時代の変化に対応し、お客さんの心をつかむ方法を知りたくはありませんか?
今回はマッチングアプリ 「タップル」 の事例から学び、世の中の新しい価値観に柔軟に対応するマーケティングの秘訣を探っていきます。
次の成功に向けて、ぜひ一緒に歩んでいきましょう!
マッチングアプリ 「タップル」
マッチングアプリ 「タップル」 を運営する株式会社タップル執行役員 CMO の髙橋正俊さんへのインタビュー記事を読みました。
マーケティング課題
インタビューではタップルのマーケティング課題が語られていました。
課題はいくつもありますが、大きなところでは認知・未利用層に対する考え方は重要だと捉えています。
マッチングアプリの認知度は7割くらいあっても、実際に利用経験があるのは3割程度にとどまると言われます。認知・未利用層である残り4割の方にどうすれば利用していただけるかが課題ですが、その4割の内訳が難しい。他社で満足しているユーザーもいれば、出会い系の印象が強くてまだ怖いという人もいます。お金が高いからもったいないと感じている人もいるでしょう。
そうした点には独自性のある便益や、安心・安全の取り組みを伝えるなどして対策を講じられますが、問題は人々のプライベートの時間の中で恋愛自体の優先順位が下がりつつあると感じることです。「恋愛が億劫」 「一生独身でも構わない」 ―― その課題を我々のような民間企業が解決できるのかどうかはわかりません。だからこそ 「おさ活」 のような取り組みを通して、恋愛の楽しさを伝えるのが重要だと思います。
タップルの公式 TikTok アカウントで運用している 「幼馴染と共同生活中【おさ活】」 があります。幼馴染同士がルームシェアをしていて、付き合いそうで付き合わない、見ると恋がしたくなるようなショートドラマです。
恋愛の再定義
タップルのターゲット層において恋愛自体の優先度が下がっている状況に対して、タップルの打ち手は 「恋愛やデートの意味合い再定義をしていく」 という話が興味深かったです。
私は今44歳ですが、20代の頃はネットも整っていなくて、彼氏・彼女がいないとちょっと恥ずかしかったような時代でしたが、今は多様な価値観が認められるだけでなく、特に Z 世代はタイパ・コスパなど合理性を重視する人が多いと言われます。
そう考えると恋愛は非合理な部分が多いかもしれません。アメリカでは 「シチュエーションシップ」 といって、"友達以上・恋人未満" な関係が合理的で心地良いとする考え方の人も少なくないと聞きます。そんな価値観の人が増えてくると、恋愛市場自体がシュリンクしかねません。
そういう危機感を強く感じるからこそ、タイパ・コスパを気にする Z 世代にも 「意外と恋愛もラクだし楽しいよね」 と感じてもらう工夫が必要だと感じています。
例えば、タップルは直感で 「いいかも」 「イマイチ」 を選択できるようなフリック型を採用していますし、直接会うことにハードルの高さを感じる人には、デートは必ずしも直接会うものではないという空気感も今後つくっていきたいと思っています。実際にタップル内で人気のデートプランの中にオンラインデートがあり、まずはオンラインで会うという流れはコロナを経て一般化してきました。
大事なのは恋愛やデートの再定義です。「付き合ったらデートするのは当たり前」 もいいですが、入り口のハードルをもっと低くして 「いかに恋愛が楽しくて、素晴らしくて、しかもラクにできるのか」 と感じていただけるように取り組みを進めていきたいと思います。
前半のまとめ
一度ここまでの内容をまとめておきますね。
- タップルのマーケティング課題は、認知度は高いものの実際に利用経験がある人が少ないため、認知かつ未利用層にどうアプローチしていかに利用してもらうか
- 独自性のある便益や安心・安全の取り組みを伝えていく。Z 世代をターゲットに 「恋愛やデートの意味合いの再定義」 を行い、恋愛が楽しくてすばらしく、ラクにできるものであることを訴求する
- 例えば、タップルは 「幼馴染と共同生活中【おさ活】」 という公式 TikTok アカウントを通じて、恋愛の楽しさを伝えている。恋愛自体の優先順位が上がるようにすることで、恋愛市場のシュリンクを防ぐことを目指している
学べること
ではマッチングアプリ 「タップル」 から学べることを掘り下げていきましょう。
新しい価値観と商品設計のギャップ
マーケティングの世界では、常に新しい価値観やニーズに対応しなければなりません。特に今の時代、人々の感じ方や捉え方がどんどん変化しています。
商品やサービスが古い価値観に基づいた商品設計では、世の中の新しい価値観やお客さんのニーズを満たすことはできません。お客さんと企業の間にギャップは次第に大きくなり、やがてはお客さんは離れていってしまうでしょう。
新しい価値の提案
お客さんを獲得するためには、時代の変化に合わせた新しい価値の提案が必要です。お客さんの新しい価値観に応えるために、商品やサービスの意味付けを変えることが求められます。
タップルでは 「恋愛やデートの意味合いの再定義」 を行い、恋愛は本来は楽しくすばらしいものであると伝えようとしています。商品のレベルではなく、カテゴリー自体への興味を持ってもらい、生活者にとって新しい視点を持ってもらうわけです。
タップルの事例から得られる学びは、新規顧客の獲得のためには新しい価値観を理解し、お客さんの文脈に沿った価値提案の重要性です。
マーケティングの役割
マーケティングの役割は新しい価値を提案することにあります。お客さんがまだ気づいていなかったり、言語化できていない価値観や商品の魅力を見出し、お客さんに響くように言い換えて伝えていくのです。
お客さんと企業のギャップはこれからも発生するでしょう。時代の変化やお客さんの新しい価値観を理解し、お客さんに価値を提供し続けることが大切です。
まとめ
今回はマッチングアプリのタップルの事例から、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 時代の変化や人々の感じ方、捉え方が変わる中で、今までの価値観にもとづいた商品ではお客さんとのギャップが生まれる
- よって、お客さんの新しい価値観に応えるために商品やサービスの意味付けを変え、変化に合わせた価値を提案しよう
- マーケティングの役割は、お客さんが気づいていない商品やカテゴリーの魅力を見出し、相手の心の琴線に響くように言い換え、価値を提供すること
マーケティングレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!