ご紹介したい本は、USJ のジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (森岡毅) です。
本の内容を一言で表現をすれば、戦略とマーケティングの視点で USJ の実例から 「アイデア発想術」 を解説する本です。
戦略的フレームワークでアイデアを創出
アイデアを考えるためには戦略的なフレームワークが必要だというのが、著者の森岡さんの考えです。
フレームは、目的、戦略、そして戦術 (アイデア) の順序です。
- 目的を明確にする
- アイデアへの戦略 (これを本書では 「必要条件」 と言います) を定める
- 戦術にあたるアイデアの具体化
この順番で進めることで、不必要な箇所に時間を使わず、有益なことに時間を使うことができます。それだけアイデアを早く見つける確率が上がるわけです。
目的の明確化
まず最初に目的を徹底的に見極めます。そして、いざ目的が設定されたら 「アイデアを考えるのは無理だ」 とあきらめず行動を開始します。
目的が正しいならば、進むべき道は明確で、あとはもう目的を達成することに全集中です。
必要条件の洗い出し
この本で学びになったのは、アイデア発想における戦略となる 「必要条件」 です。
アイデアを考えるにあたって重要なのは、「何を必死に考えれば良いかわかっていること」 です。もし、どんなアイデアを考えるかがわからなければ、幅広い可能性の中から何の手がかりもなくアイデアを探すことになります。これでは非効率です。
考えるべきアイデアの手がかりを決めるのが必要条件です。必要条件によって方向性や前提をはっきりさせるわけです。
たとえば、USJ に当てはめると必要条件は、
✓ アイデア 「小さな子ども連れファミリーを獲得する」 ための必要条件
- 「小さな子どもを連れて一緒に行くと大人は楽しめない」 というパーク全体への認識を強く覆すもの
- 実際に数割で増えるであろう来場客に対して、十分に大きな収容キャパシティがなくてはならない
- 設備投資資金の予算内で実現できるアイデア
- 既存資産とのプラスの相乗効果で経営効率を高めるアイデアであればなおよい
このような項目を 「必要条件」 として洗い出し、目的達成につながるかを十分に検討し、OK であれば具体的なアイデアを出していきます。
アイデアを生むために
既存アイデアを活用しリノベーションする
必要条件が明確になったら、既に存在する仕組みをうまく活用できないかを考えるといいです。
過去に似たような問題に直面した人が存在する可能性があります。世の中にすでにあるアイデアを見つけ出し応用する視点も大事です。
新規性を求めて自分たちでゼロからアイデアを生み出すのは、どうしても見つからない場合の最終手段にすべきだと森岡さんは言います。
ここでのアイデアの成功の鍵は、変化の度合いはリノベーションなのだけど、いかにイノベーションだと思ってもらえるかです。
リノベーションは、それがリノベーションだと気づかれないくらいの新しい価値を創造できたときに成功します。
たとえば、USJ は当時予算が限られる中で、ジェットコースターを後ろ向きに走らせるというアイデアを生み出しました。すでにあったジェットコースターを改良したわけですが、来園者にはまるで新しいアトラクションのように感じられ、新鮮な驚きと楽しさを味わうことができたのです。
アイデアを考え抜く気概
結局のところは、目的と必要条件において、どれだけ徹底的に考え抜けるかが最終的なアイデア発想の成否を決めます。
自分の中で 「良いアイデアを絶対に思いつく!」 という気持ち、なんとしても考え出すというコミットメントが重要なのです。アイデアは必ず見つかるという信念を持ち、決してあきらめずに考え続けることで、ようやくアイデアが生まれます。
そのためにはアイデアの戦略的フレームから考えるべきポイント (目的と必要条件) を明確にし、社内やチームの情報を活用し、世の中からアイデアを探し、脳に汗をかいて考え抜く気概が大事なのです。
まとめ
今回は書籍 USJ のジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (森岡毅) をご紹介しました。
この本からは、USJ の数年間の事例から具体的なアイデアを生む方法を学べます。
最後にお伝えしたかったポイントをまとめておきますね。
- 戦略フレームワークを使ってアイデアを発想する。① 目的の明確化、② 戦略 (アイデアの必要条件) の設定、③ 具体的なアイデア創出
- アイデアを考えるにあたって重要なのは、何を必死に考えれば良いかわかっていること。必要条件によってアイデアの方向性や前提をはっきりさせる
- アイデア発想の成否を分けるのは 「良いアイデアを絶対に思いつく!」 という強い気持ち。フレームワークを使い、様々な情報を活用してアイデア発想を追求しよう
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