投稿日 2023/10/11

Z 世代の価値観を読み解く。"サプライズアレルギー" の症状と処方箋とは?

#マーケティング #Z世代 #サプライズアレルギー

Z 世代の行動の背後には、どんな心理が隠れているのでしょうか?

今回は、Z 世代の行動特性や奥にある気持ちを紐解きます。

どのような時代背景や価値観が Z 世代の 「サプライズアレルギー」 をつくり、それに対してどんなマーケティングをすればいいのでしょうか?ぜひ一緒に学んでいきましょう。

Z 世代の "サプライズアレルギー" 


Z 世代は 「事前に確認できないこと」 をリスクと見なし、SNS やオフラインでも情報収集を積極的に行い、失敗を避ける傾向が強いとのことです。

世代・トレンド評論家の牛窪 (うしくぼ) 恵氏が登壇し、「Z 世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査」 の結果について語った。

今回の調査から見えた Z 世代の特徴として、効率的でないことにストレスを感じ、想定外のことをできるだけ避けたいといった考えの人がそれぞれ6割以上いることがわかったという。このような 「サプライズアレルギー」 を感じる人が多いと牛窪氏は述べる。

 「Z 世代の人たちはデジタルを使いこなすことで、想定外がなるべく起こらないようにし、起こった際にも驚かないように備えておきたいといった傾向が見られます」 

実際にバブル世代と比較した時に想定外を失敗として嫌う人たちの数を比較した。すると、バブル世代は、予想外のことを失敗と捉える割合は 21.3% であるのに対して、Z 世代は 30 %、つまり約1.5倍の人が失敗と捉えやすいことがわかった。

Z 世代の行動と価値観


では Z 世代の 「サプライズアレルギー」 から、学べることを掘り下げていきましょう。

Z 世代の情報収集


Z 世代は 「事前に確認できないこと」 や 「その場に行かないとわからないこと」 をリスクだと捉えます。

失敗を避けるために SNS で情報収集を行い、他人の評価をしっかりとチェックする傾向があります。オンラインだけではなくリアルでの情報も集め、時間をかけて検討し、オンラインとオフラインの間を何度も行き来します。

1990年代後半から2010年頃までに生まれた Z 世代が幼少期から思春期までの間で育った時代は、不安定で不確定な時代でした。2001年アメリカ同時多発テロ、2008年のリーマンショック、2011年は東日本大震災などの歴史的な出来事が起こり、5年後や10年後の世界がどうなるかの予測が困難であり、正解が存在しない時代をすごしてきました。

Z 世代のリスクを避ける気持ちや失敗したくないという心理は、こうした時代背景が影響しているのでしょう。

他人からの評価と自分像


Z 世代は、自分のキャラクター設定として 「他人からの評価 = 自分らしさ」 という考え方をします。

友人や SNS のフォロワーからどのように自分が見られているかを強く意識し、自分がどうありたいかというイメージを他人からの目・評価に依存する形でつくり上げています。

よって他人からネガティブな印象を抱かれることは避け、自分のことを 「他人からこう見られたい」 というイメージからは逸脱しないような振る舞いをするわけです。こうした価値観や心理は、なるべく失敗はしたくない、自身の失敗を他人に見せたくないという気持ちにつながっているのです。


サプライズアレルギーへの処方箋


では 「失敗をしたくない気持ち」 が強い Z 世代へのマーケティング (選ばれるための働きかけ) は、どうすればいいでしょうか?

誠実な情報提供


情報が豊富に得られる環境が当たり前な Z 世代にとって、商品・サービスの信頼性や品質を真摯に伝えることがポイントです。

情報が豊富に得られるこの時代だからこそ、過度な宣伝や誇張は逆効果になります。

Z 世代の若者は情報を選別することには慣れており、不透明な情報や疑問を持たせるような内容には敏感に反応するでしょう。誠実に商品やサービスのことを伝え、隠すことなくオープンな情報提供を心掛けることが大事です。

SNS の活用


また、SNS を活用した情報提供も欠かせません。作り手からの公式としての良質な商品情報を共有します。

SNS は、彼ら・彼女らの日常の中で欠かせない情報収集ツールです。企業やブランドは、SNS を通じて良質な商品情報を提供するといいでしょう。

良いところもそうではない面もオープンにし、期待できる商品やサービスのユーザー体験をより確実なものを持ってもらう訴求をします。

UGC からの信頼獲得


さらに、SNS を活用するときのポイントは、企業からの情報発信だけではなく、ユーザー自身からの関連投稿や口コミがどれだけ生まれるかです。

UGC (User Generated Content) からは、企業だけからの情報発信とは異なる、より深い信頼性を生み出します。一般的に同世代の友人やよく目にするインフルエンサーからの情報には信用するものです。

UGC を促進するキャンペーンや取り組みを展開し、UGC が広がることで、情報が拡散するだけではなく企業だけからではつくりきれない信頼性を消費者から獲得できるでしょう。


まとめ


今回は、Z 世代の行動特性や心理・価値観を紐解き、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • Z 世代は自分がまわりからどう見られるかを強く意識し、他人からネガティブな印象を持たれることを避ける。失敗をしたくない、他人に自分の失敗を見せたくないという 「サプライズアレルギー」 がある

  • Z 世代向けのマーケティングでは、商品やサービスの信頼性を伝え、SNS を活用した情報提供をするといい。UGC が生まれる働きかけも有効

  • 商品への良い面とそうではない面も誠実に伝え、ユーザー体験が期待外れで失敗することはない商品だと訴求する。誠実なコミュニケーションからの信頼獲得を目指す


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。