投稿日 2024/06/07

ロッテ 「ちょこっと幸せ研究所」 に学ぶ、”PR first, advertising second” の相乗効果

#マーケティング #PR #広告

広告でビジネスを成長させることはできるのでしょうか?

今回は、広告だけではなく PR も有効活用し、マーケティングコミュニケーションの相乗効果を生み出す秘訣を探ります。

ロッテ 「ちょこっと幸せ研究所」 


出典: PR TIMES

2024年はロッテがチョコレート事業に参入し、主力ブランドの 「ガーナ」 を発売してから60周年の節目の年です。

ロッテはチョコレートが 「ウェルビーイング(心身の健康や幸福)」 に与える影響について、研究を進めると発表しました (リリースはこちら) 。新たに 「ちょこっと幸せ研究所」 を設立し、チョコレートの存在意義に関する研究や発信を強化するとのことです。

チョコレートでウェルビーイングを訴求するテーマとして、「カラダの健康」 「ココロの幸せ」 「サステナブル」 の3つを掲げます。

研究では自社の研究部門の社員に加えて、幸福度に関する研究者や社会心理学者などと連携します。チョコレートを食べる時間やシーン、口どけやなめらかさの違いによる幸福度の変化の度合いやメカニズムの解明を目指して知見を集めていきます。

チョコレート市場全体の活性化を促しながら、研究は数年かけて行う計画です。エンタメ系の企業とも連携していき、新商品やサービスの開発にもつなげます。


PR first, advertising second


ところで、アル・ライズは、著書 「広告でブランドはつくれない」 の中で、"PR first, advertising second" という考え方を提示しました。


PR first, advertising second とは、ブランド構築において PR (Public relations) を最初に重視し、その後に広告 (Advertising) を活用するという順番です。

PR によって世の中への空気感や機運をつくり、下地を整えてから、広告によって商品の認知や好意度を高めていきます。

では、この PR first, advertising second の視点から、今回のロッテの 「ちょこっと幸せ研究所」 の設立の意味合いを掘り下げていきましょう。

チョコレートの PR first


ちょこっと幸せ研究所の役割は、"PR first" にあります。

研究所設立の目的は、チョコレートが人々のウェルビーイングに与える影響を研究し、その成果を社会に広く伝えることでした。ロッテのチョコレート商品を扱うというよりも、もっと広く捉え、消費者の生活におけるチョコレートの存在意義を高めることを目指します。

ちょこっと幸せ研究所では設立主体のロッテだけではなく、外部研究機関やエンタメ企業との連携により、チョコレートを主軸にする新しいコラボレーションが生まれ、生活者の関心を引くことでしょう。

チョコレートのことを、食べておいしいという存在にとどめず、日常生活やさらに言えば人生をより良くするために、人々や社会とどう関係するのかという公共的な色合いも見て取れます。

研究所の活動や発表を通して、ロッテにとっては、ロッテのチョコレート事業における研究や社会的責任の取り組み (たとえばカカオの持続可能な調達) を伝えることができます。ロッテが単にチョコレートを作って売っている食品メーカーでなく、生活者の幸福と持続可能な社会形成に貢献している企業であることを世の中に知ってもらえるでしょう。

以上のようなチョコレートやロッテを PR した 「PR first」 の後に、「Advertising second」 が続きます。

Advertising second


Advertising second の段階では、様々な PR (パブリックリレーション) の活動によって築かれた土壌の上で広告を展開することで、広告の効果を最大限に引き出すことができるでしょう。

PR によってチョコレートへの世の中や生活者の中での空気感、興味関心を生み出します。また、ロッテの企業としての社会的な取り組みへの認知、好感度を高めた状況をつくります。

そして、広告によってはじめて具体的な商品情報を広く共有し、商品認知、商品への興味や理解、購買を促すメッセージを伝えていくのです。

広告だけに依存しないコミュニケーション


PR first, advertising second というアプローチは、広告だけに依存するのではなく、企業やブランドの価値を長期的に構築し、持続可能なブランド成長を目指す戦略になります。

ロッテの 「ちょこっと幸せ研究所」 の設立は、チョコレートを通じた社会や生活者との関係性を築き、長期的なビジネスの成長を支える PR first を体現しようとしています。

この事例から、マーケティングにおける対話や情報提供の順番と中身、そして広告だけに頼らないマーケットとのコミュニケーション方法を学べます。


まとめ


今回はロッテの 「ちょこっと幸せ研究所」 の取り組みから、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • 「PR first, advertising second」 とはブランド構築の順序で、まず PR (パブリックリレーション) で世の中からのカテゴリーレベル (例: チョコ) の関心を喚起し機運を醸成する。PR で空気感や下地をつくった後に広告 (例: ロッテのチョコ商品) で商品の認知や好意度、購入意向などを高める

  • ロッテの 「ちょこっと幸せ研究所」 は、チョコレートが人々のウェルビーイングに与える影響を研究し、外部研究機関やエンタメ企業とも連携し、成果を広く社会に伝えることを目的としている。"PR first" の役割を果たす

  • PR first, advertising second のアプローチによって、広告だけに依存せず企業やブランドの価値を長期的に構築し、持続可能な成長を期待できる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。