投稿日 2023/07/02

パナソニック独自のインサイトリサーチ。お客さん目線になり新しいアイデア得る方法

#マーケティング #顧客理解 #リサーチ


お客さんの気持ち、本当に理解できていますか?お客さんは何を感じ、何を求めているのでしょうか。

今回はパナソニックの事例をもとに、どうすれば深い顧客理解と新しい着想を得られるかを考えます。独自のインサイトリサーチ手法を活用したマーケティングを紐解き、お客さん目線になり、新しいアイデアや気づきを得る方法についてぜひ一緒に学んでいきましょう。

パナソニック独自のインサイトリサーチ


ご紹介したいのはパナソニックの事例です。

パナソニック独自のリサーチ


パナソニックが独自のユーザーリサーチに注力しています。

パナソニック社内の各事業部門に向けて、10年後の暮らしの体験価値を提案しているのが、パナソニック デザイン本部にある FLUX という組織だ。その狙いは、これまで通りの炊飯器や洗濯機などの既存商品のアップデートではなく、商品やサービスを顧客視点に近づけることにある。

 (中略) 

FLUX が、10年後の価値を導く手法が独自のインサイトリサーチだ。

 (中略) 

インサイトリサーチは、大きく、「調査」 「課題選定」 「エクストリームユーザーインタビュー」 「イマーシブリサーチ」 という4つのプロセスを経て、インサイト抽出に至る。最初の調査では、世界の人々が取り組むべき課題を掲げたグローバルアジェンダやマクロトレンド調査をベースにした客観的なリサーチを実施。世の中に存在する多くの課題を集めていく。

エクストリームユーザーへのインタビュー


インサイトリサーチの4つのプロセスの3つ目である、「エクストリームユーザーインタビュー」 について見てみましょう。

エクストリームユーザーとは尖った人、極端な使い方をする人のことを指します。

エクストリームユーザーインタビューでは、さまざまな暮らしを先取りしている人々へのインタビューを実施する。すでにエシカルな生活を実践している人や、まだ取り組めていない人にも話を聞いていくのだ。このとき、調査会社にすべてを任せるのではなく、リサーチャー自らがインタビューに参加するのが重要だという。

 「見ず知らずの人に、いきなり私生活について聞いても、ほとんどの人は答えてくれない。デザインリサーチの手法を使い心を開いてもらうことで、知りたい情報にたどり着くことができる」 (パナソニック デザイン本部 FLUX インサイトリサーチャーの藤川恵美氏) 

より深い情報を引き出すために、インタビューを繰り返すことも少なくない。2回、3回と重ねると、調査会社のリポートからは把握できない情報が手に入る。

 「1カ月間など、長期間同じ人にインタビューすることもある」 (パナソニック デザイン本部 FLUX リーダーの中川仁氏) 

イマーシブリサーチ


興味深いのはインサイトリサーチの4つ目のプロセスである 「イマーシブリサーチ」 です。

課題を自分事化するために、自ら体験してみるのがイマーシブリサーチだ。実際に体験することで、何がモチベーションやハードルになるか、やってみるからこそ分かる情報が手に入る。

イマーシブリサーチの結果からインサイトを抽出。ワークショップなどで使えるように、カードなどのツールにまとめている。

前半のまとめ


では一度ここまでの内容をまとめておきます。

  • パナソニックでは FLUX という組織が顧客視点が入った商品やサービスにするために、独自のインサイトリサーチ手法を開発し実践している

  • 尖った人や極端な使い方をする人 (エクストリームユーザー) へのインタビューを行う。調査会社に全てを任せず、リサーチャー自らがインタビューに参加して深い情報を引き出す

  • イマーシブリサーチからはお客さんと同じ体験をし、お客さんの課題感、モチベーションやハードルになるものを理解することでインサイトを抽出する


学べること


それでは、パナソニックの事例から学べることを掘り下げていきましょう。

パナソニックのインサイトリサーチのアプローチは、お客さんの理解をより深めるために学びがあります。

体験して初めてわかること


マーケティングではお客さんのニーズを理解し、それに応える商品やサービスを提供することが重要です。

しかしお客さんの立場に立って考えることができなければ、そのニーズを本当に理解できているとは言えません。そこで、お客さんがやっていることと同じことを体験するという手法が有効です。

イマーシブリサーチとは、発見したことを自ら体験し、お客さんが感じている価値や意味合いを深く理解する方法でした。お客さんと同じようにして商品やサービスを使ってみることで、初めてお客さんにとっての価値が肌感覚でわかります

この手法は気づきを深めたり新しい着想を得るために有益です。お客さんの価値観を他人ごとではなく自分ごととして捉えることができます。

お客さん視点になる方法


日本語には 「百聞は一見にしかず」 という言葉がありますが、それをさらに進めて 「百見聞は一体験にしかず」 と言えるでしょう。いくら見たり聞いたりするよりも、実際に体験することで得られるものは多いのです。

お客さんと同じ体験を通してお客さん目線になれ、新しいアイデアを得ることにつながります。


まとめ


今回はパナソニックのユーザーリサーチの取り組みから、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ お客さん視点になり新しいアイデア得る方法
  • お客さんがやっていることを体験することで、お客さんが感じている価値や意味合いを深く理解することができる
  • 同じ体験からお客さんの価値観が他人ごとではなく自分ごと化され、気づきを深めたり新しい着想を得られる
  • 「百見聞は一体験にしかず」 と考え方でお客さん目線を獲得しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。