投稿日 2023/06/09

アンガーマネジメントとマーケティングの共通点。マーケの役割は前向きな変化を起こすこと

#マーケティング #顧客理解 #アンガーマネジメント


自分の怒りの感情が生まれたとき、あなたはどのように対処していますか?

怒りの気持ちになるメカニズムには、意外にもマーケティングと深い共通点があります。マーケティングへの学びを得るために、一緒にアンガーマネジメントの世界を旅してみませんか?

アンガーマネジメント


アンガーマネジメントについて興味があり、何冊かまとめて読んでみました。

そのうちの1冊が 自分の 「怒り」 タイプを知ってコントロールする はじめての 「アンガーマネジメント」 実践ブック (安藤俊介) です。


怒りのメカニズム


アンガーマネジメントで勉強になったのは 「怒りが生まれるメカニズム」 でした。

簡単に言うと怒りのメカニズムとは次のようなプロセスです。

     「こうあるべき」 という価値観 (例: 公共の場では人に迷惑をかけずマナーを守るべき) 
    その時の心理状態。ストレスや精神的な苦しみ、満たされない気持ち・欲求・本音など (一次感情と呼ぶ) 
    目の前で事象が発生する (電車内でマナーを守らない人を見かける) 
    怒りの感情が生まれる (二次感情と呼ぶ) 。時には暴力的な行動に出る

以上が怒りのメカニズムです。

順番に少し補足をすると、人それぞれが持っている価値観が土台になっています。価値観は人によって異なります。自分の価値観に反するものは怒りにつながりやすいので、人によって怒るかどうかが違います。

同じ人でも何かが発生した時の自分の心理状態によって、同じ出来事でも怒りの気持ちになることもあれば、穏やかなまま過ごせる場合もあります。

まとめると、人によって怒りへの前提に価値観と心理状態 (一次感情) が文脈としてあり、同じ人でも悩みやストレスがたまった状態では怒りの沸点が低くなるわけです。


マーケティングに学べること


アンガーマネジメントの怒りへのメカニズムは、マーケティングに学びがあります。

怒りのメカニズムとマーケティングの共通点


怒ることへのプロセスは以下でした。

✓ 怒りのメカニズム
  • 価値観 (土台) 
  • 心理状態 (一次感情) 
  • 発生した事象
  • 怒りの反応 (二次感情) 

このようにシンプルに本質を捉えると他のことに横展開ができます。例えばマーケティングに4つを順番に当てはめてみましょう。

✓ 価値観
  • お客さんが持っている価値観
  • 何に価値を見出しているかのお客さんの固有のもの

✓ 心理状態
  • お客さんのニーズ
  • 望み、不満や満たらされない気持ち
  • 潜在的な顧客インサイト (奥にある普段は本人も気づいていない気持ち (押されると態度が変わり行動につながる心のホットボタン) ) 

✓ 起こった事象
  • 売り手からのマーケティング施策によるお客さんへの働きかけ
  • お客さんの望みや不満、顧客インサイトを満たす価値提案をする

✓ 反応
  • マーケティングによりお客さんの態度変容や行動変容が生まれる
  • 商品やサービスへの認知や興味、価値イメージ形成、ポジショニングや愛着からのブランド化

マーケティングの役割


アンガーマネジメントの考え方はマーケティングの顧客理解に示唆があります。

怒りのメカニズムで見たように、人が怒りの感情を生む背景には価値観とその時の心理状態などの文脈があります。

マーケティングも同じで、お客さんの態度変容や行動変容、例えば認知や興味、来店や購入などの行動を起こしてもらうためにはお客さんの文脈から理解することが重要です。

理解の範囲はターゲットとするお客さんが持っている価値観や心理です。心理は明確なニーズだけではなく、普段はお客さん本人も意識していない顧客インサイト (心の奥にある望みや不満) までです。

お客さんを理解してのマーケティングの流れは次の通りです。

✓ 顧客理解からのマーケティング
  • ターゲット顧客を決める
  • お客さんのニーズや顧客インサイト、価値観まで深く掘り下げる (お客さんの文脈の理解) 
  • 顧客理解からお客さんの文脈に沿って商品と得られる価値を提案する
  • お客さんの態度変容と行動変容につなげる

マーケティングの役割はお客さんの前向きな変化を起こすことです。

良い変化と対極にある怒りの感情に向き合うアンガーマネジメントには、マーケティングへのヒントがあります。


まとめ


今回はアンガーマネジメントとマーケティングの共通点から、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ マーケティングの役割
  • 重視するお客さんを決める
  • お客さんのニーズや顧客インサイト、価値観まで深く掘り下げ文脈を理解する
  • 顧客の文脈に沿って商品と得られる価値を提案する
  • お客さんの態度変容と行動変容につなげ、お客さんの前向きな変化を起こす


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。