マーケティングで大事なのは ｢お客さんの立場｣ になることです。では、本当にお客さん目線でものごとを捉えられているでしょうか？
今回は一流のスポーツコーチから、コーチングとマーケティングの共通点を見出し、マーケティングに学べることを掘り下げていきます。
コーチングの方法が、思わぬ形でマーケティングの世界に示唆を与え、お客さんをより深く、真に理解するためのヒントを教えてくれます。その秘訣をぜひ一緒に探っていきましょう。
｢観察｣ ｢質問｣ ｢代行｣
こちらのコーチングの本を読みました。最高のコーチは、教えない。(吉井理人) です。
著者の吉井理人さんは千葉ロッテマリーンズ監督で、現役時代は投手として大リーグでも活躍された方です。2023年3月の WBC では侍ジャパンの投手コーチを務めました。
この本にはダルビッシュ有、大谷翔平、佐々木朗希などの一流選手を育てたコーチングの方法や考え方が書かれています。
興味深かったのは吉井さんのコーチングスタイルでした。観察、質問、代行の3つで進めるというコーチング方法です。
まずは選手のことを徹底的に観察します。次に相手に質問をしていきます。選手に ｢何をやりたいか｣ ｢どう思っているか｣ などと訊きます。
3つ目のステップがその選手の立場に立って ｢代行する｣ というものです。指導する選手にはどのような方法が合うか、どう伝えればいいか、その選手になりきって考えるという意味です。
マーケティングへの示唆
観察、質問、代行はマーケティングのお客さんの理解に共通点があります。
顧客理解との共通点
コーチをマーケター、選手をお客さんと置き換えると、吉井さんのコーチングスタイルの ｢観察｣ ｢質問｣ ｢代行｣ はお客さん理解に示唆があります。
✓ 顧客理解との共通点
- 観察: お客さんの行動、生活環境、置かれた状況を観察する
- 質問: 対話から質問をして言動･考えを知り、さらに奥にある心理まで汲み取りお客さんのことを理解する
- 代行: お客さんにシンクロするように憑依し、お客さんが見ている景色と同じ光景を見ようとする (顧客目線の獲得)
コーチング的顧客理解の方法
まずはお客さんをフラットに見ます。次に着眼点を意識し、仮説を持ちながら観察をしていきます。
お客さん像をつかみ、できれば直接の対話によってお客さんに質問し、さらに理解を進めていきます。
お客さんの奥にある望みや不満までをお客さんが直接教えてくれることはありません。言葉にできなかったり、他人には恥ずかしくて言いたくない、あるいはそもそもお客さん本人が気づいていないものだからです。
お客さんが答えてくれた内容に加え、マーケターが時には大胆な解釈も入れてお客さんのことを深く理解していきます。
ここまでのレベルでお客さんを理解することでお客さん目線になれます。顧客目線とはお客さんと自分 (マーケター) が同一化するように、お客さんが見ている景色と同じものを自分も見ようとすることです。
マーケティングとは
マーケティングの本質に立ち返ると、マーケティングとは ｢お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般です。お客さんから選ばれるためには 1 にも 2 にも顧客理解です。
お客さん目線とはお客さんの見ている光景と同じものを見ることですが、完全に見る景色が一致することはないでしょう。だからこそ 1mm でも近づこうとする姿勢がマーケティングの顧客理解では大事です。
まとめ
今回はコーチングからマーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ コーチングからの顧客理解への示唆
- コーチングと顧客理解の共通点は、
- ① 観察 → お客さんの行動や状況を観察
- ② 質問 → 対話からお客さんの置かれた環境や行動･心理を理解
- ③ 代行 → お客さんにシンクロし顧客目線を獲得する
- マーケティングとは ｢お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般｣ 。選ばれるためにはお客さんの理解が大事
- お客さんと売り手の目線が完全に一致することは難しいが、だからこそできるだけ近づく姿勢を持ちお客さんの理解を深めよう
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