時代小説とビジネスの教訓が交差するのが、あきない世傳 金と銀 (高田郁) という本です。
江戸時代の商人の知恵と現代のビジネスが見事にリンクし、読者に新たな視点を提供してくれます。
今回は、その物語の魅力と、ビジネスにどのように役立つのかを紐解いていきます。あなたのお仕事にも活かせる価値ある教訓が見つかるはずです。
では早速、その世界に足を踏み入れていきましょう!
小説のあらすじ
「あきない世傳 金と銀 シリーズ 」 は商人をテーマにした時代小説です。江戸時代の享保期に学者の子として生まれた女の子、幸を主人公に描いています。
幸は、父から 「商業は謀 (はかりごと) である」 と教わりながらも、大坂の呉服屋 「五鈴屋 (いすずや) 」 に奉公に出されることになります。五鈴屋で奉公する中で、知識を貪欲に求める幸の姿勢や商人としての才能が次第に認められます。
商いの真髄を学び、さまざまな困難を乗り越えて商人として成長していく物語が展開されていきます。
ビジネスに学べること
「あきない世傳 金と銀」 は商人をテーマにした時代小説ですが、現代のビジネスにも役立つ学びが詰まっています。
ビジネスの視点からもおもしろく読めるポイントと、仕事に活かせる教訓を見ていきましょう。
ビジネスモデル構築や戦略立案
物語の中で主人公の幸たちは独自の商流を構築し、現在のビジネスにも通じる開発から仕入れ、製造、販売、マーケティング、アフターサービスまでを一貫して行います。
大手企業のような大資本を持たない主人公たちは単純な売上競争からは一線を画しました。弱者の立場から独自の戦略を展開する姿はついつい応援したくなります。
事業開拓
主人公の幸たちは、皆で知恵を絞って新商品を開発し、異なるアイデアを組み合わせてイノベーティブな商品を世に送り出します。
今までになかった 「未来の当たり前」 をつくりだし、良質な商品を手頃な価格で提供しました。さらに、顧客開拓と新規出店を通じて事業の持続的な拡大を実現していきます。
マーケティングと営業
物語では、売り物や売り方、広め方に工夫が凝らされていました。
ターゲット顧客設定、ブランディング、広告や販促、価格設定など、現代のマーケティング手法に通じるものが描かれています。また、無料サービス提供やお客さんへの指南、定期的なイベント開催などコミュニティ構築に力を注ぎ、顧客満足度を向上させました。
商いへの姿勢
物語の中で描かれる幸たちの商売への姿勢は、誠実でまっとうであることを重視します。
幸たちは 「買うての幸い、売っての幸せ」 を信条に、お客さんが求めるものを提供することを目指しました。また、近江商人の三方よし (売り手よし, 買い手よし, 世間よし) を体現し、大切な人との縁を大事にします。
逆境を乗り越える力
商いの世界では、常に変化と競争に直面しています。どんなに努力しても、時には逆境や困難な状況に立たされることも避けられません。
そんな時にこそ大切になってくるのが 「笑って勝ちにいく」 という幸が大切にする心構えでした。
「笑って勝ちにいく」 とは、どんな困難な状況でも前向きな態度で立ち向かい、逆境を乗り越えようとする姿勢を指します。幸が師匠と慕う人物からの教えであり、彼女の商売哲学の根幹となっています。
この言葉は 「幸福だから笑顔になる」 というよりも、「笑顔になることで幸せになれる」 という考え方を表しています。
「あきない世傳 金と銀」 では、どんな逆境や困難な状況にも主人公・幸たちは笑顔で勝ちにいく姿勢が描かれています。この強い精神力こそが、商売を成功させるための源になったのです。
* * *
ここまで見てきた以上の学びを現代のビジネスに活かすことで、独自の戦略やマーケティングから新たなビジネスを展開し、顧客満足度を高め、ひいては成功につなげることができます。
おわりに
あきない世傳 金と銀 シリーズ は、時代小説としての魅力だけでなく、現代のビジネスにも通じる教訓が詰まった作品です。
ぜひ一度手にとって、そのおもしろさに触れてみてください!
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