投稿日 2023/10/04

双方向性の力。スペースインベーダーに学ぶマーケティング 4P の再構築

#マーケティング #4P #双方向性

時代や市場が変化していく中で、マーケティングは常に新たな挑戦が求められます。

今回は、スペースインベーダーのゲームから学ぶ、「双方向性」 を取り入れたマーケティングの可能性を探ります。ぜひ一緒に学んでいきましょう。

スペースインベーダーのヒット理由



スペースインベーダーが今年2023年で誕生45周年を迎えました。1978年にタイトーが生み出し、世界的に大ヒット、日本でも空前のブームとなったアーケードゲームです。

スペースインベーダーのヒット要因はどこにあったのでしょうか?

そんなスペースインベーダーがヒットした要因は何か。謎をひも解くキーワードが 「双方向」 だ。当時、ゲームの主流は、制限時間内に的を狙い、そのスコアを競う、いわば 「的当てゲーム」 のようなものだった。プレイヤーが一方的に攻撃するというスタイルだ。

これに対し、スペースインベーダーは、プレイヤー自身が攻撃するだけでなく、敵の宇宙人もプレイヤーを攻撃するという双方向システムを採用。敵からの攻撃を回避するとともに、敵を全て撃墜することを目的にしていた。タイトーによると、こうしたスタイルは 「当時としては斬新だった」 という。スキル上位者になるほど1プレイのプレイ時間が長くなる仕組みだった点も中毒性があり、ファンを生むことにつながった。

双方向を採用したことから、スペースインベーダーは 「シューティングゲームの元祖」 として、その後のゲームに大きな影響を与えた。実際、シューティングゲームのジャンルではないものの、ファミコンの代表的作品 「スーパーマリオブラザーズ」 も敵キャラが攻撃するようになっており、今やゲームで当たり前になったスタイルとして定着している。

スペースインベーダーのゲームが画期的だったのは、「双方向性」 というプレイヤーが敵を一方的に撃つだけではなく、敵も攻撃してくるところにありました。

敵の宇宙人も弾を撃って攻撃してくるため、プレイヤーは弾を避けながら敵を撃たないといけません。ゲームへのスリルが増し、コンピューター (人工知能) と人間の対決という要素を持ち込んだゲームだったわけです。


双方向性とマーケティング 4P


では、インベーダーゲームがロングセラーになった要因である 「双方向性」 に注目し、学べることを掘り下げていきましょう。

具体的にはマーケティングの 4P です。

✓ マーケティング 4P
  • Product 商品
  • Price 価格
  • Place 販売チャネル (顧客接点) 
  • Promotion (プロモーション (広告や販促) ) 

マーケティング 4P の Product, Price, Place, Promotion の4つの要素において双方向性を入れることで、商品開発、価格設定、顧客接点、プロモーションにおいて、売り手と買い手での 「共創」 から価値が生まれます。

商品開発における双方向性


双方向性をプロダクト (Product) に取り入れるとどうなるかを見てみましょう。

ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れて商品を改良していくというアプローチです。一度売り出したら終わりではなく、ユーザーの声を聞き続け、お客さんの要望を商品に反映させることで、より魅力的な商品になっていきます。

柔軟な価格設定


価格設定 (Price) についても双方向性を入れることができます。

ユーザーからの需要に応じて価格をリアルタイムに変動させるダイナミックプライシングは、双方向性のある価格決定の方法です。

顧客接点での双方向性


販売チャネル (Place) も双方向性が求められます。

お店、Web サイトやアプリは商品・サービスを提供する場としての役割だけではありません。お客さんに商品を売ることに加え、顧客接点ではお客さんの行動や声を集め、お客さんを理解するための場でもあるのです。

プロモーションと双方向性


プロモーションにおいても双方向性が重要となります。

一方通行の情報提供ではなく、お客さんとの対話や共感を生むコミュニケーションが大事です。お客さんからの声を聞き、口コミによる SNS での拡散など、双方向の要素が入ることで影響力がより高まるプロモーションにつながります。


顧客中心のマーケティングへ


マーケティング 4C


マーケティング 4P の視点をお客さんからの目線に切り替えると、4P は 4C というフレームに置き換えることができます。

✓ マーケティング 4C
  • 価値 Customer value
  • コスト Cost
  • 利便性 Convenience
  • コミュニケーション Communication

順番に補足すると、お客さんが得る価値 (Customer value) 、価値を得る対価して支払うコスト (Cost) 、商品やサービスが身近で得られやすい利便性 (Convenience) 、そして、ブランドや商品についての情報を得たり企業に伝える対話 (Communication) です。

お客さんへの価値創出


マーケティング 4P と 4C を統合させると、4つの項目は 「お客さんへの価値創出」 の観点で捉えることで本質が見えてきます。

4つの P を全て 「価値」 という切り口でそろえると、次のようになります。

✓ 4P と顧客価値
  • Product: 価値を得るもの (利用して価値が得られる) 
  • Price: 得られる価値に支払う対価
  • Place: 価値を手に入れる場所
  • Promotion: 価値情報を知る・自分ごととしてイメージしてもらう手段

マーケティングの世界では 4P は有名なフレームワークとして長年用いられてきました。

マーケティング 4P が本当に機能するのは、4つ P の中心にはお客さんがいる場合です。顧客中心に据えることがマーケティングにおいては不可欠です。

商品 (Product) はお客さんの問題を解決し、喜びを提供する手段です。価格 (Price0 設定は、単なるコストの問題ではなく、お客さんがその価値に見合うと感じるかどうかがカギとなります。

販売チャネル (Place) は、商品を手に取る場所以上の意味を持ち、お客さんとの接点として関係を強める機会となります。そして、プロモーション (Promotion) は情報を一方的に伝えるのでなく、お客さんとの双方向でのコミュニケーションを生み出し、関係を深める手段なのです。

このように 4P をお客さん中心の視点で捉え直すことで、マーケティングはより深化した顧客関係を構築するでしょう。お客さんに価値を届けることが、結果として企業の成長につながります。

マーケティングとは、常にお客さんの価値創出のためにあるということを、私たちは忘れてはなりません。


まとめ


今回は、誕生から45周年を迎えたスペースインベーダーのゲームを取り上げ、マーケティング 4P をテーマに見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • マーケティング 4P (商品, 価格, 販売チャネル, プロモーション) に双方向性を取り入れることで、売り手と買い手の「共創」から新たな価値が生まれる

  • 4P を顧客目線に変えると、マーケティング 4C になる。価値 Customer value 、コスト Cost 、利便性 Convenience 、コミュニケーション Communication

  • 4P の中心に顧客を置くと、顧客への価値創出の観点で捉え直すことができる。マーケティングとはお客さんの価値創出のためにある。お客さんに価値を届けることが企業成長のカギを握る


マーケティングレターのご紹介


マーケティングのニュースレターを配信しています。


気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。

マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。

レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。

こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。