投稿日 2023/10/12

右脳思考 (内田和成) 。「観察・感じる・直感」 から右脳をフル回転させる方法

#マーケティング #直感 #本

ご紹介したい本は、右脳思考 - ロジカルシンキングの限界を超える観・感・勘のススメ (内田和成) です。


本書の概要


この本では、ロジックだけでなく感情や勘などの右脳の積極的な活用を提唱しています。
※ 決してロジカルシンキングを否定しているわけではないです

仕事をより効率的に進め、成果を上げるためには、左脳一辺倒になるのではなく、いかに右脳もうまく使いこなせるかです。

本書で言わんとしているのは、

  • 右脳と左脳には、それぞれを有効に使うタイミングと順番がある
  • 右脳と左脳の両者間で思考のキャッチボールをすることで、相乗効果を発揮できる


意識的に右脳を使う


右脳と左脳を使う全体像


一般的なビジネスのシーンにおいて、インプット、検討・分析、アウトプットと3つのステージに大きく分けると、右脳と左脳の使い方のポイントは次のようになります。

  1. インプットステージ [右脳]
    情報のインプットには、五感を最大限に活用する。新しいこと、変化や異変には感覚を通じてキャッチする

  2. 検討・分析ステージ [左脳]
    インプットした情報から、左脳を使って真の課題を特定し解決策を考えていく。
    課題が大きすぎたり複雑な場合は、分解し構造化をする。全体をカバーできているかをロジカルに確認する。仮説が正しいかどうかの検証も論理的に行う

  3. アウトプットステージ [右脳]
    分析から結論を出し、結論を他人が理解し納得できるように伝え、実行に移すためには右脳を活用する。 左脳を使ってロジカルに導いた結論を、チームや組織、お客さんに共感してもらい腹落ちした状態にもっていくために右脳を使う

3つの 「カン」 で右脳を使う


インプットステージとアウトプットステージでは、右脳が大事な役割を果たします。

本書が提示するのは 「観・感・勘」 の3つのカンを活用することです。

  • 観察すること [観]
  • 何かを感じ取ること [感]
  • 直感を働かせること [勘]

意思決定では右脳がカギを握ります。具体的な答えが出た時、それをそのまま実行に移すには勇気が必要で、選択に迷ったりすることもあるでしょう。そうした場面で最後に決断を下すのが右脳の役割なのです。

そして、実行においても右脳の活用が重要になります。

人は理屈よりも感情によって動きます。人や組織に動いてもらうためには、ロジックから理解してもらうだけではなく、気持ちで心から納得していることが大事です。

こちらが実行してほしいと考えていることに、まずは相手がどう思っているのかを右脳で感じ取ります。もし相手が十分に納得していないとすれば、何が引っかかっているのか、どうしたら納得してもらえるのかを右脳を使って掘り下げます。

そして実際に相手が腹落ちするくらいにもっていくためには、彼ら・彼女らの気持ち、つまり右脳に働きかけることが大切です。

相手に腹落ちしてもらう方法


では、相手が納得し腑に落ちている状態になるためにはどうすればいいでしょうか?

アイデアや戦略を人々が理解し腹落ちしてもらい実行に移したり、企画提案した内容を上司が理解し納得してもらうためには、4つの要素がポイントです。① 論理性、② ストーリー、③ ワクワク・ドキドキ感、④ 自信・安心感です。

  1. 論理性
    聞いている相手が提案内容を正しいと納得し、あるいは誤りがないと感じること

  2. ストーリー
    論理的な整合性があるだけでなく、全体が1つのストーリーになっていること。聞いた人が理解できるだけでなく、他人にも説明できる

  3. ワクワク・ドキドキ感
    楽しそうだからやってみたい、おもしそうという印象を与えられること

  4. 自信・安心感
    新たな取り組みへの提案に、難しくないと感じられること。自分にも実行できると思えること。万が一に失敗したとしても、問題は修正可能であり、大きな影響がないと思える

感性の鍛え方


ビジネスにおいて活用する勘は、根拠のない直感ではなく、論理や経験にもとづく仮説であるべきです。

経験を積むほど、勘は研ぎ澄まされていきます。

ただし、なんとなく経験を積むだけでは進化や学習はありません。大切なのは、常に問題意識を持ち経験を積んでいき、自分の中でのデータベースを充実させることです。

本書で言う 「右脳思考」 とは、自身の中に蓄積された経験という自分自身のオリジナルのデータベースにアクセスし、それを使って自由に考えることなのです。

右脳での感性や直感を鍛えるためには、自分の経験や感情に向き合い、素直に表現することが大事です。

自分自身に向けて問いかける、たとえば、何がおもしろいのか、つまらないと感じた場合はなぜなのか、喜びを感じた時には何がそうさせたのか、怒りを感じたなら原因は何かを深掘りするといいでしょう (例: 自分のことが軽視されたからなのか、その行為が人としての道を逸脱するようなものだからなのか) 。

自分の感情に素直に向き合い、奥にある自分も気づいていなかったり、言葉にできていなかった心理、人には恥ずかしく言いにくいような本音まで掘り下げてみるといいです。


まとめ


今回は、右脳思考 (内田和成) をご紹介しました。


最後にポイントをまとめておきます。

  • インプットステージでは、右脳を使い情報を五感で収集し仮説を生み出す。検討・分析ステージでは、得られた情報から課題を特定し左脳から解決策を考える。そしてアウトプットステージは、右脳を使って結論を他人が理解し納得できるように伝え、行動に移す

  • 右脳を働かせるために本書が提示するのは、「観・感・勘」 の3つ。観察すること [観]、何かを感じ取ること [感]、直感を働かせること [勘]

  • ビジネスでの勘は論理や経験にもとづく仮説。勘や感性を磨くためには、自分の経験や感情を自問自答し掘り下げ言語化する。何が楽しいのか、つまらないのか、なぜ喜んだり怒ったりするのかなどの自己理解を深める


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。