今回は、ザ･ノース･フェイスの店舗の店員さんの接客方法を取り上げます。
具体的な接客スタイルと、その背後にある思いや狙いから、ビジネスパーソンとして汎用化できる学びを掘り下げていきます。
ザ･ノース･フェイス･フライトトーキョー店の接客
ご紹介したいのは、ランニング衣料専門店 ｢ザ･ノース･フェイス･フライトトーキョー｣ のある店員の方の接客です。
ゴールドウインが国内商標権をもつ ｢ザ･ノース･フェイス｣ の販売員はアウトドアやランニングなど私生活も商品に直結する趣味に打ち込む人が多い。ランニング衣料専門店 ｢ザ･ノース･フェイス･フライトトーキョー｣ (東京･千代田) の山口兼孝さん (31) は山道などを走るトレイルランの大会出場経験を生かし、一人ひとりの客の特性に合わせた服装や靴を提案する。
(中略)
客との会話では ｢いつごろ、どんな山で、どんな風に走りたいのか｣ と走る状況を把握するように心がける。全国25カ所の山道を走った経験から ｢低い山なので機能性より軽い方がいいですよ｣ などとアドバイスをする。汗っかきや寒がりなど客の体質も考慮して選ぶ。
具体的な接客方法の中身を見てみましょう。
店舗のインスタグラムで山口さんが国内最大級の大会に出たことを発信すると、同じ大会に出る予定の客が ｢山口さんに話を聞きたい｣ と訪ねてきたこともある。実体験にもとづき長時間のランニングに合う栄養補給食や天候に応じた対策など商品以外のアドバイスもする。｢お客さんでもあり同じ目標をもつランナーでもある。物を売るだけでなく経験も提供したい｣
ある初心者の40代男性が店舗主催のトレランイベントに参加した。男性は持ち合わせの靴やウエアで走り、大量の汗をかいて苦しそうな表情だ。
山口さんはイベント後、保護性が高い靴や汗冷えを防ぐインナーシャツを提案すると男性は商品を購入。定期的に店舗で買い足し、2年足らずで100キロメートルのトレランを完走するまで成長した。山口さんは ｢ウエアで快適に走れるようになり、お客さんの挑戦を後押しできたのはうれしい｣ と話す。
学べること
ではザ･ノース･フェイス･フライトトーキョー店の接客事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
この事例は Thought leadership (ソートリーダーシップ) の観点で学びが得られます。
ソートリーダーシップ接客
ソートリーダーシップとは、特定の課題やテーマに対して、企業や個人が解決策となりうる ｢Thought (理念や哲学, 思い, 主張, 未来など) ｣ を掲げ、業界や世の中からの共感などの態度変容や行動変容を生み出すことです。
ザ･ノース･フェイス･フライトトーキョー店の店員の方は、ご自身のトレイルランニングの経験を活かし、お客さんに最適なランニングウェアや靴を提案します。そして、それだけにとどまらず、実体験にもとづき長時間のランニングに合う栄養補給食や天候に応じた対策など、商品以外のアドバイスもお客さんに伝えます。
｢お客さんでもあり、同じ目標をもつランナーでもある。物を売るだけでなく経験も提供したい｣ という思いから、お客さんのトレランへの挑戦を後押ししています。
目標としているのは、20代のトレラン人口を増やし、そのために若者向けのトレランイベントを企画することなども目指しています。
ビジネスパーソンが学べること
今回の事例から、ビジネスパーソンがソートリーダーシップを持って仕事に取り組むためのヒントが得られます。
具体的には、高い志や理念を持ち、自分の経験や専門知識を活かし、お客さんに対して価値を提供することがソートリーダーシップにつながります。
専門的な知識や経験したことをお客さんに還元することでお客さんの問題解決に貢献し、その結果としてお客さんからの信頼を得ることができます。また、商品やサービスの改善、新しい解決策の提供という社内のことにもつなげることも大事です。
業界や社会をより良くしたいという思い、お客さんに喜んでほしい気持ちを持ちながら、経験や知見をまわりに共有し、他人に良い影響を与えることでソートリーダーシップを発揮できます。ひいては、ビジネスの成功に貢献できるでしょう。
まとめ
今回は、ザ･ノース･フェイス･フライトトーキョー店の販売員の方の接客から、私たちが学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- ソートリーダーシップ (Thought leadership) とは、課題やテーマに対して、企業や個人が解決策となりうる ｢Thought (理念や哲学, 思い, 主張, 未来など) ｣ を掲げ、業界や世の中からの共感などの態度変容や行動変容を生み出すこと
- 自分の思い、経験や知識を共有し、お客さんに対して価値を提供する。他人に良い影響を与えることでソートリーダーシップを発揮し、ビジネスの成功につなげよう
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