商品のすばらしさやノウハウを、お客さんにどれだけ伝えられているでしょうか?
売上という目標にとらわれるすぎると、自分たちの本当の役割を見失ってしまうことがあります。
今回は資生堂の新しい取り組みから、「先生化ビジネス」 をキーワードにお客さんとの絆を深める方法を紐解きます。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
資生堂の男性向け化粧セミナー
出典: 資生堂
資生堂が男性向けの化粧セミナーをはじめました。セミナー名は 「メンズビューティーアップコース【アドバンス編】」 です。
企業、学校、自治体と連携し、化粧に関心のある男性に化粧の方法を教える講義が行われます。
講師は資生堂の美容部員出身の 「ソーシャルエリアパートナー」 が担う。受講時間は1時間 ~ 1時間30分。実地とオンラインのいずれかを選択して受講することができる。実地の場合は同社の化粧品を使いながら、コンシーラーやアイライナー、ベースメークの方法を教わることができる。
講義の狙いは、化粧をしているような感じが出過ぎず、きりっとした印象を与えられるビジネスメークができるようになること。同社のトップヘアメークアップアーティストである原田忠氏が講義を監修した。
使用する教科書は細かいメークのコツのほか、髪のスタイリングや体臭予防の方法などが盛り込まれた。受講価格は60分で2200円。自治体や学校などを通じて申し込まれた場合は無料で対応する。
(中略)
資生堂はこれまでも、メークをしたくてもやり方がわからない女性を対象にしたセミナーを実施している。同社が約400人の20 ~ 50代の男性に聞いたアンケートによると、メークをしたいと回答した人が9割にのぼったが、実際にメークをしている人は1割にとどまった。このため潜在的な需要はあるとみる。
学べること
では資生堂がはじめた男性化粧セミナーから、学べることを掘り下げていきましょう。
今回の事例からは 「先生化ビジネス」 という切り口で学びがあります。
先生化ビジネスとは
資生堂は 「先生化ビジネス」 のアプローチを用い、男性化粧品市場の開拓に乗り出しました。先生化ビジネスとは、売り手が先生になることでビジネスを展開していくことです。
自分たちが持つ商品知識や使い方のノウハウそれ自体を価値あるものとしてコンテンツにし、お客さんに教えることによって商品の購入につなげたり、お客さんとの信頼関係を深めることできます。
教える側の学び
企業とお客さんの関係は一見すると 「教える」 と 「教えられる」 ですが、教える企業側 (今回の場合は資生堂) にも学びの機会になります。
セミナーでのお客さんの反応、質問やフィードバックによって、自社の商品のことやお客さんのことをより深く理解できます。顧客理解は、商品開発やマーケティングに活かされます。
先生化ビジネスは、単に商品を教えることを通して売るだけでなく、お客さんを理解し、深い関係を築けることに意義があります。
お客さんと共に学び、共に成長することで、企業はビジネスを次のレベルに引き上げることができるでしょう。
まとめ
今回は資生堂の男性化粧セミナーから、学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- 商品の知識やノウハウをコンテンツ化してお客さんに教える 「先生化ビジネス」 は、商品の購入機会を増やすだけでなく、お客さんに教えることで、反応や質問・フィードバックから教える側も学べる
- 先生化ビジネスは単なる商品販売の手法ではない。お客さんの理解と深い関係構築から商品の改善やマーケティングに活用することで、ビジネスの持続的な成長につなげられる
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