ベンダーの協力会社など、ビジネスパートナーにどのくらい感謝をしていますか？
そして、その感謝の気持ちをしっかりと相手に伝えているでしょうか？
日々のビジネスの中で、売上に直接つながらないかもしれない決断を行動をすることは難しいかもしれません。しかし、実はそこに大切なことがあったりします。
今回は、アメリカ NY のレストランチェーン、チックフィレイの ｢宅配ワーカーへの無料休憩所提供｣ の事例を通じて、その意義を掘り下げ、学びを深めていきたいと思います。では一緒に見ていきましょう！
宅配ワーカー向けの無料休憩施設 in NY
アメリカの大手ファストフードチェーンの ｢Chick-fil-A (チックフィレイ) ｣ が、ニューヨーク マンハッタンに、ギグワーカー向けの無料休憩施設 ｢The Break Room (ザ･ブレイクルーム) ｣ を開設しました (詳細はこちら) 。
出典: Chick-fil-A
この施設は、トイレやスマホ充電設備、無料 Wi-Fi 、無料ドリンク、そして自転車駐輪場を提供し、条件を満たしたギグワーカーは無料で休息をとることができます。
施設への入場条件は、過去一週間以内に主要な即日配送企業の宅配を請け負ったことです。証明できれば、チックフィレイの仕事を請け負った宅配ワーカーではなくても利用可能です。
では、チックフィレイが宅配ワーカー向けの無料休憩施設を用意した狙いはどこにあるのでしょうか？
担当者による業界メディアでの発言を整理すると以下の通りだ。
(1) 即配の場合、企業とお客との唯一の接点は宅配ワーカーのみとなる。どうすれば彼らをケアできるかを考えた。リターンは求めない、支援してくれる人たちをケアすることは正しいことだと思っている。
(2) そのために調査研究を実施した。7つのフォーカスグループに分類し聞き取り調査したところ、パートタイム、フルタイム、起業家など多様な人たちであることが分かり、彼らのビジネスが自転車で成立していることを確認した。マンハッタンでは14 ~ 17時にオフピークがあり家に帰らずに休憩する場所が必要で、加えて駐輪スペースが必要であることが分かった。
(3) これがきっかけとなって閉所後もこういった取り組みが増えると良い。すでに無料ミールやドリンクを提供するフランチャイザーも出てきている。
要するに彼らに対する感謝の意を込めた善意の施設なのである。感謝の気持ちを示す写真パネルや看板などを施設内に掲示し、またマンハッタン内の通常店舗で2月20日の週に無料ミールとドリンクを提供し彼らの仕事をねぎらっている。
学べること
では、チックフィレイの無料休憩施設の提供事例から学べることを掘り下げていきましょう。
ワーカーへの感謝と労い
宅配ワーカーへの無料休憩所の提供が意味するのは、言わば ｢縁の下の力持ちに光を当てる｣ ということです。
チックフィレイはフォーカスグループによる調査を通じて、宅配ワーカーの多様性とワーカーのニーズを理解して施設をつくりました。施設には、トイレやスマホ充電、無料 Wi-Fi 、無料ドリンク、自転車駐輪場といった設備が用意されています。
休憩施設はチックフィレイのワーカー以外にも扉を開き、無料で休息をとることができる場所を設けることで、宅配ワーカーへの感謝と敬意を表したのです。
良い行動をする
この事例から私たちが学べるのは、単純に売上にすぐにつながらない行為でも、大切にしたい人々に対して良い行動を行うことの重要性です。
今回の事例では、宅配ワーカーはお店とお客さんをつないでくれるチックフィレイにとって大切な存在です。見返りを求めることは二の次に、ワーカーへの感謝と労いを形にすることを重視しました。
このアプローチは、私たち自身のビジネスに対しても適用できる考え方です。協力会社やベンダー会社に対して、発注分のお金を払うだけで終わっていないでしょうか？
感謝の気持ちを持つだけではなく、それをしっかりと行動で示すことが大切です。たとえすぐに売上に反映しないかもしれない行動も、それが相手にとって意味のある形であれば積極的に行うことが大事です。そして、それができる余白を常に持っておくべきなのです。
マーケターが持つ感謝の気持ち
マーケティングは、単に商品やサービスを売るために存在するのではありません。お客さんとの良い関係を深めることを目指します。
その関係の中には、例えば今回のようなギグワーカー、ベンダー会社のような存在も含まれます。こうした人たちや企業がいてくれるからこそビジネスは成り立ち、お客さんにサービスを提供できます。
マーケティングはマーケターが1人だけでできるものではありません。だからこそ、まわりへの感謝と敬意を具体的な行動で示すことが大切なのです。
まとめ
今回はチックフィレイが無料休憩施設を提供した事例を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 大切な人々への感謝の気持ちを持ち、すぐに売上に直接つながらなくても積極的な行動を通じて感謝の意を示すことが大事
- マーケティングはただ商品やサービスを売るだけでなく、お客さんとの関係を深めるためにある
- マーケティングはマーケターが1人だけでできず、関係者への感謝と敬意を表そう
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