投稿日 2023/07/03

タニタの新型の計量計。ニッチ市場に刺さる商品開発やマーケティングの秘訣

#マーケティング #商品開発 #ニッチ市場


今回はタニタの新型の計量計を取り上げ、ニッチ市場への顧客ニーズに対応する方法について解説します。

タニタの事例を通じて、狭く深く刺さるマーケティングの秘訣をぜひ一緒に探っていきましょう。

タニタの新型の計量計 GRAMIL


出典: タニタ

タニタが新型計量計 「GRAMIL (グラミル) 」 を発売しました。

厳しい体重管理が求められるスポーツ選手が使うことを想定し、アプリと連携し水分量などを管理して減量に役立てられる計量計です。

タニタが外出先で手軽に食事量を調べられる計量計を発売した。アプリと連携し水分量などを管理して減量に役立てる。ボクシングや柔道など厳しい体重管理が求められるスポーツのほか、マラソンなど本格志向のランナーの利用を見込む。

 (中略) 

利用者は外食先で、料理や飲料を食事計の上において重さを測る。瞬時に計測を行い、結果はブルートゥース (近距離無線通信) で接続したスマホに送られる。スマホ上では 「主菜」 や 「フルーツ」 、「プロテイン」 など、何を食べたり飲んだりしたかを設定できる。記録はアプリに残り、日付ごとなどで確認ができる。

顧客に想定するのが厳格な体重管理が必要なスポーツに取り組むアマチュア層のアスリートだ。

もう少し特徴を見てみましょう。

利用者の健康に配慮した機能もある。例えば 「1カ月後までに1キログラム体重を落としたい」 というケースでは、体に無理のない減量計画をグラフで表示する。1週間で体重が 5% 以上落ちてしまう状態を 「急速減量線」 としてグラフ上で表示し、無理のない減量計画の策定に役立てることもできる。

 (中略) 

新製品の認知度の向上に向けては、実際にアスリートに使用してもらうなどして、具体的にどのように使われるかを発信していく考えだ。

将来的にはスマートフォンのアプリに機能を追加することも予定している。食事のカロリーを計測できるようにすることなどを検討していく。

学べること


ではタニタの事例から、マーケティングへの学びを掘り下げていきましょう。

ポイントは以下の5つです。

✓ マーケティングへの学び
  • ターゲット市場の明確化 (例: ニッチ市場へのアプローチ) 
  • 顧客ニーズに応える商品開発
  • 利用シーンの具体的な訴求
  • 実際の利用者からのフィードバックの有効活用
  • 商品の継続的な改良による付加価値の向上

では順番に見ていきましょう。

ターゲット市場の明確化


タニタは、厳しい体重管理が必要なスポーツ選手、例えばボクサーやマラソンランナーという特定の顧客層をターゲットにしました。これにより競合他社と差異化しやすくなり、お客さんからのロイヤルティを獲得できます。

ニッチ市場に特化することで、お客さんに対して商品の特徴や価値を効果的に訴求できるマーケティングになります。

顧客ニーズに応える商品開発


タニタ 「GRAMIL」 の開発者はご自身のアマチュアボクシング経験を活かし、外出先での食事量管理の課題に対処する商品を開発したとのことです。

顕在化しているニーズだけではなく、お客さんの潜在的な望みや不満に目を向け、応える商品を開発することで市場での競争力を高めることができます。

利用シーンの具体的な訴求


タニタは GRAMIL の利用シーンを具体的に訴求しています。例えば、マラソンなど持久力が求められるスポーツのトレーニング、大会前の炭水化物の摂取量管理をしたいという用途です。

お客さんが商品の利用価値を具体的にイメージしやすくなることで、商品が自分ごと化され買いたいという気持ちを高める効果があります。

実際の利用者からのフィードバックの有効活用


タニタはアスリートに実際に使用してもらい、どのように使われるかのフィードバックを得ています。

さらに利用者の声を発信することにも力を入れています。商品への信頼性や効果を実証し、口コミを通じたマーケティング効果が期待できます。実際の利用者からのフィードバックを商品改善やマーケティングに反映させることで、顧客満足度の向上や商品のブランド強化につながります。

商品の継続的な改良による付加価値の向上


タニタは GRAMIL の将来的な機能追加を計画しており、例えば食事のカロリー計測機能などです。

商品の付加価値を継続的に向上させることで、お客さんのニーズに対応する能力を強化できます。商品の機能追加や改良を通じて市場の変化に柔軟に対応し、競合他社との差異化を図ることが可能です。


まとめ


今回はタニタの計量計 GRAMIL を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ ニッチ市場に刺さる商品開発やマーケティング
  • マーケティングではターゲット市場の明確化が重要であり、特定の顧客層に特化することで競合他社と差異化できる
  • 顧客ニーズに応える商品開発のためには顕在化しているニーズだけでなく、お客さんの潜在的な望みや不満にも目を向けることで、市場での競争力を高められる
  • 実際の利用者からのフィードバックを商品改善やマーケティングに反映させることで、顧客満足度の向上や商品のブランド強化につながる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。