投稿日 2024/06/20

タカラトミー 「プリティーシリーズ」 新ゲーム。コアファンと新規ユーザーの同時満足戦略

#マーケティング #新規顧客獲得 #顧客ロイヤルティ

自社のビジネスは、常に変化する市場で競合他社にはできないような方法で、お客さんの心をつかんでいるでしょうか?

今回は、タカラトミーの 「プリティーシリーズ」 を取り上げ、コアファンの維持と新規顧客層の獲得を実現する方法を掘り下げます。成功の秘訣はどこにあるのでしょうか?

ぜひ一緒に学びを深めていきましょう。

プリティーシリーズ


出典: 4Gamer

タカラトミーがアーケードゲームやアニメで展開する 「プリティーシリーズ」 は、シリーズ開始から2024年で14周年を迎えました。

2010年に 「プリティーリズム・ミニスカート」 から始まり、その後は 「プリパラ」 「キラッとプリ☆チャン」 「ワッチャプリマジ!」 など数年ごとにキャラクターや世界観を一新してきました。

プリティーシリーズはアーケードゲームが原作です。店頭に置かれたゲーム筐体 (きょうたい) でカードを読み込み、歌とダンスのリズムゲームやファッションの得点を競います (ゲームは1回100円で遊べる) 。

2つの新作ゲームが登場


そんなプリティーシリーズから新作が発表されました。

2024年4月のアニメ放送に合わせてゲームとして 「ひみつのアイプリ」 と 「アイプリバース」 の2種類を展開し、連動する玩具も発売します。

今回の新作で注目したいのは、ターゲット別にゲームを2種類を用意したことです。

ひみつのアイプリ


ひみつのアイプリ (出典: 4Gamer

1つ目の 「ひみつのアイプリ」 は、5歳くらいの小さな子どもでも直感的に操作ができるリズムゲームです。ゲーム筐体から出てくるカードをパネルの上に置き、キャラクターがライブステージを披露している画面の表示に合わせてカードを動かして遊びます。

アイプリバース


アイプリバース (出典: 4Gamer

もう1つのゲーム 「アイプリバース」 は、自分のアバターであるマイキャラを作ります。

歴代シリーズのキャラクターも登場し、着せ替えやリズムゲームで遊びながら育成したり、他のユーザーのマイキャラと交流することもできます。「ひみつのアイプリ」 に比べると、アイプリバースのほうは難易度の高い遊び方になります。


学べること


ではタカラトミーのプリティーシリーズの事例から、学べることを掘り下げていきましょう。

コアファンとビギナーの両立


タカラトミーの 「プリティーシリーズ」 の新ゲームの事例は、ビジネスにおいて古参のコアファンと新規のビギナーの満足度を同時に満たす重要性を教えてくれます。

ビジネスでの2つを両立させる難しさ、つまり既存のロイヤルティの高いお客さんを維持しつつ、新たな顧客層を引きつける方法について、示唆を得ることができます。

既存ロイヤルティ顧客の離反可能性


ビジネスの世界では、既存の顧客層を維持することが大事なのは言うまでもありません。

特に長年にわたってブランドの成功を支えてくれたコアファンは、企業にとって長期的に価値をもたらしています。コアなファンは商品やサービスの品質、企業そのものにも信頼を寄せており、企業に安定した収益をもたらします。

ただし、どんなにロイヤルティの高いお客さんでも、時間の経過とともに置かれた状況、心理や価値観、習慣などのこうした 「顧客文脈」 は変わるので、一定数の人は離反していくことは避けられません。

それに加えて、市場は常に変化しており、新しい競合商品や代替サービスが登場したり、流行やトレンドも変わったりすることで、既存のお客さんだけに依存するわけにはいかなくなります。

新規顧客獲得の意味合い


こうした背景から、新規顧客の獲得は企業にとって重要な課題です。離反顧客の流出数を上回る流入数とするため、常に新規のお客さんを獲得することが必要になります。

新規顧客という存在は、自社の市場シェアを拡大し、商品やサービスの新たな収益源を確保するための大事な要素です。

新規のお客さんを引きつけるためには、彼ら・彼女らが興味を持ち、参加しやすいような環境を整える必要があります。商品の使い勝手や説明・訴求方法を調整することから、マーケティングの見直し、場合によっては新しい商品ラインの開発に至るまで、多岐にわたります。

タカラトミーの両取りのアプローチ


ここでタカラトミーのプリティーシリーズの事例につなげると、タカラトミーは既存顧客と新規顧客の両立での満足度追求という課題に対して、効果的なアプローチをとりました。

タカラトミーは、プリティーシリーズの長年のファンには難易度の高い新作ゲーム (アイプリバース) を提供する一方で、新規のユーザーには直感的に操作できるゲーム (ひみつのアイプリ) を展開しました。

2つが用意されていることで、新しくプリティーシリーズを遊ぶ子どもにはハードルが低くなり、最初から手軽にゲームを楽しめます。同時に、コアファンは好きなプリティーシリーズの新作ゲームを探求することができるでしょう。

タカラトミーは、新規顧客の流入を促しつつ、他方で既存顧客のロイヤルティを維持し、さらには強化することを目指しています。

違いと全体の統一感のハーモニー


タカラトミーの事例から学べることを汎用化すると、新旧の顧客層を同時に満足させる商品やサービスを設計する重要性です。

新しいお客さんの獲得は、企業が成長し続け、市場の変化に適応するために不可欠です。新規獲得のためには、新規のお客さんが参入しやすい環境を作り出し、長年のファン (ロイヤルティ顧客) への対応も求められます。ロイヤルティ顧客が愛着を持っているブランドに対して、新たな側面を提供する必要もあるでしょう。

新規と既存のお客さんの間での違いをつくりつつ、トータルでは共通するブランドの世界観を提供することが、ビジネスでの持続可能な成長と成功のカギを握ります。タカラトミーの 「プリティーシリーズ」 新ゲームの事例は、私たちにとっても参考になるはずです。


まとめ


今回はタカラトミーのプリティーシリーズを取り上げ、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • タカラトミーの 「プリティーシリーズ」 は、既存のコアファンを維持しつつ、新規のビギナー層を引きつけることの重要性を示す。顧客層の拡大と満足度の最大化を追求している

  • ビジネスでは新しいトレンドや競合に対応するために、常に市場の動向を捉え、新規の顧客層を獲得し続ける必要がある。新規顧客獲得から、市場シェアの拡大と新たな収益源が得られる。同時にロイヤルティの高い顧客のニーズに応えることも重要

  • 商品やサービスの設計において、新旧のお客さんがともに共感できるブランドの世界観や顧客価値の提供が成功のカギを握る


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。