投稿日 2024/06/22

訪日客向け 「日本の田舎の学校体験」 に学ぶ、顧客文脈の深い理解から価値ある提案へ

#マーケティング #顧客文脈 #価値創出

今回はユニークなインバウンドの外国人観光客向けのサービスを取り上げます。

このサービス事例を通して、ターゲット顧客の特定、顧客ニーズや価値観を掘り下げ、お客さんの心に響く商品やサービスをつくり、提案するまでの成功するプロセスを紐解きます。

日本の田舎の学校体験


出典: PR TIMES

今回ご紹介したいのは、外国人観光客が学ランやセーラー服を着て、日本の学校体験ができる 「日本の田舎の学校体験」 です。

体験型観光サービス


日本の田舎の学校体験は、2023年11月にサービスを開始し、千葉県君津市で提供されています。授業はすべて英語で行われるため、主に訪日外国人をターゲットとしています。

昭和の時代の日本の学校生活を体験できるというユニークなコンセプトです。

かつて学校として使われていた廃校を利用し、当時の学校の雰囲気をそのままに再現しています。参加者は学ランやセーラー服に身を包み、昭和の時代にタイムスリップしたかのような体験ができます。

サービスの中身


日本の田舎の学校体験では、プロの役者が教師役を務める授業に参加し、昭和の学校で定番だった給食を味わったり、さらには運動会に参加するなど、日本の学校文化をリアルに体験できるプログラムが用意されています。

具体的には、朝のホームルーム、日直、書道や歴史の授業、給食、運動会、最後は卒業証書が授与されるなど、日本の学生が経験する学校生活を擬似体験できます。さらに、他校から攻め込んでくるヤンキーや、バケツを持って廊下に立つという “昭和の学校あるある” の演出も用意されています。

また、オプションで校庭でのキャンプ泊や温泉旅館での宿泊も可能となっており、参加者には最終的に卒業証書が授与されるなど、エンタメ性が高く、参加者に忘れられない思い出を提供しています。

参加費用は、大人 (13 ~ 60歳) が3万円、子ども (6 ~ 12歳) が1万円です。最小3人から最大30人までのグループでの体験が可能です。

地域活性化への貢献


日本の田舎の学校体験は、日本独自の学校文化に触れたいという外国人旅行者のニーズに応えるとともに、観光資源が少ない地域の活性化にも貢献しています。

昭和の時代の学校生活を再現したこの体験型観光サービスは、日本の文化を深く知りたいという外国人旅行者にとって、貴重な体験の機会をもたらし、地域の観光振興にも寄与していることがわかります。


学べること


では 「日本の田舎の学校体験」 から、学べることを掘り下げていきましょう。

一般化して捉えること、自分たちがやっている日常の中での行為、習慣的な行動など、普段の "あるある" の中には、ビジネスのチャンスが眠っていることを教えてくれる事例です。

日本人にとっての 「当たり前」 への価値


インバウンド訪日観光客が日本の文化を体験したいと聞けば、何が頭に思い浮かぶでしょうか?

日本人からすれば例えば、かしこまった和室でお茶を入れる茶道、着付けや舞妓さんの体験ができるなど、日本の古くからある伝統文化が思いあたることでしょう。これらは日本人でも多くの人が体験したことのないような文化体験です。

もちろん、これらは外国人観光客にとって日本でしかできない体験ではあるので、経験できることは思い出になり価値はあります。その一方で、日本人にとっては誰もが普通にやっている・やってきたことの中にも、外国人にとっては新鮮でユニークな習慣や文化、体験があったりするものです。

今回ご紹介した 「日本の田舎の学校体験」 というインバウンド向けサービスは、まさにこの事例です。

昭和の日本の中学校のあるあるの日常や学校生活を1日にぎゅっと詰め込んで体験でき、日本の子どもたちの教育や学校体験をエンタメ性も伴って体験することができます。

相手の文脈での価値発掘


この事例からビジネスに学べることを整理してみましょう。

自分たちにとっては当たり前のことでも、お客さんの文脈を捉えた見せ方や切り口にすることで、相手には他にはない魅力的な顧客価値につながるということです。

ビジネスチャンスは足元に隠れていて、いわば灯台下暗しの状態だったりするわけです。

ビジネスアイデアの着想プロセス


新しいビジネスへの着想のために、マーケティングの観点を入れて次のような視点を持ってみるといいでしょう。

  1. 自分たちが向き合うターゲットとするお客さんは誰かを決める
  2. そのお客さんが持っているニーズや奥にある望み、不満、何に価値を見出すかの価値観までを深く理解する
  3. 顧客理解にもとづいてターゲットとする顧客文脈を定め、顧客文脈においてどんな顧客価値を体験してもらうかを設計する
  4. 定義した顧客価値を実現する商品やサービスをつくる
  5. 商品・サービスを顧客文脈にフィットするように魅力的に見える伝え方をし提案する

顧客理解からの価値創出へ


今回の 「日本の田舎の学校体験」 の事例は、観光サービスにとどまらない示唆を私たちに与えてくれます。

お客さんの置かれた状況や環境、ニーズ、何に価値を見出すかの価値観などの顧客文脈を深く理解し、顧客理解にもとづいた価値定義、価値提案、価値創出を実現する重要性を示しています。

身近な日常生活やビジネスシーンの中に新たなビジネスのヒントが隠されていることを意識し、自分とはたとえ異なる価値観や文脈 (メンタルモデルや行動様式) を持つ人や企業にも響く商品・サービス開発とマーケティングを展開することが、ビジネスの成功につながる重要なポイントです。


まとめ


今回は、外国人観光客が学ランやセーラー服で日本の学校体験ができるサービス 「日本の田舎の学校体験」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後にポイントのまとめとして、顧客理解からの価値創出の全体プロセスです。

  1. 自分たちが向き合うターゲットとするお客さんは誰かを決める
  2. そのお客さんが持っているニーズや奥にある望み、不満、何に価値を見出すかの価値観までを深く理解する
  3. 顧客理解にもとづいてターゲットとする顧客文脈を定め、顧客文脈においてどんな顧客価値を体験してもらうかを設計する (価値定義) 
  4. 定義した顧客価値を実現する商品やサービスをつくる
  5. 商品・サービスを顧客文脈にフィットするように魅力的に見える伝え方をし提案する


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。