「なぜ自社の商品やお店は、お客さんに選んでもらえないのか?」
こんな疑問を抱いたことはないでしょうか?
それは売り手である 「自分たちが思い浮かべているもの」 と、「お客さんが思い浮かべているもの」 が違うからかもしれません。
今回は 「第一想起」 をキーワードに、マーケティングの奥深さとおもしろさに迫ります。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。
想起と購入意向の関係
マーケティングにおいて、自社商品への 「第一想起」 の考え方は重要です。
第一想起とは、何かを買いたいという気持ちになったときに、お客さんが一番はじめに最初に思い浮かべる商品やブランドを指します。
第一想起の製品は購入率が高い傾向があり、想起と購入率には相関関係が見られます。
たとえば以下のグラフは、掃除機、ドライヤー、デジタル一眼レフカメラにおける 「想起順位ごとの購入率」 です。
出典: 日経クロストレンド
ただし因果関係は、両方の可能性があります。
すなわち、思い出しやすいものほど買われる、または、よく買われるものは思い出しやすいという2つです。
前者について、なぜ想起率が高いと買われやすいかを深掘りしてみると、
✓ 第一想起のものが買われやすい理由
- 最初に検討してもらえ、検討のテーブルに確実に上がる
- 最寄り品 (日用品や食料品などの買う頻度が高く時間をかけずに日常の生活行動圏内で購入する消費財) であれば、第一想起の商品は直感的または習慣的に買ってもらえる
- 買い回り品 (耐久消費財や趣味品などの品質やデザインなどを比較検討した上で購入するもの) でも、第一想起のものは検討されやすく検討後に買ってもらいやすい
- リピート購入でも買い続けてもらえる可能性が高い
このように、想起と購入には密接な関係があるのです。
想起されるシチュエーション
ではさらに想起について掘り下げていきましょう。
想起では 「何の中で思い出されるか」 という視点が重要です。
カテゴリーでの想起
第一想起は、特定のカテゴリーやジャンルの中において一番最初に思い出してもらうことだと捉えるのが一般的です。たとえば、「ファミリーレストラン」 や 「化粧水」 といったカテゴリーです。
売り手の視点で見ると、カテゴリー内の想起とは 「思い浮かべてもらう範囲」 を暗黙の前提で参入しているカテゴリーの中に絞っている状態です。
お客さん目線での想起
一方で、お客さんの頭の中は必ずしも売り手の視点と同じとは限りません。
お客さんは特定のシーンにおいて商品を思い出すことがあります。たとえば、「時間がないお昼にサッと食べたい」 といった状況においてです。そのときに最初に思い浮かぶ食べものやお店が 「シーンでの第一想起」 です。シーンはジャンルやカテゴリーとは異なります。
特定の利用シーンやシチュエーションにおいて、自社商品・サービスが頭の中の第一候補に挙がるかを重視するのが、お客さん目線での想起の考え方です。
お客さんが何かをしたいと思った瞬間に、思い浮かぶ選択肢の一番初めの 「ポールポジション」 の位置に自社商品やサービスが入っているかです。お客さんが頭の中で引き出しを開けて欲しいものを探すときに、一番手前に置いてあるかが勝負の行方を大きく左右します。
まとめ
今回はマーケティングの 「第一想起」 について掘り下げました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 第一想起とは、何かを購入したいという気持ちになったときに、お客さんが一番はじめに最初に思い浮かべる商品やブランド。想起と購入率は相関する
- お客さん目線で想起を捉えるといい。特定の状況 (例: 時間がないお昼を食べる) において、最初に思い出される商品やお店に自分たちが入っているかが大事
- お客さんが何かをしたい・買いたいと思ったときに、お客さんの頭の中の引き出しの一番手前 (ポールポジション) に自社商品があるかが、勝敗の分かれ目になる
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