投稿日 2023/07/18

物語を伝えるセブンの挑戦。バイアスブレイクからのアイデア発想術

#マーケティング #イノベーション #バイアスブレイク


セブンイレブンの新たな挑戦が、アイデア発想術を教えてくれます。

今回は、固定観念を打ち破り 「バイアスブレイク」 によってイノベーションにつなげる方法をご紹介します。一緒にその秘密をぜひ解き明かしていきませんか?

セブンの 「物語」 を伝える挑戦


セブン - イレブン・ジャパンが、環境問題に配慮するなどの商品に込められたストーリーを訴求する実験店を始めました。

エシカルなコンビニ


どのようなお店なのかを詳しく見てみましょう。

 「傘です。さしてみてください」 。セブンの実験店、川崎登戸 (のぼりと) 駅前店 (川崎市) の店内の一角に環境に配慮した素材で作られた傘や下着、スキンケア商品が並ぶ。例えば傘 (2970円) は回収されたペットボトルから、スキンケアローション (2970円) は米ぬか酵素からできている。

これらはすべて 「エシカルな暮らし」 の商品だ。セブンで取り扱っているのはこの1店舗だけで、価格は通常のセブンが取り扱う商品の2倍以上にもなる。それでも陳列棚1本あたりの1日あたり売上高は2000円と一般的な店舗の約2倍だという。

セブンの狙い


セブンは意思を持って挑戦しています。狙いはどこにあるのでしょうか?

セブンからすると価格訴求ではない分、消費者に受け入れてもらうためには商品の裏側のストーリーや存在意義を伝えることがカギになる。例えば、環境意識の高い人に歯磨き粉の原料がエシカルであることを伝えたり、健康に気を配る人にたんぱく質を効率的に取れることをアピールしたりする。

これまでセブンは “空腹を満たしたい” “応急の対応をしたい” などの 「重要かつ緊急性の高い商材」 を開発し、店舗に並べることで消費者の支持を得てきた。こうしたニーズは依然根強いが、セブンの顧客層は高齢化している。今後の主要顧客になり得る若い世代のニーズを満たす商品を強化し、企業としての持続可能性を高める必要があった。

学べること


ではセブンの取り組みから学べることを掘り下げていきましょう。

新しいポジショニング


セブンイレブンは新たな取り組みを通じて、これまでのコンビニの常識にはなかったアプローチを試みています。

従来のコンビニは、重要かつ緊急性の高い商品を中心に扱っていましたが、一方のセブンイレブンは重要だが緊急ではない商品にも注力し、お客さんに商品の物語を伝える新しい売場作りに挑戦しています。

別の見方をすれば、セブンイレブンがやろうとしていることは 「既存の固定観念」 を壊す取り組みです。

固定観念を壊す 「バイアスブレイク」 をする方法


今回のセブンイレブンの事例から学べるのは、「バイアスブレイクからのアイデア発想術」 です。次のステップを実践すれば固定観念というバイアスを壊し、新しいアイデアが生み出せます。

  1. バイアス (偏った思考) を可視化する
    自分たちの業界や市場における固定観念や先入観を可視化する。当たり前すぎて今さら考えないようなことに目を向ける。コンビニが売る商品の常識は 「重要かつ緊急性の高い商材」 を 「無駄を極力省く効率性を重視する売り方」 だった

  2. 固定観念とは逆を考えバイアスブレイクをする
    バイアスを可視化できたら、意図的にその逆に振って考えてみることで、新たな視点や発想が生まれる。セブンの実験店では、扱う商品の緊急度、機能性や効率さ、価格訴求とは逆の方向にビジネス機会を見出そうとした

  3. バイアスがない状態で強制的にアイデアを発想する
    バイアスを取り除いた状態で、具体的なアイデアを考える。セブンの新しい実験店は 「他のセブン店では扱っていない商品」 を 「商品の裏側のストーリーや存在意義まで伝える売り方」 をした

バイアスブレイクのプロセスを繰り返すことで、イノベーションにつながるアイデアを生み出せるのです。


まとめ


セブンイレブンの挑戦から学べるポイントは、時には固定観念を壊してお客さんに新しい価値を提供し続けることの重要性です。

最後にまとめとして 「バイアスブレイク」 の方法です。

✓ バイアスブレイクの方法
  • バイアス (偏った思考) を可視化する
  • 固定観念とはあえて逆を考える (バイアスブレイク) 
  • バイアスがない状態で強制的にアイデアを発想する


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。