どのように商品の価値を伝えれば、お客さんに 「これが欲しい」 と思ってもらえるでしょうか?
良い商品であっても、その価値をうまく伝えることができなければ、お客さんに買ってもらえることはありません。
今回のテーマは 「価値の見せ方と伝え方」 です。お客さんに欲しいと思ってもらえるためにはどうすればいいかという話です。
おもしろいと思った食器の使い心地を可視化した事例から、マーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。
食器の使い心地を数値化
出典: 日経
商品の価値をどうやって伝えるか?これはマーケティングにおいてポイントであり、今回の記事で掘り下げたいテーマです。
長岡技術科学大学と山崎金属工業が共同で、スプーンやフォークなどの食器の使い心地を数値で示すことに成功しました。これにより製品の良さを客観的なデータで伝えることができるようになります。
実験内容と結果は次のようなものでした。
専用装置で食器を使う人の脳波を調べると、高品質な製品が優れていると数値的にわかった。(中略)
実験では、一般的に普及している製品と形状や表面の粗さが同じ 「基準品」 と、山崎金属工業の技術で表面が滑らかになる加工を施した 「高仕上げ品」 を比較した。使い心地は、食べ物への食器の 「さし心地」 と口から食器を引き抜く際の 「口抜け感」 、金属臭の3点についての脳波信号を測定した。
20人の被験者の数値を解析したところ、高仕上げ品の方が基準品の3 ~ 6倍程度 「心地よい」 とする結果が出た。
食器の使い心地を専用装置から脳波で測定し、高品質な食器は普通の食器よりも使い心地の数値が3倍から6倍高いという結果でした。
人が 「品質が良ければ使い心地が良い」 と感覚的になんとなくでもそう感じていたことを、専用装置を用いて定量的に評価できたわけです。
学べること
スプーンやフォークの使い心地を数値で示した事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
価値の見せ方と伝え方
今回の事例から学べるのは価値の見せ方と伝え方です。
お客さんが何となく感じていたこと、直感的に得ていた効果や喜びを売り手側がわかりやすく伝える重要性を学べます。
例えば数字で示す、図やグラフで視覚的にわかりやすく見せたり、実際に使った人の体験談、専門家の解説などです。具体的な話、時には物語のあるストーリーも入れると効果的です。
外部パートナーと協力し、他者からのお墨付きを得るというのも手です。自分たちが自社商品のことを良いと言うと、手前味噌のような単なる自慢のように見えてしまいます。他社の権威性を活用するのも有効です。
マーケティングの本質と役割
あらためてマーケティングとは何をすることかに立ち返ると、マーケティングはお客さんから 「これが欲しい」 と思ってもらえるようにすることです。
それを実現するマーケターの役割には以下の要素があります。
✓ マーケターの役割
- お客さんを設定する
- お客さんになって欲しい人のことを深く理解する (置かれた環境, 行動, 奥にある心理)
- 商品の特徴を把握する
- お客さんの文脈に合わせて商品の魅力を再解釈し、意味づけによって価値を見出す
- 価値だとお客さんが実感でき、自分ごと化されるようにわかりやすく見せて伝え提案する
マーケティングの本質はお客さんから選ばれる理由をつくることです。選ばれるためにはお客さんへの価値をいかに見せて伝えるかです。
まとめ
今回は、食器の使い心地を数字で可視化したという実験を取り上げて、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 価値の見せ方と伝え方
- マーケティングはお客さんから選ばれる理由をつくること。お客さんから 「これが欲しい」 と思ってもらえるようにする
- お客さんから選ばれる理由をつくるために、ターゲット顧客の理解、商品の特徴把握、お客さんの文脈に合わせた価値提案をする
- お客さんが価値を実感できるように、商品の特徴や魅力を数字や図・グラフで具体的に示したり、体験談や専門家の解説を用いることで、お客さんに価値をわかりやすく伝えよう
マーケティングレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!