子育て世帯で人気上昇中のスマートロック。この事例から私たちはマーケティングの視点でどんな学びが得られるでしょうか?
今回は、セグメント化の方法やお客さんに刺さるメッセージのつくり方を解説します。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう!
スマートロック
出典: Revolar
取り上げたいのはスマートロックの事例です。「子育て世帯に人気!スマートロックで鍵の悩みが解消され、安心生活が実現」 という話題をご紹介します。
子育て世帯で人気に
物理的な鍵が不要で指紋認証などの高い利便性があるスマートロックが、SNS で評判が広まり導入が進んでいます。
子育て中の親にとって鍵の紛失や施錠の不安が解消され、安心感が生まれます。スマートロックは家事負担の軽減につながり、日本のスマート家電普及の 「鍵」 になる可能性があります。
利用者の声
スマートロックの利用者はどのように評価をしているのでしょうか?
「スマートロックはここ数年で一番の買い物。たった1万数千円で生活が変わった。もう買う前には戻れない」 と興奮気味に話すのは福岡県大野城市の会社員、長谷川裕美さん (42) 。SNS で見かけたのを機に、2022年11月に玄関ドアに後付けできるスマートロックを導入した。
スマートロックが長谷川さんの家で本領を発揮するのは子どもにまつわるシーンだ。「小5の長男にはこれまで鍵を持たせていたが、鍵をなくしていないか、帰宅後にちゃんと施錠しているかなどいつも不安だった。それが全て解消された」 と話す。勤務時でもスマホに自宅の鍵の解錠と施錠の通知が来るため、長男の帰宅が分かり、安心につながるという。
次男 (6) を保育園に送り迎えする際もスマートロックが活躍。子供と荷物で両手が塞がっているため、「鍵を探して開け閉めするのが煩わしかった。自動ロックと指紋認証の解錠でストレスがなくなった」 と笑顔を見せる。自宅にはエアコンなどいくつかスマート家電があるが 「スマートロックが最も利便性を実感しやすい」 という。
同じく小学生と幼児の兄弟を育てる東京都立川市の主婦、鈴木由紀子さん (35) も SNS で知り、22年9月にスマートロックを導入した。20年にマンションに入居する際にスマートロックを設置できるオプションがあったが、20万円以上するために高すぎると断念した。その後 「日々の鍵の開け閉めの煩わしさが積もりに積もっていた」 (鈴木さん) こともあり、導入を決めたという。
鈴木さんは 「会社勤務の夫 (36) は朝晩の2回しか鍵を開け閉めしない。一方で自分は子供の学校や習い事の送り迎えに買い物、来客など回数が多い。子育てに追われるなかで余計な手間や不安を排除できるので、ありがたみを実感している」 と話す。
前半のまとめ
では一度ここまでの内容をまとめておきますね。
- 子育て世帯でスマートロックが人気。物理的な鍵が不要で指紋認証などの利便性が高く評価され、SNS で評判が広まり導入が進んでいる
- 利用者の声を見ると、スマートロックが子育て中の親にとっては鍵の紛失や施錠への煩雑さ・不安が解消され、安心感が生まれている
学べること
スマートロックの事例から学べることを掘り下げていきましょう。
マーケティングへの学び
マーケティング視点で学べることを整理してみましょう。
💡 顧客ニーズの理解
スマートロックが子育て世帯で人気を集めている。顧客の悩みやニーズを正確に把握し、それに対応した商品やサービスを提供することが重要。
💡 セグメント化
スマートロックが特に子育て世帯や共働き世帯で需要が高い。ターゲット市場をセグメント化し、セグメントごとのニーズに合わせたマーケティングが必要。
💡 SNS 活用と口コミ効果
スマートロックの導入は SNS で共感を呼んだことからだった。SNS を活用して商品やサービスの情報発信や顧客とのコミュニケーションを行うといいでしょう。
スマートロックは生活課題の解決につながり、実感に基づく口コミが広がっている。満足度の高い商品やサービスを提供することで、口コミを通じた自然な拡散が期待できる。
セグメント化の方法
マーケティングへの学びを3つを挙げましたが、2つ目の 「セグメント化」 について掘り下げていきしょう。
セグメントは以下のプロセスで進めていくといいでしょう。
🎯 ターゲット市場の特定
まず子育て世帯や共働き世帯といった具体的なターゲット市場を特定する。絞ることで効果的な商品開発やマーケティングを行うことができる。
ターゲット市場の典型的な顧客像 (ペルソナ) を作成する。ペルソナは顧客の年齢、性別、家族構成、職業、趣味、価値観などを含める。
🎯 顧客理解からのソリューション化
ターゲット市場のニーズや課題感・悩みを分析し、それに応じた商品やサービスを開発する。
例えば子育て世帯では鍵の管理や子どもの安全性に関する懸念がある。これらのニーズに対応する機能やサービスを提供することで、見込み客への解決策 (ソリューション) になる。
🎯 メッセージング
セグメントごとに異なるニーズを満たすメッセージを作成し、マーケティングに活用する。
例えば、子育て世帯に対しては 「子どもの安全を守るスマートロック」 、共働き世帯に対しては 「忙しい毎日をサポートするスマートロック」 など、それぞれのセグメントに対応したメッセージを伝えることが効果的。
🎯 チャネル戦略
セグメントごとに適切なマーケティングチャネルを選定し、プロモーション活動を行う。
例えば子育て世帯向けには SNS や親子向け雑誌、共働き世帯向けにはビジネス誌やウェブ広告など、それぞれのターゲットにアプローチできるチャネルを使い分ける
メッセージのつくり方
上記の中から 「メッセージング」 についてさらに考えてみます。
次のようなことをポイントにメッセージをつくるといいです。
📝 メリットを具体的に伝える
商品やサービスのメリットを具体的に伝えることで、お客さんにその価値を理解してもらえ購入意欲が高まる。
例えば 「子どもの安全を守るスマートロック」 の場合、指紋認証機能により鍵の紛失がなくなることや、スマホで解錠・施錠の通知が届くことなど、具体的なメリットを伝える。
📝 機能に加え感情的な価値の訴求
お客さんの感情に訴えかけるメッセージも効果的。安心感や快適さ、時短など、商品・サービスがもたらすポジティブな感情的価値を伝えることで、お客さんの欲しい気持ちを高める。
📝 わかりやすい表現
メッセージはシンプルでわかりやすい表現を心がける。複雑な言葉や専門用語を避け、お客さんがすぐに理解できる言葉で価値を伝えることが重要。
お客さんが共感できるストーリーを使ってメッセージを伝えることも有効。実際のお客さんの体験事例を使って、商品の価値を具体的にイメージできるようなストーリーを展開する。
以上のポイントを踏まえて各セグメントに対応した魅力的なメッセージを作成し、マーケティングに活用することでビジネスの成功につながります。
まとめ
今回はスマートロックの話題を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 効果的なセグメント化とメッセージのつくり方
- セグメント化の方法はターゲット市場を特定しお客さんを理解する。価値提案の内容をメッセージに落とし込み、セグメントごとの適切なチャネルでコミュニケーションを展開する
- メッセージ化のポイントは、お客さんの文脈に沿ったメリットの明確化、価値をわかりやすく訴求する。シンプルな表現を心がけつつ、共感を生むストーリーを入れる
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