投稿日 2024/06/24

地方マーケティングを成功させる3つの柱。漫画キングダムとの共通点から解説

#マーケティング #戦略 #キングダム

地方企業が直面する人口減少、ヒト・モノ・カネの資源不足といった現状ーー。地方経済の活性化に貢献するために、マーケティングにもできることがあるはずです。

では、どのようにしてマーケティングから地方企業を成功に導き、企業の持続可能な成長を実現できるのでしょうか?

今回は、経営戦略、事業戦略、販売戦略の3つを柱に、地方企業が直面する課題を乗り越えるためのアプローチを紐解きます。

そして後半では、成功への法則を漫画 「キングダム」 に当てはめることで、洞察と示唆を掘り下げます。ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

地方マーケティングの成功法則


日経クロストレンドの特集で、" 「地方マーケティング」 の成功法則" が連載されました (記事はこちら) 。

地方マーケティングの成功法則を解説する特集記事で、地方企業の課題をマーケティングでいかに解決することかを事例から紹介する内容です。

背景として、地方企業の現状と課題には次のようなものがあります。

  • 地方では人口減少や経営資源の不足などが深刻化しており、事業継続が困難になっている
  • 地方企業はマーケティングに関するノウハウが十分にはなく、経営者や担当者の勘や経験に頼っているのが実態
  • 地方経済は日本経済の7割を支える。地方創生は国の課題でもある

経営戦略・事業戦略・販売戦略


地方マーケティングの成功法則として、大きく 「経営戦略」 「事業戦略」 「販売戦略」 の3つに分けて考えることが重要であるというのが、特集記事の指摘でした。

経営戦略


経営戦略では、漠然とした企業理念を言語化し、社内の意識を統一することから始めます。ブランドに反映させ、Who (どんな人) に、What (どんな価値を提供するか) を決定します。

これらの経営戦略を定めないまま事業を開始してしまうと、たとえば商品企画と販売プロモーションとの一貫性を欠く原因になります。

事業戦略


事業戦略とは、経営戦略に則り、事業の目的や目標、ビジネスモデルを整理した上で、具体的なタスクに落とし込むことです。

たとえば、事業の売上や利益の目標から逆算した販売チャネルの選定や、代理店や卸売りが必要かどうかの見極めなど、売上と利益をつくるための仕組みづくりです。

もし販路開拓が新たに必要であれば、展示会などに参加し、直販する場合は自社サイトを制作すべきか否かといった判断を行います。

販売戦略


販売戦略とは、経営戦略と事業戦略で決めた方向性について、より具体的な利用シーンやコンテンツ設計 (Web 商品ページのテーマ, SNS 投稿全般の方向性, イベントの出展内容など) を決めます。

そして、各販売チャネルや顧客接点 (EC, SNS, 小売への営業, 直接販売, 広告) に反映して実行していきます。

販売戦略とは、具体的な How (どうやって) を決めることを指します。

成功への10の法則


経営戦略、事業戦略、販売戦略のそれぞれにおいて、実行すべき合計10の法則があります。

✓ 経営戦略
  • 市場・競合を研究する
  • 自社の強みを考える
  • ターゲットを決める
  • 顧客に届ける価値を決める

✓ 事業戦略
  • 他社との差別化ポイントを決める
  • 経営理念との整合性を図る
  • 自社の強みを言語化し直す

✓ 販売戦略
  • 顧客に伝えたいメッセージを決める
  • メッセージを、何でどう伝えるか設計する
  • 顧客に期待する行動変容を決める

地方マーケティングの成功法則の10個を俯瞰すると、一般的なフレームワークと大きくは変わりませんが、その地方の特性に合わせて適用する必要はあるでしょう。


キングダムへの当てはめ


地方マーケティングを成功させる10個の法則は大きく分けると、経営戦略、事業戦略、販売戦略の3つでした。

これらを 「経営者の目線」 、「事業責任者の目線」 、「現場の組織長の目線」 とすれば、3つは立ち位置や視座の違いとして捉えることができます。

3つの視座について、より理解を深めるために漫画・アニメの 「キングダム」 に当てはめるとイメージがしやすいです。

経営戦略から順番に見ていきましょう。

経営戦略とキングダム


経営戦略は、次の4つが重点項目でした。

✓ 経営戦略
  • 市場・競合を研究する
  • 自社の強みを考える
  • ターゲットを決める
  • 顧客に届ける価値を決める

キングダムに当てはめると、経営戦略に該当するのは自国の 「秦」 における中華統一の国家戦略です。戦国の世を太平し、中華全土を秦が統一を果たすための自国での全体統括が経営戦略となります。

秦の第31代君主である 「嬴政 (えいせい) 」 をトップとして、総司令官の昌平君、政の一番の側近とも言える昌文君などの、自国の中枢部にいる文官たちが国家戦略をつくります。

経営戦略での1つ目の 「市場・競合を研究する」 は、彼らは、後に歴史的な出来事として語られるような大きな戦争の前だけでなく、日頃から常に自国や他国などの環境を研究しています。

近々起こるであろう戦争にあたっては、2つ目の 「自社の強みを考える」 に相当する自国軍の強みを踏まえた上で、狙うターゲットを決めます (3つ目の 「ターゲットを決める」 ) 。ここでのターゲットとして、どの敵国や領地を攻めるか、さらにはどこの城を攻略するか、あるいは特定の将軍に狙いを定めることもあります。

経営戦略の4つのポイントの最後は 「顧客に届ける価値を決める」 ですが、キングダムで言えば、自国の軍の中で 「どの将軍が指揮する軍を使って攻めるかを決めること」 と解釈することができます。

事業戦略とキングダム


では次に 「事業戦略」 について見ていきましょう。

事業戦略はポイントは3つでした。

✓ 事業戦略
  • 他社との差別化ポイントを決める
  • 経営理念との整合性を図る
  • 自社の強みを言語化し直す

キングダムの物語に当てはめれば、事業戦略をつくるのは戦地に派遣される軍隊の総大将です。

今から合戦が行われる戦場を目の前にして、敵国の軍隊と合間見えながらどのように戦うかの全体方針を決めます。たとえば、趙の城 「鄴 (ぎょう) 」 攻めの総指揮官であった王翦が、李牧と相まみえた朱海平原での戦いの前に描いた戦略が事業戦略です。

事業戦略の1つ目の 「他社との差別化ポイントを決める」 とは、敵軍に対する自分たちの勝ち筋や優位性を見極めることです。同時に2つ目にあった 「経営理念との整合性を図る」 ように、キングダムでは、自国の方針や今後の秦国としての国家戦略の大きな方向性に沿った戦い方を展開することも大事になるでしょう。

その上で、3つ目の 「自社の強みを言語化し直す」 に当たる、総大将は戦場をもとに、敵に勝利するために、勝ち筋、戦い方のコンセプトをわかりやすく言語化し、各部隊の隊長たち (たとえば飛信隊の信たち) への周知徹底を図ります。

販売戦略とキングダム


販売戦略はビジネスにおいては現場での方針になるものです。

法則は3つでした。

✓ 販売戦略
  • 顧客に伝えたいメッセージを決める
  • メッセージを、何でどう伝えるか設計する
  • 顧客に期待する行動変容を決める

販売戦略をキングダムに当てはめれば、飛信隊、蒙恬 (もうてん) が率いる楽華隊、王賁 (おうほん) の玉鳳隊などの各個別の部隊の戦略です。どうやって戦うかをそれぞれの将軍や軍師 (例: 飛信隊なら河了貂 (かりょうてん) ) が決める作戦や陣形、具体的な戦術まで落とし込まれます。

販売戦略の3つのポイントを順番に見ていくと、1つ目の 「顧客に伝えたいメッセージを決める」 とは、各将軍が部隊ごとに勝ち筋を決めるということです。

2つ目の 「メッセージを、何でどう伝えるか設計する」 は、勝ち筋の展開、戦い方などの具体的な戦術を決めます。軍事行動を開始するタイミング、敵を攻めたり迎え撃つ陣形などの具体的な作戦を詰めていきます。

3つ目の 「顧客に対する行動変容を決める」 をキングダムでの解釈を当てはめれば、勝利条件を決めるということです。たとえば、敵の城に潜入し自国の旗を立てる、敵の将軍の首を取る、領地をこれだけ広げる、攻めてきた敵軍を退散させるといったゴール目標です。

* * *

以上のように、国家戦略 (= 経営戦略) 、総大将が描く戦争の全体戦略 (= 事業戦略) 、各部隊の戦略 (= 販売戦略) とは、戦略を立てる人の立場や見えている景色などの視座や視野の違いから異なる役割を持ちます。

それぞれが課された責任を果たすことになります。

中心で軸となるマーケティング


最後にちなみにの話ですが、ビジネスの視点に戻すと、ここまでで一度も 「マーケティング戦略」 という言葉を使いませんでした。

あえて使わなかった意図は、これは私の考え方ですが、マーケティング戦略は、経営戦略、事業戦略、販売戦略の縦方向の全てを満たすものだと捉えているからです。すなわち、マーケティングとは経営そのものであり、同時に事業の意思決定から現場にまでも広く浸透すべき概念だからです。

マーケティングが中心に通る縦方向の軸となり、経営戦略、事業戦略、販売戦略の全体において一貫性がある状況が理想です。そのためには、経営・事業・販売の間での情報共有と連携がされ、戦略の立案と実行していくことが大事です。


まとめ


今回は地方マーケティングを取り上げ、キングダムに当てはめて考察をしました。

最後にポイントのまとめです。

  • マーケティングは地方の人口減少や資源不足に直面する地方企業の課題解決に貢献し、経営戦略、事業戦略、販売戦略の3つを中心に構築される

  • 地方マーケティング成功への10の法則は、市場研究、顧客定義、強みや顧客価値の言語化、価値創出までを含み、地方での特有の状況に合わせた適用が重要

  • マーケティング戦略は経営の核として、経営戦略・事業戦略・販売戦略の全ての戦略に一貫性をもたらす。全体での情報共有と連携が成功のカギを握る


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。