましょう。
まとめ
今回はネット広告の調査結果から、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
✓ 効果的な広告にするために
- 調査から嫌われない広告にするためのポイントは、ターゲットに適した広告内容、間違ったタップ / クリックを起こさないようにし、広告による不快感を避ける
- 適切な広告は広告主・媒体・生活者の三者において相互に利益を生み出し、三者がメリットを享受できる
- しかし不適切な広告は好循環を機能しなくさせる。三方よしの広告が大切
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